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統合失調症の陰性症状と関連する「努力コスト」の障害とは?

 統合失調症の陰性症状である動機づけ障害は、努力コスト(effort cost)の算出機能の障害と関連している可能性を、米国・メリーランド大学のJames M. Gold氏らが報告した。結果を踏まえて著者は「努力コストは、徐々に意欲を蝕む可能性があるようだ」と結論している。Biological Psychiatry誌2013年7月15日号の掲載報告。 意思決定の研究において、「努力コスト」が影響する反応では、選択的な反応が認められることが示されている。努力コストは、前帯状皮質やドパミンニューロンの皮質下ターゲットなどの分散処理神経回路を介して算出されていると考えられているという。研究グループは、統合失調症ではこれらシステムが障害されているというエビデンスに基づき、努力コストの算出機能が、統合失調症患者では障害されていること、およびその障害が陰性症状と関連しているかについて調べる、努力コストの意思決定評価を行った。統合失調症患者と人口統計学的に適合した対照被験者について、コンピュータタスクの試験を行った。連続30試験を提示し、20ボタンを押せば1ドルを、100ボタン以上を押せば3ドルから7ドルを得られる選択肢が与えられた。また、報酬レシートの確実性という試験で、確実(100%)または非確実(50%)な報酬が努力コストという発想に基づく意思決定に影響を与えたかどうかについても評価を行った。 主な結果は、以下のとおり。・患者群44例、対照群36例を対象とした。・患者群は対照群と比較し、報酬が100%確実であるという環境下において、高い努力コストの選択肢を選ぶことが少なかった。とくに支払対価が高い選択肢(6ドル、7ドルなど)で少なかった。・報酬が50%確実であるという環境下においても、同様の結果が得られた。・さらに、これらの努力コスト算出の障害は、陰性症状が高い患者において、最も大きかった。・ハロペリドールの投与量との関連はみられなかった。関連医療ニュース 統合失調症の陰性症状有病率、脳波や睡眠状態が関連か 陰性症状改善に!5-HT3拮抗薬トロピセトロンの効果は? 統合失調症では前頭葉の血流低下による認知障害が起きている:東京大学

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うつ病に対する重点的介入により高齢者の死亡率が低下する(コメンテーター:小山 恵子 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(118)より-

高齢者のうつ病は、高齢者の自殺と密接に関連するばかりでなく、さまざまな身体疾患や健康問題への影響が指摘されている。うつ病患者において、糖尿病や心血管疾患に対する治療やセルフケアへのアドヒアランスが不良になること、身体活動が低下することなどの要因が、死亡率を高めることにつながると考えられている。 本研究では、米国3ヵ所のプライマリ・ケア医療機関20施設を、通常治療群(10施設)と介入群(10施設)に無作為に割り付け、うつ病高齢患者に対する重点的ケアによる死亡リスク抑制効果について検証している。結果として、うつ病治療専門員(depression care manager; ソーシャルワーカー、看護師、心理士などからなる)が重点的に関わってプライマリ・ケア医の治療をサポートすることにより、うつ病患者の死亡率が低下することが示されている(フォローアップ期間中央値98ヵ月)。 わが国においても高い自殺率への危機意識から、かかりつけ医を対象としたうつ病対応力向上研修講座が行われたり、高齢者のうつを予防し、早期発見・早期治療に資することを目的としてうつ予防・支援マニュアルが作成されたりなど、さまざまな保健医療サービス資源を巻き込んだ取り組みが地域でなされるようになっている。こういった取り組みが、要介護・要支援高齢者の減少やひいては死亡率の減少につながっていくのかどうかについての検証はこれからだが、本論文はうつ病高齢者への重点的な取り組みを鼓舞する結果を示していると言えよう。 ただし、本研究では、一定の教育を受けたうつ病治療専門員が症状や薬の副作用、治療へのアドヒアランスなどについてモニタリングするだけではなく、標準的ガイドラインに沿って抑うつ症状の改善度に応じて抗うつ薬の増量や変更を検討するなど、かなり踏み込んだ役割を果たしていることに注意が必要である。医療体制が異なるわが国において、財源や人的資源とのバランスも考慮してどのような介入ができるのかは、今後の検討課題であろう。

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うつ病は、脳卒中発症リスクと顕著に関連

 スウェーデン・カロリンスカ研究所のIffat Rahman氏らは、うつ病ならびに抗うつ薬使用が及ぼす心血管疾患(CVD)発症への影響について、脳卒中と冠動脈疾患に分けて検討を行った。その結果、抗うつ薬を使用していないうつ病患者でCVD発症リスクが高く、脳卒中との間に顕著な関連がみられることを報告した。European Journal of Epidemiology誌オンライン版2013年7月9日号の掲載報告。 うつ病がCVDの発症リスクを高めることは、多くの研究で示されている。抗うつ薬の使用とCVD発症との関連についても過去に検討されているが、その結果は相反するものであった。また、うつ病ならびに抗うつ薬の使用とCVD発症リスクとの関連は、脳卒中よりもむしろ冠動脈疾患との関連においてより広く研究されていた。それら先行研究を踏まえて、研究グループは、スウェーデン人高齢者双生児3万6,654例からなる集団ベースのコホート研究を実施した。追跡期間は最長4年間であった。治療内容、アウトカム、共変数に関する情報は、スウェーデン全国患者登録、スウェーデン処方薬登録およびスウェーデン双子登録から収集した。 主な結果は以下のとおり。・うつ病と、抗うつ薬使用は、両者ともCVD発症と関連していた。・抗うつ薬を使用していないうつ病患者のリスクが、最も高かった(ハザード比:1.48、CI:1.10~2.00)。・CVDの2つの主要なアウトカムである冠動脈疾患と虚血性脳卒中を別々に評価したところ、冠動脈疾患のない虚血性脳卒中において顕著な関連が認められた。・ベースライン時より10年以上前にうつ病と診断された場合に限った検討でも、うつ病と脳卒中との間に有意な関連が維持されていた。・本研究の結果は、うつ病がCVD発症に関連しうるリスクファクターであることを支持している。・さらに、CVDアウトカムに対するハザード比は抗うつ薬を使用していないうつ病患者で最も高いこと、うつ病との関連は脳卒中において著しいこと、冠動脈疾患との関連は薄いことが明らかとなった。関連医療ニュース 抗うつ薬による治療は適切に行われているのか?:京都大学 抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大 抑うつ症状改善に“手紙による介入”は効果的か?:京都大学で試験開始

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アリピプラゾール経口剤⇒注射剤への切り替え、その安全性は?

