サイト内検索|page:51

検索結果 合計:2851件 表示位置:1001 - 1020

1001.

精神科入院患者のリハビリテーション、マインドフルネスグループの導入効果

 精神科リハビリテーションサービスを受けている患者は、複雑な長期にわたる問題を抱えており、しばしば治療抵抗性といわれる。このような患者では、統合失調症などのメンタルヘルス診断と合わせて、複雑なトラウマ歴、アルコール依存や薬物乱用、認知障害が頻繁にみられる。治療抵抗性統合失調症の治療では、クロザピン療法以外の効果的な治療法は知られていないが、マインドフルネスがストレス体験に対処する能力を向上させることが予備的エビデンスで示されている。英国・エディンバラ大学のAudrey Millar氏らは、マインドフルネスプラクティスグループが、入院患者のリハビリ環境下で許容できる治療介入であるかについて検討を行った。また、ウェルビーイングのモニタリングも実施した。BMC Psychiatry誌2020年6月20日号の報告。 マインドフルネスプラクティスグループは、精神科病院の15床のリハビリテーション病棟で実施した。A区では3回/週、5ヵ月間実施し、B区では1回/週、18ヵ月間実施した。介入は、臨床心理士より行った。A区では、Warwick-Edinburgh well-being scaleを用いたウェルビーイングの測定も行った。介入の許容可能性に関する補足情報として、患者、グループファシリテーター、スタッフより定性的インタビューを行った。 主な結果は以下のとおり。・A、B区ともに1回以上参加した患者は約3分の2(65%および67%)、定期的に参加した患者は約3分の1であった。・ウェルビーイングへの影響は認められなかった。・質的インタビューでは、参加した患者には多くのベネフィットがあり、グループが病棟内の治療文化を強化する可能性が示唆された。 著者らは「臨床ガイドラインでは、精神疾患と診断されたすべての患者に心理療法が利用されるべきであることが示唆されているが、入院患者のリハビリテーションでの心理療法の利用は困難な場合がある。マインドフルネスプラクティスグループは、許容可能な介入であり、治療抵抗性精神疾患に対するマインドフルネスの有効性を検討するためのさらなる研究は価値がある」としている。

1002.

子供の教育費と親のうつ病との関係

 韓国では、社会文化的背景の影響により高等教育(higher education)が急速に成長しており、子供の教育には、世帯収入の大部分が費やされている。学習塾や予備校などの私教育(private education)は、子供の心理や行動に影響を与えると考えられてきた。しかし、これらの費用を支払う両親を対象とした研究は、これまで行われていなかった。世帯収入や教育レベルは、社会経済的地位(SES)を決定する重要な因子であり、教育費の捻出は、抑うつ症状の発症に影響を及ぼす可能性がある。韓国・延世大学校のByeong Cheol Oh氏らは、韓国における私教育費と両親のうつ病との関係について調査を行った。BMC Public Health誌2020年6月20日号の報告。 2015年と2018年のKoWePS福祉パネルよりデータを収集した。分析対象は、父親397人(2015年)と337人(2018年)、母親403人(2015年)と370人(2018年)であった。本研究の独立変数は、私教育費の割合とした。この比率は、各世帯の等価可処分所得に占める私教育費の割合として算出した。主な目的変数は、両親のうつ病自己評価尺度(CESD-11)に対する反応とした。私教育費の割合が両親のうつ病に及ぼす影響を調査するため、一般線形モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・私教育費の割合が高い父親は、低い父親と比較し、CESD-11スコアが高く(moderate:β=0.419、S.E=0.164、p=0.0105、high:β=0.476、S.E=0.178、p=0.0076)、私教育費の比率が高いほど、父親のうつ病に悪影響を及ぼす可能性があることが示唆された。・母親では、識別可能な相関関係は認められなかった(moderate:β=-0.078、S.E=0.250、p=0.7555、high:β=0.003、S.E=0.215、p=0.9882)。 著者らは「父親と母親で差がみられたことは、韓国社会では父親は母親よりも経済的負担が大きい傾向にあることが要因かもしれない」としている。

1003.

双極性障害の薬理学的マネジメント~日本の専門医のコンセンサス

 慶應義塾大学の櫻井 準氏らは、双極I型障害および双極II型障害の精神薬理学的治療に関する日本臨床精神神経薬理学会が認定する専門医によるコンセンサスガイドラインを作成することを目的に本研究を行った。Bipolar Disorders誌オンライン版2020年6月17日号の報告。 日本臨床精神神経薬理学会が認定する専門医を対象に、双極性障害治療における19の臨床状況について、9段階のリッカート尺度(同意しない「1」~同意する「9」)を用いて、治療オプションの評価を依頼した。119件の回答が得られた。治療オプションを、1次、2次、3次治療に分類した。 主な結果は以下のとおり。・双極I型障害の治療では、以下の第1選択として、リチウム単剤療法が推奨された。 ●躁病エピソード(平均±標準偏差:7.0±2.2)●うつ病エピソード(7.1±2.0)●維持期(7.8±1.8)・リチウムと非定型抗精神病薬の併用療法は、以下の場合に推奨された。●躁病エピソード(7.7±1.7)●うつ病エピソード(7.1±2.0)●混合性の特徴を伴わない(6.9±2.2)●維持期(6.9±2.1)・双極II型障害の治療では、以下の第1選択として、リチウム単剤療法が推奨された。 ●躁病エピソード(平均±標準偏差:7.3±2.2)●うつ病エピソード(7.0±2.2)●維持期(7.3±2.3)・リチウムと非定型抗精神病薬の併用療法は、躁病エピソード(6.9±2.4)に推奨された。・抗精神病薬単独療法または抗うつ薬治療は、いずれの場合においても第1選択として推奨されなかった。 著者らは「本知見は、現在のエビデンスを反映しており、双極性障害に対するリチウム治療のエキスパートコンセンサスが得られた。また、双極性障害に対する抗精神病薬および抗うつ薬の使用では、有効性と忍容性を考慮する必要がある」としている。

1004.

