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ドイツの救急医療【空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅】第25回

突然ですが、ドイツには救急専門医がいません。“Unfallchirurgie”と言って、整形外科をベースとした外傷外科チームは存在しますが、いわゆる北米型ERを専門としたDr.は存在しません。そのため地域によって救急医療のあり方はさまざまです。現在、私が住んでいるグライフスヴァルトでは大きな大学病院があって、救急症例はすべてそこで対処されます。建物の一角に申し訳程度の救急外来があって、ナースが初診をとって、トリアージします。その後、必要と思われる診療科の先生を呼んで対応する形式をとっています。救急車で搬送された患者は救急隊員のトリアージの下、それぞれの専門病棟に直接運ばれ、診療を受けることになります(病棟内に外来があります)。以前住んでいた地区には大きな総合病院がありませんでしたが、その中でも比較的大きな総合病院があって、「地域の開業医の先生が持ち回りで救急外来を回す」というシステムをとっていました。救急専門医がないのは、先述の“Unfallchirurgie”(外傷外科)の力が強いせいだと聞きましたが…実際のところはよくわかりません。ただ、救急認定医(?)のような制度は存在します。医師会が講習会を主催し、規定の時間をドクターヘリやドクターカーやらの業務に携わったりして、取得するそうです。ドイツのドクターヘリはフル活動ドイツではドクターヘリが数種類あって、それぞれ母体が違うようです。日本で言うところの日本自動車連盟(JAF)が飛ばしているヘリもあります。センター化が進んでいるドイツでは、自ずと患者の長距離移動が増えるため、ドクターヘリがガンガン飛んでいます。病院間搬送に使われることも多くて、夜間でも普通に飛びます。修正が迫られるドイツの救急医療ドイツでは医師免許取得後、いきなり専門研修に入ります。にも関わらず、専門医が救急症例の初診を行うことを求められることになります。昨年から、心臓外科専門医研修でも半年の救急ローテーションが必須になりました。おそらく医師会にも「救急医療を改善しなくてはいけない」という認識はあるようです。こうした現状では、救急の先生にとっては、ドイツで学ぶことはあまり多くないかも知れません…。

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第38回 新型コロナワクチン接種開始に向けた具体的なスケジュール

<先週の動き>1.新型コロナワクチン接種開始に向けた具体的なスケジュール2.医師免許のマイナンバーカード搭載、2024年度から運用開始3.処方箋も紙から電子へ、2022年夏までにシステムを構築4.特別措置法と感染症法改正、通常国会に向けた尾身分科会長の基本方針5.今季のインフルエンザ141例、過去5年で最小/JMIRI6.コロナウイルスの猛威、老人福祉・介護事業者を直撃1.新型コロナワクチン接種開始に向けた具体的なスケジュール厚生労働省は、各都道府県に対し、通知「医療従事者等への新型コロナウイルス感染症に係る予防接種を行う体制の構築について」を発出した。医療従事者へのワクチンは、一般の接種と同様に市町村が主体となり、契約を締結した医療機関などにおいて実施されることとなった。対象となる「医療従事者等」には、以下が含まれる見込みである。1)病院、診療所において、新型コロナウイルス感染症患者(疑い患者を含む、以下同様)に頻繁に接する機会のある医師、その他の職員。2)薬局において、新型コロナウイルス感染症患者に頻繁に接する機会のある薬剤師その他の職員(登録販売者を含む)。3)新型コロナウイルス感染症患者を搬送する救急隊員など、海上保安庁職員、自衛隊職員。4)自治体などの新型コロナウイルス感染症対策業務において、新型コロナウイルス感染症患者に頻繁に接する業務を行う者。なお、(1)(2)は医療関係団体が、(3)(4)は都道府県が取りまとめを行う。接種場所については、全国で1,500施設に2月末までにディープフリーザーを配置するとされ、その配置先を「基本型接種施設」として接種を実施するほか、近隣に所在し、当該施設から冷蔵でワクチンの移送を受ける「連携型接種施設」において接種を実施することとなる。在庫管理などには、ワクチン接種円滑化システム(V-SYS)が用いられる。接種開始に向けた具体的な作業期限も1月末~2月上旬に定められ、各自治体や医師会、歯科医師会、薬剤師会、病院団体など地域の医療関係団体は体制整備を急ぐ必要がある。(参考)医療従事者等への新型コロナウイルス感染症に係る予防接種を行う体制の構築について(健健発0108第1号 令和3年1月8日)(厚労省)「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に係る手引き(初版)」(同)ワクチン接種、全国1万か所拠点に…氷点下75度の超低温冷凍庫を配備(読売新聞)2.医師免許のマイナンバーカード搭載、2024年度から運用開始厚労省は「社会保障に係る資格におけるマイナンバー制度利活用に関する検討会」の報告書を公表した。社会保障に係る31資格におけるマイナンバー制度の利活用に関して、届出の簡素化およびオンライン化、マイナポータルを活用した資格保有の証明、提示、人材活用などについてこれまでの議論をまとめている。今後、新規資格取得者については、各資格団体や事業者団体の協力を得て、免許証など申請書の提出時にマイナンバーの提供を求める呼び掛けが行われることになる。なお、実際の運用はデジタル・ガバメント実行計画に基づいて、2024年度に開始される見込み。(参考)「社会保障に係る資格におけるマイナンバー制度利活用に関する検討会 報告書」を公表します(厚労省)医師免許もマイナンバーカードに デジタル改革関連6法案の全容判明(産経新聞)3.処方箋も紙から電子へ、2022年夏までにシステム構築1月13日に開催された、第139回社会保障審議会医療保険部会において、電子処方箋の仕組みの構築について討論された。電子処方箋については、現在、導入を進めているオンライン資格確認の基盤を活用して2022年夏頃を目処に構築する。これにより、待ち時間の短縮や直近の処方・調剤情報の参照、重複投薬防止などメリットが期待される。運営主体は社会保険診療報酬支払基金および国民健康保険中央会があたり、すべての機能が稼働する2023年度でおよそ9.8億円の運用費用が見込まれている。一方、医療機関・薬局におけるオンライン資格確認の普及状況は、顔認証付きカードリーダー申し込み数が22万8,321施設中4万8,866施設(21.4%)であり、病院が29.4%に対して、医科診療所は14.5%と、クリニックなどで申請が遅れていることが明らかとなった。なお、公的医療機関などにおける申込率は、国立病院機構97.1%、労働者健康安全機構100%、JCHO98.2%と対照的であった。これに対して、周知が不十分であることや、マイナンバーカードの普及率が伸び悩んでいる現状での様子見、新型コロナウイルス感染症の影響もあるとし、追加的な財政支援策を周知するために、全医療機関などに対してリーフレットを再送付するなど働きかけを実施する予定。(参考)電子処方箋の仕組みの構築について(厚労省)オンライン資格確認導入に向けた準備作業の手引き(医療機関・薬局の方々へ)(同)4.特別措置法と感染症法改正、通常国会に向けた尾身分科会長の基本方針18日に召集される通常国会で、政府は、新型コロナウイルス対策の実効性を高めるための特別措置法や感染症法の改正案を提出する見通しとなっている。これに先立ち、15日の新型コロナウイルス感染症対策分科会で、尾身分科会長から提言について基本方針が示された。コロナウイルス患者の急増に対して、直ちに取り組むべき課題として、基本原則の維持を大前提としつつ、特別措置法は、都道府県知事からの要請にも十分な協力を得られるように早期に結論を出すことなどを求めた。感染症法でも、医療提供体制に関して、病床確保や入院調整については都道府県が総合調整の役割を果たすべきであり、入院の総合調整は都道府県の役割であることを法律上明確にするほか、クラスター発生時の人材派遣のあり方についてもより効率的・効果的な仕組みを検討する必要があるとした。(参考)新型インフルエンザ等対策特別措置法及び感染症法の改正に関しての基本的な考え(案)(尾身分科会長 提出資料)政府 通常国会にコロナ特別措置法改正案など63法案提出へ(NHK)5.今季のインフルエンザ141例、過去5年で最小/JMIRI今シーズンのインフルエンザの患者数は202年12月時点で2019年12月と比較して338分の1の141例と、過去5年で最小であることが明らかとなった。調剤薬局の処方データを元に処方箋データベースを運用、解析している医療情報総合研究所(通称JMIRI)が14日に発表した調査結果によると、とくに10歳未満のインフルエンザ患者数が激減していることからも、手洗いうがいなどの推奨により、保育園や幼稚園などで感染拡大が抑えられていることがわかる。例年インフルエンザは1~2月にかけて感染のピークを迎えるため、引き続き注意が必要であるが、コロナウイルス感染対策によって、この傾向が続くと見られる。(参考)インフルエンザ患者数は前年同月比 338 分の1 未成年、特に10歳未満のインフルエンザ患者数が大幅に減少~JMIRI 処方情報データベースにおける調査より~(医療情報総合研究所)20年12月 インフルエンザの流行みられず 患者数、直近5年間平均の169分の1 JMIRI調べ(ミクスオンライン)6.老人福祉・介護事業者の倒産件数、2000年以降最多2020年の老人福祉・介護事業の倒産件数が118件と、2000年の介護保険法施行以降で過去最多であることが明らかとなった。新型コロナウイルス感染拡大で、サービス利用者が減少し、さらに人手不足などによる経営状況の悪化が引き金となったとみられる。業種別では、「訪問介護事業」が56件と半数近く、負債総額はほとんどが1億円未満であり、経営基盤が脆弱なところが多かった。厚労省は2021年度の介護報酬を0.7%引き上げ、介護サービス事業者の経営を支援する方針だが、今年に入ってもコロナウイルス感染拡大が続き、経営の見通しは決して明るくない。今後、介護サービス提供の現場では、さらなる支援を求める声が上がると思われる。(参考)2020年「老人福祉・介護事業」の倒産状況(東京商工リサーチ)東京商工リサーチ、2020年「老人福祉・介護事業」の倒産状況調査結果を発表(日経新聞)