 米国・カリフォルニア大学のSteven G. Potkin氏らは、経口抗精神病薬から月1回投与の持続性注射剤アリピプラゾールに切り替える際の安全性と忍容性の評価を行った。その結果、経口抗精神病薬の中間安定期を経ることなく、月1回投与のアリピプラゾールに安全に切り替え可能であることが示されたことを報告した。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2013年7月3日号の掲載報告。 本試験は、経口抗精神病薬から月1回投与の持続性注射剤アリピプラゾールに切り替える際の安全性と忍容性を評価する目的で行われた。登録対象は、アリピプラゾール以外の経口非定型抗精神病薬治療を受けており、アリピプラゾールの忍容性が確認されている統合失調症患者とした。まず、スクリーニング期に、主治医の判断で固定用量の経口非定型抗精神病薬を14日間以上投与した。その後、服用中の経口非定型抗精神病薬を中/低用量に減量して14±1日間併用しつつ、月1回投与のアリピプラゾール(400 mg)による治療を開始した。28日間の治療期における安全性と忍容性を評価した。また、投与開始7、14、28日目に血漿中アリピプラゾール濃度を測定し、薬物動態を評価した。 主な結果は以下のとおり。・登録被験者は60例であった。・治療期間中、経口オランザピン(3例)、クエチアピン(28例)、リスペリドン(24例)、ジプラシドン(5例、国内未承認)の併用を継続した。これら併用経口抗精神病薬の投与期間は0~15日間とさまざまであった。・忍容性は良好であった。最も高頻度に発現した治療関連有害事象(TEAEs)は、注射部疼痛と歯痛であり(各々 4/60例、6.7%)、次いでジストニア、疲労、血清クレアチンホスホキナーゼ(CPK)上昇、不眠および不穏であった(各々 3/60例、5.0%)。・TEAEsの大半は、経口抗精神病薬併用後、最初の8日間に出現した。・臨床検査値または空腹時の代謝パラメータにおいて、臨床的に意味のあるベースラインからの変化は認められなかった。・精神症状は安定していた。・血中アリピプラゾール濃度は、経口アリピプラゾール連日投与のデータと同様であった。・月1回投与のアリピプラゾールをアリピプラゾール以外の経口抗精神病薬と併用した際の有害事象プロファイルは、既報告と一致するものであった。・前治療の非定型抗精神病薬の種類および投与期間にかかわらず有害事象は同様であり、経口抗精神病薬の中間安定期を経ることなく、月1回投与のアリピプラゾールに安全に切り替え可能であることが示された。・なお、試験デザイン(オープンラベル、短期間)と患者集団(男性、アフリカ系アメリカ人が圧倒的多数)の側面から、これら知見を一般化するには限界があった。関連医療ニュース 統合失調症へのアリピプラゾール持効性注射剤、経口剤との差は? どのタイミングで使用するのが効果的?統合失調症患者への持効性注射剤投与 青年期統合失調症の早期寛解にアリピプラゾールは有用か?

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寝室での夜間光曝露がうつ病に関連

 現代生活では夜間光曝露が増加しているが、夜間光曝露はサーカディアンリズム(生体の概日リズム)の変調に関連している。しかし、家庭における夜間光曝露がうつ病と関連しているかどうかは不明である。今回、奈良県立医科大学地域健康医学講座の大林 賢史氏らが高齢者を対象とした研究の横断解析を行った結果、一般の高齢者において自宅の夜間光曝露が抑うつ症状に有意に関連することが示唆され、寝室を夜間暗く保つことによってうつ病のリスクが低下する可能性が示された。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2013年7月12日号に報告。 著者らは、高齢者516人(平均年齢72.8歳)において、夜間尿中メラトニン排泄量と夜間の寝室および日中光の曝露照度を測定した。抑うつ症状は老年期うつ尺度を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・夜間曝露照度中央値は0.8ルクスであった(四分位範囲:0.2~3.3)。・日中光曝露、不眠、高血圧、睡眠時間、身体活動を調整した多変量ロジスティック回帰モデルにより、うつ群(n=101)は非うつ群(n=415)と比べて、夜間光曝露(平均照度5ルクス以上)の割合が有意に高いことが認められた(調整オッズ比[OR]:1.89、95%信頼区間[CI]:1.10~3.25、p=0.02)。・同様に、夜間光曝露のもう1つのパラメータ(10ルクス以上の時間:30分以上)の割合も、非うつ群に比べてうつ群で有意に高いことが認められた(調整OR:1.71、95%CI:1.01~2.89、p=0.046)。・一方、尿中メラトニン排泄量と抑うつ症状の間に有意な関連は認められなかった。

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抑うつ症状改善に“手紙による介入”は効果的か?:京都大学で試験開始

 「高齢うつ病患者に対し手紙を出すという介入で、抑うつ状態を改善できるのか」というプラグマティックな無作為化試験が、京都大学東南アジア研究所フィールド医学の今井必生氏、同教授・松林公蔵氏らにより開始された。「手紙による介入」は1976年に米国で、大うつ病退院患者の自殺予防を目的に初めて行われたが、地域在住の抑うつ状態の高齢者への適用は本試験が初めてだという。Trials誌オンライン版2013年7月9日号で、その試験概要が報告された。 米国で行われた手紙による介入試験は、5年間で24通の手紙を出したというもので、介入後2年間の自殺率が有意に減少し、全体では13年間にわたり介入群の自殺率が低かったことが認められたという。同様の手法を用いた試験はその後、イスラエル、オーストラリアでも行われ(目的は過量服薬または自傷行為防止、計3試験)、介入群に有意な効果が認められたことが報告されていた。 今回、抑うつ状態の高齢者に同介入を試みることについて、研究グループは「高齢者における抑うつはQOLを低下させ、罹病率や死亡率、さらに医療費を増大している。この疾患負荷への対策は、医学的政策と社会的政策が相まったものでなければならないが、既存の研究のほとんどが長期にわたる精神療法をベースとしたもので、なおかつそれらは地域での応用には不適当なものである」ことが背景にあると述べている。手紙による介入に着目した理由としては、「人的および予算的コストがほとんどかからない」ことを挙げている。そして、「本研究で、手紙による介入が有効であることが実証されれば、地域での介入のマイルストーンになるだろう」としている。 本試験の主な概要は以下のとおり。・試験デザインは、プラグマティック非盲検並行群間比較無作為化試験である。・試験地は、高齢化が進んだ地方の町(四国の中央部、人口4,407人、65歳以上高齢者割合38.8%、農業と林業が主産業)とする。・被験者適格条件は、「地域在住の高齢者(65歳以上)」「社会的支援が限られている(食事を一人でとっている)」「うつ症状が認められる(GDS-15得点が4点以上)」とする。・介入の手紙の送付は、月1回、8ヵ月間行われた。送られる手紙は、手書きのメッセージ(被験者の返信があればそれに答えるなど、社会的関係性や自尊心を高める内容)と、時候だよりのプリント(京都からの季節の挨拶やイベントニュースなどを知らせる内容)から構成される。また、返信用封筒(利便性を考慮して宛名、切手貼付をしておくが、返信は任意)も同送する。・主要アウトカムは、GDSスコアの変化で、毎年1回実施される住民健診の際に測定する。・副次アウトカムは、視覚アナログスケールで測定したQOL、自己評価基本ADL、自己評価進行ADLとする。・その他、受容性の検証として被験者は介入を有効と感じたか、ならびに記憶している受け取った手紙の回数、返信した回数も調べる。・被験者数は、70%脱落を想定して180例登録を予定している。関連医療ニュース 抗うつ薬による治療は適切に行われているのか?:京都大学 うつ病治療に「チューインガム」が良い!? 抑うつ症状は、がん罹患有無に関係なく高齢者の死亡に関連

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統合失調症、双極性障害の家族特性を検証!