単極性と双極性うつ病における自殺念慮の比較

 青年期の単極性うつ病(UD)と双極性うつ病(BD)における自殺念慮や自殺企図のリスクについて、米国・Griffin Memorial HospitalのRikinkumar S. Patel氏らが検討を行った。Psychiatry Research誌オンライン版2020年6月15日号の報告。 対象は、米国入院患者サンプルより抽出した12~17歳の青年患者13万1,740例(UD:92.6%、BD:7.4%)。自殺行動のオッズ比(OR)を算出するため、人口統計学的交絡因子および併存疾患で調整したロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・入院患者全体で、自殺念慮が14.5%、自殺企図が38.6%に認められた。いずれもUD患者で高かった。・女性は、男性と比較し、自殺企図の割合が高かった(OR:1.13、95%CI:1.09~1.16)。・交絡因子で調整した後、UD患者はBD患者と比較し、自殺企図のORがわずかに高く(OR:1.06、95%CI:1.02~1.11)、自殺念慮のORは1.2倍高かった(95%CI:1.11~1.26)。・自殺企図が認められた患者では、93.2%がBD、6.8%がUDであった。・自殺企図の大部分は、BDの入院女性患者(74.6%)で認められた(UD:67.3%)。 著者らは「自殺行動を最小限に食い止める適切な治療を行うには、UDとBDの早期鑑別診断が重要であり、治療ガイドラインに基づいたマネジメントやさらなる研究が求められる」としている。

1005.

重度統合失調症に対する抗精神病薬とECT増強療法

 統合失調症の治療において、電気けいれん療法(ECT)を支持する肯定的なエビデンスが増加しているが、これが実臨床の状況をどの程度反映しているかはよくわかっていない。トルコ・Erenkoy Training and Research Hospital for Psychiatry and Neurological DiseasesのNazife Gamze Usta Saglam氏らは、統合失調症患者に対する抗精神病薬とECT増強療法の有効性を、自然主義的観察環境で調査した。International Journal of Psychiatry in Clinical Practice誌オンライン版2020年6月15日号の報告。 対象は、急性増悪のために入院した統合失調症患者81例。抗精神病薬のみで治療された患者(AP群)とECT増強療法を併用した患者(ECT群)の陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)スコアの変化を比較した。 主な結果は以下のとおり。・両群において、すべてのPANSSサブスケールの有意な減少が認められた。・治療反応率は、ECT群95%(39例)、AP群75%(30例)であった(χ2=6.496、df=1、p=0.011)。・急性増悪の統合失調症患者において、ECT群はAP群と比較し、治療反応(PANSSスコア25%以上減少)率が有意に上昇することが示唆された。 著者らは「急性期治療中の重度な統合失調症患者に対するECT増強療法の併用は、治療反応を高めることが示唆された。抗精神病薬治療後のPANSSスコア25%以上の減少率は、将来の症状再発時にECT増強療法によるベネフィットがもたらされる患者を特定するうえで役立つであろう」としている。

1006.

うつ病の再発予防に対する抗うつ薬の影響

 うつ病の特徴の1つとして、再発リスクの高さが挙げられる。中国・重慶医科大学のDongdong Zhou氏らは、さまざまな抗うつ薬の再発予防効果を比較した。Psychological Medicine誌オンライン版2020年6月5日号の報告。 2019年7月4日にPubMed、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Embase、Web of Scienceより検索を行った。ベイジアンフレームワークを用いて、パラメトリック生存曲線のプール分析を行った。主要アウトカムは、ハザード比、無再発生存期間、平均無再発月数とした。 主な結果は以下のとおり。・40件のランダム化比較試験が抽出された。・抗うつ薬の無再発生存率は76%であり、対照群の56%よりも有意に良好であった。・再発の差の多くは、最初の6ヵ月間で認められた(86.5%)。・ハザード比は、時間経過とともに一定ではなかった。・6ヵ月後の抗うつ薬群と対照群との違いはわずかで、6ヵ月フォローアップ後の抗うつ薬のベネフィットは確立できなかった。・ほとんどの研究は、ランダム化中止試験を使用しているため、反応者のみに強化(enriched)されており、このことが最初の6ヵ月間の再発率の差に影響を及ぼしている可能性がある。 著者らは「うつ病の再発予防に対する抗うつ薬の優位性は、最初の6ヵ月間でみられていた。その予防効果は、長期にわたり一定ではないことが、本研究で示唆されており、6ヵ月以降の新規エピソードが予防できるかは疑問が残る」としている。

1007.