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ソボッタ解剖学アトラス 原書24版 第1巻 全身解剖・筋骨格系―電子書籍付

あの「ソボッタ」が帰ってきた!解剖学の世界的古典、『ソボッタ解剖学アトラス』が再び日本に戻ってきました。世界数十ヵ国で翻訳され、発行累計も数十万部。世界中の学生が今も昔も解剖学といえば「Sobotta  Atlas of Anatomy」で学ぶなか、今回はさらなるパワフルコンテンツ「e-Sobotta」も加わり、精緻な解剖図譜は自在に活用できます。日本語版の電子書籍付きです。この1冊で、紙も電子もオンラインも楽しめる仕様です。第2巻:体幹(内臓系)は2021年秋頃、第3巻:頭頸部・神経系は2021年、年末頃の刊行予定です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    ソボッタ解剖学アトラス 原書24版 第1巻 全身解剖・筋骨格系―電子書籍付定価8,500円 + 税判型A4変形判頁数552頁発行2021年1月訳者山田 重人原著者Friedrich Paulsen, Jens Waschke

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住宅の断熱改修で居住者の入院率低下/BMJ

 住宅を改修し断熱を高めることで入院が減少し、その効果は呼吸器疾患に関してより顕著であることが明らかにされた。ニュージーランド・オタゴ大学ウェリントン校のCaroline Fyfe氏らが、住宅の断熱改修が感冒に関連する入院率を低下させるかを調査する目的で行った、国の改修補助プログラムの評価に関するデータを用いた準実験的後ろ向きコホート研究の結果を報告した。冬季の超過死亡および罹患は、寒冷な気候の国よりも比較的温暖な気候の国のほうが高いことが多い。この矛盾は、温暖な国では住宅の熱効率が悪く室温が低くなりやすく、湿気やカビが生じやすい環境を作り出していることと関連しているとされる。一方、これまで複数の介入研究で、熱効率を改善することにより、感冒関連疾患の症状が改善することが示されていた。BMJ誌2020年12月29日号掲載の報告。国の補助で断熱改修を行った住宅居住者について調査 研究グループは、ニュージーランドのエネルギー効率局が2009年7月~2014年6月に実施した「Warm-up New Zealand:Heat Smart(WUNZ)」プログラムを利用して断熱改修の補助金を受けた20万4,405戸の住人99万4,317人を対象に、改修前後の入院件数の変化を後ろ向きに解析した。 2009年7月1日~2011年12月31日の間にWUNZプログラムで断熱改修を行った住宅に、改修前3年間(ベースライン)と、改修後3年間または2014年7月まで(追跡期間)居住した住民を介入群(46万4,614人)とした。また、2012年1月1日~2014年6月30日の間に、WUNZプログラムで断熱改修を行った住宅の居住者を対照群(52万9,703人)とし、対照群では改修前3年間を追跡期間、さらにその3年前をベースライン(介入群のベースラインと同時期とする)とした。 主要評価項目は、差分法を用いて比較した介入群と対照群における改修前後(ベースラインと追跡期間)の入院件数の変化であった。とくに呼吸器疾患や喘息、高齢者の虚血性心疾患で入院が減少 2006年7月~2014年6月の期間における全体での入院件数(解析対象)は23万4,873件であった。 検討では、調査対象集団の民族的背景(マオリ、太平洋民族、欧州系、その他)も考慮した分析が行われた。介入群は対照群と比べて、マオリ、太平洋民族が占める割合が低かった。 改修後の入院率は、太平洋民族の急性入院(率比[RR]:0.94、95%信頼区間[CI]:0.90~0.98)、喘息(RR:0.92、95%CI:0.86~0.99)、心血管疾患(RR:0.90、95%CI:0.88~0.93)、および>65歳の虚血性心疾患(RR:0.79、95%CI:0.74~0.84)を除き、介入群および対照群ともに上昇した。 ただし上昇率は、対照群と比較して介入群で11%有意に低く(相対率比[RRR]:0.89、95%CI:0.88~0.90)、介入群では入院件数が1,000人当たり9.26(95%CI:9.05~9.47)減少していた。この効果は、呼吸器疾患(RRR:0.85、95%CI:0.81~0.90)、全年齢群の喘息(RRR:0.80、95%CI:0.70~0.90)、および>65歳の虚血性心疾患(RRR:0.75、95%CI:0.66~0.83)で、より顕著であった。

