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新たな認知症評価尺度ABC認知症スケールの妥当性

 認知症を評価するための新しいツールとしてABC認知症スケール(ABC-DS)が、日本において開発された。ABC-DSは、日常生活動作(ADL)に関するドメインA、認知症の周辺症状(BPSD)に関するドメインB、認知機能に関するドメインCについて同時に評価できる包括的なツールであり、簡便かつ迅速に実施することが可能であり、認知症の重症度および経時的変化を測定することができる。これまで、ABC認知症スケールは、アルツハイマー型認知症(AD)の評価に有用であることが報告されているが、その他の認知症での研究はまだ行われていなかった。長崎大学の下田 航氏らは、さまざまな認知症のサブタイプや重症度に対するABC認知症スケールの妥当性について再評価を行った。Dementia and Geriatric Cognitive Disorders誌オンライン版2021年2月12日号の報告。ABC認知症スケールは血管性認知症患者でも使用可能 対象は、長崎県の病院1施設における外来患者および施設を利用している患者。ドメインAは認知症機能障害尺度(DAD)、ドメインBはNeuropsychiatric Inventory(NPI)、ドメインCはミニメンタルステート検査(MMSE)、ABC-DS合計スコアは臨床的認知症尺度(CDR)を用いた評価との相関を調査した。 ABC認知症スケールの妥当性について再評価を行った主な結果は以下のとおり。・対象患者は、男性38例、女性64例の合計102例であった(平均年齢:80.7±8.6歳)。・認知症のサブタイプの内訳は、AD 38例、血管性認知症(VaD)23例、混合型認知症23例、レビー小体型認知症6例、嗜銀顆粒性認知症9例、軽度認知障害3例であった。・ABC認知症スケールのドメインスコアと各ドメインと相関する標準的な尺度による評価スコアとの間に強い相関が認められた。・この関連は、認知症のサブタイプや重症度に依存しており、中等度~高度のADおよびVaD患者において、中~高程度の相関が認められた。 著者らは「本調査では、AD患者を対象としているABC-DSは、VaD患者でも使用可能であることが示唆された。その他の認知症サブタイプでは、ABC-DSが標準的な尺度との間に十分な相関が認められない場合がある。これまでの報告と同様に、ABC-DSは、中等度~高度の認知症に対してより有用であると考えられる。中等度~高度の認知症は、すべての患者の半数以上を占めるため、日本での臨床診療において非常に有用であろう」としている。

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オリンピック開催、医師の賛否や検討すべき条件は?/会員アンケート結果

 新型コロナウイルス感染症流行によって、今年7月に延期された東京オリンピック・パラリンピック。しかし、3月現在でも国内外の感染流行は収まらず、開催すべきか中止・再延期すべきか、開催するとすればどのような条件下で行うべきか、連日メディアではさまざまな案が報道されている。医療の最前線に立つ医師たちは、開催の賛否をどう考えているのか。2021年3月9、10日にインターネットで会員医師にアンケートを行い、1,020人から回答を得た。 「開催の賛否」を聞いた設問では、「賛成」290人(29%)、「反対」585人(57%)、「わからない/どちらとも言えない」145人(14%)と、反対が賛成のほぼ倍、という結果となった。2021年1月時点で共同通信が一般人を対象に行ったアンケートでは80%が反対または再延期すべきと回答しており、緊急事態宣言が延長された1月7日時点では国内の新規感染者数が7,639人/日だったのに対し、3月9日は1,127人/日といったんの落ち着きを見せていること、医療者に対してワクチン接種が開始したこと等を背景に、賛成とする人が増えたようだ。 「賛成」「反対」の両者に、「どんな制限・条件が必要か」を聞いた設問(複数回答可)では、既に決定路線との報道も出ている「海外からの観客受け入れなし」が363人で最多となり、「完全無観客での開催」が288人、「会場の入場者数制限(現在の屋内イベントの制限に準じる)」が167人となった。さらに、「海外選手・関係者の入国後2週間隔離」149人、「海外選手・関係者のPCR陰性証明書提出を義務付け」133人といった、いわゆる水際対策がこれに続いた。一方で、「どのような条件があっても開催すべきでない」との回答者も228人いた。 オリンピックへの意見を自由回答で聞いたところ、賛成の回答者からは「今さら止められない」「経済損失を避けるべき」といったやや消極的な声が多かった一方で、反対の回答者からは「招致時点から反対。開催する意味をまったく感じない」「中止決定こそが日本の存在感を上げるはず」「ただのスポーツ、人命の危険を冒す権利はない」といった強い言葉が並んだ。ほかに「医療者を無償で招集するのはあり得ない」「オリンピック予算をコロナ対策と東北支援に充ててほしい」といった医療者の立場からの声も上がっていた。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。「東京オリンピック・パラリンピックの開催に賛成ですか?反対ですか?」

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第46回 ワクチン1回目、疼痛90%超も3日後に軽快/厚労省

