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双極性障害と統合失調感情障害の維持治療に対する持効性注射剤抗精神病薬に関するシステマティックレビュー

 抗精神病薬の長時間作用型持効性注射剤(LAI)は、主に統合失調症スペクトラム障害における服薬アドヒアランス不良を改善するために用いられる。スペイン・バルセロナ大学のIsabella Pacchiarotti氏らは、双極性障害(BD)および/または統合失調感情障害(SAD)に対する抗精神病薬LAIとプラセボまたは経口剤を比較した利用可能なエビデンスの要約を行った。European Neuropsychopharmacology誌オンライン版2019年2月12日号の報告。 長時間作用型の抗精神病薬と疾患名(BD、SAD、躁病[maniaまたはmanic]、双極性うつ病)を検索ワードとし、2018年3月28日までの研究を6つのデータベースより検索した。BDにおけるいくつかの臨床アウトカムについてLAIとの比較を行ったピアレビュー二重盲検試験、またはレトロスペクティブ評価期間と同じプロスペクティブなオープンミラー試験を含めた。統合失調症とSADを区別することなく、混合して評価した試験は除外した。 主な結果は以下のとおり。・プールされた症例数は、642例であった。・重複および包括除外基準により除外したところ、15試験が抽出された。内訳は、二重盲検試験6件、オープンラベル試験9件であり、対象患者別では、BDが13件、SADが2件であった。・LAIには、躁病の予防効果が認められたが、うつ病の再発予防効果は認められず、うつ症状を悪化させる可能性が示唆された。・リスペリドンLAIは、プラセボと比較し、気分症状/躁症状に効果的であるが、うつ症状の再発には効果が認められなかった。・SAD患者に対するパルミチン酸パリペリドンの追加および単剤療法は、精神病性症状、うつ病性症状、躁病性症状への効果が認められた。・試験登録時に躁病エピソードを有していた双極I型障害(BD-I)患者に対するアリピプラゾールLAIは、うつ病エピソードを誘発することなく、躁病エピソードの再発までの期間を有意に延長させた。 著者らは「LAI治療は、BDおよびSADに対し効果的かつ忍容性の高い維持療法であり、うつ病よりも躁病の予防に優れた有効性を示すことが示唆された。LAIは、躁病エピソードが強い、アドヒアランス不良なBD-I、SAD患者において、第1選択薬となりうる」としている。■関連記事双極性障害の再発エピソード、持効性注射剤の効果は統合失調症または双極性障害患者におけるアリピプラゾール経口剤と持効性注射剤の服薬アドヒアランスの比較日本におけるアリピプラゾールの経口剤と持効性注射剤の併用期間に関する分析

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うつ病や不安症状に対する食事療法~メタ解析

 不適切な食生活は、メンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性が示唆されている。しかし、食事介入療法が気分やメンタルに及ぼす影響に関するエビデンスは、十分に評価されていない。オーストラリア・西シドニー大学のJoseph Firth氏らは、食事介入療法がうつ病や不安症状に及ぼす影響を検討するため、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。Psychosomatic Medicine誌オンライン版2019年2月5日号の報告。 臨床的および非臨床的集団を対象とし、食事介入療法のうつ病および/または不安症状の変化について検討した2018年3月までのすべてのランダム化比較試験(RCT)を、主要電子データベースより検索した。対照群と比較した食事介入療法のエフェクトサイズ(Hedges' g、95%信頼区間[CI])を算出するため、ランダム効果メタ解析を用いた。不均一性の潜在的な原因は、サブグループおよびメタ回帰分析を用いて調査した。 主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たしたRCTは16件、対象者数は4万5,826例であった。対象者の大多数が非臨床的うつ病サンプルでの調査(15件)であった。・それでもなお、食事介入療法は、抑うつ症状を有意に減少させた(g=0.275、95%CI:0.10~0.45、p=0.002)。・質の高いエビデンス(g=0.321、95%CI:0.12~0.53、p=0.002)および非介入群(g=0.308、95%CI:0.02~0.60、p=0.038)、介入対照群(g=0.174、95%CI:0.01~0.34、p=0.035)と比較した場合においても、同様の結果が認められた。・食事介入療法の不安症状に対する効果は認められなかった(k=11、n=2,270、g=0.100、95%CI:-0.04~0.24、p=0.148)。・女性を対象とした研究では、うつ病と不安症状に対する食事介入療法の有意な効果が認められた。 著者らは「食事介入療法は、うつ症状軽減のための新規介入療法として期待される。メンタルヘルスの改善や根本的なメカニズムを探求し、臨床および公衆衛生において食事介入療法を導入する効果的な計画の確立のためにも、今後の研究が必要とされる」としている。■関連記事うつ病治療と食事パターンストレスやうつ病に対する朝食の質の重要性食生活の改善は本当にうつ病予防につながるか

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統合失調症患者の認知機能に対するNMDA受容体増強薬のメタ解析