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肺がん放射線、左前下行枝照射量と心臓有害事象の関係/JAMA Oncol

 放射線療法が冠動脈疾患(CHD)のリスクを高めることは知られているが、胸部への照射が避けられない肺がんではどうすべきか。米国・ダナ・ファーバーがん研究所およびブリガム&ウィメンズ病院のKatelyn M. Atkins氏らは、最適な心臓線量の制限がCHDの既往の有無で異なる可能性があることを明らかにした。著者は、「心臓リスクの層別化と積極的なリスク軽減戦略を改善するために、今回示された制限についてさらなる研究が必要である」とまとめている。JAMA Oncology誌オンライン版2020年12月17日号掲載の報告。 研究グループは、2003年12月1日~2014年1月27日に、ハーバード大学の関連病院で胸部放射線療法を受けた局所進行非小細胞肺がん患者701例を対象に、後ろ向きコホート研究を実施した。データの解析は、2019年1月12日~2020年7月22日に行われた。 心臓構造は手動で描写し、放射線療法の線量パラメータ(平均値、最大値、5Gy刻みで特定線量を受ける体積[V、%])を計算し、MACE(不安定狭心症、心不全による入院または救急受診、心筋梗塞、冠動脈血行再建術および心臓死)を推算し、ROC曲線およびカットポイント分析を行った。CHDの既往の有無およびその他の予後因子について、Fine-GrayおよびCox回帰分析により補正を行った。主要評価項目は、MACEおよび全死因死亡であった。 主な結果は以下のとおり。・患者背景は、701例中356例(50.8%)が男性、年齢中央値が65歳であった。・構造別の放射線療法の線量の最適なカットポイント(C-index最高値)は、左前下行枝(LAD)冠動脈がV15Gy 10%以上(0.64)、左回旋枝がV15Gy 14%以上(0.64)、左心室がV15Gy 1%以上(0.64)で、冠動脈への総線量平均値は7Gy以上(0.62)であった。・ベースラインのCHDの状態およびその他の予後因子について調整すると、LADのV15Gy 10%以上照射が、MACE(補正後ハザード比[HR]:13.90、95%信頼区間[CI]:1.23~157.21、p=0.03)、および全死因死亡(1.58、1.09~2.29、p=0.02)のリスク増大と関連していた。・CHDなしの患者では、LAD V15Gy 10%以上(4.9% vs.0%)、左回旋枝V15Gy 14%以上(5.2% vs.0.7%)、左心室V15Gy 1%以上(5.0% vs.0.4%)、および冠動脈への総線量平均値7Gy以上(4.8% vs.0%)は、1年MACEの増加と関連していた(すべてのp≦0.001)。・一方、CHDありの患者では、左心室V15Gy 1%以上(8.4% vs 4.1%、p=0.046)のみで1年MACEのリスクが増加した。・CHDなしの患者では、LAD V15Gy 10%以上照射(51.2% vs.42.2%、p=0.009)、および冠動脈への総線量平均値7Gy以上照射(53.2% vs.40.0%、p=0.01)において、2年全死因死亡率が増大した。

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COPD急性増悪、入院患者の約6%が肺塞栓症/JAMA

 呼吸器症状の急性増悪で入院した慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、あらかじめ定めた診断アルゴリズムを用いると、5.9%の患者に肺塞栓症が検出された。フランス・Centre Hospitalo-Universitaire de BrestのFrancis Couturaud氏らが、同国内の病院7施設で実施した前向き多施設共同横断研究「prevalence of symptomatic Pulmonary Embolism in Patients With an Acute Exacerbation of Chronic Obstructive Pulmonary Disease study:PEP研究」の結果を報告した。COPDで呼吸器症状が急性増悪した患者における肺塞栓症の有病率はこれまで明らかになっておらず、COPDの急性増悪で入院した患者に対していつどのように肺塞栓症のスクリーニングをするかが課題であった。JAMA誌2021年1月5日号掲載の報告。COPD急性増悪による入院患者を肺塞栓症診断アルゴリズムで評価 研究グループは、2014年1月~2017年5月の間に呼吸器症状の急性増悪のため入院したCOPD患者を対象に、あらかじめ定めた肺塞栓症診断アルゴリズム(改訂ジュネーブスコアによる検査前確率判定、Dダイマー検査、スパイラルCT肺血管造影+下肢圧迫超音波検査)を入院48時間以内に適用し、3ヵ月間追跡調査した(追跡調査最終日は2017年8月22日)。 主要評価項目は、入院48時間以内に診断された肺塞栓症であった。主な副次評価項目は、入院時に静脈血栓塞栓症を有していないとして抗凝固療法を受けなかった患者における3ヵ月間の肺塞栓症とした。その他の評価項目は、入院時および3ヵ月間の静脈血栓塞栓症(肺塞栓症または深部静脈血栓症)、ならびに3ヵ月間の死亡(静脈血栓塞栓症が臨床的に疑われるかどうかにかかわらない)とした。COPD急性増悪で入院後、2日以内に約6%で肺塞栓症が確認 COPD急性増悪のため入院した患者の計740例(平均[±SD]年齢68.2±10.9歳、女性274例[37.0%])が登録された。このうち、入院48時間以内に肺塞栓症が確認されたのは44例(5.9%、95%信頼区間[CI]:4.5~7.9%)であった。 COPD急性増悪による入院時に静脈血栓塞栓症を有していないと判定され抗凝固療法を受けなかった患者670例において、3ヵ月間の追跡期間中に肺塞栓症が確認されたのは5例(0.7%、95%CI:0.3~1.7%)で、このうち3例は肺塞栓症に関連して死亡した。 全例における3ヵ月死亡率は、6.8%であった(50/740例、95%CI:5.2~8.8%)。追跡期間中に死亡した患者の割合は、入院時静脈血栓塞栓症有病者が非有病者と比較して高かった(25.9%[14/54例]vs.5.2%[36/686例]、リスク差:20.7%、95%CI:10.7~33.8%、p<0.001)。 静脈血栓塞栓症の有病率は、肺塞栓症が疑われた患者(299例)で11.7%(95%CI:8.6~15.9%)、肺塞栓症が疑われなかった患者(441例)で4.3%(95%CI:2.8~6.6%)であった。 著者は、研究の限界として、呼吸器症状の急性増悪が軽度であった患者や重度呼吸不全患者は過小評価されている可能性があること、17.6%の患者は肺塞栓症の初回評価を完遂できていないことなどを挙げたうえで、「COPD患者における肺塞栓症の体系的なスクリーニングが果たしうる役割について、さらなる研究により理解する必要がある」とまとめている。