<先週の動き>1.ワクチン1回目、疼痛90%超も3日後に軽快/厚労省2.改訂「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」3.一般向け予約確認サイト「コロナワクチンナビ」、今月中に開設4.高齢者ワクチン接種、医師確保に追われる自治体も5.出生前の遺伝子検査、質の担保に国が関与へ6.病院職員同士の会食でコロナ感染、院長が謝罪1.ワクチン1回目、疼痛90%超も3日後に軽快/厚労省12日、厚生労働省が各自治体に対して行った説明会において、医療者を対象としたワクチン投与開始初期の重点的調査(前向きコホート)の中間報告があった。2月25日までに1回目の接種を済ませた1万9,808例(内訳:医師16.7%、看護師46.6%、薬剤師、臨床検査技師各3%、理学療法士、介護系職種各2%、事務職11%、その他12%/男性33.8%、女性66.2%)が登録され、第1回接種後8日目以降に回収した1万7,138例(全体の86.5%)の健康観察日誌によると、発熱(37.5℃以上)は3%であり、接種翌日がもっとも多かった。また、90%を超える接種者が接種翌日までに痛みを自覚したが、中等度以上の疼痛でも3日後にはおおむね軽快することがわかった。このほか、16%が接種翌日に全身倦怠感を自覚していた。なお、接種30分以内に失神を伴わない血管迷走神経反射や動悸、紅斑、痛みなど88例(0.44%)を認めたが、アナフィラキシーは発現しなかった。接種後の副反応疑いとしては5例がPMDAに報告された。今回の結果を、2009年に行われたNHOによるH1N1インフルエンザワクチン2万人調査と比較すると、接種部位の疼痛の頻度が明らかに高く、全身症状がやや多かった。(参考)資料 1回目接種後健康観察日誌集計の中間報告 第4回 新型コロナウイルスワクチンの接種体制確保に係る自治体向け説明会より抜粋(厚労省)2.改訂「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」厚労省が12日、「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」の改訂版(2.1版)を通知した。前回2月の改訂に続き、「居宅サービス等」「ワクチンの移送」「地方公共団体が設ける診療所」「接種体制構築に係る市町村間の連携」「接種券」「住所地外接種」についての内容が追記されている。なお、今後の検討状況により随時更新される。(参考)資料 「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」の改訂について(厚労省)3.一般向け予約確認サイト「コロナワクチンナビ」、今月中に開設厚労省は、接種希望者への案内と予約受付をスムーズに行うため、一般公開サイト「コロナワクチンナビ」の開設を発表した。ワクチン接種円滑化システム(V-SYS)に入力された医療機関情報をもとに、実施医療機関、ワクチンの種類、予約受付状況などの情報を提供する。予約受付は原則として各医療機関で行うことになるが、これを活用するためには、予約状況をV-SYS上で更新する必要がある。(参考)新型コロナワクチンの接種を行う医療機関へのお知らせ(厚労省)資料 V-SYSについて4(同)4.高齢者ワクチン接種、医師確保に追われる自治体も医療従事者に対する接種に続いて、4月12日以降に開始される高齢者へのワクチン接種に向け、各自治体は接種の実施計画を立てている。厚労省は、各自治体の準備状況について、12日時点で823自治体によるシミュレーション実施など状況をまとめているが、今後も情報提供を進めていく予定。一方、ワクチン接種をめぐって、一部の自治体で接種のピーク時に必要な医師の確保が間に合わない可能性が出ている。日経新聞の報道によると、集団接種会場で実際に接種する医師について、主要都市で計画の6割しか確保できていない状況であり、医師不足に直面した自治体は医師や看護師など人員拡充を進めていく。(参考)新型コロナワクチンに関する自治体向け通知・事務連絡等(厚労省)高齢者のコロナワクチン接種、医師確保6割どまり 主要都市本社調査、「派遣看護師ら活用」8割(日本経済新聞)5.出生前の遺伝子検査、質の担保に国が関与へ近年、高齢で妊娠した母親の血液から胎児の染色体異常を推定する出生前遺伝学的検査(NIPT)が普及しているが、日本産婦人科学会の指針で認められない性別や全遺伝子検査が行われる例、産婦人科以外の医師が検査を実施する例など、カウンセリングが不十分で適切な対応ができないなどの問題が指摘されている。厚労省は「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)の調査等に関するワーキンググループ」を19年10月に立ち上げ、無認可施設での検査トラブルや高額検査などについて検討を重ね、先月2月10日に報告書が公開された。これによると、遺伝カウンセリングの内容など質の担保を求めており、今後、出生前診断の施設の認証制度に国が関与する制度に向け着手することになった。(参考)母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)の調査等に関するワーキンググループ報告(厚労省)新型出生前診断 国が実施施設認証に関与 厚労省方針案明らかに(毎日新聞)6.病院職員同士の会食でコロナ感染、院長が謝罪東京都立墨東病院は、医師と看護師ら職員5人が新型コロナウイルスに感染したことを発表した。研修医と看護師、放射線技師らが、都内の居酒屋と医師の自宅でマスクをしないまま長時間の飲食を行い、数日後、そのうち2人に発熱ならびに味覚障害が発症。病院側の調査により会食が発覚した。なお、都立墨東病院においては昨年4~5月にかけて患者並びに職員43名にのぼるクラスター感染が発生しており、救命救急センターの新規入院受け入れ中止など、診療体制の縮小を強いられた。報道陣の取材に対し、上田 哲郎院長は「患者に不安な思いをさせて申し訳なく思っている。自らの軽率な行動が患者や同僚、家族を巻き込むことにつながることをあらためて自覚させる」と謝罪した。(参考)都立墨東病院医師ら5人感染 居酒屋と医師宅でマスクせず会食(毎日新聞)都立病院の研修医や看護師ら5人感染…居酒屋で会食後に2次会も、院長「軽率」と謝罪(読売新聞)

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トシリズマブとサリルマブ、重症COVID-19患者に有効/NEJM

 集中治療室(ICU)で臓器補助(organ support)を受けた重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者において、インターロイキン6(IL-6)受容体拮抗薬のトシリズマブとサリルマブによる治療は、生存を含むアウトカムを改善することが認められた。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのAnthony C. Gordon氏らが、現在進行中の国際共同アダプティブプラットフォーム試験である「Randomized, Embedded, Multifactorial Adaptive Platform Trial for Community-Acquired Pneumonia:REMAP-CAP試験」の結果を報告した。重症COVID-19に対するIL-6受容体拮抗薬の有効性は、これまで不明であった。NEJM誌オンライン版2021年2月25日号掲載の報告。アダプティブプラットフォーム臨床試験でトシリズマブとサリルマブの有効性を評価 研究グループは、ICUで臓器補助開始後24時間以内のCOVID-19成人患者を、トシリズマブ(8mg/kg体重)群、サリルマブ(400mg)群、または標準治療(対照群)のいずれかに無作為に割り付けた。 主要評価項目は、21日以内の非臓器補助日数(患者が生存し、ICUで呼吸器系または循環器系の臓器補助を要しない日数)で、患者が死亡した場合は-1日とした。 統計にはベイズ統計モデルを用い、優越性、有効性、同等性または無益性の事前基準を設定。オッズ比>1は、生存期間の改善、非臓器補助期間の延長、あるいはその両方を示すものとした。標準治療と比較しトシリズマブ、サリルマブで非補助日数が増加、90日生存も改善 トシリズマブ群およびサリルマブ群のいずれも、事前に定義された有効性の基準を満たした。 解析対象は、トシリズマブ群353例、サリルマブ群48例、対照群402例であった。非臓器補助期間の中央値は、トシリズマブ群10日(四分位範囲:-1~16)、サリルマブ群11日(0~16)、対照群0日(-1~15)であった。対照群に対する補正後累積オッズ比中央値は、トシリズマブ群1.64(95%信頼区間[CI]:1.25~2.14)、サリルマブ群1.76(1.17~2.91)で、対照群に対する優越性の事後確率はそれぞれ99.9%、99.5%であった。 90日生存についても、トシリズマブ群とサリルマブ群のプール解析群で改善が認められ、対照群に対するハザード比は1.61(95%CI:1.25~2.08)、優越性の事後確率は99.9%超であった。 その他のすべての副次評価項目についても、これらIL-6受容体拮抗薬の有効性が支持された。

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新型コロナ、感染リスクが高まる行動/CDC

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック発生後、感染防止のため、医薬品以外におけるさまざまなアプローチが検討・推奨されてきた。このうち感染防止に実際に有効なアプローチを観察研究で特定した研究が米国疾病予防管理センター(CDC)サイトに掲載されている。感染リスクはケースコントロール研究で検討し、感染者と非感染者の最近の行動を比較することによって特定された。 COVID-19感染者の2割が全感染の8割を引き起こし、感染の半数は無症候性または発症前の患者からと推定されている。無症状の感染者によって感染が拡大するリスクが高く、リスクの高い行動を周知することは依然重要となる。 米国において2020年半ばに外出禁止令が緩和された後、10州においてCOVID-19の検査を受けた18歳以上の成人を対象とした。検査時に有症状だった332例が登録され、最終的に314例を対象に電話調査を実施し、発症前14日間の行動を聞いた。 検査結果は、陽性154例・陰性160例となり、両者の行動を比較し、感染者との接触歴の有無(あり:89例、なし:225例)に分けたうえでオッズ比を算出した。オッズ比は人種/民族、性別、年齢、1つ以上の基礎疾患で調整した。 「感染者との接触歴なし」群で、COVID-19感染との関連が認められた行動は以下の2つであった。・バーまたはカフェの利用(調整オッズ比:3.88、95%信頼区間:1.49~10.05)・レストランでの食事(2.82、1.86~4.26) その他、調査した主な行動の調整オッズ比と95%信頼区間は以下のとおり(「感染者との接触歴なし」群の数値)。・教会などの礼拝集会(1.68、0.53~5.38)・ジムの利用(1.64、0.49~5.53)・公共交通機関の利用(0.93、0.21~4.05)・オフィスでの執務(0.91、0.46~1.80)・10人以下での在宅(0.87、0.57~1.32)・美容室等のサロン利用(0.78、0.32~1.86) 調査チームは、バーやカフェ、レストラン利用者の感染リスクが高いのは、マスクをし続けることが難しく、無症状の感染者に長時間接触するリスクが高いためだろうとしている。(ケアネット 杉崎 真名)■関連スライドはこちら新型コロナ感染に注意すべき行動

