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脳卒中介護者へのプログラムを入院中から導入してみると…/Lancet

 先行研究において、脳卒中後“退院”患者の身体的改善や、家族介護者の身体的負担の軽減ならびに不安やうつ病の減少効果が報告された、介護者への訓練プログラム(London Stroke Carers Training Course:LSCTC)について、同プログラムを入院中から行うこと(構造化訓練プログラム:TRACS)の費用対効果を検討した結果、通常ケアと変わらなかったことが明らかにされた。英国・ブラッドフォード教育病院NHS財団トラスト&リード大学のAnne Forster氏らが、クラスター無作為化比較試験および費用対効果分析の結果、報告したもので、「脳卒中直後は、構造化介護者訓練を提供する好機ではない可能性が示された」と結論している。Lancet誌オンライン版2013年9月18日号掲載の報告より。入院中からの構造化訓練プログラムの効果を検討 脳卒中既往患者の大半は、日常生活に関して主として家族であるインフォーマルな介護者に依存している。TRACS試験は、介護者への訓練プログラムLSCTCについて、脳卒中後機能障害を有する患者と介護者の身体的および精神的アウトカムを、費用対効果を含めて調べることが目的であった。試験は、脳卒中ユニットに介入を行うプラグマティックな多施設クラスター無作為対照試験で費用対効果の検討も併せて行われた。 試験適格とした脳卒中ユニットは、ユニット規定基準5つのうち4つを満たしており、ユニット患者の大半が脳卒中と診断されていること、スタッフがLSCTCを提供でき、患者の大半は退院後自宅に戻ることを要件とした。 主要アウトカムは、患者については、6ヵ月時点の日常生活動作について、Nottingham Extended Activities of Daily Living(NEADL)スケールで測定した自己申告評価とし、介護者については、介護者負担スケール(CBS)で測定した自己申告の負担であった。介入群と対照群で費用対効果も含めて有意な差はみられず 49の脳卒中ユニットについて試験適格性を評価し、36のユニットを介入群と対照群に無作為に割り付けた。 2008年2月27日~2010年2月9日の間に、928組の患者と介護者のペアが登録された。介入群は450組、対照群は478組だった。 日常生活動作の拡大を自己申告した患者は、6ヵ月時点において両群で差はなかった。補正後平均NEADLスコアは、介入群27.4、対照群27.6で、差は-0.2ポイント(95%信頼区間[CI]:-3.0~2.5、p=0.866)であった。 介護者負担スケールも有意差はみられなかった。補正後平均CBSは、介入群45.5、対照群45.0で、差は0.5ポイント(95%CI:-1.7~2.7、p=0.660)であった。 患者と介護者のコストは、両群において同程度であった。初期脳卒中入院期間と関連コストは、介入群1万3,127ポンド、対照群1万2,471ポンドで、補正後平均差は1,243ポンド(95%CI:-1,533~4,019、p=0.380)。QALYに基づく費用対効果の可能性は低かった。

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統合失調症の寛解予測因子は初発時の認知機能

 統合失調症では認知機能障害が一般的にみられる。しかし、初回エピソード患者におけるこれら障害の長期転帰の予測因子は不明であった。スウェーデン・ウプサラ大学のRobert Boden氏らは、初回エピソード統合失調症患者の5年後アウトカムの予測因子としての思考力の低下および認知機能障害について調べた。その結果、思考速度が社会性や症状寛解に関する長期転帰と関連していることを報告した。Nordic Journal of Psychiatry誌オンライン版2013年9月20日号の掲載報告。 研究グループは、初回エピソード統合失調症と診断され、臨床的症状が安定した患者46例について、総合的認知機能(Synonyms, Reasoning, and Block Design:SRB)、思考速度(Trail Making Test:TMT、およびフィンガータッピング)、言語学習(Claeson-Dahl Verbal Learning Test)について評価した。また、5年後の転帰は、自立生活、職業的機能、社会性、症状寛解に関して評価した。 主な結果は以下のとおり。・思考速度の低下が、5年後の社会性の低下と関連していた。抗精神病薬使用で補正後のオッズ比(OR)は3.37(95%信頼区間[CI]:1.08~10.51)であった。・利き手ではない手のフィンガータッピングの成績が良好であることは、5年後の症状の非寛解リスク増大と関連していた(補正後OR:0.42、95%CI:0.19~0.96)。・職業的機能と自立生活は、評価したいずれのテストとも関連がみられなかった。関連医療ニュース 青年期統合失調症の早期寛解にアリピプラゾールは有用か? 初回エピソード統合失調症患者に対する薬物治療効果の予測因子は 維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か