セロトニン5-HT2B拮抗作用と選択的セロトニン再取り込み阻害作用の影響

 これまでの研究では、抗うつ作用に対するセロトニン2B(5-HT2B)受容体の関与が示唆されている。アリピプラゾールは、治療抵抗性うつ病に対し選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)との併用で有効性が認められており、すべての受容体のうち5-HT2B受容体への親和性が最も高い薬剤である。しかし、治療抵抗性うつ病の補助療法において5-HT2B受容体拮抗作用の潜在的な影響はあまり知られていなかった。カナダ・オタワ大学のRami Hamati氏らは、SSRI存在下における5-HT2B受容体拮抗作用の神経ニューロンに対する影響を検討した。Neuropsychopharmacology誌オンライン版2020年5月30日号の報告。 麻酔後のSprague-Dawleyラットに5-HT2B受容体リガンドを単独またはSSRI(エスシタロプラム)との組み合わせで投与し、腹側被蓋野(VTA)のドパミンニューロン、背側縫線核(DRN)のセロトニンニューロン、内側前頭前野(mPFC)および海馬の錐体ニューロンのin vivo電気生理学的記録を行った。 主な結果は以下のとおり。・5-HT2B受容体の発火活性ではなく、SSRI誘発のドパミン減少は、選択的5-HT2B受容体拮抗薬(LY266097)の2日間併用投与により回復した。・mPFCにおいて、SSRIの14日間単独投与では錐体ニューロンの発火やバースト活性に影響を及ぼさなかったが、アリピプラゾールを単独またはSSRIとの組み合わせで14日間投与すると、錐体ニューロンの発火やバースト活性の増加が認められた。・LY266097の14日間単独投与または14日間のうち最後の3日間にSSRI追加投与では、錐体ニューロンの発火やバースト活性の増加が認められた。・これらの結果は、5-HT2B受容体が少なくとも部分的に、この増強に関与していることを示唆している。・海馬では、BW723c86による5-HT2B受容体の活性化が、SSRIによるセロトニン再取り込み阻害を減少させたが、5-HT2B受容体拮抗薬により回復した。 著者らは「5-HT2B受容体拮抗作用は、SSRIで治療中のうつ病患者に対するアリピプラゾール補助療法の治療効果に寄与すると考えられる」としている。

1008.

初回エピソード統合失調症患者における非定型抗精神病薬の神経認知効果

 認知障害は、統合失調症の主要症状の1つである。初回エピソード統合失調症患者の認知機能に対する非定型抗精神病薬の影響については、これまで包括的に調査されていなかった。中国・北京大学のYanyan Hou氏らは、初回エピソード統合失調症に対するリスペリドン、オランザピン、アリピプラゾールの神経認知効果を比較するため、多施設ランダム化オープンラベル試験を実施した。Nordic Journal of Psychiatry誌オンライン版2020年6月4日号の報告。 初回エピソード統合失調症患者546例の対象患者を、リスペリドン群、オランザピン群、アリピプラゾール群のいずれかにランダムに割り付け、1年間フォローアップを行った。認知機能の評価には、認知機能評価バッテリーを用いた。 主な結果は以下のとおり。・6ヵ月時点で、言語学習と記憶を除くほぼすべての認知領域において、3群とも有意な改善が認められた。・12ヵ月時点で、3つの認知領域において、3群ともさらなる改善が認められたが、視覚学習と記憶パフォーマンスについてはベースライン値に戻っていた。 著者らは「3つの非定型抗精神病薬は、初回エピソード統合失調症患者の認知機能を改善させる。その改善効果については、薬剤間で有意な差は認められなかった」としている。

1009.

日本人の妊娠出産による摂食障害再発や産後うつ病

 出産可能年齢の女性における摂食障害(ED)発症についての研究が行われている。しかし、妊娠中および出産後の女性を対象とした長期フォローアップ研究は、あまり行われていない。東邦大学の牧野 真理子氏らは、妊娠中および出産後のED再発とED完全寛解の女性における産後うつ病について調査を行った。BMC Pregnancy and Childbirth誌2020年5月27日号の報告。 1994~2004年に診療所外来を受診したED患者1,008例のうち、ED寛解および妊娠した女性は55例であった。このうち、研究への参加に同意した患者は25例(神経性過食症[BN]21例、神経性食欲不振症[AN]4例)であった。最終的に、流産した患者を除く24例が研究に含まれた。対象患者は、妊娠中と出産後の両方で2週間ごとに面接を受けた。EDおよび産後うつ病の診断には、Eating Attitudes Test-26(EAT-26)、エジンバラ産後うつ病評価尺度(EPDS)を用いた。統計分析には、両側独立検定を用いた。 主な結果は以下のとおり。・妊娠中にEDを再発した患者は16例(67%)、出産後にEDを再発した患者は12例(50%)であった。・産後うつ病が認められた患者は12例(50%)、低体重児出産は4例(33%)で認められた。・産後うつ病が認められなかった患者では、低体重児出産は認められなかった。・産後うつ病群と非産後うつ病群の間に、出生時体重の有意な差は認められなかった(p=0.065)。 著者らは「妊娠中および出産後の女性では、EDの再発率や産後うつ病の発症率が高いことが明らかとなった。妊娠中および出産後の綿密なEDモニタリングが求められる」としている。

1010.