 米国・ロザリンドフランクリン医科学大学S. Kristian Hill氏らは、統合失調症と双極性障害の神経心理学的機能障害の特徴について調べた。その結果、両疾患ともに強い認知障害が認められ、それは家族性であること、一親等の認知機能障害は、統合失調症よりも双極性障害においてより緊密にパーソナリティ障害と関連していることなどを報告した。American Journal of Psychiatry誌オンライン版2013年6月17日号の掲載報告。 家族性の神経心理学的機能障害は統合失調症では立証されているが、その他の精神障害においては明らかにされていない。研究グループは、Bipolar and Schizophrenia Network on Intermediate Phenotypes(B-SNIP)の登録者データから、次の4つについて検討した。(1)統合失調症と双極性障害における認知障害の比較、(2)精神病性障害の認知機能障害連続モデルの検証、(3)精神病性障害における認知障害の家族性についての報告、(4)非精神病の家族(クラスターA人格特性を有する人と有さない人)における認知障害の評価であった。 分析の対象は、統合失調症(293例)、双極性障害(227例)、統合失調感情障害(躁型:110例、うつ型:55例)、それら患者の一親等家族(各316例、259例、133例、64例)、および健常対照被験者(295例)であった。全員が統合失調症認知評価尺度(BACS)による神経心理学的評価を受けた。主な結果は以下のとおり。・精神病の家系的発端者の認知障害は、健常対照と比較して、双極性障害(z=-0.77)、統合失調感情障害(躁型:z=-1.08、うつ型:z=-1.25)、統合失調症(z=-1.42)の順で強かった。・BACSサブテストのプロファイルは、疾患全体で同等性を示した。・障害の家族性は、統合失調症と双極性障害で有意であり、両疾患で匹敵していた。・とくに興味深かったのは、クラスターA人格特性を有する家系的発端者の親族では、発端者の疾患にかかわらず神経心理学的障害が同程度であることであった。・統合失調症かつクラスターA人格特性を有さない家系的発端者の非精神病家族において、有意な認知障害がみられた。一方、家系的発端者が双極性障害で、かつ人格特性を有さない場合、その家族で認知障害は示されなかった。関連医療ニュース 統合失調症では前頭葉の血流低下による認知障害が起きている:東京大学 ベンゾジアゼピン系薬物による認知障害、α1GABAA受容体活性が関与の可能性 治療抵抗性の双極性障害、認知機能への影響は?

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青年期統合失調症の早期寛解にアリピプラゾールは有用か?

 青年期の統合失調症に対するアリピプラゾール(商品名:エビリファイ)の症状改善は、服用開始後早期にみられ、寛解を予測する時期は服用開始3週時点が最も適切であることが、米国・ザッカーヒルサイド病院のChristoph U. Correll氏らによる無作為化二重盲検プラセボ対照試験の事後解析の結果、明らかにされた。Journal of the American Academy of Child & Adolescent Psychiatry誌2013年7月号(オンライン版2013年6月5日号)の掲載報告。 成人の慢性統合失調症において、症状改善の大半は抗精神病薬服用後2、3週に認められ、2週時点で無反応の場合は、その後の無反応が予測される。研究グループは、そのようなデータ(抗精神病薬に対する反応の軌跡と、早期の抗精神病薬効果から最終的なアウトカムが予測されることについて)が、いまだ得られていない青年期の統合失調症について調べることを目的に、6週間にわたる無作為化二重盲検プラセボ対照試験の事後解析を行った。被験者は、13~17歳の統合失調症患者(アリピプラゾール群196例、プラセボ群98例)であった。アリピプラゾール治療により重大症状の改善が服用開始直後の2、3週間で認められるのか、および早期反応(ER:PANSS総スコア改善≧20%)vs.早期無反応(ENR:同改善<20%)の臨床アウトカムの予測について評価した。評価は、服用開始2週時点(ER2/ENR2)と3週時点(ER3/ENR3)について行い、また最終的な反応はPANSS総スコア改善≧40%とした。 主な結果は以下のとおり。・2週時点までに50%近いPANSS総スコア改善の達成が認められた。3週時点までには最大75%のPANSS総スコア改善達成が認められた。・ER2/ER3群は、ENR群よりも、PANSS総スコア、PANSSの陽性・陰性サブスケールスコア、至適な機能的アウトカムの改善が有意に大きかった。・概してER3のほうがER2よりも、アウトカム予測についての感度、特異度、陽性・陰性適中率が良好であった。・6週時点の寛解達成は、ER2群はENR2群よりも8.8倍(95%CI:4.0~19.4)、ER3群はENR3群よりも8.6倍(同:4.5~16.6)有意に多かった(p<0.0001)。有害事象の発生は同程度であった。・以上のように、成人の慢性統合失調症と同様に、早期の青年期統合失調症においても、アリピプラゾール治療開始早期で大半の症状が改善された。また3週時点の改善が、臨床アウトカムを予測するのに最も適切であった。・これらの結果を踏まえて著者は、「試験を延長して実施する必要はあるが、今回の試験の結果は、臨床意思決定に活かしてよいであろう」と結論している。関連医療ニュース アリピプラゾールと気分安定薬の併用、双極性障害患者の体重増加はどの程度? 早期統合失調症、認知機能にGABA作動性抑制が関連 小児双極I型障害に対するアリピプラゾールの効果は?

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統合失調症では前頭葉の血流低下による認知障害が起きている:東京大学

 前頭前野は、ワーキングメモリのような基本的な認知機能に関連する。一方で吻側野は、認知機能と現実社会の活動性とを統合する機能を有する。東京大学の小池 進介氏らは、統合失調症患者における、ワーキングメモリタスク中の血流変化を測定し検討した。その結果、統合失調症では前頭葉の血流低下による認知障害が示唆された。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2013年6月3日号の掲載報告。 東京大学の小池 進介氏らは、統合失調症患者と健常対照者について、ワーキングメモリタスク中の血流変化を測定し比較検討した。その結果、両群では対照的な変化がみられ、健常対照者では腹外側前頭前野(VLPFC)の両側性に有意な血流増大がみられたが、統合失調症患者では認められなかった。また、健常対照者では背外側前頭前野(DLPFC)や前頭極皮質(FpC)の血流は有意に低下するが、統合失調症患者の同分野では広範囲に血流増大が認められたことを報告した。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2013年6月3日号の掲載報告。 DLPFCやVLPFCを含む前頭前野は、ワーキングメモリのような基本的な認知機能に関連する。一方でFpCのような吻側野は、認知機能と現実社会の活動性とを統合する機能を有する。機能的MRIによる先行研究において、認知負荷の変化に対するDLPFC活性パターンが、統合失調症患者と健常対照者では、異なることが示されていた。しかし、前頭前野と吻側野との関連について、非限定的条件下における評価はなされていなかったという。 研究グループは、統合失調症患者と健常対象者について、異なる認知負荷を与えるNバック課題ワーキングメモリタスク中の血流変化を、多チャンネル近赤外線分光法(NIRS)を用いて測定し、両群の脳内活性について評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、統合失調症患者26例、健常対照者(年齢、性、プレ発症知能で適合)26例であった。・健常対照者は、両側性VLPFCでは有意なタスク関連の血流増大を示し、DLPFCでは有意なタスク関連の血流低下が示された。認知負荷のタスクがより大きくなるほど、より強いシグナル変化が認められた。・対照的に統合失調症患者は、両側性DLPFCとFpCを含む広範囲の吻側野において血流増大が認められた。しかし、認知負荷増大に関連した血流の低下および増大は、いずれもみられなかった。・今回の多チャンネルNIRS研究の結果、統合失調症患者では認知負荷と関連した血流増大はみられなかったことが示された。すなわち統合失調症では、前頭葉の血流低下による認知障害が示唆された。・また、統合失調症患者では、両側性DLPFCとFpCというより広範な前頭前野における血流増大が認められた。それは前頭葉の血流増大を補完的に図る反応であることが示唆された。関連医療ニュース 早期統合失調症、認知機能にGABA作動性抑制が関連 治療抵抗性の双極性障害、認知機能への影響は? アルツハイマー病の進行抑制に関わる脳内分子を特定