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重度精神障害の機能評価ツール、その信頼性は

 スペイン・オビエド大学のMaria P. Garcia-Portilla氏らは、統合失調症および双極性障害患者を対象とし、重度精神障害患者の機能評価ツールとしてUniversity of California Performance Skills Assessment(UPSA)スペイン版の信頼性、妥当性の評価を行った。その結果、UPSAスペイン版はその他の機能評価ツールと良好な相関を示し、信頼性の高い検証ツールであり、「機能アウトカムのモニタリング手段として臨床試験および日常診療での活用が望ましい」と報告した。Schizophrenia Research誌オンライン版2013年9月18日号の掲載報告。 重度精神障害患者における、UPSAスペイン版の検証を目的とし、自然的、6ヵ月間フォローアップ、多施設共同、バリデーション試験を行った。対象は、統合失調症患者139例、双極性障害患者57例、対照31例とし、スペイン版UPSA(Sp-UPSA)、Clinical Global Impression, Severity(CGI-S)、Global Assessment of Functioning(GAF)および Personal and Social Performance(PSP)などのスケールを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。<信頼性>・統合失調症における内部整合性(クロンバックのα係数)は0.81、双極性障害では0.58であった。Test-retestは、それぞれ0.74、0.65(p<0.0001)であった。<構成のValidity>・Sp-UPSAとPSP総スコア間のピアソン相関係数は、統合失調症が0.42(p<0.0001)、双極性障害が0.44(p=0.001)であった。・Sp-UPSAとGAFスコアの相関係数は、それぞれ0.43、0.52(p<0.0001)であった。<弁別的Validity>・ Sp-UPSAにより、患者と対照が識別された。・統合失調症患者において、CGI-Sスコアによる疾患重症度の相違が識別された。・統合失調症における対照/患者の曲線下面積は0.89、カットオフ値85における感度は82.7%、特異度は77.4%であった。・双極性障害における対照/患者の曲線下面積は0.85、カットオフ値90における感度は82.5%、特異度は64.5%であった。関連医療ニュース 統合失調症の再入院、救急受診を減らすには 認知機能トレーニング/リハビリテーションはどの程度有効なのか? 治療抵抗性の双極性障害、認知機能への影響は?

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うつ病患者への禁煙治療、症状悪化の懸念は

 喫煙者の多くにうつ病がみられる。米国のRobert M. Anthenelli氏らは、うつ病を有する喫煙者に対し禁煙補助薬バレニクリン(商品名:チャンピックス)を使用した際の、禁煙率および気分・不安レベルの変化について検討を行った。Annals of internal medicine誌2013年9月13日号の掲載報告。 本試験は、第4相多施設共同無作為化二重盲検並行群間試験。対象は、8ヵ国38医療機関の、大うつ病に対する治療中または治療歴があり、現在、心血管イベントを認めない成人喫煙者525例であった。抗うつ薬の使用とベースライン時のうつ病重症度で層別化した被検者を、1ブロック4例にランダム化し、バレニクリン1mgを1日2回またはプラセボを12週間投与し、40週間無治療としてフォローアップした。主要アウトカムは、9~12週の一酸化炭素確認による持続的な禁煙率(CAR)とした。また、無治療フォローアップ期間中のCAR、気分、不安、自殺企図または自殺行為の状況についても評価した。 主な結果は以下のとおり。・バレニクリン群の68.4%、プラセボ群の66.5%が試験を完了した。・バレニクリン群はプラセボ群と比較して、9~12週のCAR(35.9%vs. 15.6%、オッズ比[OR]:3.35、95%CI:2.16~5.21、p<0.001)、9~24週のCAR(25.0%vs. 12.3%、OR:2.53、95%CI:1.56~4.10、p<0.001)、および9~52週のCAR(20.3%vs. 10.4%、OR:2.36、95%CI:1.40~3.98、p=0.001)が高かった。・自殺企図または自殺行為の状況に2群間で差はなく、各群ともうつまたは不安の悪化はみられなかった。・最も高頻度に発現した有害事象は悪心であった(バレニクリン群27.0%、プラセボ群10.4%)。・無治療期間に、バレニクリン群の2例が死亡した。・本試験では、いくつかのデータが欠落しており、件数が低いイベントに関しては群間差の検出力が低かった。また、うつ病に対し未治療の喫煙者、精神疾患発症例、または気分安定薬および抗精神病薬の投与例を除外していた点でも試験に限界があった。・以上を踏まえて、著者は「うつ病を有する喫煙者に対し、バレニクリンはうつ病や不安を悪化させることなく禁煙率の向上に寄与することが示された」と結論した。関連医療ニュース うつ病の既往歴がある患者に対する禁煙治療は難しい?! 統合失調症の症状悪化に関連?「喫煙」「肥満」の影響 ブプロピオンで統合失調症患者の禁煙達成!?