「コロナ疲れ」が単なる疲労で済まされない理由

 コロナ禍において、日本でも「コロナ不安」「コロナ疲れ」という言葉がメディアやSNS上で散見される。現在、米国では国民の約半数がこの状況下でメンタルヘルスに支障をきたし、ワシントンポスト紙の調査によれば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行拡大によるストレスレベルは2009年のリーマン・ショック時よりも高くなっているー。2020年6月18日、2020年度第1回メディアセミナーがWeb開催され、堀江 重郎氏(順天堂大学大学院医学系研究科泌尿器外科学教授/日本抗加齢医学会 理事長)が「Stay Homeのアンチエイジング」と題し、コロナ疲れがDNAレベルにもたらす影響やその対策法を語った(主催:日本抗加齢医学会)。コロナ疲れの回避策として心のアンチエイジング 「コロナ疲れ」とは、COVID-19というストレッサー(脅威)に対して心理的な闘争・逃走反応が続くことで、次第にネガティブ感情が増幅して生じる状態である。堀江氏はコロナ疲れの原因の1つに在宅勤務(テレワーク)を挙げ、「『3密』(密閉、密集、密接)を回避した新しい生活様式を遂行するうえで推奨されているが、テレワークの増加に伴い、プライベートと仕事の空間が混在し、長時間労働になることでワーク・ライフ・バランスに悪影響を及ぼすことが研究報告されている1)」と問題点を指摘した。この研究結果によると、ワーク・ライフ・バランスが崩壊することで、燃え尽き症候群になりやすく、仕事や人生への満足感が減ることが明らかになっていることから、コロナ疲れの回避策として「心のアンチエイジングが重要」と同氏は述べた。 一般的なアンチエイジング対策には、加齢に伴い増加する酸化ストレスをいかに抑制させるかが鍵となるが、心のアンチエイジングを保つための有用な方法として、同氏はセルフ・コンパッションを推奨。セルフ・コンパッションとは、「あらゆる人の幸せを願う」「あらゆる人の苦しみがなくなることを願う」「あらゆる人の幸せを喜ぶ」「偏りのない平静で落ち着いた心」という、ダライ・ラマ14世の教えである。これにより、他人のために何かをしようとする前に自分自身を労ろうという考え(自分への優しさ、共通の人間性の認識、マインドフルネス)を意識することで、幸福感や打たれ強さ、つながり感が増幅し、ストレス・うつ・不安になりにくい体質が形成されることが明らかになってきている。セルフ・コンパッションの効用をまとめると、1)幸福感を高める、2)ストレスを減少させる、3)レジリエンス(回復力、弾性)が高い、4)自己改善のモチベーションが高く自分らしい人生を送れる、などがある。近年、セルフ・コンパッションの概念を持つ人はテロメアが長いことも報告されており、抗加齢医学の研究でも重要な役割を果たすとされている。「コロナ疲れ」だけで済ませてはいけない理由 遺伝子の老化度を示すテロメアの長さはセルフ・コンパッションにより保たれる。その一方、コロナ疲れのような心理的ストレスの影響を大きく受けている人ほどテロメアは短縮し、動脈硬化や心臓病の発症リスクが高くなる。過去に性差を比較した研究2)では、男性のほうが女性よりも早くテロメアが短くなることも報告されている。これらを踏まえ、テレワークをする男性が、寿命延伸やテロメアの長さを死守するため「コロナ疲れ」を単なる「疲れ」で済ますのは、リスクが大きいのかもしれない。 最後に同氏は「テレワークの増加により中年期以降のうつの増加も懸念される。酸化ストレスが免疫を抑制し、心理的ストレスがそれを助長することから、自宅でもハツラツと過ごすために、まずは自分自身をいたわるセルフ・コンパッションを学んでほしい」と締めくくった。

1011.

急性期統合失調症における抗精神病薬の投与量~メタ解析

 急性期統合失調症における抗精神病薬の最適な投与量については、あまり知られていない。慶應義塾大学の竹内 啓善氏らは、急性期統合失調症における抗精神病薬の最小有効量(MED)について調査を行った。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2020年5月16日号の報告。 これまでのシステマティックレビューより、各抗精神病薬のMEDを特定した。次に、急性期統合失調症における固定用量の抗精神病薬単剤療法を含む二重盲検プラセボ対照ランダム化試験を特定し、同一薬剤でMEDと高用量の比較を行った。研究の選定は、第2世代抗精神病薬とハロペリドールの用量反応性を調査した最近のメタ解析より行った。研究中止、精神病理、錐体外路症状、治療に伴う有害事象に関するデータを抽出した。各抗精神病薬のMED、MEDの2倍量、MEDの3倍量を比較するメタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・26研究、5,618例が解析に含まれた。・MEDと高用量(2倍量、3倍量)との有効性の違いにより、研究中止について有意な差が認められた。・精神病理については、高用量はMEDと比較し、陽性症状および総症状の改善効果が優れていた。・副作用については、MEDと比較し2倍量でパーキンソン症状、下痢が多く、3倍量でアカシジア、傾眠、嘔吐が多かった。 著者らは「急性期統合失調症に対する抗精神病薬の使用において、臨床医は、MEDの2倍量または3倍量の投与が可能であるが、副作用については注意深くモニタリングする必要がある」としている。

1012.