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抑うつ症状は、がん罹患有無に関係なく高齢者の死亡に関連

 ノルウェー・ベルゲン大学のJorunn Drageset氏らは、介護施設に入居中の認知機能低下を認めない高齢者を対象に、がんの有無別に不安と抑うつ症状の死亡への影響を検討した。その結果、がんの有無にかかわらず、抑うつ症状は認知機能低下を認めない介護施設入居者の死亡率に関連していることを報告した。Cancer Nursing誌2013年7-8月号の掲載報告。 介護施設に入居中の認知機能低下を認めない高齢者において、がんの有無別に不安と抑うつ症状の死亡への影響を検討した研究は少ない。本研究は、不安または抑うつが生存率と関連しており、がんに罹患していない者に比べがんに罹患している者に対して、より大きな影響を及ぼすのではないかという仮定の下で実施された。介護施設30施設の、認知機能低下を認めない(Clinical Dementia Rating scale score≦0.5)高齢入居者コホート227例(がん罹患60例、がん非罹患167例)について、2004~2005年から2010年まで追跡調査を行った。データは面談により収集した。不安および抑うつは、Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS)サブスケールを用いて評価し、診療録を基に社会人口統計学的背景ならびに既往歴を特定した。 主な結果は以下のとおり。・5年後の全生存率は、がん罹患者が17%、がん非罹患者が22%であった。・抑うつは、がん罹患と独立して生存不良と有意に関連していた。・がんに罹患していて不安症状のある者(サブスコア最低値8)は、不安症状のない者に比べ生存率が不良であったが(p=0.02)、この傾向はがん非罹患者では認められなかった。・以上のことから、がんの有無にかかわらず、抑うつ症状は認知機能低下を認めない介護施設入居者の死亡率に関連していることが明らかになった。また、がんに罹患しており不安症状を有する場合は、生存期間がより短くなることが予測された。関連医療ニュース 皮膚がんとの関連研究で判明!アルツハイマー病に特異的な神経保護作用 がん患者のせん妄治療に有効な抗精神病薬は… 高齢者介護ロボット、認知症対応でも効果を発揮できる?

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リチウムが気分障害患者の自殺リスクを低減/BMJ

 リチウムは気分障害患者における自殺リスクの抑制に有効な治療法であることが、イタリア・ベローナ大学のAndrea Cipriani氏らの検討で示された。精神疾患の中でも、単極性障害(うつ病エピソード)および双極性障害(躁病もしくは軽躁病で、通常、中等度のうつ病エピソードを伴う)からなる気分障害は自殺リスクが最も高いとされる。自殺予防戦略における薬物療法の役割は相対的に小さいが、抗精神病薬の効果は過小評価されている可能性があるという。気分障害患者におけるリチウムの自殺や自傷の予防効果は、これまで知られていなかった。BMJ誌オンライン版2013年6月27日号掲載の報告。自殺、自傷行為の予防効果をメタ解析で評価 研究グループは、単極性および双極性の気分障害患者におけるリチウムによる自殺、自傷行為の予防効果を評価するために、系統的なレビューとメタ解析を行った。 文献の収集には、医学文献データベース、ウェブベースの臨床試験レジストリー、主要教科書、製薬会社のウェブサイトなどを利用し、重要論文の著者や専門家にも問い合わせた。対象は、2013年1月までに発表された、気分障害の長期治療においてリチウムとプラセボまたは実薬を比較した無作為化対照比較試験とした。 主要評価項目は、自殺完遂、意図的自傷行為の実行、全死因死亡であった。全般的に実薬より良好な傾向も 1968~2013年までに発表された48件の無作為化対照比較試験の論文から抽出された6,674例が解析の対象となった。対照は、プラセボ(24件)のほか、アミトリプチリン、カルバマゼピン、バルプロ酸など14の実薬(24件)であった。フォローアップ期間中央値は19.1ヵ月。 プラセボ対照試験の解析では、自殺者数はリチウム群が244例中0例と、プラセボ群の241例中6例に比べ有意に低下した(Peto法によるオッズ比[OR]:0.13、95%信頼区間[CI]:0.03~0.66、p=0.01)。 全死因死亡数もリチウム群が392例中5例と、プラセボ群の390例中14例よりも有意に良好であった(OR:0.38、95%CI:0.15~0.95、p=0.04)が、自傷行為者数はそれぞれ623例中10例、608例中16例で、リチウムによる明確な予防効果は認めなかった(同:0.60、0.27~1.32、p=0.21)。 単極性障害に限定した解析では、自殺者数はリチウム群が143例中0例、プラセボ群は137例中5例(OR:0.13、95%CI:0.02~0.76、p=0.02)、全死因死亡数はそれぞれ291例中4例、286例中12例(同:0.36、0.13~0.98、p=0.04)であり、いずれもリチウム群で有意に良好であった。 実薬対照試験の解析では、全般的にリチウム群は他の実薬よりも有用性が良好な傾向が認められたが、リチウムが統計学的に有意に優れたのはカルバマゼピンと比較した試験の自傷行為数のみであった(139例中0例 vs 146例中5例、OR:0.14、95%CI:0.02~0.83、p=0.03)。 著者は、「リチウムは気分障害患者における自殺リスクの低減に有効な治療法である」と結論づけ、「リチウムは、気分障害の再発を抑制することで抗自殺作用を発揮する可能性があるが、攻撃性や衝動性を低下させるとのエビデンスがあることから、抗自殺作用を誘導する他の付加的メカニズムも考慮すべき」と指摘している。

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統合失調症患者へのセロトニン作動薬のアドオン、臨床効果と認知機能を増大