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日本の統合失調症入院患者は低栄養状態:新潟大学

 欧米では、健常者と比較して、抗精神病薬治療を受けている統合失調症患者における肥満やメタボリック症候群の有病率が高い。しかし日本では、そもそも一般集団の過体重および肥満の有病率が、欧米と比較してかなり低い。新潟大学の鈴木雄太郎氏らは、日本の統合失調症入院患者について調査を行い、低体重の患者の割合が一般集団と比較して高いことを明らかにした。結果を受けて著者は「入院患者の身体的健康について、診療でより考慮する必要がある」と報告している。Psychiatry and Clinical Neurosciences(PCN)誌オンライン版2013年9月2日号の掲載報告。 研究グループは、日本の統合失調症入院患者における、低体重および過体重/肥満の有病率について調査した。被験者は統合失調症入院患者と、年齢・性で適合した健常ボランティア対照であった。BMI 値25以上を過体重/肥満、18.5~25未満を標準体重、18.5未満を低体重と定義した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症入院患者333例、健常対照191例について調べた。・両群間において、3つの体重定義の有病率に有意差が認められた(p<0.001)。・低体重の有病率は、統合失調症患者群が対照群と比べて有意に高率であった(p<0.001)。・また、統合失調症患者群のほうが対照群よりも、低タンパク血症(p<0.001)、低コレステロール血症(p<0.001)の有病率が有意に高率であった。・さらに統合失調症患者群において、低体重群における低トリグリセリド血症の有病率が、標準体重群および過体重/肥満群よりも有意に高率であった(各々 p=0.003、p<0.001)。・以上の結果を踏まえて著者は、「日本の統合失調症入院患者における低体重の有病率は、一般集団より高率の可能性がある。したがって、臨床診療において入院患者の身体的健康について、より慎重に考慮する必要がある」と結論している。関連医療ニュース 統合失調症患者、合併症別の死亡率を調査 この25年間で統合失調症患者の治療や生活環境はどう変わったのか? 精神疾患患者は、何を知りたがっているのか