 いくつかのN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体増強薬は、統合失調症の認知機能に対して有望な薬剤であるといわれている。しかし、その研究結果は矛盾している。台湾・中国医薬大学のChun-Hung Chang氏らは、認知機能に対するNMDA受容体増強薬の効果について、最新のメタ解析を実施した。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2019年2月7日号の報告。 統合失調症患者の認知機能に対するNMDA受容体増強薬の効果に関して、2018年9月までの研究を、PubMed、コクラン比較臨床試験レジストリおよびシステマティックレビューより検索した。認知機能評価尺度を用いた二重盲検ランダム化プラセボ試験を含んだ。追加のNMDA受容体増強薬との比較を行うため、ランダム効果モデルを用いた。認知機能スコアは、ベースライン時とその後のレベルを比較し、NMDA受容体陽性モジュレーターを、標準化平均差(SMD)、95%信頼区間(CI)を用いて評価した。ファンネルプロットとI2統計を用いて、不均一性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・25件の研究より、1,951例が抽出された。・全体的な認知機能に対するNMDA受容体増強薬の効果は、プラセボと比較して小さく、有意ではなかった(SMD:0.068、95%CI:-0.056~0.193、p=0.283)。・30~39歳の患者を対象とした試験において、有意な効果が認められた(SMD:0.163、95%CI:0.016~0.310、p=0.030)。・男性において、全体的な認知機能に対するNMDA受容体陽性モジュレーターのより小さな効果が認められた。・認知領域のサブグループメタ解析では、N-アセチルシステイン(NAC)の作業記憶に対する有意な効果が認められた(相互作用に対するp値:0.038、SMD:0.679、95%CI:0.397~0.961、p<0.001)。 著者らは「本メタ解析では、全体的な認知機能に対するNMDA受容体増強薬の有意な効果は認められなかった。しかし、サブグループ解析では、比較的若い統合失調症患者に対するNMDA受容体増強薬の効果、およびNACの作業記憶に対する効果が示唆された。これらの認知領域を評価し、そのメカニズムを明らかにするためにも、より大規模なサンプルによる追加試験が求められる」としている。■関連記事統合失調症の認知機能に対するアセチルコリンエステラーゼ阻害薬2つのNMDA受容体拮抗薬、臨床像はなぜ異なるのか統合失調症の認知機能障害、コリン作動系薬の可能性

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人生を支配するホルモンとは

 『できる男』と言われて何を思い浮かべるだろうか?年収、地位や名誉、そして女性にモテること…。これらをすべてクリアするには何がカギなのだろうか。2019年2月18日、日本抗加齢医学会が主催するメディアセミナーに、井手 久満氏(獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科准教授)が登壇し、「男性のための理想的なライフスタイル」について講演した。テストステロン値の高い男はなぜ成功するのか 井手氏によると、『できる男』の象徴は、冒頭でも述べた事柄のほか、「スポーツ万能」、「性機能が強い」、「健康寿命が長い」などであり、これらに共通するのがテストステロン値の高さだという。証券会社に勤務するイギリス人男性の年収を比較した研究によると、テストステロンが高い男性の年収は、低い男性と比較して3~5倍も多いことが明らかになった。また、テストステロン量は骨格でも判定が可能で、人指し指より薬指の長い男性で高値ということが、さまざまな人種のデータによって確証を得ている。 テストステロンは、造血作用や男性ホルモンを合成しているとされる海馬での認知機能制御など、多くの作用が報告されている。しかし、個人差や日内変動がとても大きく、ストレスや飲酒などにも左右される物質である。たとえば、恋愛過程でも、デートから真剣交際、婚約から結婚に至る過程で徐々に分泌が減少し、子供が生まれ、添い寝をするなどでも低下することが立証されている。メタボリックシンドロームとテストステロンの低下 近年、男性の更年期が取り沙汰されるようになり、うつとの関連が理解されるようになった。さらには、糖尿病をはじめとするメタボリックシンドロームや心筋梗塞にも影響を及ぼすことが徐々に明らかになってきている。 そこで、同氏は健康な中年男性のメタボリック因子と心血管疾患・心不全との関連について解説。メタボリック因子が多く、テストステロンが低下している症例にテストステロン補充療法を行った症例の体重、HbA1c、収縮期血圧などのデータを示した。「テストステロンの補充によって、それぞれが体重や腹囲の減少、血圧やHbA1cが有意に改善した。さらに骨密度や排尿状態の改善にも効果がある」とする一方で、「補充による有害事象として、多血症、睡眠時無呼吸症候群、肝障害、不妊症などが挙げられるので注意が必要」と、コメントした。アプリを活用した対策 テストステロンの管理にはメタボリックシンドローム予防が重要であることから、医療機関を介した食管理システム(ヘルスログ)の開発が進められている。患者には、活動量をチェックするためのUP2(ブレスレット型装置)を身に付けてもらい、日々の食事記録をスマートフォンで記録。写真から摂取カロリーが計算される。将来的にはLINEを活用することで、共有した情報を基に管理栄養士から食事アドバイスも受けられるようになるという。 このような背景を踏まえ、まずは、「自身によってテストステロンを低下させるリスク因子(喫煙や肥満)を理解し、リスク因子を排除することが大切である」と、同氏は締めくくった。(ケアネット 土井 舞子)■参考日本抗加齢医学会■関連記事うつ病や身体活動と精液の質との関連テストステロンの補充は動脈硬化を進展させるか/JAMA

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燃え尽き症候群と妄想的観念との関連

 これまで、燃え尽き症候群と妄想的観念との関連が疑われていた。しかし、この関連についてのシステマティックな研究は、ほとんど行われていなかった。スイス・ヌーシャテル大学のR. Bianchi氏らは、燃え尽き症候群およびそれに伴ううつ病と妄想的観念との関連を調査した。Occupational Medicine誌2019年2月7日号の報告。 スイス人教師218人(女性の割合:58%、平均年齢:47歳)が本研究に参加した。燃え尽き症候群の評価には、Maslach Burnout Inventory-Educators Surveyの情緒的消耗感(emotional exhaustion:EE)および脱人格化(depersonalization:DP)サブスケールを用い、うつ症状はPHQ-9、妄想的観念はGreen et al. Paranoid Thought Scaleを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・燃え尽き症候群、うつ病、それらの属性は、妄想的観念と正の相関が認められた(0.42~0.55)。・燃え尽き症候群、うつ病、妄想的観念が密接に関連していることが明らかとなった。・低レベルの燃え尽き症候群、うつ病では、妄想的観念は低く、高レベルの燃え尽き症候群、うつ病は、妄想的観念が高かった。・測定誤差を補正した場合、EEとうつ病およびDPとの相関係数は、それぞれ0.96、0.57であった。・主成分分析より、EEとうつ病は分類不能であることが確認された。 著者らは「燃え尽き症候群は、妄想的観念と関連していることが示唆された。興味深いことに、EEには、DPとの相関と同じぐらい強い妄想的観念との関連が認められた。さらに、燃え尽き症候群が、うつ病ではなくEEおよびDP症候群である場合には、EEとうつ病との相関係数は1に近くなるべきではなく、EEとうつ病との相関は、DPより強くなるべきではない。構成概念の独自性および症候群の統一性に関するこれらの基本的な要件は、満たされていなかった」としている。■関連記事仕事のストレスとベンゾジアゼピン長期使用リスクとの関連職業レベルの高さとうつ病治療への反応率との関係職場ストレイン、うつ病発症と本当に関連しているのか