 抗精神病薬治療中の統合失調症患者に対し、選択的セロトニン5-HT6受容体拮抗薬の追加併用療法は、抗精神病効果および一部の認知機能(注意力)を増大することが、ロシア医科学アカデミー国立精神保健センターのMorozova MA氏らによるパイロット試験の結果、報告された。CNS Spectrums誌オンライン版2013年6月17日号の掲載報告。 統合失調症患者へのアドオン治療として、セロトニン作動薬は有望視されている。研究グループは、抗精神病薬治療により症状が安定している統合失調症患者において、選択的セロトニン5-HT6受容体拮抗薬のAVN-211(CD-008-0173)が、臨床的および認知機能的効果を増大するかを明らかにすることを目的に、無作為化二重盲検プラセボ対照試験のパイロット試験を4週(4r-week)にわたって行った。治療効果は、臨床的評価スケールと注意力テストにて測定した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は47例(試験薬追加併用群21例、プラセボ併用群26例)であり、そのうち併用群17例、プラセボ群25例が試験を完了した。・陽性・陰性症状スケール(PANSS)について、ベースラインでは両群に差はみられなかったが、試験終了時点では陽性サブスケールスコアについて有意差が認められ(p=0.058)、試験薬併用群の症状がより改善していた。・PANSS陽性サブスコア(p=0.0068)、臨床上の医師の印象による重症度(CGI-S)スコア(p=0.048)は、治療群のみにおいて有意な変化がみられた。・プラセボ群だけでみられた有意な変化は、カルガリー抑うつ評価スケール(CDRS)総スコアであった。・注意力テストの結果は試験終了時においても両群間の差を認めなかった。ただし、ウェクスラー成人知能検査(WAIS)のサブテストVIIIの結果は例外であり、試験薬群において有意に変化が大きかった(p=0.02)。・試験薬併用群内のみにおいて、選択的および持続的注意力の有意な変化が認められた。標準注意検査法(CAT)において、総正解率(p=0.0038)、反応時間(p=0.058)で有意な変化がみられた。関連医療ニュース 精神科薬物治療で注目される5-HT1A受容体 統合失調症患者に対するフルボキサミン併用療法は有用か?:藤田保健衛生大学 抗精神病薬へのNSAIDs追加投与、ベネフィットはあるのか?

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小児および思春期うつ病に対し三環系抗うつ薬の有用性は示されるか

 オーストラリア・トーマスウォーカー病院のPhilip Hazell氏らは、小児および思春期うつ病に対する三環系抗うつ薬の有効性を評価することを目的に、Cochrane reviewの最新版について報告を行った。その結果、小児うつ病の治療に三環系抗うつ薬は有用でなく、思春期患者に対してはその使用を支持するエビデンスはわずかであることを報告した。成人のうつ病に三環系抗うつ薬は有効であるが、小児および思春期患者を含む個別の研究においては疑問の余地が残されており、これら患者集団への処方は一般的ではない。研究グループは、小児および思春期のうつ病に対する三環系抗うつ薬の有効性を正確に評価することは、同世代のうつ病における他の薬剤治療の有効性と比較するうえでも有用であるとして本レビューを行った。Cochrane database of systematic reviewsオンライン版2013年6月18日の掲載報告。 小児および思春期うつ病に対する三環系抗うつ薬の効果をプラセボと比較検討するとともに、これら患者集団で三環系抗うつ薬に対する反応性に相違があるか否かを評価することを目的として、Cochrane reviewを行った。同様の検討は2000年に最初の報告がなされ、以降2002年、2006年、2010年と更新されており、本報告は最新版である。2013年4月12日までのCochrane Depression, Anxiety and Neurosis Review Group's Specialised Register(CCDANCTR)を基に検索を行った。CCDANCTRには、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(すべての年)、EMBASE(1974~)、MEDLINE(1950~)およびPsycINFO(1967~)などの文献データベース中の無作為化対照試験が含まれる。過去に発表されたレビュー文献および未発表の研究について言及している文献についてクロスチェックを行った。また、米国児童思春期精神医学学会(American Academy of Child and Adolescent Psychiatry)の学会誌において関連する抄録にもあたり、1978~1999年の同学会誌を手作業で検索した。そして、これらの中から6~18歳のうつ病患者を対象に、経口三環系抗うつ薬とプラセボを比較検討している無作為化対照試験を選択した。 主な結果は以下のとおり。・14試験の590例を解析対象とした。主要アウトカム(プラセボと比較した有効性)において全般的に相違はみられなかった(リスク比[RR]:1.07、95%信頼区間[CI]:0.91~1.26、9試験、454例)。・うつ症状のわずかな軽減が認められたが(標準平均差[SMD]:-0.32、95%CI:-0.59~-0.04、13試験、533例)、エビデンスの質は低かった。・サブグループ解析では、うつ症状の若干の軽減が思春期患者で認められ(SMD:-0.45、95%CI:-0.83~-0.007)、小児においてはごくわずかな変化にとどまった(SMD:0.15、95%CI:-0.34~0.64)。・三環系抗うつ薬群では、めまい(RR:2.76、95%CI:1.73~4.43、5試験、324例)、起立性低血圧(RR:4.86、95%CI:1.69~13.97、5試験、324例)、振戦(RR:5.43、95%CI:1.64~17.98、4試験、308例)、口渇(RR:3.35、95%CI:1.98~5.64、5試験、324例)がプラセボ群に比べ高頻度に認められたが、その他の有害事象の発現に差はみられなかった。・信頼区間の幅が広かったことから、有害事象に対するエビデンスの質は非常に低いと考えられた。・年齢、治療方法、三環系抗うつ薬の種類、アウトカム指標などに関して試験間で不均質性がみられた。・うつ症状の軽減に対し統計学的な不均質性が確認されたが、寛解または有効率については確認されなかった。・このように、統合データの解析結果については慎重に評価すべきである。・これら試験においては、バイアスのリスク、高い脱落率、評価手段、アウトカムの臨床的意義など、各試験で異なることの多いこれらについて情報が限られており、いずれの試験もバイアスのリスクが低いとは判断しなかった。・以上より、三環系抗うつ薬は小児うつ病の治療に有用ではなく、思春期患者に対してはその使用を支持するわずかなエビデンスがあると言える。関連医療ニュース 抗うつ薬による治療は適切に行われているのか?:京都大学 日本人のうつ病予防に期待?葉酸の摂取量を増やすべき SSRI+非定型抗精神病薬の併用、抗うつ作用増強の可能性が示唆