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統合失調症の再入院、救急受診を減らすには

 統合失調症の再発を繰り返す患者について、経口抗精神病薬(経口AP)から非定型持効性注射薬(非定型LAT)に切り替えた結果、再入院率および緊急救命室(ER)受診率が減少したことが、後ろ向きデータベース解析の結果から示された。カナダ・Groupe d’analyse社のMarie-Helene Lafeuille氏らがPremier Hospitalの過去5年間の電子カルテデータを解析して報告した。先行研究において非定型LATの有用性は示されているが、大半が再入院にのみ着目し入院やER受診については考慮されていなかった。BMC Psychiatry誌オンライン版2013年9月10日号の掲載報告。 解析に用いられたのは、2006~2010年のPremier Hospitalデータベースの電子カルテデータであった。統合失調症関連の入院中に経口APを服用していた成人患者について、再発例(統合失調症による再入院)を特定し、また(a)非定型LATに切り替えた患者、(b)経口APを継続した患者、に階層化して評価した。評価は傾向スコアモデルを用いて、非定型LAT患者と経口AP患者を1対3の割合で適合させて行った。Andersen-Gill Cox比例ハザードモデルを用いて、時間経過に伴う複数回再発における全要因再入院率とER受診率への非定型LATの影響を評価した。多重性に関する調整は行われなかった。 主な結果は以下のとおり。・非定型LAT患者1,032例と適合した経口AP患者2,796例が評価に組み込まれた。両群の患者は、人口統計学的に釣り合いがとれており(平均年齢:42.1歳対42.4歳、p=0.5622/ 女性患者比:43.6%対44.6%、p=0.5345)、臨床的および入院先の病院特性も同様であった。・全体の追跡期間は平均30ヵ月間であった。その間に、非定型LAT群のほうが経口AP群と比較して、再入院(平均回数:1.25対1.61、p<0.0001)、ER受診(平均回数:2.33対2.67、p=0.0158)が有意に少なかった。同様に、入院日数も有意に少なかった(平均日数:13.46対15.69、p=0.0081)。・再入院率(HR:0.81、95%CI:0.76~0.87、p<0.0001)、ER受診率(同:0.88、0.87~0.93、p<0.0001)は、非定型LAT群のほうが経口AP群よりも有意に低下した。関連医療ニュース 統合失調症の急性増悪期、抗精神病薬の使用状況は?:国立精神・神経医療研究センター 統合失調症、双極性障害の急性期治療に期待!アリピプラゾール筋注製剤 非定型抗精神病薬のLAIを臨床使用するためには

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アスペルガー障害、高機能自閉症への第二世代抗精神病薬は有用か

 カナダ・王立オタワ精神保健センターのNatalie Sochocky氏らは、アスペルガー障害(AD)および高機能自閉症(HFA)に対する第二世代抗精神病薬の有用性についてシステマティックレビューとメタ解析を実施した。その結果、ADおよびHFAの行動症状は第二世代抗精神病薬により改善するが、有害事象として体重増加に注意が必要であることを報告した。Current Clinical Pharmacology誌オンライン版2013年9月20日号の掲載報告。 小児および思春期の低機能自閉性障害の興奮性および攻撃性の治療における、第二世代抗精神病薬に関するエビデンスが蓄積されつつある。ADおよびHFA患者は大きな感情的および行動的な問題、精神的合併症を抱えており、研究グループは、これら患者に対し、より効果的な治療選択を提供するため、第二世代抗精神病薬の有効性に関する発表論文をレビューする必要があるとして本検討を行った。Medline、PubMedおよびPsychINFOのデータベースを用いて、小児および思春期(0~24歳)のADならびにHFAに対する第二世代抗精神病薬使用に関する最近の英語文献について、システマティックレビューとメタ解析を実施した。キーワードとして、「アスペルガー」「高機能自閉症」「自閉症スペクトラム(ASD)」「広汎性発達障害(PDD)」を、「第二世代抗精神病薬」「アリピラゾール」「オランザピン」「クエチアピン」「リスペリドン」「ジプラシドン(国内未承認)」と組み合わせて検索した。 主な結果は以下のとおり。・引用文献214件が抽出された。そのうちIQ 71以上の被験者が25%以上を占める非盲検試験あるいは無作為化対照試験(RCT)のみをレビューの対象とした。・レビュー適格試験は11件であり、8試験についてメタ解析を実施した。・方法論の正確性に限界があったものの、解析の結果、ADおよびHFAの行動症状が第二世代抗精神病薬により改善することが示唆された。・大多数の試験で、有害事象として体重増加が報告されていた。・以上を踏まえて著者は、「各試験には頑健性の欠如による限界がみられ、薬理学的ならびに精神社会的治療に関するさらなる研究が求められる。臨床医は、ベネフィットと心血管代謝リスクとのバランスを考慮して慎重に治療を行うべきである」と結論している。関連医療ニュース 大うつ病性障害の若者へのSSRI、本当に投与すべきでないのか? 自閉症スペクトラム障害への薬物治療、国による違いが明らかに 若年発症統合失調症への第二世代抗精神病薬治療で留意すべき点