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アリピプラゾール治療と精神医学的イベントリスク

 抗精神病薬で治療されている精神疾患患者に対するアリピプラゾール初回使用に関連した潜在的な精神医学的悪化を懸念する報告がいくつかあるが、とくに長期的なアリピプラゾール使用が、重篤な精神医学的イベントリスクを増大させるかは、よくわかっていなかった。カナダ・Jewish General HospitalのFrancois Montastruc氏らは、他の抗精神病薬で治療されていた精神疾患患者に対するアリピプラゾールへの切り替えまたは追加(アリピプラゾール群)が、アリピプラゾール以外の抗精神病薬への切り替えまたは追加(非アリピプラゾール群)と比較し、重篤な精神医学的イベントと関連性が認められるかについて評価を行った。JAMA Psychiatry誌オンライン版2019年1月30日号の報告。 2005年1月1日~2015年3月31日の期間に、集団ベースコホート研究を実施した。Hospital Episodes Statistics(HES)とOffice for National Statistics(ONS)死亡率データベースにリンクされた世界最大の電子データベースの1つである、英国Clinical Practice Research Datalink(CPRD)よりデータを収集した。抗精神病薬新規使用患者の基本コホートにおいて、傾向スコアマッチングを使用し、アリピプラゾール群と非アリピプラゾール群に1:1の割合で割り付けた。すべての患者について、精神科治療不良、コホート参加から1年、自殺以外の原因による死亡、データベースの登録終了、試験期間終了(2016年3月31日)のいずれかに至るまで、フォローアップを行った。非アリピプラゾール群と比較したアリピプラゾール群の精神科治療不良の重篤なイベント(精神医学的入院、自傷行為、自殺)のハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)の推定には、Cox比例ハザード回帰モデルを用いた。傾向スコアのマッチングに加えて、すべてのモデルは、年齢、コホート登録前6ヵ月間の精神医学的入院または自傷行為の件数、コホート登録前の他の抗精神病薬数、Index of Multiple Deprivationの五分位数で調整された。 主な結果は以下のとおり。・対象は、アリピプラゾール群1,643例(女性の割合:57.8%[949例]、平均年齢:42.1±16.8歳)、非アリピプラゾール群1,643例(女性の割合:53.0%[871例]、平均年齢:42.4±17.1歳)。・フォローアップ期間の2,692患者年のうち、重篤な精神科治療不良は391件であり、粗発生率は100患者年あたり14.52件(95%CI:13.16~16.04)であった。・ アリピプラゾール群は、非アリピプラゾール群と比較し、精神科治療不良率(HR:0.87、95%CI:0.71~1.06)、精神医学的入院率(HR:0.85、95%CI:0.69~1.06)、自傷行為または自殺の発生率(HR:0.96、95%CI:0.68~1.36)の増加と関連が認められなかった。・結果は、いくつかの感度分析にわたり一貫していた。 著者らは「他の抗精神病薬で治療されていた精神疾患患者に対するアリピプラゾールへの切り替えまたは追加は、アリピプラゾール以外の薬剤と比較し、精神医学的入院、自傷行為、自殺との関連は認められなかった。これらの結果は、大規模な観察研究における追試の正当性を示すものである」としている。■関連記事アリピプラゾール治療を見極めるタイミングは何週目か本当にアリピプラゾールは代謝関連有害事象が少ないのか抗精神病薬のQT延長リスク、アリピプラゾールはどうか

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日本人学生のスマートフォン使用とうつ病リスク

 椙山女学園大学の西田 友子氏らは、高校生の男女ごとのスマートフォン使用とうつ病との関連性について評価を行った。Psychiatry Research誌オンライン版2019年1月26日号の報告。 日本の15~19歳の高校生295人を対象に、自己管理質問票を用いて、横断的研究を実施した。うつ病は、CES-Dうつ病自己評価尺度を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・女性は、男性と比較し、1日のスマートフォン使用時間が長かった。・スマートフォン使用時間が1日3時間であった割合は、女性で44.3%、男性で22.5%であった。・女性では、オンラインチャット、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、インターネット閲覧に長時間費やしていた。・長時間のオンラインチャット(オッズ比:1.74、95%CI:1.18~2.56)およびSNS(オッズ比:1.41、95%CI:1.04~1.92)使用は、うつ病との関連が認められた。・男性は、女性と比較し、ゲームに多くの時間を費やしていた。・男性では、スマートフォン使用とうつ病との関連は認められなかった。 著者らは「スマートフォン使用には性差があり、女性ではソーシャルコンタクト、男性では娯楽のためにより多くの時間を費やす傾向が認められた。女性がオンラインコミュニケーションを使い過ぎると、うつ病リスクが高まる可能性が示唆された」としている。■関連記事スマホ依存症になりやすい性格タイプ女子学生の摂食障害への有効な対処法日本人小中学生のインターネット利用とうつ病や健康関連QOLとの関連

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重度の精神疾患患者における脂質異常症と抗精神病薬に関するメタ解析