恥ずかしいけど口に出したら幸せになるカード【これで「コロナ離婚」しなくなる!(レクリエーションセラピー)】Part 1

今回のキーワード「ポジティブ合戦」社会的報酬ピグマリオン効果認知(マインドセット)健康(ウェルビーイング)幸福感(主観的ウェルビーイング)マズローの動機(欲求)のピラミッドポジティブ心理学コロナ禍の中、親の在宅勤務や子どもの自宅学習が増え、家族が家にいる時間が増えたことで絆が強まる…と思ったら、実際は、逆でした。その距離感に戸惑い、夫婦げんかや親子げんかが増えています。そして、モラハラやDVが社会問題となり、「コロナ離婚」という言葉が生まれています。このようにならないためには、どうすれば良いでしょうか?その答えが、今回紹介するカードゲーム「恥ずかしいけど口に出したら幸せになるカード」です。今回は、いつもとは違い、シネマセラピーのスピンオフバージョン「レクリエーションセラピー」をお送りします。このゲームは、一言で言うと、ファミリーやカップル向けの「ポジティブ合戦」です。それでは、なぜポジティブなセリフを言い合うとポジティブになるのでしょうか? なぜポジティブになると幸せになるのでしょうか? そもそもなぜ私たちは幸せになりたいのでしょうか? これらの答えを、このゲームに触れながら、進化心理学的に解き明かします。ネガティブになりがちな今だからこそ、ポジティブになることについて考え、「コロナ離婚」しない、幸せな夫婦のあり方、家族のあり方を一緒に探っていきましょう。 なんでポジティブなセリフを言い合うとポジティブになるの?このゲームのアイテムは、ポジティブなセリフが書かれた48枚のカードと30枚のチップを使います。ルールは、プレイ人数2~4人で、毎朝1~5枚ずつカードを引いて、そのカードに書かれたセリフを1日の間で「対戦相手」にどれだけ言えるかを1週間単位で競います。また、自分が引いたカードを「対戦相手」にアピールしてそのセリフを言ってもらうと、お互いにポイントになります。毎日の夕食の時など一緒にいる時に「対戦結果」を集計し、ポイントのチップをゲットして、勝敗を決めます。このゲームをし続けるうちに、プレイヤーはだんだんとポジティブになっていきます。ここから、この心理メカニズムを3つに分けて、ご説明しましょう。(1)言われると心地良く感じるたとえば、「素敵だね」というカードがあります。こう相手から言われると、どうなるでしょうか?1つ目は、私たちが美味しいものを食べた時と同じように、ポジティブなことを言われると心地良く感じるからです。これを心理学では、社会的報酬と言います。さらに、相手からポジティブに見られると、自分も相手をポジティブに見るようになります。これを心理学では、魅力の返報性(互恵性)と言います。(2)言われるとその良さを再認識するたとえば、「思いやりがあるね」というカードがあります。こう相手から言われると、どうでしょうか?2つ目は、ポジティブなことを言われるとその良さを再認識するからです。これを心理学では、リソースの発見と言います。これは、自尊心や自信を高めることにつながり、ポジティブになります。また、期待されるという暗示的な効果によって、その良さを生かすことに意識が向いて、実際にそのようになっていきます。これを心理学では、ピグマリオン効果と言います。なお、ピグマリオンとは、ギリシア神話に登場する彫刻家です。彼に恋をした石像が、その彼の期待に応えようと本物の人間の女性になったというストーリーにちなんでいます。日本のことわざの「ひょうたんから駒」や「嘘から出た真」にも通じます。(3)言い続けると癖になるたとえば、「一緒にいられて嬉しいな」というカードがあります。こう自分が言おうとすると、どうなるでしょうか?3つ目は、ポジティブなことを言い続けると癖になるからです。これは、カードのセリフを言うタイミングを見極めようと、そのセリフが頭の中を占めるようになることです。そして、相手の良さを探し出す発想が自分自身にも向き、自分も自分の良さに気付き、ポジティブ思考の「癖」が身に付きます。この考え方の「癖」を心理学では、認知(マインドセット)と言います。ある心理学者(ジェームズ・ランゲ)が、「悲しいから泣くのではない。泣くから悲しい」という名言を残しています。言い換えれば、「楽しいから笑うのではない。笑うから楽しい」です。これは、「笑う門には福来たる」という日本のことわざにも通じます。つまり、私たちは行動を変えることで、思考パターン(認知)を変えるができます。この思考パターンは、まさにスポーツや楽器演奏と同じく、練習すればするほどうまくなります。これは、心理カウンセリングでよく行われる認知行動療法です。認知とは、心のあり方そのものです。もっと言えば、どういう生き方をしたいのか、生き方そのものとも言えるでしょう。 なんでポジティブになると幸せになるの?幸せとは、健康(ウェルビーイング)と言い換えられます。ここから、ポジティブになると得られる健康を3つに分けて、紹介しましょう。(1)精神的な健康たとえば、「いつもそばにいるよ」というカードは、「自分は大丈夫」という自尊心(自尊感情)を高めます。「センスがいいね」というカードは、「自分はできる」という自信(自己効力感)を高めます。そして、「ワクワクするね」というカードは、「自分はこうしたい」という積極性(内発的動機付け)や目標意識(自己実現)を高めます。これの心理によって、たとえストレスにさらされても、解決しようと働きかけるようになります(ストレスコーピング)。これは、裏を返せば、心が折れにくくなります(レジリエンス)。1つ目は、うつ病などの精神障害を発症しにくくなる、つまり精神的な健康です。なお、レジリエンスの詳細については、末尾の関連記事1をご参照ください。(2)身体的な健康精神的な健康によって、ストレスを減らすことは、脳血管疾患や心血管疾患のリスクを減らします。また、免疫力を維持して、がんのリスクも減らします。2つ目は、寿命が延びる、つまり身体的な健康です。実際に、「修道女研究」によって、若年期にポジティブであることは長寿の傾向になることが示されています。これは、アメリカのある教会の修道女180人の若年期の日記の中にあるポジティブワードの割合を分析した研究です。結果として、順位付けた4つのグループの間で明らかな生存率の違いが判明しました。なお、修道女である理由は、質素な食事量、適度な運動、喫煙や飲酒などの嗜好品の禁止などが徹底されており、生活習慣が完全にコントロールされているからです。(3)社会的な健康たとえば、「あなたがいてくれて良かった」というカードは、「自分は周りから大切にされている」という自尊心(集団的アイデンティティ)から「周りを大切にしたい」という愛他性(利他性)を高めます。また、「人の心を動かせる人だね」というカードは、「自分たちは社会の役に立てる」という自信(集団的効力感)を高め、「自分たちは世の中の役に立ちたい」という社会貢献(向社会性)につながります。これが制度化されたものが、ソーシャルサポートであり福祉です(コミュニティ・レジリエンス)。3つ目は、ソーシャルサポート(福祉)が充実する、つまり社会的な健康です。実際に、宗教に入信している人は、一般の人よりも寿命が平均7年長いことが分かっています。その理由として、宗教というコミュニティに属することで、精神的な健康だけでなく、助け合いによるソーシャルサポートも得られることが指摘されています。また、対人魅力の研究によると、結婚相手に選ばれるのは、ネガティブな人よりもポジティブな人であることが分かっています。つまり、ポジティブであることは、それだけ社会、そして子孫が繁栄することが示唆されます。次のページへ >>