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COVID-19への回復期患者血漿による治療、アウトカム改善効果なし/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者に対する、回復期患者血漿による治療は、プラセボまたは標準的治療と比べて全死因死亡や入院期間、人工呼吸器の使用といった臨床アウトカムのあらゆる有益性と関連しない。スイス・バーゼル大学のPerrine Janiaud氏らが、これまでに発表された10試験についてメタ解析を行い明らかにした。エビデンスの確実性は、全死因死亡については低~中程度で、その他のアウトカムについては低いものだったという。JAMA誌オンライン版2021年2月26日号掲載の報告。ピアレビュー前・後のRCTを対象にメタ解析 研究グループは、ピアレビュー、出版前あるいはプレスリリースされた無作為化試験(RCT)で、回復期患者血漿による治療vs.プラセボまたは標準的治療の臨床アウトカムを評価する検討を行った。 PubMed、Cochrane COVID-19試験レジストリ、LOVE(Living Overview of Evidence)を2021年1月29日時点で検索し、システマティック・レビューを実施。COVID-19の疑いまたは確定診断を受けた患者を対象に、回復期患者血漿による治療とプラセボまたは標準的治療を比較したRCTを特定しメタ解析を行った。 主要解析はピアレビュー済みのRCTのみを対象に行い、2次解析は、出版前やプレスリリースを含む、公表されたあらゆる試験結果を対象に行った。 主要アウトカムは、全死因死亡、入院期間、臨床的改善、臨床的増悪、人工呼吸器の使用、重篤な有害事象だった。レビュー済み4試験とレビュー前6試験を対象に分析 解析には、ピアレビュー済みの4つのRCT(被験者総数1,060例)と、ピアレビュー前の6つのRCT(被験者総数1万722例)が含まれた。 ピアレビュー済み4 RCTの解析において、回復期患者血漿による治療の、全死因死亡に関する要約リスク比(RR)は0.93(95%信頼区間[CI]:0.63~1.38)、絶対リスク差は-1.21%(95%CI:-5.29~2.88)で、データの不正確性によりエビデンスの確実性は低かった。 ピアレビュー前の6 RCTを含めた10 RCTの解析において、全死因死亡に関する要約RRは1.02(95%CI:0.92~1.12)で、非公表データを包含したエビデンスの確実性は中程度だった。 また、ピアレビュー済み4 RCTにおいて、入院期間に関する要約ハザード比は1.17(95%CI:0.07~20.34)、人工呼吸器の使用の要約RRは0.76(0.20~2.87)であり(絶対リスク差-2.56%[95%CI:-13.16~8.05])、両アウトカムに関するデータの不正確性によりエビデンスの確実性は低かった。 臨床的改善、臨床的増悪、重篤な有害事象に関するデータは限定的で、有意差はなかった。

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「スーパーの値引き品」で節約した気になっていませんか?【医師のためのお金の話】第42回

こんにちは。自由気ままな整形外科医です。資産をつくるうえでは、「守りが重要」といわれています。「守り」という言葉から、「スーパーの値引き品を狙う」など日々の小さな節約を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、今回お伝えしたい「守り」は節約ではありません。日々の生活でコツコツと節約をしても、時々訪れる大きなお金が動くイベントでミスをすると、大きな損失を被ってしまいます。今回は私の身に起こった具体例も交えながら、大きなお金が動く際での「守り」の態勢づくりがいかに重要なのかをお話ししたいと思います。旅行時の判断ミスは、スーパーの節約100回分私は旅行好きなので、例年は年2回ペースで海外旅行に行っていました。しかし、昨年からはコロナ禍のために国内旅行に転向しました。国内は気楽に行けるため、2~3ヵ月に一度のペースで旅行を楽しんでいるのですが、その時に役立つのが格安航空会社(LCC)です。LCCは航空券代が安く、さまざまなオプションを組み合わせることもできます。自分に必要なオプションだけを選べるのでリーズナブルなのですが、どこまでオプションを付けるかを迷いがちです。私はいつも余分なオプションを一切付けず、最低価格を選択することが多いのですが、先日は何を思ったか、無料で日程変更が可能なプランを選択してしまいました。柄にもなく、「いつ呼び出されるとも限らないし…」と考え、そのような状況にも対応できるプランにしたのです。しかし、よくよく考えてみると、「無料で日程変更ができるプラン」の追加料金と、「最低料金プランで日程を変更する手数料」は1.5倍ほどの差です。日程を変更する可能性がきわめて低いにもかかわらず、割高な無料変更可能プランを選択するのは確率論的に言えばばかげています。冷静になって少し考えればわかることなのですが、忙しさにかまけて深く考えないと、このような要らぬ費用を払ってしまうことになります。自分だけならたいした金額ではなくても、家族分を合わせれば数万円単位の出費です。5万円の余計な出費があれば、夕方のスーパーマーケットで値引き品によって500円得したとしても、それを100回続けなければ取り返すことができません…。税金対策ミスは、スーパーの節約数千回分私はいくつかの法人を運営していますが、昨年度にその中の1社が決算を過ぎてから大きな利益を出していることに気付きました。この法人は資産所有法人なので、例年の決算はあまり変動がありません。しかし、2020年度は新型コロナウイルス感染症が発生したこともあり、事業内容に比較的大きな変更を加えました。それにもかかわらず、収益性のモニタリングを怠っており、決算を過ぎてから税理士から決算概要の報告を受け、ようやく青ざめることになりました。経営セーフティ共済などを用いた基本的な税金対策をしておけば、納税によるキャッシュアウトをある程度防げたにもかかわらず、それをしていなかったのです。税理士報酬の何年間分ものキャッシュアウトを計上し、意気消沈しました。このように、大きなお金の動くところで少しでも油断すると、日々の生活で節約した金額をはるかに上回るキャッシュアウトを招きます。今回のケースは、スーパーの値引き品500円のおトクに換算すると、数千回分の損失となりました。自動車保険の「弁護士特約」という落とし穴自動車を運転する人は、自賠責保険以外にも任意の自動車保険に加入していることと思います。損保各社から魅力的な商品が出ていますが、この中で「弁護士特約」というオプションプランをご存じでしょうか?「弁護士特約」とは、自動車事故の被害に遭った場合、加害者との訴訟にかかる弁護士費用や弁護士への相談費用に対する保険金が出る、というものです。このオプションは4,000~5,000円の追加で付帯できますが、このお金を惜しんで弁護士特約なしにすると、万一の自動車事故の際に大きな損失を被ります。特約で支払われる費用は300万円までとなっていることが多いのですが、不幸にも重い後遺障害を負ってしまった場合には、この費用をはるかに上回る賠償金が支払われるケースが多くなります。たとえば、年収1,000万円の30歳の医師が8級の後遺障害を負った場合、慰謝料と逸失利益を合わせると1億円を超えます。自分で優秀な弁護士を雇う預貯金があればいいのですが、数百万円をすぐに用意できる人は限られるでしょう。また、交通事故の訴訟は専門的で、その分野に強い弁護士を自分で探すのも大変です。「持ち出しゼロ」をうたう弁護士事務所もありますが、実際のところ、お金にならない案件は門前払いされてしまうのが実情です。結局のところ、弁護士特約によって優秀な弁護士とつながり、保険金が弁護士の積極的な介入の原資となり、加害者側との交渉において絶大な威力が発揮されるのです。これがない場合、賠償金が大幅減額、もしくは後遺障害等級が認定されないケースすらありえるのです。数千万円の損失となれば、もうスーパーの値引き品のおトクで取り返すことはできないでしょう。「守り」は大きなお金が動く場面に集中すべきこのように、少し慎重に物事を考えたり判断したりすることで、目先のお買い得品を購入するのとは比較にならないレベルのキャッシュアウトを防ぐことが可能となります。人は生活感のある価格帯では節約家になりやすいものです。しかし、資産形成で成功するためには、大きなお金が動く可能性のある場面で、大きな失敗を防ぐことのほうがよほど重要です。ことの軽重を考えながら、快適な人生を過ごしたいものですね。