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極論で語る神経内科 第2版

大胆なモデルチェンジ、パワーアップした河合節、これができるのは「極論」だけ!神経内科といえば、変性疾患ばかり扱うみたいなイメージがありませんか? ですが本来、神経内科の守備範囲は広く、「認知症」「脳血管障害」「頭痛」「脊髄疾患」「末梢神経障害」などのコモンな疾患の知識も必要とされます。また、古典的な神経内科疾患にも新知見や治療法がどんどん加わっています。さらに「めまい」や「睡眠」といったコモンな症候もカバーします。そんな新しい神経内科の軸を踏まえた「極論」らしい大改訂となりました。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    極論で語る神経内科 第2版定価3,500円 + 税判型A5判、並製頁数208頁発行2021年1月著者河合 真監修者香坂 俊

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母の子宮頸がん細胞が子に移行、国立がん研究センターが発表/NEJM

 国立がん研究センター中央病院の荒川 歩氏らは、小児の肺がん2例について、腫瘍組織と正常組織のペアサンプルを用いたルーチン次世代シークエンスで偶然にも、肺がん発症は子宮頸がんの母子移行が原因であることを特定したと発表した。移行したがん細胞の存在は同種の免疫応答によって示され、1例目(生後23ヵ月・男児)では病変の自然退縮が、2例目(6歳・男児)では腫瘍の成長速度が遅いことがみられたという。また、1例目は、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブを投与することで、残存するがん細胞の消失に結び付いたことも報告された。腫瘍組織と正常組織のペアサンプルを用いたルーチン次世代シークエンスは、わが国の進行がん患者を対象とした前向き遺伝子プロファイリング試験「TOP-GEAR」の一環として行われた解析で、114のがん関連遺伝子の変異を検出することを目的とする。1例目の患児に対するニボルマブ(3mg/kg体重を2週ごと)投与は、再発または難治固形がんを有する日本人患児を対象としたニボルマブの第I相試験で行われたものであった。症例の詳細は、NEJM誌2021年1月7日号で報告されている。HPVワクチン未接種の母親から生まれ、生後23ヵ月で肺がんを発症 1例目(生後23ヵ月・男児)は、湿性咳嗽が2週間続き地元の病院を受診。CTにて両肺気管支に散在する複数の腫瘍が確認され、VATS肺生検で限局性の腺分化を伴う肺神経内分泌がんであることが確認された。 母親は35歳でHPVワクチン未接種。出産前7ヵ月に行った子宮頸がん検査では陰性だったが、妊娠39週で経膣分娩、3ヵ月後に子宮頸部扁平上皮がんの診断を受けた。当時は組織学的特徴が一致せず、出生児へのがんの移行は疑われなかったが、両親の懸念に応じて頻繁にフォローアップを実施。ただし治療は行われなかった。 生後23ヵ月時に肺神経内分泌がん診断後1年で病勢が進行。3歳時に研究グループの病院に紹介され入院加療を受けた。驚くべきことに、その時点で病変の自然退縮が認められたという。残存病変は化学療法で一部は退縮したが、その他は進行。ニボルマブの第I相試験に組み込まれ、4サイクル投与後、病変の退縮を確認。用量を低減し計14サイクルを投与して7ヵ月間、新たな病変は認められなかった。その後、肺葉切除術を受け、12ヵ月時点で再発のエビデンスはみられていない。 一方、母親は最終治療(放射線+化学療法)から3年間で、肺・肝臓・骨転移がみられた。そして肺腫瘍の組織学的検査で、男児の肺と非常に類似した所見が認められたという。 その後、母子別々に行われた次世代シークエンスで、それぞれの腫瘍組織に複数の同じ遺伝子変異が存在することが確認され、またサンガーシークエンスで、両者の腫瘍組織がタイプ18のHPV陽性であることも認められた。子宮頸がんの母親から生まれた男児、6歳時に肺がんを発症 2例目(6歳・男児)は、左胸部疼痛で地元の病院を受診。左肺に6cmの腫瘤を認め粘液性腺がんと診断された。男児は化学療法を受けたが再発。左肺を全摘し15ヵ月のフォローアップ時点で再発は認められていない。 母親は、妊娠中に子宮頸がんが検出されたが、細胞診は陰性で、介入不要のがん細胞の安定化が認められたことから、妊娠38週で経膣分娩した。出産後、生検で子宮頸部の腺がんが判明し、分娩3ヵ月後に研究グループの病院に紹介され子宮および両側卵管の全摘手術を受けたが、術後2年後に死亡に至っている。 6歳時に男児が肺がんと診断された際、がんの母子感染は疑われなかったが、母親の子宮頸がん組織と男児の肺がん組織を用いた次世代シークエンスで同様の遺伝子プロファイルが認められ、また、タイプ16のHPV陽性であることも認められた。 なお、次世代シークエンスで、ほかにも母子移行が認められたケースはあったが、研究グループは、この2つのケースでは肺にのみがん細胞が観察されたことに着目。「母親のがん細胞は、羊水、分泌物、または子宮頸部からの血液に存在し、経膣分娩時に新生児が吸引した可能性がある」と指摘。子宮頸がんの母親には帝王切開を推奨する必要があることを提言している。

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「3代で財産がなくなる」を避けよ!目からウロコの相続税対策【医師のためのお金の話】第40回