1013.

『コロナのせいにしてみよう。シャムズの話』~気鋭の医師が提唱する未病の新たな概念

 医学書の範疇に収まらないユニークな著書を数多く持つ國松 淳和氏(医療法人社団永生会南多摩病院 総合内科・膠原病内科)の最新作は『コロナのせいにしてみよう。シャムズの話』。6月下旬に行われた出版記念セミナーにおいて、國松氏がコロナ禍の中で本書の執筆に至った経緯や読者に伝えたいポイントについて語った。 本の主題となる「シャムズ(CIAMS: COVID-19/Coronavirus-induced altered mental status)」は國松氏の造語。新型コロナウイルス感染症の流行下にあって、コロナに感染していないのに、不安から実際に体調を崩したり、他者に攻撃的になったりといったマイナスの変化が生じている人が増えたことに気づいた氏が、そうした状況と人を総称するために名付けたという。「よく間違われるのですが、シャムズは医学用語でも病名でもなく、概念に近いもの。『あれ、この人いつもと何か違うな』と周囲の人が気づくものであり、病気ではないので医師が診る必要も医療機関に行く必要もない」と國松氏は解説する。 コロナにまつわる不安が精神的加重となり、心身に変化が起きている状態がシャムズであり、その対応法は「周囲の人が気づき、話しかけること」に集約される、という。普段通りの何気ない会話が不安を取り除き、本来のその人に戻る手助けとなる。「シャムズが疑われる人だけでなく、周囲の人に誰かれ構わず話しかけてみて欲しい。そもそも職場にも家庭にも雑談が足りなさ過ぎる」(國松氏)。さらに、自己のメンテナンスとしてテレビからの過剰な情報を遮断し、ラジオや音楽を聴くことを推奨する。「シャムズは病気ではないものの、放置しておくと精神疾患、とくに重いうつと自殺につながる可能性がある。多くの人にこの概念を知ってもらい、他者への目配りと自分のケアをはじめてもらえたら」と國松氏は語る。 本書は、一般向けに平易にまとめられているが、最前線で新型コロナの対応にあたる医療者も読者として想定されており、診療現場と自らのケアの両面で役立つ内容が含まれている。章末には「医療従事者のみなさんへ」として、シャムズについて医学的な理解を助けるための章も付加されている。『コロナのせいにしてみよう。シャムズの話』(國松 淳和、金原出版、2020年6月)セミナーのご案内 ケアネットでは、7月8日(水)に國松氏と札幌厚生病院病理診断科の市原 真氏の対談をライブストリーミング配信します。◆Dr.國松とDr.ヤンデルの『また来たくなる外来』トーク◆ 配信日:7月8日(水)20~21時 (事前申し込み不要・どなたでも視聴いただけます) ※7月9~15日までCareNeTVにて無料配信予定 詳細はこちら 過去の配信 Dr.國松とDr.ヤンデルの大真面目コロナトーク(会員登録不要・無料公開中)

1014.