 重度の精神疾患患者は、抗精神病薬の悪影響に関連している可能性のある代謝系の問題への罹患率やそれに伴う死亡率の上昇を来す。第2世代抗精神病薬(SGA)は、第1世代抗精神病薬(FGA)と比較し、脂質代謝異常とより関連が強いと考えられているが、このことに対するエビデンスは、システマティックレビューされていなかった。英国・East London NHS Foundation TrustのKurt Buhagiar氏らは、重度の精神疾患患者における脂質異常症リスクについて、SGAとFGAの評価を行った。Clinical Drug Investigation誌オンライン版2019年1月24日号の報告。 主要な電子データベースより2018年11月までの研究を検索した。対象研究は、重度の精神疾患患者に対するSGAとFGAを直接比較し、脂質代謝異常を主要アウトカムまたは第2次アウトカムとして評価した横断研究、コホート研究、症例対照研究、介入研究のいずれかとした。エビデンスは、PRISMA(システマティックレビューおよびメタ解析のための優先的報告項目)ガイドラインに従ってレビュー、評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・18件の研究が抽出された。・SGAとFGAにおける脂質異常症の報告は矛盾しており、研究間のばらつきが大きく、完全な定性的合成のみが実行可能であった。・クロザピン、オランザピン、リスペリドンについては、限られたメタ解析を実施するに十分なデータがあった。各薬剤ともに、FGAと比較し、脂質異常症の事例性(caseness)との関連が少し高かったが、異質性の高さが認められた(すべてI2>50%、p<0.05)。 ●クロザピン(オッズ比:1.26、95%信頼区間[CI]:1.16~1.38) ●オランザピン(オッズ比:1.29、95%CI:0.89~1.87) ●リスペリドン(オッズ比:1.05、95%CI:0.80~1.37)・クロザピンは、トリグリセリド増加とも関連が認められたが(標準平均差:0.51、95%CI:0.21~0.81、I2>=5.74%)、コレステロールとの関連は認められなかった。・オランザピンとリスペリドンは、ハロペリドールと比較し、コレステロールまたはトリグリセリドの統計学的に有意な増加との関連が認められなかった。 著者らは「研究デザインや方法論には、かなりの違いが認められた。抗精神病薬による脂質代謝異常への影響におけるSGAとFGAの相対リスクを決定するには、薬剤ごとにさまざまな悪影響を引き起こす可能性があるため、臨床的に明らかにすることは難しい可能性がある。したがって、SGAかFGAかの焦点を当てるよりも、特定の抗精神病薬の脂質代謝リスクを考慮することが重要である」としている。■関連記事非定型抗精神病薬による体重増加・脂質異常のメカニズム解明か抗精神病薬、日本人の脂質異常症リスク比較:PMDA統合失調症治療に用いられる抗精神病薬12種における代謝系副作用の分析

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統合失調症患者におけるプラセボ効果~RCT複合分析

 慶應義塾大学の久保 馨彦氏らは、統合失調症患者におけるプラセボ効果を予測するため、プラセボ反応患者の特徴を調査し、プラセボによる早期改善の最適基準について探索を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌2019年2月号の報告。 抗精神病薬の二重盲検試験9件において、プラセボ群にランダム化された統合失調症患者672例のデータを分析した。6週目のプラセボ効果(PANSSスコア25%以上低下)と年齢、性別、学歴、ベースライン時のPANSS合計スコアまたはMarder 5項目スコア、1週目のPANSSスコア減少率との関連を調査するため、多重ロジスティック回帰分析を行った。また、プラセボ効果に対する1週目改善の予測力を調査した。 主な結果は以下のとおり。・1週目のPANSS合計スコアの減少率およびベースライン時のMarder思考解体スコアの低さは、その後のプラセボ効果と有意な関連が認められた。・1週目のPANSS合計スコアにおいて、プロトコルごとの分析における10%減少またはLOCF分析における15%の減少が、最も高い予測力を示した。 著者らは「これらの知見は、統合失調症患者を対象とした試験デザインを最適化するために、早期に潜在的なプラセボ反応患者を識別するうえで有益である」としている。■関連記事抗うつ薬の臨床試験におけるプラセボ効果に関する解析うつ病のプラセボ効果、そのメカニズムとは抗てんかん薬のプラセボ効果、東アジアと欧米で地域差

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高齢者うつ病発症率の潮流、10年間で減少

 うつ病の発症率における出生コホート差やそれらの説明要因に関する研究は、うつ病の病因を明らかにする可能性があり、世界的なうつ病負担を軽減するための予防戦略を最適化する一助となる。オランダ・アムステルダム自由大学のH. W. Jeuring氏らは、高齢者におけるうつ病の発症率について調査を行った。Epidemiology and Psychiatric Sciences誌オンライン版2019年1月26日号の報告。 オランダの地域高齢者を対象とした代表的な研究である、アムステルダム縦断高齢研究(Longitudinal Aging Study Amsterdam)のデータを用いて調査を行った。10年間のうつ病(CES-Dうつ病自己評価尺度16点以上)発症率のコホート差は、コホートシーケンシャル縦断デザインを用いて、55~64歳の非うつ病(10歳違いでの生まれ)の2つの同様なコホートとの比較で行った。ベースライン測定は、1992~93年(初期コホート、794例)および2002~03年(直近コホート、771例)で実施した。うつ病の動学的一般均衡モデルで示されるように、潜在的な説明要因は、リスクと保護要因で区分した。 主な結果は以下のとおり。・100人年当たりのうつ病発症率は、初期コホートで1.91(95%CI:1.59~2.27)、直近コホートで1.60(95%CI:1.31~1.94)であった。・直近コホートにおいて、初期コホートと比較し、慢性疾患や機能制限などのリスク因子の平均レベルが上昇したとしても、うつ病発症リスクは29%低下した(HRcohort:0.71、95%CI:0.54~0.92、p=0.011)。・このリスク低下は、主に教育レベル、熟達レベルの上昇、労働参加の増加により説明できた。 著者らは「これらの知見は、うつ病発症に対する予防因子の進歩が、リスク因子の悪影響を相殺し、若年成人におけるうつ病発症率の減少をもたらすことを示唆している。しかし、身体の健康状態を良好に保つことは、うつ病発症率をさらに低下させるうえで、優先しなければならない」としている。■関連記事日本人高齢者のうつ病に関連する社会的要因~AGESプロジェクトたった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能うつ病になりやすい性格