医師の方の多くは、一生のうち一度は相続税で悩むのではないでしょうか。日本の相続税制は過酷で、「3代で財産がなくなる」とまでいわれています。とくに不動産がメインの資産家は、よほど注意しておかないと孫の代には資産がほとんどなくなってしまった、ということになりかねません。相続税対策は付け焼き刃で行うことは難しく、長い年月をかけてじっくりと取り組む必要があります。今回は、比較的若い世代の医師のために、相続税対策をお話ししたいと思います。相続税対策の基本は「暦年贈与」相続税対策の方法はたくさんありますが、最も一般的なのは暦年贈与でしょう。暦年贈与とは、「毎年110万円までは贈与税がかからない」という基礎控除を利用した相続税対策です。毎年111~120万円の暦年贈与を10年間実行したとすると、わずかな税金で1,100万円以上もの資産を贈与することができます。このように、暦年贈与は相続税対策の基本なのです。暦年贈与をするためには、押さえておくべきポイントがあります。それは、「毎年、基礎控除の110万円をわずかに上回る金額を贈与して贈与税申告をする」ことです。わざわざ毎年贈与税申告をする目的は、「定期贈与に見なされることを避けるため」です。定期贈与とは、一定期間に一定の金額を贈与することです。定期贈与と見なされると、贈与の開始時にすべての金額を贈与する意思があったと見なされて、最大55%もの贈与税がかかってしまいます。これでは相続税よりさらに高額な贈与税を支払うことになりかねません。恐ろしい話ですね…。株式贈与で配当の複利効果を狙おう定期贈与と見なされないように、きっちり暦年贈与を続けることで第一段階はクリアです。しかし、このまま銀行に現金を眠らせておいても、超低金利の時代なのでほとんど増えません。暦年贈与は相続税対策の基本ですが、単に現金を銀行口座に放置しているのは、効率が悪いと言わざるを得ません。このため、現金贈与以外の手段も考える必要があります。ここでは株式と不動産について考えてみましょう。まず株式ですが、親の証券口座で購入した株式を、子供の証券口座に移管する方法がメジャーです。贈与した現金を子供の証券口座に入金して株式を購入する方法もありますが、税務署から名義預金と見なされるリスクがあるのでお勧めできません。子供に贈与する株式として最も有用なのは、安定的かつ配当利回りの高い銘柄でしょう。代表的なものは、J-REITやインフラ系の株式です。購入時期によっては5%を超える利回りを見込めることもあるので、配当金だけで毎年かなりの金額のお金が入ってくることになります。ある程度の配当金が貯まったら株式に再投資しましょう。このように高利回りの株式を保有し続けるだけで、単に現金を贈与するよりも大きな資産を子供に贈ることができるのです。不動産では賃料の複利効果が絶大それでは不動産はどうでしょうか? 不動産は価格が高いので、贈与といってもぴんとこないと思います。しかし、私としては実際のところ、子供への贈与に適した不動産は、価格が500万円以内の築古木造戸建だと考えています。改装費用を含めて総額500万円で取得した築古木造戸建であれば、10~20万円程度の贈与税だけで済む場合が多いです。そして築古木造戸建を贈与すると毎月のように賃料が入ります。たとえば、賃料5万円のボロい築古木造戸建であってもバカにはできません。何もしなくても1年で60万円の賃料が振り込まれ、2戸贈与すれば年間120万円の賃料収入が発生します。暦年贈与しているのと同じ金額が毎年振り込まれるため、すごい勢いで現金が積み上がっていきます。このように、現金を暦年贈与で110万円ずつ贈与することと比べて、何年かに一度だけであっても、築古木造戸建を贈与することのインパクトの大きさが理解できると思います。しかし、不動産の贈与には1つだけ問題点があります。それは子供の賃料収入が多くなり過ぎると、社会保険が扶養から外れてしまうことです。2戸以上贈与すると引っ掛かる可能性があるので注意しましょう。現金をベースに得意なジャンルで贈与しようここまで現金、株式、不動産について考えてきましたが、子供に移転できる資産の量としては不動産が最も大きいでしょう。しかし、扱いやすさという点では現金や株式に軍配が上がり、一長一短といえます。そして、株式や不動産を贈与するためには、投資の目利き力が必要です。株式と不動産の両方に精通している人は少ないので、現金の暦年贈与をベースにして、後は自分の得意なほうを中心に贈与すればよいでしょう。

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子供の鼻詰まりが誤診の原因に!?正しい鼻のかみ方を伝えよう【堀美智子のハートに効くラヂオ】第4回

動画解説今回、堀先生が実体験を元に、正しい鼻のかみ方ポイントを3つ教えます。鼻詰まり起因の症状が、違う疾患と勘違いされる例や、別の疾患につながる例もあります。たかが鼻水、されど鼻水。正しい対策を伝えましょう。

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COVID-19外来患者、中和抗体カクテルでウイルス量低減/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の中和抗体カクテル「REGN-COV2」は、ウイルス量を低減する効果があることが示された。免疫反応が起きる前の患者、あるいはベースラインのウイルス量が高い患者でより大きな効果が認められ、安全性アウトカムは、REGN-COV2投与群とプラセボ投与群で類似していたという。米国・Regeneron PharmaceuticalsのDavid M. Weinreich氏らが、COVID-19外来患者を対象とした進行中の第I~III相臨床試験の中間解析の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2020年12月17日号掲載の報告。多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照で、ウイルス量の変化を評価 COVID-19の合併症や死亡は、高ウイルス量に関連している可能性が示唆されている。REGN-COV2はウイルス負荷を減らす治療アプローチとして開発が進められている抗体カクテルで、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)スパイクタンパク質の受容体結合ドメインをターゲットとする2つの非競合の中和ヒトIgG1抗体から成り、ウイルスがACE2受容体を介してヒトの細胞へ侵入するのを阻止する。“カクテル”のアプローチは、呼吸器合胞体ウイルスへの単一抗体投与で治療抵抗性変異ウイルスの出現を経験したことによるもので、REGN-COV2の前臨床試験では、変異ウイルスの急速出現は回避されたことが確認されている。 第I~III相試験は多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照にて、COVID-19外来患者を対象にREGN-COV2の有効性と安全性の評価などを目的として現在も進行中である。 被験者は、無作為に1対1対1の割合で3群に割り付けられ、それぞれプラセボ、REGN-COV2 2.4g、同8.0gの投与を受けた。また、SARS-CoV-2に対する内因性免疫反応(血清抗体陽性または同陰性)について、ベースラインで前向きに特徴付けがされた。 キーエンドポイントは、ベースラインから1~7日目までのウイルス量の時間加重平均変化、29日目までに1回以上COVID-19関連で受診した患者の割合などであった。安全性は、全被験者を対象に評価した。ベースライン血清抗体陰性群で-0.56 log10/mL、全試験集団で-0.41 log10/mL 今回の中間解析は、第I~II相試験中に登録された275例(REGN-COV2 2.4g群92例、同8.0g群90例、プラセボ群93例)について、2020年9月4日時点で評価したものである。 ベースラインから1~7日目までのウイルス量の時間加重平均変化の最小二乗平均差は、ベースライン血清抗体陰性群で-0.56 log10/mL(95%信頼区間[CI]:-1.02~-0.11)、全試験集団で-0.41 log10/mL(95%CI:-0.71~-0.10)であった。 全試験集団で、1回以上COVID-19関連で受診した患者の割合は、プラセボ群6%、REGN-COV2投与統合群3%であった。ベースライン血清抗体陰性群では、プラセボ群15%、REGN-COV2投与統合群6%であった(群間差:-9ポイント、95%CI:-29~11)。 過敏反応、輸液関連反応、その他有害事象の発現頻度は、REGN-COV2投与統合群とプラセボ群で同程度であった。