混合性の双極性うつ病の小児・青年に対するルラシドンの有用性

 混合性(亜症候性躁病)の双極性うつ病の小児および青年の治療に対するルラシドンの有効性と安全性について、米国・スタンフォード大学のManpreet K. Singh氏らが、事後分析により評価を行った。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌オンライン版2020年5月8日号の報告。 DSM-Vで双極I型うつ病と診断された10~17歳の患者を対象に、6週間のランダム化二重盲検試験を実施した。対象患者は、ルラシドン20~80mg(フレキシブルドーズ)またはプラセボを1日1回投与する群にランダムに割り付けられた。混合性(亜症候性躁病)は、ベースライン時のヤング躁病評価尺度(YMRS)5以上と定義した。評価項目は、ベースラインから6週目までのChildren's Depression Rating Scale-Revised(CDRS-R)スコア(主要評価項目)および臨床全般印象度-双極性障害 重症度(CGI-BP-S)スコアとし、反復測定分析による混合モデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時に亜症候性躁病が認められた患者の割合は、54.2%であった。・ルラシドン治療は、亜症候性躁病の有無にかかわらず、6週間後のCDRS-Rスコアを有意に減少させた。 ●亜症候性躁病あり:ルラシドン(-21.5)vs.プラセボ(-15.9)、p<0.01、エフェクトサイズd=0.43 ●亜症候性躁病なし:ルラシドン(-20.5)vs.プラセボ(-14.9)、p<0.01、d=0.44・ルラシドン治療は、亜症候性躁病の有無にかかわらず、6週間後のCGI-BP-Sスコアを有意に減少させた。 ●亜症候性躁病あり:ルラシドン(-1.6)vs.プラセボ(-1.1)、p<0.001、d=0.51 ●亜症候性躁病なし:ルラシドン(-1.3)vs.プラセボ(-1.0)、p=0.05、d=0.31・治療中に認められた軽躁病および躁病の発生率は、ルラシドンとプラセボで同等であった。 ●亜症候性躁病あり:ルラシドン(8.2%)vs.プラセボ(9.0%) ●亜症候性躁病なし:ルラシドン(1.3%)vs.プラセボ(3.7%) 著者らは「ルラシドンは、混合性の双極性うつ病の小児・青年の治療に有効であり、治療に伴う躁病リスクを含む安全性プロファイルは、プラセボとの差が認められなかった」としている。

1015.

日本の実臨床におけるアリピプラゾール長時間作用型注射剤による統合失調症治療

 統合失調症患者のマネジメントでは、抗精神病薬治療の継続が重要である。藤田医科大学の岩田 仲生氏らは、日本の実臨床においてアリピプラゾール長時間作用型注射剤(アリピプラゾール月1回製剤、AOM)がアリピプラゾール経口剤(OA)と比較し、より長期間の治療継続に寄与できるかを評価するため、JMDCのレセプトデータベースを用いて検討を行った。Advances in Therapy誌オンライン版2020年6月4日号の報告。 2015年5月~2017年11月にAOMまたはOAで治療を開始した統合失調症患者を対象に、データ分析を行った。年齢、性別、抗精神病薬のクロルプロマジン換算量、精神科への入院回数で調整した後、AOMとOAの治療中止のハザード比(HR)を推定するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・分析対象患者数は、AOM群198例(平均年齢:38.4±11.9歳)、OA群1,240例(平均年齢:39.3±12.4歳)であった。・AOM群は、OA群と比較し、治療中止の可能性が有意に低かった(調整HR:0.54、95%CI:0.43~0.68)。・忍容性を有するOA群(983例)とすべてのAOM群を比較した場合、AOM群の治療中止の可能性は有意に低下した(調整HR:0.67、95%CI:0.53~0.86)。 著者らは「日本の実臨床における統合失調症患者へのAOMの使用は、より長期間の抗精神病薬による治療継続に寄与する可能性がある」としている。

1016.

薬理学的精神科治療の必要性に対する患者と医師のギャップ~横断的研究

 統合失調症患者には精神薬理学的治療が不可欠であるが、患者の薬物療法についてのニーズ、好み、不満に関するデータは限られている。さらに、これらの問題に対する精神科医の意識の程度(ニーズのギャップ)を評価する研究はこれまでなかった。東京都済生会中央病院の高橋 希衣氏らは、薬理学的精神科治療の必要性に対する患者と精神科医とのギャップについて調査を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年6月3日号の報告。 日本人統合失調症患者97例を対象に、精神薬理学的治療に関する必要性や不満、剤形、投与頻度、投与タイミングの好みに関連する多肢選択式の質問から構成された質問票による回答を求めた。さらに、担当の精神科医には、上記質問に対する患者の反応を予測するよう依頼した。 主な結果は以下のとおり。・精神薬理学的治療の必要性(軽減したいと思った症状)について「とくに何もない」と回答した患者が14例(16.7%)であった。この反応を正しく予測できた精神科医は23.1%であった。・精神薬理学的治療に関する不満について「とくに何もない」と回答した患者が17例(20.2%)であった。この反応を正しく予測できた精神科医は15.4%であった。・投与頻度、投与タイミング、剤形に対し患者に最も好まれたのは以下のとおりであった。 ●1日1回:56例(65.1%)、正しく予測できた精神科医59.8% ●就寝前:53例(61.6%)、正しく予測できた精神科医54.9% ●錠剤:51例(59.3%)、正しく予測できた精神科医64.6% 著者らは「精神科医が精神薬理学的治療に関する患者のニーズや不満を把握するためには、改善の余地が大きいことが示唆された」としている。

1017.

COVID-19に関連する医師のメンタルヘルスやストレス

 COVID-19のアウトブレイクによる医師の不安やストレス、抑うつレベルへの影響について、トルコ・Istanbul Medeniyet UniversitesiのRumeysa Yeni Elbay氏らが調査を行った。Psychiatry Research誌オンライン版2020年5月27日号の報告。 COVID-19アウトブレイクにおける医療従事者の心理的反応と関連要因を評価するため、オンライン調査を実施した。調査内容は、社会人口統計学的データ、個別の労働条件に関する情報、Depression Anxiety and Stress Scale-21(DAS-21)のセクションで構成した。 主な結果は以下のとおり。・調査対象442人中、各症状が認められた人数は以下のとおりであった。 ●うつ症状:286人(64.7%) ●不安症状:224人(51.6%) ●ストレス:182人(41.2%)・スコアの高さと関連していた要因は、女性、若年、独身、実務経験の少なさ、最前線での診療であった。・一方、子供がいることは、各サブスケールスコアの低さと関連していた。・最前線での診療に当たっていた医師において、DAS-21合計スコアの上昇と関連する要因は以下のとおりであった。 ●毎週の労働時間の増加 ●ケアするCOVID-19患者数の増加 ●同僚や上司からのサポートレベルの低さ ●後方支援の低下 ●COVID-19関連タスクでの技量に対する不安 著者らは「本調査結果は、世界中の社会に多大な影響を与える災害と闘う中で、医師のメンタルヘルスを守るために注意すべき要因を強調するものである」としている。

1018.