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脳卒中データバンク2021

「脳卒中・循環器病対策基本法」が成立、ますます活用が期待されるデータブック1999年に始まった日本脳卒中データバンクの登録患者数は、2019年ついに20万例を突破!大規模データからしか得られない興味深い解析結果を満載した、大好評のデータブックの最新版。『脳卒中データバンク2015』では2012年までの登録データ約10万例を集計したが、今回は、急性期脳卒中17万例(脳梗塞12.6万例・脳出血3.3万例・くも膜下出血1.1万例)、一過性脳虚血発作1.2万例など、2018年末までに登録された19万9,599例の情報を基に執筆された。脳卒中・循環器病対策基本法が成立し、今後ますます活用が期待される。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    脳卒中データバンク2021定価5,000円 + 税判型AB判頁数200頁 2色刷発行2021年3月編集国循脳卒中データバンク2021編集委員会

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薬剤師がコロナワクチンを希釈・充填 手技は大丈夫?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第64回

いよいよ新型コロナウイルスワクチンの接種が始まりましたね。今はまだ医療者の先行接種の段階ですが、高齢者や一般の方に接種が広がった場合の「どこで?」「どのように?」というのはワイドショーなどでも取り上げられて話題になっています。そんな中、2月16日に、厚生労働省が「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(2.0版)」を発出しました。現時点で想定されているワクチンは「コミナティ筋注(一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン)」で、一般の方々に接種する場合の準備や手順などが記載されています。この中で薬剤師に関する記述がありましたので、紹介します。「医療機関以外でワクチン接種を行う場合」接種方法や会場の数、開設時間の設定により、必要な医師数や期間が異なることから、地域の実情に合わせて、必要な医療従事者数を算定する。具体的な医療従事者などの数の例:予診・接種に関わる者として、予診を担当する医師1名、接種を担当する医師または看護師1名、薬液充填および接種補助を担当する看護師または薬剤師1名を1チームとする接種後の状態観察を担当する者を1名置く(接種後の状態観察を担当する者は、可能であれば看護師などの医療従事者が望ましい)検温、受付・記録、誘導・案内、予診票確認、接種済証の発行などについては、事務職員などが担当するこれはあくまでも一例ですが、このようなことを想定していますよ、という感じで記載されています。しかしながら、「やば! 薬液充填わからん…」という薬剤師も少なくないのではないでしょうか。そのような不安をくみ取ったのか、地域によっては薬剤師会などでワクチンの希釈・充填の研修がすでに始まっています。薬剤師もワクチン接種に協力しますよ!という積極的なアピールにもなり、とてもいい動きですね。具体的にどのような業務を行うかは地域のワクチン接種の運営方法によると思いますが、まずは得意な領域である添付文書を読んで副反応を想定し、その対処としてエピペン(一般名:アドレナリン注射液)などの在庫や使い方を確認しておくとよいのではないでしょうか。その知識はワクチン接種に不安を抱いている方のサポートにもなると思います。今後の学会などでは、ワクチン接種への薬剤師サポートに関する報告が多数行われるのではないかとワクワクしているうさこでした。参考1)「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(2.0版)」厚生労働省

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サルコペニアの高齢者は死亡・要介護リスク増加、予備群は?/東京都健康長寿医療センター

 健康のバロメーターとして「筋肉」が注目される中で、高齢者におけるサルコペニアの予防・改善は、健康長寿を実現するためにも重要である。東京都健康長寿医療センター研究所・北村 明彦氏らの研究グループは、日本人の一般高齢者1,851人におけるサルコペニアの有病率、関連因子、死亡・要介護化リスクについて約6年間の追跡調査を行い、その結果をプレスリリースで発表した。75~79歳では男女ともに約2割、80歳以上では男性の約3割と女性の約半数がサルコペニアに該当し、サルコペニアになると死亡、要介護化のリスクがいずれも約2倍高まることが示された。Journal of Cachexia, Sarcopenia Muscle誌2021年2月号に掲載。サルコペニア予備群に3割が該当したが、死亡リスク・要介護リスクは高くない 研究グループは、群馬県と埼玉県において、健康診査を受けた65歳以上の日本人計1,851人(女性50.5%、平均年齢72.0±5.9歳)を対象に、平均5.8年間(最大9.5年)の追跡研究を行った。サルコペニア診断基準(AWGS 2019)に基づき定義されたサルコペニアは、筋肉量の一定の減少(四肢骨格筋指数:男性7.0kg/m2未満、女性5.7kg/m2未満)に加えて、筋力・身体機能の一定の低下(握力低値:男性28kg未満、女性18kg未満、または歩行速度の低値:男女ともに毎秒1m未満)が認められた場合に「有り」と判定された。 サルコペニアの有病率、関連因子、死亡・要介護化リスクについて調査した主な結果は以下のとおり。・サルコペニアの有病率は、男性で11.5%(105/917例)、女性で16.7%(156/934例)だった。有病率は年齢とともに上昇し、75~79歳では男女ともに約22%、80歳以上では男性の32%、女性の48%がサルコペニアに該当していた。・サルコペニアの人はそうでない人に比べて、男性では「身体活動が少ない」「血液中のアルブミン濃度が低い」「喫煙者が多い」「最近1年以内の入院が多い」(いずれもp<0.05)、女性では「うつ症状が多い」(p<0.001)、「認知機能の低下が多い」(p=0.004)ことがわかった。・サルコペニアの人は、筋肉量、筋力ともに低下していない人に比べて、男女共に総死亡リスクが高かった(男性:ハザード比[HR]=2.0、95%CI:1.2~3.5/女性:HR=2.3、95%CI:1.1~4.9)。また、要介護発生リスクも高くなる可能性が明らかになった(男性:HR=1.6、95%CI:1.0~2.7/女性:HR=1.7、95%CI:1.1~2.7)。・サルコペニア予備群(筋肉量は少なくても筋力・身体機能が一定維持されている人、および筋力・身体機能が弱くても筋肉量が一定維持されている人)には、男性で29.7%(272/917例)、女性で31.6%(295/934例)が該当したが、総死亡リスク、要介護発生リスクは共に高くならなかった。 研究者らは、「サルコペニアの高齢者は、死亡および要介護発生のリスクが高く、いわゆる自立喪失の危険性が高いことが明らかとなった。したがって、サルコペニアを早期発見し、その進行を食い止めることは健康寿命の延伸に貢献すると考えられる」と結論している。

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法律が示す薬剤師の義務と任務、やるべきことはたくさんある【赤羽根弁護士の「薬剤師的に気になった法律問題」】第23回