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人工呼吸器未装着COVID-19入院患者、トシリズマブで重症化を抑制/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)肺炎入院患者(人工呼吸器は未装着)において、トシリズマブは人工呼吸器装着または死亡の複合アウトカムへの進行を減らす可能性が示されたが、生存率は改善しなかった。また、新たな安全性シグナルは確認されなかった。米国・マウントサイナイ医科大学のCarlos Salama氏らが389例を対象に行った無作為化試験の結果で、NEJM誌2021年1月7日号で発表された。COVID-19肺炎ではしばしば強い炎症状態が認められる。COVID-19の発生率には、十分な医療サービスが受けられない人種および民族のマイノリティ集団における不均衡がみられるが、これらの集団のCOVID-19肺炎入院患者について、IL-6受容体モノクローナル抗体トシリズマブの安全性と有効性は確認されていなかった。高リスク・マイノリティ対象に、安全性と有効性をプラセボ対照無作為化試験で評価 研究グループは、COVID-19肺炎で入院する人工呼吸器未装着の患者を対象に、トシリズマブの安全性と有効性を評価する無作為化試験を行った。 患者を2対1の割合で、標準治療に加えてトシリズマブ(8mg/kg体重を静脈内投与)またはプラセボのいずれかを1回または2回投与する群に、無作為に割り付け追跡評価した。主要アウトカムは、28日目までの人工呼吸器装着または死亡であった。 試験地の選択では、高リスクおよびマイノリティ集団が登録されるように注意が払われた。28日目までの人工呼吸器装着または死亡、トシリズマブ群12.0%、プラセボ群19.3% 389例が無作為化を受け、修正intention-to-treat集団にはトシリズマブ群249例、プラセボ群128例が含まれた。56.0%がヒスパニックまたはラテン系で、14.9%が黒人、12.7%がネイティブ・アメリカンまたはアラスカ・ネイティブ、12.7%が非ヒスパニック系白人、3.7%がその他または人種/民族不明であった。 28日目までの人工呼吸器装着または死亡患者の累積割合は、トシリズマブ群12.0%(95%信頼区間[CI]:8.5~16.9)、プラセボ群19.3%(13.3~27.4)であった(人工呼吸器装着または死亡のハザード比[HR]:0.56、95%CI:0.33~0.97、log-rank検定のp=0.04)。 time-to-event解析で評価した臨床的失敗は、プラセボ群よりもトシリズマブ群で良好であった(HR:0.55、95%CI:0.33~0.93)。 一方で28日目までの全死因死亡の発生は、トシリズマブ群10.4%、プラセボ群8.6%であった(加重群間差:2.0ポイント、95%CI:-5.2~7.8)。 安全性評価集団における重篤な有害事象の発生率は、トシリズマブ群15.2%(38/250例)、プラセボ群19.7%(25/127例)であった。

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6歳未満の乳幼児の調剤報酬上乗せ 要件は「とくに必要な感染予防策」【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第60回

年末から春は処方箋が増える時期ですが、新型コロナウイルス感染症によって昨年の同時期よりも少ないという薬局も多いと思います。実際、私が携わっている薬局は、小児科や外科からの処方箋が明らかに減っているという感覚があります。この状況は暖かくなる春ごろまで続く可能性もあるので、医療が必要な人が適切に治療を受けられているのかという問題だけでなく、薬局の経営や存続にも関わってきます。これに伴い、薬局を対象にした経済的な支援として、6歳未満の乳幼児の調剤報酬が上乗せされることになりました。厚生労働省は2020年12月15日、受診控えで小児科の患者が減って経営が悪化していることを背景に、事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その31)」を発出しました。これにより、新型コロナウイルス感染症が拡大している間は、6歳未満の乳幼児の処方箋受付の場合は12点を算定することができます。なお、保険医療機関の医科の場合は100点、歯科の場合は55点が算定できます。いずれも小児の外来診療などにおいて「とくに必要な感染予防策」を講じたうえで、保護者の同意を得ることが条件です。その「とくに必要な感染予防策」とは、以下のようなものです(同通知より一部改変)。COVID-19に特徴的な症状はなく、小児では出現しても訴えとして現れることが期待できないことから、1人の患者ごとに手指消毒を実施する。流行状況を踏まえ、家庭内・保育所内などに感染徴候のある人がいたか、いなかったのかを確実に把握する。環境消毒については、手指の高頻度接触面といわれるドアノブ・手すり・椅子・スイッチ・タッチパネル・マウス・キーボードなどは定期的に70~95%アルコールか0.05%次亜塩素酸ナトリウムを用いて清拭消毒し、とくに小児が触れる可能性が高い場所は重点的に行う。これらに関しては、オンライン診療・服薬指導では対象となりません。明確な基準による許可などがないため、加算を算定する場合は薬歴に記載するなど記録を残せばよいと思われます。現時点では、この加算は2020年度中(2021年2月診療分)までの措置とされており、それ以降は別途検討されます。これまで小児の感染者数はそれほど多くはありませんでしたが、英国で発見された新型コロナ変異株は子供にも感染しやすい可能性が示唆されています。新型コロナに特徴的とされている味覚・嗅覚異常は、6歳未満の乳幼児が訴えるのは難しいため、より慎重な対応が求められます。地域独自、時期限定の支援もそのほかの経済支援として、東京都では新型コロナウイルスに感染した患者を年末年始に受け入れる体制を強化するため、医療機関などに協力金を支給しました。保険薬局では、患者が年末年始であっても調剤を受けたり薬を購入したりできるように、1日8時間以上営業することを条件に1日3万円が支給されました。なお、医療機関に関しては、軽症・中等症の患者を受け入れた医療機関には1人1日当たり7万円、重症者の場合は30万円が支給され、すでに入院している患者も対象となりました。もしかしたら、こういった支援はゴールデンウイークなどの大型連休でもまた登場するかもしれませんので、通知などをチェックするようにしましょう。もう少し、もう少し、と思いながらコロナ禍でも業務を行ってきましたが、しばらくこの状況は続くと思ったほうがよさそうです。経済的な支援で利用できるものは利用しつつ、スタッフのメンタルケアや薬局の設備の見直しなども必要になってくるかもしれません。

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第37回 軽症者の宿泊・自宅療養を義務化など、感染症法を改正へ