血清葉酸レベルと統合失調症の性別に基づく関連性

 血清葉酸濃度に性差があることはよく知られているが、血清葉酸レベルと統合失調症の関連性を性別に基づいて調査した研究はこれまでなかった。徳島大学の富岡 有紀子氏らは、日本人を対象に、性別で層別化した統合失調症患者と精神疾患でない健康な対照者における血清葉酸レベルの違いを調査した。以前の研究データを用いて、血清葉酸レベル、血漿総ホモシステイン(tHcy)、血清ビタミンB6(ピリドキサール)レベルとの関係も調査した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2020年5月23日号の報告。 統合失調症患者482例および精神疾患でない健康な対照者1,350例の血清葉酸濃度を測定した。性差に基づく両群間の血清葉酸レベルの違いを調査するため、共分散分析を用いた。葉酸、 tHcy、ビタミンB6レベルとの関係を評価するため、スピアマンの順位相関係数を用いた。 主な結果は以下のとおり。・対照群では、男性よりも女性において、血清葉酸濃度が高かった。・統合失調症群では、男女ともに血清葉酸レベルが低かった。・血清葉酸レベルとtHcyとの逆相関、血清葉酸レベルとビタミンB6との弱い正の相関が認められた。 著者らは「性別に関係なく、低血清葉酸レベルと統合失調症が関連していることから、統合失調症治療において、葉酸の投与が有益であると考えられる。血清葉酸レベルが低い統合失調症患者に対して葉酸の投与を行うことで、高tHcyおよび低ビタミンB6レベルが改善する可能性がある」としている。

1019.

統合失調症外来患者における抗精神病薬の高用量処方に関連する要因

 抗精神病薬は、複数の向精神薬と併用し、高用量で処方されることが一般的である。京都大学の高橋 達一郎氏らは、統合失調症患者に対する抗精神病薬の高用量処方に焦点を当て、患者の特徴および向精神薬併用との関連を特定するため調査を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年5月26日号の報告。 2014年10月~2015年3月の全国都道府県からの請求データを用いて、統合失調症成人外来患者の抗精神病薬処方を調査した。客観的変数は、高用量処方の有無とした。説明変数には、性別、年齢(カテゴリー)、併存疾患の有無、精神科医による治療を含めた。 主な結果は以下のとおり。・除外後の対象患者は、1万3,471例であった。・高用量処方の頻度は男性で高く、クロルプロマジン換算量が最も多かった年齢範囲は、男性で45~54歳、女性で35~44歳であった。・65歳未満の脳血管疾患患者では、高用量処方が少なかった。・65歳未満の患者では、向精神薬の併用頻度が高かった。 著者らは「統合失調症患者では、高用量の抗精神病薬が向精神薬と併用されることが少なくない。症状が改善した患者のケアのために、抗精神病薬の高用量処方を避けるべく、医師の処方行動を評価する必要性がある」としている。

1020.

うつ病、不安症、PTSD歴と認知症リスク~メタ解析

 うつ病、不安症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)は認知症と関連しているといわれているが、これらが認知症のリスク因子(因果関係または前駆症状)、併存疾患、後遺症(2次的影響)であるのかはわかっていない。これまでのメタ解析では、すべての原因による認知症、アルツハイマー病(AD)、血管性認知症(VaD)とうつ病や不安症との関連は調査されているものの、PTSDやレビー小体型認知症(DLB)、前頭側頭型認知症(FTD)との関連は考慮されていなかった。オーストラリア・アデレード大学のJ. K. Kuring氏らは、精神疾患と認知症との関連をより理解する目的で、臨床的に有意なうつ病、不安症、PTSD歴を有する人とそうでない人におけるAD、VaD、DLB、FTD、すべての原因の認知症発症リスクを調査するためのメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年5月21日号の報告。 PubMed、EMBASE、PsycINFO、CINAHLを検索し、適格研究36件を特定した。 主な結果は以下のとおり。・うつ病歴がある人は、ない人と比較し、すべての原因による認知症、ADの発症リスクが高かった。・不安症歴のある人は、ない人と比較し、すべての原因による認知症の発症リスクが高かった。・PTSD歴は、その後の認知症発症リスクとの関連が認められなかった。・なお、不安症、PTSD、DLB、FTDに関するデータは限られていた。 著者らは「うつ病や不安症は認知症のリスク因子の可能性があるが、このリスクの因果関係または前駆症状を評価するためには、成人期(若年成人、中年、高齢)にわたる縦断的研究が必要である。精神疾患の新規発症および既往歴のある高齢者における認知機能変化の定期的なスクリーニングは、認知症の早期発見に役立つ可能性がある」としている。

検索結果 合計:2851件 表示位置:1001 - 1020