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抗精神病薬の効果はすべて同じ、ではない/Lancet

 統合失調症の治療に使用される抗精神病薬は、個々の薬剤で副作用が大きく異なり、有効性にも小さいながら確固とした差があることが、ドイツ・ミュンヘン工科大学rechts der IsarクリニックのStefan Leucht氏らの検討で示された。同氏は「抗精神病薬の効果は第1世代と第2世代で同じとの定説を覆すもの」としている。統合失調症の治療に、どの抗精神病薬が望ましいかとの問いへの答えは、主に費用対効果の問題で錯綜しており、従来のpairwise法によるメタ解析では、有効性および忍容性のエビデンスに基づく序列(evidence-based hierarchy)は確立されていないという。Lancet誌オンライン版2013年6月27日号掲載の報告。15薬剤の7アウトカムをmultiple-treatmentsメタ解析で評価 研究グループは、統合失調症治療における抗精神病薬のエビデンスを統合し、有用性の序列(ヒエラルキー)の創出を目的に、直接および間接比較を用いたベイズ分析に基づくmultiple-treatmentsメタ解析を実施した。 医学文献データベースを検索し、2012年9月1日までに報告された、統合失調症またはその関連疾患の急性期治療として15の抗精神病薬とプラセボを盲検下に比較した無作為化対照比較試験の論文を抽出した。検索結果は、米国食品医薬品局(FDA)のウェブサイトの文献や製薬会社の要請によるデータで補足された。 陰性症状が優勢な患者や併発疾患、治療抵抗性がみられる患者に関する試験、病態が安定した患者を対象とした試験は除外した。主要評価項目は有効性(陽性・陰性症状評価尺度[PANSS]に基づく総合的な症状の改善効果)とし、全原因による治療中止、体重増加、錐体外路症状、プロラクチン値上昇、心電図QTc延長、鎮静作用を合わせて全7項目のアウトカムについて検討した。個々の患者の必要に応じた薬剤選択に有用 1955年10月~2012年9月までに発表された212試験に参加した4万3,049例について解析した。その結果、15の薬剤のすべてが、プラセボよりも有意に有効性が優れたが、プラセボとの比較における有効性に関する各薬剤の標準化平均差(standardized mean difference:SMD)には小さいながら差がみられた。15の薬剤は、有効性が高い順に以下のとおりであった[括弧内の数値は95%確信区間(credible interval:CrI)]。 クロザピン:0.88(0.73~1.03)、アミスルピリド(amisulpride・国内未承認):0.66(0.53~0.78)、オランザピン:0.59(0.53~0.65)、リスペリドン:0.56(0.50~0.63)、パリペリドン:0.50(0.39~0.60)、ゾテピン:0.49(0.31~0.66)、ハロペリドール:0.45(0.39~0.51)、クエチアピン:0.44(0.35~0.52)、アリピプラゾール:0.43(0.34~0.52)、セルチンドール(sertindole・同):0.39(0.26~0.52)、ジプラシドン(ziprasidone・同):0.39(0.30~0.49)、クロルプロマジン:0.38(0.23~0.54)、アセナピン(asenapine・同):0.38(0.25~0.51)、ルラシドン(lurasidone・同):0.33(0.21~0.45)、イロペリドン(iloperidone・同):0.33(0.22~0.43)。 副作用には差があり、各薬剤の特性が認められた。すなわち、プラセボとの比較における全原因治療中止のオッズ比(OR)が最も優れていたのはアミスルピリドの0.43で、ハロペリドールの0.80が最も不良であった。同様に、錐体外路症状のORの範囲はクロザピンの0.30からハロペリドールの4.76まで、鎮静作用はアミスルピリドの1.42からクロザピンの8.82までであった。 体重増加のSMDはハロペリドールの-0.09が最良で、オランザピンの-0.74が最も不良であり、同様にプロラクチン値上昇のSMDの範囲はアリピプラゾールの0.22からパリペリドンの-1.30、心電図QTc延長のSMDはルラシドンの0.10からセルチンドールの-0.90までであった。 著者は、「個々の抗精神病薬の副作用は大きく異なっており、有効性にも小さいながら確固とした差が認められた」とまとめ、「これらmultiple-treatmentsメタ解析による知見は従来のpairwiseメタ解析の限界を克服するもので、『第1世代と第2世代の抗精神病薬の効果は同じ』とする定説に異議を唱え、このような単純なカテゴリーには分類できないことを示唆する。7項目のアウトカムに関する序列は、個々の患者の必要に応じた抗精神病薬の選択に有用であり、心の健康に関する施策を立案する際や診療ガイドラインの改訂時に考慮すべきである」と指摘している。

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非定型抗精神病薬のLAIを臨床使用するためには

 第二世代抗精神病薬(SGA)の持効性注射剤(LAI)は統合失調症の広範な治療におけるファーストラインになっている。イタリア・ASL SalernoのSalvatore Gentile氏は、SGA-LAI治療に関する有害反応について、システマティックレビューを行った。Pharmacotherapy誌オンライン版2013年6月17日号の掲載報告。 2001年1月~2013年4月の間のMEDLINE、EMBASE、PsycINFO、DAREデータベース、Cochrane Libraryの各電子データベースを検索して、安全性と忍容性についての報告が英語で執筆されたピアレビュー論文を特定した。検索した論文は、以下の場合は除外した(レビュー論文、事後解析、以前の試験に登録されたサブセット被験者の解析、1症例報告、症例シリーズ研究、小規模[50例未満] 試験、安全性のデータがない、試験期間が8週未満)。評価の対象となったSGA-LAIは、アリピプラゾールLAI、オランザピンパモエート、パリペリドンパルミチン酸エステル(ともに国内未承認)、リスペリドンLAI(商品名:リスパダールコンスタ)である。 主な結果は以下のとおり。・検索により181件の論文が特定された。そのうち140件は除外され、41件が適格として解析に組み込まれた。・予想されたとおり、情報を見直した結果、SGA-LAIの安全性プロファイルは経口剤と整合性が取れていた。・しかしながら、不測の気がかりな安全性シグナルがみられるようでもあった。・たとえば実際に、臨床におけるアリピプラゾールLAIのルーチン使用は制限されている可能性があった。・レビュー情報から、リスペリドンLAIとパリペリドンパルミチン酸エステルはいずれも、精神症状およびうつ病の悪化と関連している可能性があった。リスペリドンLAI試験に登録された患者の死因のトップは自殺であった。・以上の結果を踏まえて著者は、「SGA-LAIの臨床使用の指数関数的増加を図るには、それら薬剤と関連する潜在的な安全性シグナルを確認し、取り除くための、さらなる検討を緊急に行う必要がある」と結論した。関連医療ニュース 統合失調症、デポ剤と抗精神病薬併用による効果はどの程度? 統合失調症へのアリピプラゾール持効性注射剤、経口剤との差は? どのタイミングで使用するのが効果的?統合失調症患者への持効性注射剤投与

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慢性疼痛に対し認知行動療法をベースにした疼痛自己管理プログラムが有効

 慢性疼痛に対してしばしば認知行動療法が行われているが、オーストラリア・シドニー大学のMichael K. Nicholas氏らは、認知行動療法をベースとした疼痛自己管理(pain self-management:PSM)プログラムが高齢の慢性疼痛患者において、少なくとも短期的には有効であることを無作為化試験により明らかにした。Pain誌2013年6月号(オンライン版2013年2月26日号)の掲載報告。 慢性疼痛を有する65歳超の高齢者141例を対象に、認知行動療法および運動を用いた外来患者用PSMプログラムの効果を、運動-注意制御(Exercise-Attention Control:EAC)群および通常ケア群と比較した。 評価には、ローランド-モリス障害質問票(RMDQ)、うつ病・不安ストレススケール(DASS)、運動恐怖に関する評価スケール(TSK)、痛み自己効力質問票(PSEQ)などを用いた。 主な結果は以下のとおり。・治療直後、PSM群ではEAC群と比較して苦痛、障害、気分、無用な痛み思考およびファンクショナルリーチが有意に改善した(効果量:平均値0.52、範囲0.44~0.68)。 ・1ヵ月後においても、PSM群ではEAC群に比べほとんどの評価項目が良好であった。・1ヵ月後、通常ケア群と比較し、PSM群では苦痛、障害および無用な痛み思考の有意な改善(効果量:平均値0.69、範囲0.56~0.83)を認めたが、EAC群ではすべての評価項目において有意差はみられなかった。・PSM群において、1ヵ月後に全評価項目が確実に改善した患者の割合が41%で、他の2群の約2倍にのぼり、統計学的に有意差が認められた。・同様に、疼痛障害に関して臨床的に重要な改善が得られた患者の割合は、PSM群44%、EAC群22%、通常ケア群20%で、PSM群が有意に高かった。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・「天気痛」とは?低気圧が来ると痛くなる…それ、患者さんの思い込みではないかも!?・腰椎圧迫骨折3ヵ月経過後も持続痛が拡大…オピオイド使用は本当に適切だったのか?  治療経過を解説・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」痛みと大脳メカニズムをさぐる