<先週の動き>1.軽症者の宿泊・自宅療養を義務化など、感染症法を改正へ2.救急車利用、20年間で1.8倍増と過去最高記録を更新3.医療事故調査制度、発足5年で見直しを求める声4.国土交通省、サービス付き高齢者住宅の監視を強化へ5.人件費、医薬品・医療材料費の高騰で民間病院の経営状態が悪化1.軽症者の宿泊・自宅療養を義務化など、感染症法を改正へ新型コロナウイルス対策を定めた新型インフルエンザ等対策特別措置法について、1月18日に招集される通常国会において改正される見込みとなった。今回の改正には、ほかの法案と切り離し、特例で先行処理を行うとして与野党間でも合意をしている。緊急事態宣言下で、都道府県知事の休業命令に対して、事業者が従わない場合に50万円以下の「過料」を科すことも検討されており、感染拡大防止のため、早期の成立を目指すことになる。さらに政府・与党は、感染症の対策強化のため、軽症・無症状者の宿泊・自宅療養を感染症法により義務化する検討に入った。自治体が新型コロナウイルス感染者に対して入院を命じても応じなかった場合、罰則を科す内容も含め、感染防御の実効性を持たせるとみられる。(参考)休業命令違反に過料50万円 コロナ特措法改正で―政府(時事通信)コロナ軽症者、宿泊・自宅療養を義務化 感染症法改正検討 政府・与党(毎日新聞)2.救急車利用、20年間で1.8倍増と過去最高記録を更新2019年の救急車による救急出動件数は663万9,767件(対前年比3万4,554件[0.5%]増)、搬送人員は597万8,008人(対前年比1万7,713人[0.3%]増)で救急出動件数、搬送人員ともに過去最多となったことが総務省の発表で明らかとなった。1999年の出動件数370.1万件と比較すると、この20年間で約1.8倍に増えている。また、救急車が現場に到着するまでの時間は2019年で8.7分と、1999年の6.0分から2.7分伸びた。病院までの搬送時間も同年の26.7分から39.5分と約1.5倍となっている。このうち急病の搬送人員数は392万2274人と、10年連続で過去最高。搬送された患者の60%以上が65才以上であり、高齢化によると考えられる。ただ、対前年比の増加率は過去10年で最低であり、「軽症での救急搬送割合」は前年から0.8ポイント減少するなど、適正利用の啓発が効を奏していると考えられる。(参考)「令和2年版 救急・救助の現況」の公表(総務省)3.医療事故調査制度、発足5年で見直しを求める声患者の「予期しない死亡」を対象とする医療事故調査制度が発足から5年を経過し、医療機関側に原因の調査などが義務付けられているが、被害者団体が2020年12月に、制度改善のための検討会を設置するよう求める要請書を厚生労働省に提出した。制度の対象となる医療事故の相談がこの5年間で135件があったが、3割に当たる55件は実際には報告されなかった。患者団体は「第三者機関の調査権限を強化すべき」と新たに検討会を開き、制度の見直しを求めている。現在の医療事故調査制度の主な問題点として医療過誤原告の会が指摘しているのは、以下の項目などで、今後も政府への働きかけを強めていくだろう。1)死亡事故が起きた際、「予期せぬ死亡事故」だったのかを医療機関側が判断するため「予期した死亡」とみなしてセンターへ報告しない場合、それを第三者が検証できない2)被害者遺族が「医療事故ではないか」と思っても、第三者として判断してくれるところがない3)医療事故調査・支援センターの調査報告書は公表されていないので再発防止に役立っていない4)死亡事故のみで重度障害事故が対象外になっている。(参考)「医療事故調査制度」見直しへ遺族ら要望「調査が不十分」(NHK)4.国土交通省、サービス付き高齢者住宅の監視を強化へ国土交通省は、サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会において議論を重ねてきたが、介護報酬改定に合わせて、2021年度から高齢者住宅のサービス内容などについて監視機構を強化することに決めた。現在、全国で26万人の高齢者が居住しているが、経営不振または入居者減少、人手不足を理由に、廃業する事業者が発生し、高齢者が住まいを失うことが問題になっている。今後は、すべての施設に入居・退去者の数や退去理由などの公開を義務化するとともに、人手不足については、職員の常駐を求める規制を緩和するなどの検討を進める。また、一部で問題とされている、自社提供の介護サービスを使わせるため家賃を安く抑えている施設については、補助金の支給対象から外すなどを検討している。(参考)サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会 第5回配布資料(国土交通省)5.人件費、医薬品・医療材料費の高騰で民間病院の経営状態が悪化2018~2019年度にかけて、民間病院の医療法人の経営状態が悪化していることが、福祉医療機構(WAM)により公表された「2019年度(令和元年度)決算 医療法人の経営分析参考指標」で明らかとなった。事業収益対事業利益率は2.0%と、前年度に比べ、0.2ポイントの低下となった。また、医療従事者などの1人当たり人件費は5,349千円と、前年度より4万6千円上昇し、人件費率が58.2%と前年度と比べて0.1ポイント上昇していた。さらに、医療材料費率が12.0%と前年度比0.1ポイント上昇しており、これらの費用の増加が事業収益対事業利益率の低下の一因と考えられる。現在、コロナウイルスの感染拡大で、民間病院に対してもコロナウイルス感染者の受け入れの要請が求められているが、院内感染対策やクラスター対策などのコストがあるため、踏み切れない病院も多いと考えられる。(参考)2019年度(令和元年度)決算 医療法人の経営分析参考指標の概要について(独立行政法人 福祉医療機構)2019年度の医療法人経営、人件費・医薬品・医療材料費等のコスト増で「収益率は悪化」―WAM(Gem Med)

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開業or離婚!?人生の分かれ道は夫婦の分かれ道【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第9回