これまで、「薬剤師的に気になった法律問題」ということで、時事的に気になった話題を主に取り上げてきましたが、今回は最終回ということで、薬剤師の基礎となる薬剤師法についてまとめたいと思います。以前話題にしたこともありますが、薬剤師の業務については薬剤師法の第4章に定められています。第4章 業務第19条(調剤)、第20条(名称の使用制限)、第21条(調剤の求めに応ずる義務)、第22条(調剤の場所)、第23条(処方せんによる調剤)、第24条(処方せん中の疑義)、第25条(調剤された薬剤の表示)、第25条の2(情報の提供及び指導)、第26条(処方せんへの記入等)、第27条(処方せんの保存)、第28条(調剤録)、第28条の2(薬剤師の氏名等の公表)、第28条の3(事務の区分)まず、第19条においては、調剤が薬剤師の独占業務である旨が定められています。(調剤)第十九条 薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない。ただし、医師若しくは歯科医師が次に掲げる場合において自己の処方せんにより自ら調剤するとき、又は獣医師が自己の処方せんにより自ら調剤するときは、この限りでない。一 患者又は現にその看護に当たつている者が特にその医師又は歯科医師から薬剤の交付を受けることを希望する旨を申し出た場合二 医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第二十二条各号の場合又は歯科医師法(昭和二十三年法律第二百二号)第二十一条各号の場合調剤が何を意味するのかという議論はあるものの、薬剤師の基本的な業務が調剤であるとともに、調剤は原則薬剤師しかできないことが示されており、重要な条文です。ただし、「薬剤師以外の者」は「してはならない」という規定なので、薬剤師以外の者の行動を制限する形になっています。一方、その他の条項は、薬剤師が行わなければならない義務を規定しているものがほとんどです。(処方せん中の疑義)第二十四条 薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによつて調剤してはならない。(情報の提供及び指導)第二十五条の二 薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため、販売又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看護に当たつている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない。2020年9月1日から施行された第二十五条の二 第2項における服用期間中のフォローアップも同様です。第二十五条の二 第2項薬剤師は、前項に定める場合のほか、調剤した薬剤の適正な使用のため必要があると認める場合には、患者の当該薬剤の使用の状況を継続的かつ的確に把握するとともに、患者又は現にその看護に当たつている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない。薬剤師が法的にできないことはほとんどない実際の臨床現場では、薬剤師法で規定される以外にもさまざまな業務を行っていると思いますが、薬剤師の義務は、薬剤師法以外にも法令解釈や薬機法、薬担規則、調剤報酬の観点などから導かれるものもあります。薬剤師法では、最低限の義務が課されているにすぎません。だからこそ、薬剤師法における義務の中に服用期間中のフォローアップが追加されたことは、薬剤師にとって大きな意味があります。この改正によって、これまで記録義務がなかった指導などについて、調剤録へ記載する義務が加わりました(なお、調剤録への記載は、これまでと同様に薬歴に記すことで義務を果たすことになると通知で示されています)。対人業務についても、必ず薬剤師に行ってもらわないと困るという期待の表れかもしれません。参考)・医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行に当たっての留意事項について(薬局・薬剤師関係)(薬生総発0831 第6号 令和2年8月31日 厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長)・保険薬局の分割調剤及び調剤録の取扱いについて(保医発1110 第1号 令和2年11月10日)以上をまとめると、薬剤師法では、最低限薬剤師が「行わなければならない義務」が規定されていますが、注意を要するのは、「~はしてはならない」という規定にはなっていない点です。もちろん、医師法に定める医業や保健師助産師看護師法に定める療養上の世話・診療の補助は、他職種の独占業務ですので行うことはできませんが、それ以外は基本的に自由であり、調剤以外の健康サポートなど幅広い業務を行うことができます。なお、薬剤師の任務は薬剤師法第1条に以下のとおり定められています。(薬剤師の任務)第一条 薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。「調剤、医薬品の供給、その他薬事衛生」とありますが、最終目的は、「国民の健康な生活を確保する」ことです。この目的のために、最低限定められている以外にも、さまざまな業務を行ってこれを実現していくことが求められています。法律にもさまざまな定めがありますが、今後、薬剤師の活躍の場はどんどん増えていくことが想定されますので、最終的には「国民の健康な生活の確保になるかどうか」という意識を持っておくことは重要でしょう。今回でこのコラムも最後となりました。これまでお付き合いいただきありがとうございました。

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「手伝うよ」、開業時の家族サポートにありがちなワナ【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第13回

第13回 「手伝うよ」、開業時の家族サポートにありがちなワナ漫画・イラスト:かたぎりもとこ医院開業に当たって、家族・親族のサポートを受けることは非常に重要です。とくに開業直後は、家族が診療以外の間接業務を支援してくれることで、スムーズな立ち上がりにつながることも多いようです。家族のサポートを受けるためにも、家族の意見をうまく開業に組み込むことが必要でしょう。その際には、一点、注意が必要です。今回にも当てはまることですが、家族が理想とする住環境や子供の教育環境を重視するあまり、診療所の経営といったビジネス観点ではない意見や主張をして、当事者もそれに基づいた物件選定を行ってしまう、というケースです。実際に、私たちが担当した案件でも、下記のようなケースがありました。家族が「どうしても東京の世田谷区に住みたい」と主張。診療圏で見ると診療所の数が飽和しているにもかかわらず、無理に物件を見つけて開業してしまい、集患に苦労する内装を設計する際に、患者視点でのデザイン(安心・落ち着く)ではなく、家族が主張するデザイン(スタイリッシュ・非日常)を選択し、スタッフや患者から不評医師の親がアドバイスし、開業当初から高額な什器や備品をそろえた結果、その後の資金繰りに苦しむもちろん、ビジネス観点からの合理的な判断であれば、家族のサポートやアドバイスを受け入れることに問題はありません。ビジネス観点とは、具体的には下記のような項目となるでしょう。収支が見合うか競合医院との差別化につながるか患者にとってメリットがあるかスタッフの採用しやすさや、離職防止策につながるか上記のようなケースに気を付けながら、家族・親族をうまく巻き込み、開業することをお勧めします。

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第35回 標準偏差計算式の「n」と「n-1」との違いは?【統計のそこが知りたい!】

第35回 標準偏差計算式の「n」と「n-1」との違いは?今回は、「標準偏差」の「n」と「n-1」の意味について説明します。分散、標準偏差の求め方には、下記の2つの方法があります。■標準偏差計算式の「n」と「n-1」との使い分けは?観測したデータ全体のばらつきをみる場合は、(1)の公式を使います。多くの患者さんの中からランダムにサンプリングした検査など、抽出したデータから全体を推測する場合や、抽出データのばらつきをみる場合は(2)の公式を使います。たとえば、日本人全員の身長の標準偏差を知るのは不可能です。その場合、一部のデータから推測するしかないので、(2)の公式を使います。(2)で求めた分散は不偏分散とも呼ばれます。■不偏分散に関する留意点データから推測した標準偏差は、実際の母集団の標準偏差よりもやや小さい値を取ってしまうことが知られています。そのため「n-1」で割り、データから推測した標準偏差よりも少しだけ大きい値にするのが、推測値として適切なのです。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第1回 「標準偏差」と「標準誤差」の使い分けは「わかる統計教室」第4回 ギモンを解決! 一問一答質問3 標準偏差と標準誤差の違いは何か?第3回 理解しておきたい検定セクション1 母集団、n数、サンプル数、サンプルサイズとは