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5-HT1A受容体が精神科薬物治療で注目されている

 スペイン・バルセロナ バイオメディカル研究所のPau Celada氏らは、新たな精神疾患の治療薬開発にあたって注目されているセロトニン5-HT1Aの合理的根拠と研究の現状について報告した。冒頭、著者は精神疾患の治療薬の現状について、「現代社会において精神疾患は、多額の経済損失をもたらしている。一方で、薬物治療は、いまだ至適とは言い難い状況にある」と指摘している。CNS Drugsオンライン版2013年6月12日号の掲載報告。 著者は5-HT1Aに着目した背景について、「大うつ病性障害(MDD)および不安障害に用いられる薬品(選択的セロトニン5-HT再取り込み阻害薬[SSRI]、セロトニン-ノルアドレナリン再取り込み阻害薬[SNRI])は、第一世代の三環系が改良されたものである。偶然に発見されたものであり、有効性は低く、効果が出るまでに時間がかかる。また、抗精神病薬は、統合失調症の陽性症状には多少は効果があるが、陰性症状および認知障害への効果は乏しい」と述べている。そのうえで、5-HT1Aに着目した根拠、その研究の現状と今後の展望などについてまとめた。シナプス前後5-HT1A受容体の活性は抗不安および抗うつ効果にいずれも必要 5-HT1Aの合理的根拠と研究の現状について報告した主な内容は以下のとおり。・直近の論文において、神経生物学的基盤に着目し、MDDや不安障害といった精神疾患の治療における5-HT1A受容体(5-HT1A-R)機能、およびシナプス前後の5-HT1A-Rの役割が見直されている。・具体的には、コルチコ辺縁系におけるシナプス後5-HT1A-R活性は、抗うつ薬の治療的作用として有望視されている一方で、シナプス前5-HT1A-Rは、MDDにおいて有害な役割を演じることが解明されており、シナプス前5-HT1A-Rが高密度・機能の人では、気分障害や自殺への感受性が高く、抗うつ薬への反応性が不良である。さらに、SSRI/SNRIによる間接的なシナプス前5-HT1A-Rの活性は、5-HTニューロン活性と末端5-HT放出を低減し、そのため細胞外5-HTの上昇に対して前脳のセロトニントランスポーター(SERT)の遮断が引き起こされる。・慢性の抗うつ薬治療は、シナプス前5-HT1A-Rの感度を減じる。そのため5-HT1A自己受容体による陰性症状への効果が低下する。・非選択的部分作用薬ピンドロール(商品名:カルビスケンほか)は、このプロセスを防御し、臨床的な抗うつ作用を促進する。・2種の新たな抗うつ薬であるvilazodone(米国で販売、国内未承認)とvortioxetine(開発中)は、SERT遮断の5-HT1A-R部分作動薬である。・トランスジェニックマウスを用いたいくつかの研究においても、MDDと不安障害におけるシナプス前後5-HT1A-Rのそれぞれの役割が立証されている。・薬理学的研究においても、シナプス前後5-HT1A-Rの活性は、抗不安および抗うつ効果にいずれも必要であること、さらに5-HT1A-Rの神経発生的役割についても必要であると思われる見解が示されている。・同様に、選択的5-HT1A自己受容体ノックダウンマウスにおいて、siRNAを用いることで強力な抗うつ様の効果を示すことが可能であることも明らかになっている。・また、前頭前皮質(PFC)におけるシナプス後5-HT1A-Rは、統合失調症治療においてクロザピンとその他の第2世代(非定型)抗精神病薬の優れた臨床効果にとって重要であり、精神疾患との関連が認められている。・結合試験で5-HT1A-Rは、in vitroにおける中程度の親和性を示したが、クロザピン(同:クロザリル)はこのタイプの受容体とin vivoにおいて機能作動薬の性質を示した。・PFCにおける5-HT1A-Rの刺激作用は、中脳皮質神経路の遠位活性をもたらし、PFCのドパミン放出を増大する。また、統合失調症の陰性症状と認知障害におけるクロザピンの臨床的活性と関与している可能性がある効果を増大することが示された。・前臨床試験において、5-HT1A-R作動薬の抗不安/抗うつ作用特性は予想を大きく上回るものであった。しかしながら、これらの作動薬は、おそらくシナプス後5-HT1A-Rの部分的作動特性とシナプス前5-HT1A-R自己受容体の完全作動性、および消化器系への副作用のため、臨床的成功には至っていない。・部分的5-HT1A-R作動薬のブスピロン、ジェピロン(ともに国内未承認)、タンドスピロン(同:セディール)は、抗不安薬として上市されており、ブスピロンは、MDDでも利用促進の戦略が取られている。・新たな選択的シナプス後5-HT1A-R作動薬の開発が、精神疾患治療薬の新たな展望を開く可能性がある。関連医療ニュース 抗うつ薬による治療は適切に行われているのか?:京都大学 抗うつ薬を使いこなす! 種類、性、年齢を考慮 SSRIは月経前症候群の治療に有用か?

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仕事のストレスの大きい人がうつになると低骨密度に!?

 職業性ストレスはうつ症状と関連し、うつ病は低骨密度に関連しているが、骨密度と職業性ストレスとの関連性は検討されていない。トゥルク大学(フィンランド)のM.Oikonen氏らが、フィンランドの若年成人において、骨密度、職業性ストレス、うつ症状との関係を検討した結果、職業性ストレスにより、うつ症状と骨密度との関連性が変化することが示唆された。著者らは、高い職業性ストレスのあるうつ状態の人は低骨密度のリスクが増加する可能性があるとしている。International Journal of Behavioral Medicine誌オンライン版2013年6月19日号に掲載。 著者らは、若年フィンランド人の心血管リスク研究の参加者のうち777人(男性比率:45%、年齢:30~45歳)に踵骨での超音波骨密度測定を行った。職業性ストレスは自己管理質問票により仕事の要求度と裁量度の組み合わせによって、また、うつ症状はベック抑うつ質問票修正版で評価した。職業性ストレスによる骨密度への影響を、年齢、性別、BMI、ビタミンD摂取、カルシウム摂取、身体活動、喫煙、飲酒、うつ症状を共変量とし、多変量解析で検討した。 主な結果は以下のとおり。・職業性ストレスが高いグループにおいて、うつ症状が低骨密度Tスコアと独立して関連していた(β=-0.241、p=0.02)。・職業性ストレスが低いグループ(β=-0.160、p=0.26)と中間のグループ(β=-0.042、p=0.66)では、うつ症状と骨密度との有意な関連性はみられなかった。

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新規抗精神病薬は患者にどう評価されているか?