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職業レベルの高さとうつ病治療への反応率との関係

 うつ病は、就業における問題を引き起こす主な原因となる。職業的問題がうつ病の発症を促進し、回復プロセスを妨げる可能性があることを示唆するエビデンスも報告されている。イタリア・ボローニャ大学のLaura Mandelli氏らは、以前の研究において、職業レベルが高い人ほど、うつ病治療後の転帰が悪化することを報告している。今回著者らは、うつ病患者の独立したサンプルを用いて、職業レベルとうつ病治療に対する治療反応についてさらなる調査を行った。European Neuropsychopharmacology誌オンライン版2019年1月28日号の報告。 1回以上の適切な治療試験後、うつ病治療に対する治療反応や治療抵抗性を評価されたうつ病患者の独立したサンプルより抽出した、安定して就業している患者647例を対象とした。3つの職業カテゴリから管理職、ホワイトカラー、ブルーカラーおよび自営業別に検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・管理職は、治療非反応率が最も高く、治療抵抗性を示した。・同様に、ホワイトカラーは、治療非反応率、治療抵抗率が高かった。・ブルーカラーは、治療非反応率および治療抵抗率が有意に低かった。・自営業者は、ホワイトカラーとブルーカラーの中間で、他の職業カテゴリとの違いは、ほとんど認められなかった。 著者らは「本追試の知見は、以前の研究結果を支持するものであった。中高レベルで雇用されているうつ病患者は、うつ病の標準治療後の転帰が、好ましくない可能性がある。職場における労働ストレスおよびその他の心理社会的要因について、うつ病の治療成績と関連させ、より綿密に調査すべきである」としている。■関連記事職場ストレイン、うつ病発症と本当に関連しているのか職場のメンタルヘルス、効果的な方法は:旭川医大仕事のストレスとベンゾジアゼピン長期使用リスクとの関連

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レビー小体型認知症とアルツハイマー病における生存率の違い~メタ解析

 レビー小体型認知症(DLB)およびアルツハイマー型認知症(AD)における生存率を比較するため、英国・キングス・カレッジ・ロンドンのChristoph Mueller氏らは、縦断的研究のエビデンスを総合的に評価した。Ageing Research Reviews誌オンライン版2019年1月6日号の報告。 臨床的にレビー小体型認知症、アルツハイマー型認知症と診断された患者の生存率を比較した研究のシステマティックレビュー、メタ解析を行った。2018年5月までの縦断的コホート研究を、主要な電子データベースよりシステマティックに検索した。生存期間および相対死亡リスクを算出するため、ランダム効果メタ解析を実施した。レビー小体型認知症の生存期間はアルツハイマー型認知症より1.60年短かった レビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症における生存率を比較した主な結果は以下のとおり。・11研究より認知症患者2万2,952例が抽出された。内訳は、DLB患者2,029例(診断時平均年齢:76.3歳、女性の割合:47%)、AD患者2万923例(診断時平均年齢:77.2歳、女性の割合:65.1%)であった。・診断からの平均生存期間は、DLB患者で4.11年(SD:±4.10)、AD患者で5.66(SD:±5.32)であり、DLB患者の生存期間は、1.60年(95%CI:-2.44~-0.77)相当短かった(p<0.01)。・DLB患者では、AD患者と比較し、相対死亡リスクが1.35(95%CI:1.17~1.55)増加した(p<0.01)。・生存期間の差とフォローアップ期間、診断時年齢、性別、認知症スコアとの関連は認められなかった。 著者らは「DLB患者は、AD患者と比較し、死亡率が高く生存期間が短いという一貫したエビデンスが認められた。このことはすべての利害関係者にとって重要であり、DLB研究拡大の重要性を示唆している」としている。■関連記事なぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのか認知症者への向精神薬投与は死亡率を高めているかうつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は

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第5回 全身痛と関連痛【エキスパートが教える痛み診療のコツ】