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認知症リスクの人種差~メタ解析

 世界の認知症患者数は、約5,000万人といわれている。高血圧や糖尿病などの認知症のリスク因子は、黒人、アジア人、その他の少数民族においても一般的に認められるが、認知症のケア、診断、治療においては、人種間で不平等なこともある。そこで、英国・London School of Hygiene & Tropical MedicineのSuhail Ismail Shiekh氏らは、認知症の発生率や有病率に関する民族的な差異について、調査を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2021年1月30日号の報告。 2019年9月1日に、人種、認知症、発生率、有病率の検索ワードを用いて、7つのデータベースより検索した。18歳以上の成人を対象とし、2つ以上の人種の年齢を考慮した後、認知症の発生率または有病率を比較した人口ベースの研究を抽出した。適切な人種間の比較を行うため、メタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・コホート研究12件、横断研究7件をメタ解析に含めた。・米国での研究が13件、英国、シンガポール、中国の新疆ウイグル自治区での研究が各2件であった。・黒人と白人を比較した4件の研究では、認知症発生率のプールされたリスク比は、1.33(95%CI:1.07~1.65、I2:58.0%)であった。・アジア人と白人を比較した研究では、認知症発生率のプールされたリスク比は、0.86(95%CI:0.728~1.01、I2:43.9%)であった。・ラテン系と白人では、認知症発生率に差は認められなかった。 著者らは「認知症リスクに、人種的な違いがあることが示唆された。これらの違いの要因を明らかにすることは、認知症の予防や治療に役立つ可能性がある」としている。

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重症精神疾患患者における抗精神病薬切り替えと体重変化~メタ解析

 重症精神疾患患者では、肥満や代謝により臨床的な悪影響が懸念されるが、これを予防できる可能性がある。心血管代謝の負担を軽減するうえで、抗精神病薬の切り替えが有用かを、オーストラリア・クイーンズランド大学のDan Siskind氏らが検討を行った。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2021年2月6日号の報告。 2020年3月8日までの文献をPubMED、Embase、PsycINFO、Cochraneより検索した。抗精神病薬切り替え群と継続群における体重および代謝変化を比較するため、群全体と群内でのメタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・抽出された61研究のうち、59研究をメタ解析に含めた(エビデンスの質高評価40%)。・切り替え群と継続群を比較したメタ解析では、アリピプラゾールのみが体重を有意に減少させた(-5.52kg、95%CI:-10.63~-0.42、p=0.03)。一方、オランザピンは、体重を有意に増加させた(2.46kg、95%CI:0.34~4.57、p=0.02)。・アリピプラゾールへの切り替えにより、空腹時血糖(-3.99mg/dL、95%CI:-7.34~-0.64、p=0.02)およびトリグリセライド(-31.03mg/dL、95%CI:-48.73~-13.34、p=0.0001)の有意な改善が認められた。・アリピプラゾールおよびオランザピンによる切り替え群と継続群において、治療中止と精神症状の評価に違いは認められなかった。・切り替え後のメタ解析では、体重減少との関連が認められた薬剤はアリピプラゾール(-1.96kg、95%CI:-3.07~-0.85、p<0.001)、ziprasidone(-2.22kg、95%CI:-3.84~-0.60、p=0.007)であった。一方、体重増加と関連が認められた薬剤は、オランザピン(2.71kg、95%CI:1.87~3.55、p<0.001)、クロザピン(2.80kg、95%CI:0.26~5.34、p=0.03)であった。・amisulpride、パリペリドン、リスペリドン、クエチアピン、ルラシドンに切り替えた場合、体重およびその他の心血管代謝に有意な影響は認められなかった。 著者らは「アリピプラゾールやziprasidoneのような体重増加リスクの低い抗精神病薬に切り替えることにより、体重プロファイルや心血管代謝を改善することが可能である。抗精神病薬の切り替えを行う際には、切り替え前後の体重増加リスクを考慮する必要がある。精神症状の安定している患者に対する抗精神病薬の切り替えは、症状悪化リスクを鑑み検討すべきである」としている。

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“BLUE GIANT SUPREME”【空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅】第28回

私の趣味は漫画を読むことです。引っ越しを重ねるうちにどんどん増えていく大量の漫画を持ち歩くことが困難になったため、すべて自炊して(漫画本をばらしスキャンすること)PDFにして管理しております。現在は電子書籍での購入のみを行なっております。それ以来、当直なんて怖くなくなりました。タブレットさえ持っていれば、すべての漫画を本棚ごと持ち歩いているようなものですから、家にいても病院にいても、漫画を読むことができるのです。2017年に小学館マンガ大賞を取った『BLUE GIANT』(石塚 真一(著)/小学館)と言う漫画があります。あらすじは宮城県の高校生である宮本 大(ミヤモト ダイ)がジャズにハマって、サックス一本担いで上京する物語です。うまくいくときもいかないときも、前向きで強靭なメンタルでどんどんと前へ進んでいく姿にいつも私も勇気付けられていました。大くんが東京での目標を達成し、いよいよ世界に飛び出そうとしたところで連載は終了します。そして物語は『BLUE GIANT SUPREME』という続編へと移ります。大くんが次の挑戦の場として選んだのは、クラシック大国のドイツ・ミュンヘンでした。初心を思い起こさせる場所実は私がドイツで最初に住んでいたのはミュンヘンでした。奇しくもリアルタイムに、大くんと共にミュンヘンで夢を追いかけることになったのです。電子書籍で本を購入して読んだときは興奮しましたね~。「お前もミュンヘンに来たかー!」みたいな感じで。でも、それを伝える相手がドイツにいないと言うか…そもそも伝えるほどのドイツ語能力も持ち合わせていなかったので、そのときの感動はそっと自分の心にしまう他ありませんでした。漫画では、ミュンヘンに着いた大くんは早速街に出て、サックスの練習ができる場所を探します。「ここで楽器を吹くな!」と警察に怒られたりしながら孤独にミュンヘンの街を歩き続けて、日が落ちる直前にやっと人気のない川っぺりを見つけ、ようやくサックスを吹きます。寒さと孤独で凍えそうになりながら深夜のミュンヘン中央駅でコーヒーをすすり、大くんは散々だったドイツ初日を「最高の1日だった」と振り返ります。ミュンヘン中央駅です。数年前は、たくさんの難民が到着したことで大々的なニュースになった場所です。ミュンヘン中央駅は写真のようにターミナル駅です。ここからヨーロッパ中に線路が延びていて、まさに「旅のはじまり」を象徴する駅なのです。私もしょっちゅう訪れて、気合いの入れ直しをしていました。大くんはコミックにすると1冊半程度、ミュンヘンに滞在してから次の街へと向かいます。作品ではミュンヘンの街がとても丁寧に描かれていて、一目見ただけで大くんがミュンヘンのどこを歩いているのかはっきりとわかるし、街の雰囲気もよく伝わってきます。ドイツの空気を感じることができる作品として、とてもおすすめです。

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特例承認から3日で接種開始した新型コロナワクチン「コミナティ筋注」【下平博士のDIノート】第69回