 ナダ・ハンバーリバー病院(トロント)のA. George Awad氏らは、新規抗精神病薬が統合失調症の患者報告アウトカムに及ぼす影響について31件の論文を基にレビューを行った。その結果、大半の新規抗精神病薬について患者報告アウトカムにおける好影響が認められたものの、それらは傾向にすぎなかったことから、患者の主観的評価による結果を統一化されたコア(unifying core)として確立していく必要性を示唆した。CNS Drugsオンライン版2013年6月12日号の掲載報告。 本稿の意義について、著者は次のように述べている。すなわち「この20年間、患者の自己報告を考慮に入れた疾患マネジメントへの関心が高まっている。その背景には、過去数十年にわたる、消費者運動の高まりがある。こうしたなか、よりよい治療とアウトカム改善への明確な期待が伴う臨床現場での意思決定に際し、患者、介護者、および家族が、医師とより有意義な情報共有を図るべきという機運が高まっている。つまり、患者は医療サービスの消費者であり、ケアに対する満足度と同様、患者の意見や健康に対する感じ方をより把握すべきという認識である。新規抗精神病薬の開発と試験の過程における患者報告アウトカム(PRO)に対し、米国食品医薬品局(FDA)は、その他の規制当局と同様の関心を示すようになっており、このこともまた勢いを与える要素となっている。精神状態のマネジメントにおける意思決定の過程で患者を巻き込むことは、治療への積極的参加を促して“回復”の間口を広げることは明らかであり、統合失調症の治療成功が症状の改善だけでなく、機能の改善も含むというメッセージともなる。さらに、最近は個別治療が注目されており、これもまた患者を中心に据えた考え方が背景にある」という。 新規抗精神病薬のQOLに及ぼす影響が報告された2004年以降、ジプラシドン(国内未承認)、アリピプラゾール、パリペリドン、アセナピン(国内未承認)、イロペリドン(国内未承認)およびルラシドン(国内未承認)などの、より新しい多くの抗精神病薬が導入された。そこでAwad AG氏らは、2004~2012年までに発表され、新規抗精神病薬がPROsにおける特定のドメイン、たとえば主観的忍容性、QOL、薬剤嗜好性、満足度、社会機能などを扱った文献の中から31件を選択し、レビューを行った。 概要は以下のとおり。・適用可能なデータの大半は、ジプラシドン、アリピプラゾールおよびパリペリドンに関するものであった。・新規抗精神病薬のPROsへの良好な影響が非常に多くの試験で示されたが、いずれも傾向にすぎなかった。これは、試験デザインと方法論の限界が多く存在していたことによる。・より厳格な試験が待たれる領域として、さまざまな主観的アウトカムの中に統一化されたコア(unifying core)が存在する可能性、また一人の主観的アウトカムとほかの人の主観的アウトカムから概括的に結論を導き出せるような傾向は特筆すべきである。・主観的忍容性が良好な患者は、一般に満足度が高い傾向にあり、薬剤嗜好性が強い。・このような統一化されたコアの特定は、適切な指標の開発のみならず、新規抗精神病薬の開発過程への情報提供と指南の一助となりうる。関連医療ニュース この25年間で統合失調症患者の治療や生活環境はどう変わったのか? 精神疾患患者は、何を知りたがっているのか 10年先を見据えた抗精神病薬選択のポイント

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SSRIは月経前症候群の治療に有用か?

 ニュージーランド・オークランド大学のJane Marjoribanks氏らは、月経前症候群(PMS)に対する選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の有効性と安全性を評価するため、これまでに実施された臨床試験をもとにレビューを行った。その結果、SSRIは服用方法にかかわらずPMSの症状軽減に有効であるが、用量依存的に有害事象が比較的高頻度に発現することを報告した。Cochrane database of systematic reviewsオンライン版2013年6月7日掲載の報告。 月経前症候群(PMS)は、出産可能年齢の女性においてしばしば身体的、精神的および社会的問題をもたらす一般的な要因となる。PMSの主な特徴は症状がみられるタイミングで、それは月経前2週間すなわち黄体期においてのみ生ずることである。 PMS治療のファーストラインとしてSSRIの使用機会が増えており、黄体期のみもしくは継続的(連日)に使用される。SSRIは一般に月経前症状の軽減に有効だと考えられているが、有害事象を惹起しうる。そこで、PMSの治療としてSSRIの有効性と安全性を評価することを目的にレビューを行った。Cochrane Library、MEDLINE、EMBASEなどをデータソースに、2013年2月時点において関連する無作為化比較試験(RCT)の検索を行った。報告内に不十分なデータがみられた際、詳細を確認するため原著者との連絡を試みた。プロスペクティブにPMSと診断され月経前不快気分障害(PMDD)または後期黄体期不快気分障害(LPDD)を呈する被験者が、SSRIまたはプラセボ群に無作為化された試験を選択した。 2名のレビュワーが自由に試験を選び、バイアスのリスクが適格とされる試験について評価を行い、月経前症状と有害事象のデータを抽出した。ランダム効果モデルを用いて試験を集積した。連続データ(最終スコアおよびスコアの変化)に対する別の解析により、月経前症状スコアにおける標準化平均差(SMD)と95%信頼区間(CI)を算出した。2つのアウトカムについてオッズ比(OR)と95%CIを算出した。薬剤の服用方法(黄体期のみまたは連日)、投与量(低、中、高)により層別解析を行った。何人に中用量のSSRIを投与すれば1件の有害事象が発現するのか、その人数を算出した(number needed to harm:NNH)。主要な知見に対する全体的なエビデンスの質は、GRADE working group methodsにより評価した。 主な結果は以下のとおり。・31件のRCTについてレビューを行った。それらRCTでは、フルオキセチン(本邦未承認)、パロキセチン(商品名:パキシル)、セルトラリン(同:ジェイゾロフト)、エスシタロプラム(同:レクサプロ)、シタロプラム(国内未承認)などとプラセボとの比較が行われていた。・SSRIはプラセボに比べ、自己評価による症状を有意に軽減させた。・最終スコアを報告している試験集団において、エフェクトサイズは中程度であった[中用量のSSRI、SMD:-0.65、95%CI:-0.46~-0.84、9試験、女性1,276例、不均質性は中(I2=58%)、エビデンスの質は低]。・スコア変化について報告している試験集団において、エフェクトサイズは小さかった[中用量のSSRI、SMD:-0.36、95%CI:-0.20~-0.51、4試験、女性657例、不均質性は低(I2=29%)、エビデンスの質は中]。・SSRIは、黄体期のみの使用あるいは連日使用のいずれにおいても症状の軽減に効果的で、これら服用方法による明らかな有効性の相違はみられなかった。しかし、黄体期のみの使用と連日使用のレジメンを直接比較した試験はほとんどないため、これに関する結論を得るにはさらなるエビデンスが必要である。・有害事象による脱落は、SSRI群で有意に多い傾向にあった[中用量、OR:2.55、95%CI:1.84~3.53、15試験、女性2,447例、不均質性なし(I2=0%)、エビデンスの質は中]。・中用量のSSRIに関連する主な副作用は、悪心(NNH=7)、無力症または活力減退(NNH=9)、傾眠(NNH=13)、疲労(NNH=14)、性欲減退(NNH=14)および発汗(NNH=14)であった。・二次解析において、SSRIは、精神的、身体的および機能的症状ならびにイライラ感などの特別な症状に有効であった。なお、有害な影響は用量依存性にみられた。・全体的に、各種試験の方法論に関する報告が不十分であったことを主因に、エビデンスの質は低~中程度であった。また、不均質性は初回解析の一つは中程度であったが、大半のアウトカムについては低い、あるいは認められなかった。・以上より、SSRIは服用方法にかかわらずPMSの症状軽減に有効であることが明らかとなった。ただし、用量依存性に有害事象が発現し、比較的高頻度であることに注意が必要である。関連医療ニュース 日本語版・産後うつ病予測尺度「PDPI-R-J」を開発 統合失調症患者に対するフルボキサミン併用療法は有用か?:藤田保健衛生大学 抗精神病薬によるプロラクチン濃度上昇と関連する鉄欠乏状態

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