第5回 全身痛と関連痛痛みは病気の兆候として最も多く、誰もが苦しむ原因となっています。そのために、患者さんは病院や診療所などを受診されます。血圧、脈拍、呼吸数、体温と共に、痛みは「第5のバイタルサイン」とも呼ばれております。近年、全身に痛みを訴えられる患者さんが増えておられます。全身痛と呼んでおりますが比較的若い患者さんが多くなってきたように感じられます。今回は、この全身痛を取り上げ、付随して関連痛を説明したいと思います。全身痛とは全身的に痛みを訴えられる患者さんの痛みを「全身痛」と呼んでいます。いろいろな部位に痛みを訴えられる患者さんや、全身にわたって痛みを訴えられる患者さんなど、その形態はさまざまです。また、重篤な身体疾患を持っていることもあるので注意が必要です。その中で全身痛から発見される疾患としては、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚筋炎・多発性筋炎、全身性強皮症、リウマチ性多発筋痛症などの膠原病があります。甲状腺機能低下症や有痛性糖尿病性ニューロパチーなどの内分泌疾患もあります。そのほか、ポストポリオ症候群や横紋筋融解症などの神経筋疾患も認められます。横紋筋融解症は、脂質異常症治療薬や抗神経病薬などによる薬剤性疾患によっても生じます。そして、悪性腫瘍では多発性骨髄腫、多発性転移、何より増して全身の骨関節痛、腰背部痛などが生じます。インフルエンザ、ウイルス性肝炎では全身の関節痛や筋肉痛、神経痛がみられます。うつ病、身体表現性疼痛(疼痛性障害、身体化障害など)、自律神経失調症などの精神・神経疾患でも全身痛を訴えます。とくにうつ病では、痛みの部位が変動するのが特徴です。その他、難治性疼痛疾患としての線維筋痛症(FM)(図1)や慢性疲労症候群(CFS)も現在、話題になっています。FMの診断では、(1)広範囲(右半身/左半身、上半身/下半身、体軸という身体の真ん中)の痛みが3ヵ月以上続いていること、(2)図1に示した18ヵ所(圧痛点といいます)を指で押して、11ヵ所以上で痛むことが条件となります。図1 FMの診断における18ヵ所の圧痛点画像を拡大する関連痛とは表層筋膜、アキレス腱、前脛骨筋腱、表在関節、靭帯、脛骨のような表在性の骨などの痛みは、局在性の痛みとして感じます。これに対してより深い部位にある腱、関節、骨などや筋肉内にあるような組織からの痛みは、遠く隔たった皮膚に投射されます。たとえば、上部胸椎の骨膜に刺激を受けた場合には、肩の上部にびまん性の痛みを感じます。また、内臓痛には関連痛が伴います。内臓痛そのものの局在性は不明確ですが、「関連痛」といって、同じ脊髄節支配の皮膚に投射されて痛む部位が明確に示されます。そして、この皮膚におきましては、疼痛過敏や異常知覚を伴ったり、筋肉の緊張、自律神経の異常興奮がみられることもあります(図2)。図2 内臓痛に伴い現れる関連痛の部位画像を拡大するいずれも痛みの部位と性質、随伴症状や検査所見などによって鑑別診断します。そして原疾患が疑われるようであれば、その治療を最重要として、それぞれの専門医に紹介します。原疾患が治癒しても痛みが持続する場合やとくに原疾患がない場合には、痛み治療が必要となります。次回は頭・頸部痛を取り上げます。1)花岡一雄ほか監修.日本医師会雑誌. 2014;143:120-121.2)山村秀夫ほか編. 痛みを診断する.有斐閣;1984.p.20-38.

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統合失調症に対するブレクスピプラゾールのレビュー

 ブレクスピプラゾールは、日本、米国、EU(成人患者対象)など、各国において統合失調症治療薬として承認されている、経口非定型抗精神病薬である。ニュージーランド・SpringerのJames E. Frampton氏は、統合失調症に対するブレクスピプラゾールのレビューを行った。Drugs誌オンライン版2019年1月22日号の報告。 主なレビューは以下のとおり。・アリピプラゾールのように、ドパミンD2およびセロトニン5-HT1A受容体に対する部分アゴニスト作用と、セロトニン5-HT2A受容体に対するアンタゴニスト作用を有する薬剤である。・ブレクスピプラゾールはD2受容体への活性が低く、5-HT1A、5-HT2A、ノルアドレナリンα1B受容体への作用を併せ持つことで、アリピプラゾールよりも有害事象や錐体外路症状が少ないと推測される。・急性増悪を伴う統合失調症の成人患者に対するブレクスピプラゾール2~4mg/日での治療は、プラセボと比較し、全体の症状および心理社会的機能において、統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善が認められた。・維持療法におけるブレクスピプラゾール1~4mg/日での治療は、プラセボと比較し、再発までの時間を有意に遅らせ、症状および機能の安定化または継続的な改善が認められた。・ブレクスピプラゾールは、一般的に忍容性が高かった。有害事象プロファイルでは、賦活化および過鎮静の発現率が低く、QT間隔および代謝パラメータの変化はわずかで臨床的に有意ではなく、中程度の体重増加が認められた。 著者らは「これまでの臨床的エビデンスによると、ブレクスピプラゾールにより、統合失調症の治療選択肢がより良い方向へ広がることが示唆された」としている。■関連記事日本人統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの長期安全性・有効性に関する52週オープンラベル試験日本の急性期統合失調症患者に対するブレクスピプラゾールの有効性と安全性急性期統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの代謝パラメータや体重増加への影響

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うつ病に対する早期治療薬変更戦略の有効性予測因子

 抗うつ薬治療を2週間実施しても症状改善が認められないうつ病患者では、治療失敗リスクが高い。以前の研究において、ドイツ・ヨハネス・グーテンベルク大学マインツのNadine Dreimuller氏らは、非改善うつ病患者において、通常治療(TAU)と早期治療薬変更(EMC)でアウトカムに差がないことを、ランダム化試験で報告していた。今回、EMC戦略における高い寛解率の予測因子について調査を行った。BMC Psychiatry誌2019年1月14日号の報告。 対象は、2週間のエスシタロプラム治療でうつ症状改善が認められなかった患者(HAMD-17うつ病尺度20%以下の減少)192例。対象患者は、EMC群(すぐに高用量ベンラファキシンXR治療へ切り替え)97例またはTAU群(28日目までエスシタロプラムを継続後、改善が認められない場合にベンラファキシンXRへ切り替え)95例にランダムに割り付けられた。初めに、寛解率の予測可能な因子は、患者の特徴、精神病理学的特性、うつ病のサブタイプについてロジスティック回帰分析を行った。次に、最初の分析で有意な関連性が認められた予測因子を治療群ごとにBonferroni-Holm補正前のカイ二乗検定により分析を行った。すべての分析は、Bonferroni-Holm法により補正した。 主な結果は以下のとおり。・最初の分析では、多重検定の補正後、統計学的に有意な差は認められなかった。・2回目の分析では、試験開始時に薬物治療歴を有する患者の寛解率は、EMC群(24.2%)がTAU群(8.6%)よりも高かった(p=0.017、Bonferroni-Holm補正後有意水準:p=0.025)。・また、再発患者では、TAU治療によるベネフィットが少なかった(p=0.009、Bonferroni-Holm補正後有意水準:p=0.025)。・年齢、性別、発症年齢、精神医学的または身体的併存疾患、その他のうつ病サブスコアは、寛解率の予測因子ではなかった。 著者らは「最初の分析では、統計学的に有意な差は認められなかったが、2回目の分析では、過去の薬物治療歴を有する患者、再発患者、初回うつ病エピソード患者において寛解率に有意な差が認められた。そのため、特定のサブグループのうつ病患者に対するEMC戦略が寛解率を高めるかを、より大規模かつプロスペクティブな試験において検討する価値がある」としている。■関連記事SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較SSRIなどで効果不十分なうつ病患者、新規抗うつ薬切り替えを検証SSRI治療抵抗性うつ病への効果的な増強療法