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ベンゾジアゼピン使用は何をもたらすのか

 オーストラリア・カンバーランド病院のDonna Gillies氏らは、急性精神疾患に対するベンゾジアゼピン系薬剤の有用性についてレビューを行った。その結果、ベンゾジアゼピン単独または抗精神病薬と併用した場合の効果が、抗精神病薬単独または同薬併用、あるいは抗精神病薬と抗ヒスタミン薬などの併用と比べて、症状改善に差がないことを報告した。ただし、今回の評価の結果について著者は、ベンゾジアゼピンの単独または併用使用に関するエビデンスが弱く現段階では不明確であり、質の高い研究が必要だと指摘している。Cochrane database of systematic reviewsオンライン版2013年9月18日の掲載報告。 急性精神疾患、とくに興奮性または攻撃性の行動が認められる場合は精神安定剤や鎮静剤による緊急治療が必要となる。こうした状況に対し、いくつかの国ではベンゾジアゼピン単独またはベンゾジアゼピンと抗精神病薬の併用がしばしば行われている。本研究は、行動のコントロールならびに精神症状の軽減に対するベンゾジアゼピン単独または抗精神病薬との併用における効果を、プラセボまたは抗精神病薬単独または抗精神病薬と抗ヒスタミン薬を併用した場合の効果と比較検討することを目的としたものであった。 2012年1月現在のCochrane Schizophrenia Group's registerを検索し、適格試験を詳細に調べ、代表的な試験の著者らを調査した。急性精神疾患患者を対象とし、「ベンゾジアゼピン単独またはベンゾジアゼピン+抗精神病薬」と「抗精神病薬単独または抗精神病薬+その他の抗精神病薬、ベンゾジアゼピンまたは抗ヒスタミン薬」を比較したランダム化臨床試験(RCT)をすべて適格とした。 忠実な方法で試験を選択し、それらの質を評価してデータを抽出した。バイナリ(2値)アウトカムに対しては、固定効果モデルを用いて標準推定相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)を算出した。連続アウトカムに対しては、群間の平均差(MD)を算出した。不均質性を認めた場合はランダム効果モデルを用いて探索した。 主な結果は以下のとおり。・21試験、1,968例を評価の対象とした。・「ベンゾジアゼピン」と「プラセボ」を比較した1試験において、大半のアウトカムで有意差は認められなかったが、プラセボ群のほうが「中期(1~48時間)の改善なし」のリスクがより高かった(1試験、102例、RR:0.62、95%CI:0.40~0.97、エビデンスの質:きわめて低い)。・「ベンゾジアゼピン」と「抗精神病薬」の比較において、中期に改善を認めなかった被検者数に差はみられなかった(5試験、308例、同:1.10、0.85~1.42、低)。ただし、ベンゾジアゼピン群では中期に錐体外路作用(EPS)が少ない傾向にあった(8試験、536例、同:0.15、0.06~0.39、中)。・「ベンゾジアゼピン+抗精神病薬」と「ベンゾジアゼピン単独」の比較において、有意差は認められなかった。・「ベンゾジアゼピン+抗精神病薬」と「同一抗精神病薬単独」との比較(すべての試験でハロペリドールであった)において、中期の改善に群間差は認められなかったが(3試験、155例、同:1.27、0.94~1.70、きわめて低い)、併用療法群で鎮静が得られた患者が多い傾向にあった(3試験、172例、同:1.75、1.14~2.67、きわめて低い)。・しかし、「ベンゾジアゼピン+ハロペリドール」群は、オランザピン群(1試験、60例、同:25.00、1.55~403.99、きわめて低い)またはジプラシドン(国内未承認)群(1試験、60例、同:4.00、1.25~12.75、きわめて低い)に比べ、中期の改善を認めた被検者が少なかった。・「ハロペリドール+ミダゾラム」は、オランザピンと比較して改善、鎮静、行動において優れているという若干のエビデンスが認められた。・以上のように、ベンゾジアゼピン単独使用に関して、良い結果は得られなかった。 良質なデータが非常に少なく、大半の試験はポジティブあるいはネガティブな差を検出するには母集団が少なすぎた。その他の薬剤へのベンゾジアゼピン追加による明らかなメリットはみられず、不要な有害事象の可能性があった。従来の抗精神病薬単独使用(抗コリン薬非併用)の妥当性を評価することは厳しいと思われる。本分野においては、より質の高い研究が求められる。関連医療ニュース 統合失調症患者にNaSSA増強療法は有用か:藤田保健衛生大学 急性期統合失調症、ハロペリドールの最適用量は 抗精神病薬へのNSAIDs追加投与、ベネフィットはあるのか?  担当者へのご意見箱はこちら