第9回 開業or離婚!? 人生の分かれ道は夫婦の分かれ道漫画・イラスト:かたぎりもとこ開業するに当たって「タイミング」は非常に重要です。医師会の調査によると、新規開業の場合、開業する医師の平均年齢は41.3歳であることがわかっています1)。開業タイミングに影響するライフイベントや制約条件としては、主に以下の5つがあるでしょう。(1)出産/育児(2)介護(3)教育費(4)融資の可否(5)売り手側の希望(承継開業の場合)(1)は今回の例にもあるように、配偶者や自分の出産/育児のタイミングに開業するというケースです。開業したいと考えていたものの、想像以上に育児に時間がとられることがわかり、開業を断念するという方もいます。(2)も育児と同様に、介護によってプライベートに大きな負担が発生することが理解しやすいでしょう。(3)の教育費については、子供が成長するにつれ、子供の進路が開業に影響してくることがあります。とくに医師の場合は「子供も医師にしたい」と考える方も多く、私立大学の医学部を目指すとなれば、進学準備や学費に潤沢なキャッシュが必要となります。新規開業の場合は開業して2年程度は勤務医よりも年収が下がる可能性が高く、状況によっては開業を断念せざるを得ない方もいます。(4)の融資の可否はさらにシビアな問題です。もちろん、自分の貯蓄を活用して開業する分には問題にはなりませんが、新規開業では7,000万円程度の初期費用が必要となり、融資の利用を検討される方も多くいます。弊社データでは開業時に90%以上の方が融資を受けており、融資先としては地銀からが60%以上となっています。住宅ローン等と同様に、年齢が上がるにつれて、融資の審査は厳しくなります。承継しての開業であれば、新規開業よりも初期費用が抑えられ、かつ旧院長(売り手)のこれまでの財務実績があるため事業計画を立てやすく、融資を受ける際の説明も通りやすくなります。(5)承継開業の場合には、売り手の院長は「できれば長く医院を運営してくれる人に譲りたい」と考えることが多く、買い手側の医師の年齢がネックとなって譲渡希望者に選ばれない、というケースが散見します。逆に、30代など若い医師の場合も、売り手側が不安を感じて選ばれない、というケースがあります。「年齢」という、どうにもならない要素によって開業の可否が決まるケースがあることも、また事実なのです。こうして見ていくと「完璧なタイミング」というものは、ほぼ存在しないことがわかります。どの方も何かしらの困難や不安を抱えつつ、決断し、開業するのです。参考1)日本医師会総合政策研究機構. ワーキングペーパー 開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査. 2009年

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ゾレドロン酸の顎骨壊死発生率とリスク因子/JAMA Oncol

 ゾレドロン酸は、骨転移のあるがん患者において骨修飾薬(BMA)として用いられている。米国の多施設共同前向き観察コホート試験(SWOG Cancer Research Network S0702)の結果、投与後累積3年の顎骨壊死の発生率は2.8%であることが明らかにされた。JAMA Oncology誌オンライン版2020年12月17日号掲載の報告。 試験は、BMA治療が限定的または治療歴がなく、試験登録から30日以内、ゾレドロン酸の使用などの治療計画があり、骨転移のあるがん患者を対象とした。ベースラインおよび6ヵ月ごとに提出された医学的、歯科学的および患者によるアウトカム報告に基づき、顎骨壊死(確立された基準で定義)の発生を3年間にわたり追跡評価した。 主要評価項目は、確認された顎骨壊死の累積発生率で、頭蓋領域への同時放射線療法が行われていない状態で8週間以上、顎領域に骨の露出領域が認められた場合と定義した。 主な結果は以下のとおり。・SWOG S0702試験には、3,491例が登録された(女性1,806例[51.7%]、年齢中央値63.1歳)。1,120例が乳がん、580例が骨髄腫、702例が前立腺がん、666例が肺がん、423例がその他の悪性腫瘍であった。・ベースラインの歯科学的検査が行われたのは2,263例(64.8%)であった。・全体で、顎骨壊死の確定発生は90例であった。累積発生率は1年時0.8%(95%信頼区間[CI]:0.5~1.1)、2年時2.0%(1.5~2.5)、3年時2.8%(2.3~3.5)であった。・3年累積発生率は、骨髄腫の患者で最も高率だった(4.3%、95%CI:2.8~6.4)。・ゾレドロン酸の投与計画間隔が5週間未満だった患者は、5週間以上だった患者と比べて顎骨壊死の発生が有意に多かった(ハザード比[HR]:4.65、95%CI:1.46~14.81、p=0.009)。・顎骨壊死の発生率の高さは、歯の総数が少ないこと(HR:0.51、95%CI:0.31~0.83、p=0.006)、義歯(入れ歯)があること(1.83、1.10~3.03、p=0.02)、現在喫煙(2.12、1.12~4.02、p=0.02)と関連していた。

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COVID-19治療でシクレソニドの推奨見直し/厚生労働省

 2020年12月25日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第4.1版」を公開した。 同手引きは診療の手引き検討委員会が中心となって作成され、第1版は3月17日に、第2版は5月18日に、第3版は9月4日に、第4版は12月4日に公表され、今回重要事項について大きく3点で加筆が行われた(なお、この手引きは2020年12月23日現在の情報を基に作成。今後の知見に応じ、内容に修正が必要となる場合がある)。■主な改訂点【病原体・疫学】・国内発生状況の内容を追記(12月23日までの情報に更新)【臨床像】・「重症化のリスク因子」の中で、重症化のリスク因子に「悪性腫瘍」「2型糖尿病」「脂質異常症」「喫煙」「固形臓器移植後の免疫不全」を追記【薬物療法】・「薬物療法」中の「その他の薬剤例」でシクレソニドにつき、「無症状・軽症の患者には推奨されない」を追記

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動脈瘤性クモ膜下出血、トラネキサム酸の超早期投与で改善する?/Lancet

 CTで確認された動脈瘤性クモ膜下出血患者において、超早期のトラネキサム酸による短期間の抗線溶療法は、修正Rankinスケールで測定した6ヵ月後の臨床アウトカム改善に結び付かなかったことが示された。オランダ・アムステルダム大学のRene Post氏らが、約1,000例の患者を対象に行った多施設共同前向き無作為化非盲検試験「ULTRA試験」の結果を、Lancet誌オンライン版2020年12月21日号で発表した。動脈瘤性クモ膜下出血患者において、トラネキサム酸による短期間の抗線溶療法は、再出血リスクを軽減することが示されている。一方で、同療法が臨床アウトカムを改善するかについては不明であった。6ヵ月後の臨床アウトカムを評価 試験は、オランダ24ヵ所の医療施設(治療センター8ヵ所、紹介型病院16ヵ所)を通じて、CTで確認された動脈瘤性クモ膜下出血患者を対象に行われた。 被験者を無作為に2群に分け、一方の群には、診断直後に通常の治療に加えトラネキサム酸投与を開始し、脳動脈瘤治療の直前または投与開始24時間後のいずれか早い時点で中止した(1gボーラス投与、その後1g/8時間で静注)。もう一方の群には、通常の治療のみを行った。 主要エンドポイントは6ヵ月後の臨床アウトカムで、修正Rankinスケールで評価し、良好(0~3点)と不良(4~6点)に二分し評価した。臨床アウトカム良好は両群とも約6割 2013年7月24日~2019年7月29日に、955例が登録された(トラネキサム酸群480例、対照群475例)。 ITT解析の結果、臨床アウトカムが良好だったのはトラネキサム酸群60%(475例中287例)、対照群64%(470例中300例)と、有意差はなかった(治療センターで補正後のオッズ比[OR]:0.86、95%信頼区間[CI]:0.66~1.12)。 無作為化後から動脈瘤治療前までの再出血は、トラネキサム酸群49例(10%)、対照群66例(14%)だった(OR:0.71、95%CI:0.48~1.04)。その他の重篤な有害イベントもまた、両群で同等だった。

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