特例承認から3日で接種開始した新型コロナワクチン「コミナティ筋注」今回は、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)ワクチン「コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)」(商品名:コミナティ筋注、製造販売元:ファイザー)」を紹介します。本剤は、わが国で初めて承認されたCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)に対するワクチンであり、2回の筋肉内注射で発症を予防することが期待されています。<効能・効果>本剤は、SARS-CoV-2による感染症の予防の適応で、2021年2月14日に特例承認されました。なお、本剤の予防効果の持続期間は確立していません。本剤(コミナティ筋注[1価:起源株])に加えて、2022年1月にコミナティ筋注5~11歳用、2022年9月にコミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)、2022年10月にコミナティ筋注6ヵ月~4歳用およびコミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)が承認されています。<用法・用量>日局生理食塩液1.8mLにて希釈し、1回0.3mLを合計2回、通常3週間の間隔で筋肉内に接種します。3回目・4回目接種による追加免疫の場合、前回の接種から少なくとも3ヵ月経過した後1回0.3mLを筋肉内に接種します。副反応が現れることがあるので、接種後は一定時間観察を行い、異常が認められた場合には適切な処置を行います。本剤の初回接種時にショック、アナフィラキシーが認められた被接種者に対しては、本剤2回目の接種を行わないこととされています。<薬剤調製時の注意>※抜粋本剤は-90~-60℃から-25~-15℃に移し、-25~-15℃で最長14日間保存できます。なお1回に限り、再度-90~-60℃に戻し保存することができます。冷蔵庫(2~8℃)で解凍する場合は、2~8℃で1ヵ月間保存することができます。希釈後の液は2~30℃で保存し、希釈後6時間以内に使用します。<安全性>海外第I/II/III相試験(C4591001試験)の第II/III相パート(プラセボ対照無作為化多施設共同試験)において、本剤接種群(2回接種後)の安全性評価対象3,758例で報告された主な副反応は、注射部位疼痛2,730例(72.6%)、疲労2,086例(55.5%)、頭痛1,732例(46.1%)、筋肉痛1,260例(33.5%)などでした。また、Grade3以上の有害事象が2%を超えたものは、疲労143例(3.8%)と頭痛76例(2.0%)でした。<患者さんへの指導例>1.ワクチンを接種することで新型コロナウイルスに対する免疫ができ、新型コロナウイルス感染症の発症を予防します。2.本剤の接種当日は激しい運動を避け、接種部位を清潔に保ってください。3.医師による問診、検温および診察の結果から、接種できるかどうかが判断されます。発熱している人などは、本剤の接種を受けることができません。4.合計2回を3週間の間隔で筋肉内に接種します。1回目の接種から3週間を超えた場合は、できる限り速やかに本剤の2回目の接種を受けてください。5.本剤の接種直後または接種後に、心因性反応を含む血管迷走神経反射として、失神が現れることがあります。接種後一定時間は接種施設で待機し、帰宅後もすぐに医師と連絡をとれるようにしておいてください。6.接種後は健康状態に留意し、接種部位の異常や体調の変化、高熱、痙攣など普段と違う症状がある場合には、速やかに医師の診察を受けてください。<Shimo's eyes>本剤は、わが国で初めて承認された新型コロナウイルス感染症の発症予防を目的とするワクチンであり、有効成分はSARS-CoV-2のスパイクタンパク質をコードするmRNA(トジナメラン)です。海外C4591001試験における新型コロナウイルス感染症発症予防効果および本剤2回目接種後2ヵ月時点の安全性のデータに基づいて、米国では2020年12月11日に緊急使用許可(EUA:Emergency Use Authorization)が出され、欧州では同月21日に条件付き販売承認がされています。2021年2月時点ですでに世界70ヵ国以上で接種が行われており、わが国でもようやく医療従事者など向けの優先接種が始まりました。なお、優先接種対象となる医療従事者には薬局薬剤師も含まれることが通知されています。プラセボ群と比較した本剤の発症予防効果は、前述の試験によると95%と報告されており、1回目の接種12日目以降から発症者が少なくなっています。また、試験後に発症し、重症化した10例のうち1例が本剤群、9例がプラセボ群であり、本剤を投与することで重症化を防ぐことができる可能性もあります。効果の持続期間や毎年の接種が必要かどうかについてはまだ十分な見解が得られていません。副反応で最も懸念されるのはアナフィラキシーなどのアレルギー反応です。アナフィラキシーは全身の複数臓器に症状が現れるものであり、アナフィラキシーショックはそのうち血圧低下や意識障害を伴い、場合によっては生命を脅かす危険な状態に至るものです。アナフィラキシーは、迅速かつ適切に対応すれば命に関わることはほとんどないと考えられるので、患者さんが用語を混同して過度に恐れている場合はきちんと説明しましょう。なお、接種後にアナフィラキシーが生じた人の多くは、過去に食品や薬、その他の種類のワクチン、蜂の刺傷などによるアレルギー反応やアナフィラキシーの既往歴がありました。本剤は添加物としてポリエチレングリコール(PEG)を含有しているため、PEGやポリソルベートに重度な過敏症の既往がある人は禁忌となっています。しばしばアレルギー源となる鶏卵やゼラチン(安定剤)、チメロサール(防腐剤)、ラテックス(容器)は使用されていません。わが国の治験は、日本人160例を対象に行われ、海外と同様に免疫を獲得しています。副反応の報告も海外データとの差はなく、重篤なものはありませんでした。しかし、本剤は特例承認されたものであり、製造販売後も引き続き情報を収集する必要があります。有害事象が認められた際は、必要に応じて予防接種法に基づく副反応疑い報告制度を利用しましょう。※2021年5月・11月、2022年4月・10月に添付文書改訂により修正を行いました。参考1)PMDA 添付文書 コミナティ筋注2)ファイザー新型コロナウイルスワクチン医療従事者専用サイト3)コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)(コミナティ筋注)の使用に当たっての留意事項について(厚労省)

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新型コロナ、未承認の検査キットに強い懸念/日医

 日本医師会・今村 聡副会長が、感染症法にかかる検査キットの販売について、25日の記者会見で言及した。政府が1日20万件程度まで拡充すると昨年8月に表明した国内のPCR検査体制については、厚労省のデータによると2月4日時点で約15万件まで拡充されている。一方、民間事業者による検査能力は1日7万件に上るとの報告がある。 今村氏は、「(民間事業者による検査が)公的検査の補完につながるという意見もあるが、それを達成するためには検査精度が維持され、十分な感染症予防策などの対応が重要だ」と慎重な姿勢を示した。民間事業者による検査も感染症法の協力要請対象となる 今村氏は、「感染症法第十六条の二(協力の要請等)によると、医療機関だけでなく民間事業者やその他感染症試験研究等機関に対しても、措置の実施に対する必要な協力を求めることができる」と説明し、「民間事業者には検査の意義を十分に認識した上で対応をお願いしたい」と述べた。 また、薬事承認されていない研究用の検査キットがインターネットやドラッグストアなどで販売されている事例を指摘し、「これらの検査キットが感染症法による規制の対象外になっていることは非常に大きな問題。(患者が)医療用の検査を受ける機会を逃すことで、適切な医療機関の受診や医師による届け出につながらない恐れもある」と強い懸念を表した。 同氏は、日本医師会による見解を示し、以下の4点を求めた。1.医療に供する、薬事承認された体外診断薬を販売するものに対しては、医療機関以外へ販売しないよう、厚生労働省による指導を徹底すべき2.感染症法の適用範囲については、薬事承認の有無を問わず、感染症に関連した検査用製品の販売まで適用対象を拡大すべき3.こうした法的な対応が取られるまでの間は、感染症法第16条の2の理念を踏まえ、感染症に係る研究資材を製造販売している企業は、販売先及び販売数を厚労省に対して報告を行う4.こうした製品を現に使用している者は、症状の有無、使用した結果にかかわらず医療機関に相談する 最後に、同氏は「感染症は一国ではなく世界全体の問題。すべての人々が適切な検査を受けて、検査から医療につながる仕組みの体制構築が必要である。日本医師会としても引き続き尽力し、多くの関係機関の協力をあおぐ」とまとめた。

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「COVID-19ワクチンに関する提言」、日本での安全性データ等追加/日本感染症学会