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統合失調症患者に対する早期の持効性抗精神病薬治療と入院率との関連

 統合失調症に対する抗精神病薬治療の早期開始は、アウトカムの改善に関与している。米国・Partnership for Health Analytic ResearchのJennifer Munday氏らは、新規の統合失調症エピソードを有する患者に対して、早期の持効性注射剤(LAI)による抗精神病薬治療が、実臨床での入院率の低下や医療費の削減と関連するかについて検討を行った。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2019年1月16日号の報告。 Truven Health Analytics MarketScan Commercial、メディケイド、メディケア・サプリメントのデータベースを用いて、2007年1月~2016年6月におけるレトロスペクティブコホート分析を実施した。新規の統合失調症エピソードを有する18歳以上の成人患者を対象に、初回の統合失調症診断日からLAI開始日(インデックス日)までの時間に基づき、2つの相互排他的なコホートを同定した。LAIを1年以内に開始した患者を早期開始群、1年超で開始した患者を後期開始群とした。1年間のフォローアップ期間における入院率・医療費、患者の人口統計学的・臨床的特徴、保険の種類、ベースライン時の全原因による入院・救急外来受診、ベースライン時の精神科での薬の使用について、ロジスティック回帰モデルおよび一般線形回帰モデルを用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・早期開始群32%(1,388例)、後期開始群68%(2,978例)であった。・リスク調整モデルでは、全原因による入院率は、早期開始群で22.2%(95%CI:19.9~24.6)、後期開始群で26.9%(95%CI:25.2~28.7)であった(p=0.002)。・精神科への入院率は、早期開始群で14.1%(95%CI:12.3~16.1)、後期開始群で19.2%(95%CI:17.7~20.8)であった(p<0.001)。・調整後の精神科での医療費の平均は、早期開始群が2万1,545ドル(95%CI:2万355~2万2,734)であり、後期開始群の2万4,132ドル(95%CI:2万3,330~2万4,933)と比較して、有意に少なかった(p<0.001)。 著者らは「新規の統合失調症エピソードから1年以内のLAI治療開始は、1年超の開始と比べて、入院率の低下および医療費の削減をもたらす」としている。■関連記事急性期統合失調症に対するアリピプラゾール持効性注射剤の効果を解析実臨床における抗精神病薬持効性注射剤のメリット統合失調症治療の医療資源利用とコストにおける持効性注射剤と経口剤との比較

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中年期以降の握力低下と認知症リスク~久山町研究

 九州大学の畑部 暢三氏らは、中年期から高齢期の握力低下と認知症リスクについて、検討を行った。Journal of Epidemiology誌オンライン版2018年12月8日号の報告。 60~79歳の認知症でない地域住民1,055例(平均年齢:68歳)を対象に24年間の追跡調査を行った。そのうち835例(平均年齢53歳)は、1973~74年に実施した健康診断のデータを中年期の分析に使用した。中年期から高齢期の15年間(1973~1988年)にわたる握力低下によってもたらされる認知症、アルツハイマー病(AD)、血管性認知症(VaD)のリスクをCox比例ハザードモデルで推定し、1988~2012年までフォローアップを行った。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中に368例が認知症を発症した。・握力低下が大きくなると認知症発症率が有意に増加した(年齢、性別で調整)。 ●握力の上昇または変化なし(0%以上):25.1/1,000人年 ●握力のわずかな低下(-14~-1%):28.4/1,000人年 ●握力の著しい低下(-15%以下):38.9/1,000人年・潜在的な交絡因子で調整した後、握力の著しい低下は、認知症リスクの上昇と有意な関連が認められた。握力の著しい低下が認められた人は、握力が上昇または変化しなかった人と比較し、認知症リスクが1.51倍(95%信頼区間:1.14~1.99、p<0.01)高かった。・ADでは同様な所見が認められたが、VaDでは認められなかった。 著者らは「中年期から高齢期の著しい握力低下は、高齢期の認知症発症の重要な指標であることを示唆している」としている。■関連記事日本のアルツハイマー病、30年の推移:九州大「歯は大切に」認知症発症にも影響:久山町研究男女における握力とうつ病との関連

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子供における肥満とうつ病に関するメタ解析

 14歳までに診断可能な精神疾患は全症例の半数に上るにもかかわらず、小児期の精神疾患は、医療従事者および両親にあまり認識されていない。世界的には、10~19歳において、うつ病は疾患負荷の主な原因となっている。うつ病を未治療のままにすると、学業不振、社会機能の低下、薬物乱用、成人期の再発性うつ病、自殺リスクの増加を引き起こす可能性が高まる。その結果として生じる治療費のために、国民健康保険が負担する費用は20億ポンドを超えると推定されており、うつ病の社会的および経済的影響は、かなり大きいと考えられる。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのShailen Sutaria氏らは、肥満の子供と標準体重の子供におけるうつ病の割合を比較した。Archives of Disease in Childhood誌2019年1月号の報告。 観察研究としてシステマティックレビューおよびランダム効果メタ解析を行った。2000年1月~2017年1月までの研究を、EMBASE、PubMed、PsychINFOより検索を行った。適格基準は、18歳未満の小児を対象とし、年齢・性別によるBMIの一覧表またはInternational Obesity Task Force(IOTF)の年齢、性別のカットオフ値を用いた、横断的または縦断的観察研究とした。うつ病の併発と将来的な発症について検討した。 主な結果は以下のとおり。・22研究より14万3,603例がメタ解析に含まれた。・肥満児のうつ病有病率は10.4%であった。・肥満児のうつ病発症オッズは、標準体重児と比較し、1.32(95%CI:1.17~1.50)高かった。・女児では、肥満児のうつ病発症オッズは、標準体重児と比較し、1.44(95%CI:1.20~1.72)高かった。・過体重児とうつ病との関連性は認められなかった(OR:1.04、95%CI:0.95~1.14)。・男性では、肥満(OR:1.14、95%CI:0.93~1.41)または過体重(OR:1.08、95%CI:0.85~1.37)とうつ病との関連は認めらなかった。・横断的または縦断的研究のサブグループ解析では、小児における肥満は、うつ病の併発(OR:1.26、95%CI:1.09~1.45)および将来的な発症(OR:1.51、95%CI:1.21~1.88)の両オッズと関連していることが、それぞれで明らかとなった。 著者らは「女児における肥満は、標準体重と比較し、うつ病発症オッズが有意に高く、このリスクは、成人期まで継続することが示唆された。臨床医は、肥満女児のうつ病スクリーニングを検討すべきである」としている。■関連記事難治性うつ病発症に肥満が関連かうつ病になりやすいのは、太っている人、痩せてる人?肥満が双極性障害の病態生理に影響

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円形脱毛症とうつ病、相互にリスク因子

 円形脱毛症(AA)の罹病は、後にうつ病を発症するリスクがある一方で、大うつ病性障害(うつ病、MDD)の罹病も後のAA発症の有意なリスク因子であることが、カナダ・カルガリー大学のIsabelle A. Vallerand氏らによって明らかになった。MDDのAA発症リスクに関しては、抗うつ薬使用が交絡因子であること(予防効果を確認)も示されたという。AAは脱毛の自己免疫疾患であり、患者にMDDなどの大きな精神的負担を強いる。一方で、多くの患者はAAを発症する前にメンタルヘルス症状を訴えることから、MDDとAA双方の関連が示唆されている。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年1月16日号掲載の報告。 研究グループは、MDDとAA双方の関連性を評価する目的で、1986年1月1日~2012年5月16日に英国のThe Health Improvement Network(THIN)に登録された10~90歳の患者について、後ろ向きコホート研究を行い解析した。統計解析の実施期間は、2017年8月17日~2018年4月23日であった。 AAのリスクを評価するために、MDDと診断された患者集団(曝露群)と対照群を、MDDのリスクを評価するために、AAと診断された患者集団(曝露群)と対照群を、それぞれコホートに割り付けた。また、Person-timeを曝露群の発症前と発症後に分けて評価した。 主要評価項目は、AA、MDDそれぞれのリスク分析において、追跡期間中におけるMDDの発症もしくはAAの発症とした。 主な結果は以下のとおり。・AA、MDDにおいて、各分析の追跡期間は26年であった。・AAのリスク分析によると、MDDを発症した患者は40万5,339例(女性:26万3,916例、男性:14万1,423例、年齢中央値:36.7歳[四分位範囲:26.6~50.5歳])、およびMDDを発症しなかった患者は573万8,596例(女性:291万2,201例、男性:282万6,395例、年齢中央値:35.8歳[四分位範囲:25.3~52.6歳])であった。・共変量の調整後、MDDは後にAAの発症リスクを90%増加させた(ハザード比[HR]:1.90、95%信頼区間[CI]:1.67~2.15、p<0.001)。・抗うつ薬は、AAリスクに対して予防効果を示した(HR:0.57、95%CI:0.53~0.62、p<0.001)。・MDDのリスク分析によると、AAを発症した患者は6,861例(女性:3,846例、男性:3,015例、年齢中央値:31.5歳[四分位範囲:18.2歳])、AAを発症しなかった患者は613万7,342例(女性:317万2,371例、男性:296万4,971例、年齢中央値:35.9歳[四分位範囲:27.0歳])であった。・共変量の調整後、AAは後にMDDの発症リスクを34%増加させた(HR:1.34、95%CI:1.23~1.46、p<0.001)。

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不安や睡眠の質と飲酒との関係

 睡眠不足の人は、睡眠の質を高めるために不安を和らげようとするが、毎日の飲酒が不安や睡眠障害を緩和する要因であるかはよくわかっていない。台湾・輔仁大学のKe-Hsin Chueh氏らは、不安と睡眠の質との関連および毎日の飲酒が、睡眠不足の人の不安や睡眠の質に対し調整因子として働くかについて、検討を行った。The Journal of Nursing Research誌オンライン版2018年11月28日号の報告。 台湾北部で睡眠不足(ピッツバーグ睡眠質問票:5超)を報告した20~80歳の84例を対象に、横断研究を行った。毎日の飲酒を含む人口統計、不安のレベル、うつ病のレベル、睡眠の質を網羅した構造化された質問票を用いてデータを収集した。 主な結果は以下のとおり。・対象者は、女性の割合が高かった(72.6%)。・平均年齢は41.81歳(SD:12.62)であった。・不安の重症度の割合は、最小51.2%、軽度19.0%、中等度13.1%、重度14.3%であった。・重回帰分析を用いて睡眠の質に関連する因子で調整した結果、睡眠療法実施、毎日の飲酒、不安が睡眠の質不良の予測因子であった。・毎日の飲酒は、不安と睡眠の質との関連を緩和することが示唆された。 著者らは「睡眠不足の人は、睡眠の質不良や不安を自己治療するための誤った飲酒を避け、代わりに睡眠衛生教育とメンタルヘルスケアを利用するべきである。毎日の飲酒は、不安症状と睡眠の質との関係の調整因子となる可能性がある」としている。■関連記事不眠症とアルコール依存との関連入院患者の不眠症治療における催眠鎮静薬減量のための薬剤師介入睡眠薬使用で不眠症患者のQOLは改善するのか

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