 2021年2月よりわが国でも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が始まった。これを受けて、日本感染症学会(理事長:東邦大学医学部教授 舘田 一博氏)は、2月26日に「COVID-19ワクチンに関する提言」(第2版)を同学会のホームぺージで発表、公開した。 第1版は2020年12月28日に発表され、ワクチンの開発状況、作用機序、有効性、安全性、国内での接種の方向性、接種での注意点などが提言されていた。今回は、第1版に新しい知見を加え、とくにワクチンの有効性(変異株も含む)、ワクチンの安全性などに大幅に加筆があり、筋肉内注射に関する注意点の項目が新しく追加された。【ワクチンの有効性】・COVID-19ワクチンの有効性の追加 ファイザーの臨床試験:55歳以下で95.6%、56歳以上で93.7%、65歳以上で94.7%の有効率。しかし、75歳以上では対象者数が十分でなく評価できていない。 モデルナの臨床試験:65歳未満で95.6%、65歳以上で86.4%の有効率。それ以上の年齢層では評価されていない。 アストラゼネカの臨床試験:接種群における70歳以上の割合は5.1%にすぎず評価不十分。 いずれのワクチンも、75歳を超える高齢者での有効性については今後の検討課題であり、接種群で基礎疾患のある人の割合は、ファイザーの臨床試験で20.9%、モデルナで27.2%、アストラゼネカで24.7%と比較的多く含まれているものの、それぞれの基礎疾患ごとの有効性の評価は十分ではなく、今後検討が必要としている。【「変異株」とワクチンの効果】 提言では「SARS-CoV-2の変異速度は24.7塩基変異/ゲノム/年とされており、2週間に約1回変異が起き、その変異によってウイルスのタンパク質を構成するアミノ酸に変化が起こることがある」とされ、「とくにスパイクタンパク質のACE2との結合部位近くのアミノ酸配列に変化が起きると、SARS-CoV-2の感染性(伝播性)やワクチンで誘導される抗体の中和作用に影響が出る」と述べている。 また、イギリス変異株について、「感染力(伝播力)が36%から75%上昇すると推定されているものの、ファイザーのワクチンで誘導される抗体による中和作用には若干の減少がみられるが、ワクチンの有効性には大きな影響はない」としている。 一方、南アフリカおよびブラジルの変異株は、「COVID-19回復期抗体の中和作用から回避する変異であることが報告され、ワクチンの有効性に影響が出ることが懸念されている」としている。【ワクチンの安全性】・海外の臨床試験における有害事象 海外の臨床試験では、「活動に支障が出る中等度以上の疼痛が、1回目接種後の約30%、2回目接種後の約15%に、日常生活を妨げる重度の疼痛が、1回目で0.7%、2回目で0.9%報告された」と紹介している。また、「この接種後の疼痛は接種数時間後から翌日にかけてみられるもので、1~2日間ほどで軽快。注射の際の痛みは軽微と思われる」と推定している。そして、海外での高齢者や基礎疾患を有する者への接種では、「現在のところ死亡につながるなどの重篤な有害事象は問題になっておらず、COVID-19に罹患して重症化するリスクに比べるとワクチンの副反応のリスクは小さいと考えられる」と考えを示している。・わが国での臨床試験における有害事象 ファイザーのCOVID-19ワクチン「コミナティ筋注」では、海外での臨床試験の結果と比べ、「局所の疼痛、疲労、頭痛、筋肉痛、関節痛はほぼ同等、悪寒の頻度がやや高くなっている。発熱は、37.5℃以上対象(国内定義/海外定義は38℃以上)で1回目が10%、2回目が16%と高い頻度だったが、発熱者のほぼ半数を37.5~37.9℃の発熱が占めているため、その割合は海外の結果と大きな違いはなかった」としている。・mRNAワクチンによるアナフィラキシー 1回目接種直後のアナフィラキシーの報告について、米国での当初の調査では、「100万接種あたりのアナフィラキシーの頻度が、ファイザーのワクチンで11.1、モデルナのワクチンで2.5と、すべてのワクチンでの1.31に比べて高くなっている。両ワクチンのアナフィラキシーに関する報告をまとめると、女性が94.5%を占め、アナフィラキシーの既往をもつ者の割合は38.7%、接種後15分以内に77.4%、30分以内に87.1%が発症している。その症状は、ほとんどが皮膚症状と呼吸器症状を伴うもので、アナフィラキシーショックを疑わせる血圧低下は1例のみだった。なお、その後の米国の調査で、アナフィラキシーの頻度は両ワクチン合わせて100万接種あたり4.5」と報告している。【国内での接種の方向性】 優先接種対象者として(1)医療従事者などへの接種、(2)65歳以上の高齢者、(3)高齢者以外で基礎疾患を有する者、および高齢者施設など(障害者施設などを含む)の従事者の順番で接種を進める予定と追記するとともに、妊婦については、「『妊婦および胎児・出生時への安全性』が確認されていないため、現時点では優先接種対象者には含まれていない。国内外の臨床試験において『妊婦などへの安全性』が一定の水準で確認された時点で再検討すべきと考えている」と方向性を示している。【筋肉内注射に関する注意点】・接種部位と接種方法 接種部位は上腕外側三角筋中央部で、成人では肩峰から約5cm(3横指)下にあたる。標準的には22~25G、長さ25mmの注射針で、皮膚面に90℃の角度で注射。なお「COVID-19ワクチンの臨床試験ではすべて三角筋外側中央部に接種されており、その他の部位への接種の有効性については検証されていないとし、臀部への接種は、坐骨神経損傷の可能性があることと皮下脂肪のために筋肉内に針が届かない懸念もあることから推奨されていない」としている。 そのほか「逆流を確認は不要」、「接種する腕は、利き手ではない側に接種することが望ましい」、「接種後は注射部位を揉む必要はない」などの具体的な接種方法が示されている。・接種時の感染対策 接種時の感染対策として「接種者は、マスクを着用するとともに、被接種者ごとに接種前後の消毒用アルコールによる手指衛生が必要」とし、「手袋を着用する場合は被接種者ごとに交換が必要であり、手袋着用前と脱いだ後に手指消毒が必須」としている。・接種後の発熱・疼痛に対する対応 接種後の発熱や疼痛に対し「アセトアミノフェンや非ステロイド性解熱鎮痛薬を使用することは可能。ただし、発熱・疼痛の出現する前にあらかじめ内服しておくことは望ましくない」としている。その理由として「解熱鎮痛薬の投与が免疫原性に影響を与える可能性があるため」と説明している。 提言では、ワクチンの有効性と安全性を評価したうえで、ワクチン接種を望む一方で、「ワクチン接種を受けることで安全が保証されるわけではなく、接種しても一部の人の発症、無症状病原体保有者として人に感染を広げる可能性があること」についても注意をうながし、COVID-19の蔓延状況が改善するまでは、マスク、手洗いなどの基本的な感染対策の維持を推奨している。

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事例021 未成年患者の心身医学療法の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説事例では、16歳の心身症の患者に 「I004 心身医学療法」を算定し、請求したところ、D事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)にて査定となりました。心身医学療法の項には、「心身症の患者に対して一定の治療計画に基づいて、診察とカウンセリングなどの心身医学療法に該当する療法を行った場合に算定でき、初診時には、医師自らが、診察と理学的所見の収集および心身医学療法を30分超えて行った場合に算定できる」とあります。事例のカルテを確認すると、20歳未満の患者に、家族も交えて指導が行われていました。算定要件に合致しているはずと再度レセプトを見直すと、傷病名欄に「心身症」としか記載されていません。算定留意事項の「4」には、レセプト傷病名欄において、「心身症による当該身体的傷病の傷病名の次に『(心身症)』と記載する」と記載されています。「胃潰瘍(心身症)」のように記入するとも例示されています。D事由査定の理由が判明し、電子カルテの写しを添えて、再審査請求をしましたが、原審通りに復活となりませんでした。電算レセプトの病名コードの入力誤りに気付かずに、そのまま請求してしまったことが原因でした。レセプトチェックシステムの設定を、心身医学療法が実施されていた場合、「心身症」のみの病名だとエラーとなるように設定を変更し、今後の査定防止対策としました。

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