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てんかんとQOL

てんかん患者のQOLは、患者の毎日の生活において重要な役割を果たし、QOLの改善には、障害や困難の重症度の緩和が大きく影響する。兼子 直氏(北東北てんかんセンター センター長)は「てんかんとQOL」と題して講演を行い、患者の状況(知的障害の有無、介護者とのコミュニケーション、身体障害による歩行障害の有無、施設入居の有無、家族による世話など)によってQOLに影響を与える因子の重要度は異なるとした。そのうえでQOLの改善を考慮するにあたり、個々の患者によって努力を集中すべき領域が異なることを認識する必要性を訴えた。また、てんかんにおけるQOLの予測因子について言及し、これまでの研究から予測因子として、「心理的要因、抗てんかん薬の有害な影響、発作の有無、知的障害および身体的併存症」などが挙げられていることを紹介した。このうち発作に関しては、発作が完全に抑制される場合、ほとんどのてんかん患者のQOLは一般人口のQOLとほぼ変わらないことが報告されているなど、発作抑制の重要性が示されている。また、抗てんかん薬の有害な影響および併存症としてのうつ病は、活動性てんかん患者の健康状態に最も悪い影響を及ぼすと考えられており、とくに、発作が抑制されていないてんかん患者では、これらの因子は発作頻度よりもQOLとのより強い関連が示されているとして、重視すべき因子であると述べた。兼子氏は最後に、「個々の患者はそれぞれに特徴があり、特別なケアの知識を必要としている。個別の患者の能力障害と環境との不均衡を最小にするよう、多くの困難な課題に立ち向かうべきである」とし、講演を結んだ。(ケアネット 萩原 充)

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ドパミンD2受容体占有率が服薬に影響?:慶應義塾大学

 慶應義塾大学精神・神経科学教室の竹内 啓善氏らは、Clinical Antipsychotic Trials in Intervention Effectiveness(CATIE)のデータを基に、非定型抗精神病薬の血漿中濃度から推定されるドパミンD2受容体の占有率と患者の服薬態度との関連について検討した。その結果、非定型抗精神病薬の種類により傾向は異なるものの、ドパミンD2受容体占有率が統合失調症患者の服薬態度に影響を及ぼす可能性を示唆した。Schizophrenia Research誌オンライン版2013年9月9日号の掲載報告。ドパミンD2受容体占有率とDAI-10スコアの関連を371例で解析 本研究は、統合失調症患者において、血漿中の非定型抗精神病薬濃度から推定されるドパミンD2受容体の占有率と主観的な体験/服薬態度との関連を、横断的かつ縦断的に評価することを目的としたものであった。解析に用いたCATIEの横断的データの対象は、治療開始6ヵ月後にDrug Attitude Inventory(DAI-10)による評価を完了し、血漿中抗精神病薬濃度を測定できた、リスペリドン、オランザピンまたはジプラシドン(国内未承認)の投与を受けている371例であった。DAI-10総スコアと血漿中濃度から推定されるドパミンD2受容体占有率との関連について、スピアマン順位相関を用いて解析した後、重回帰解析を行った。さらに、DAI-10スコア変化とドパミンD2受容体占有率との関連を明確にするため、6~12ヵ月の間に抗精神病薬を増量した45例の縦断的データを解析した。血漿中抗精神病薬濃度に基づく平均ピーク濃度とドパミンD2受容体占拠のトラフ濃度の推定は、母集団薬物動態解析により行った。 ドパミンD2受容体の占有率と主観的な体験/服薬態度と主な評価は以下のとおり。・横断的データにおいて、ジプラシドン投与患者で、ドパミンD2受容体占有率とDAI-10総スコアとの間に正の関連が認められた(rs=0.395、p=0.001)。・一方、縦断的データにおいて、オランザピン投与患者でドパミンD2受容体占有率とDAI-10総スコアとの間に負の関連が認められた(rs=-0.534、p=0.010)。・リスペリドン投与患者、また横断的および縦断的データの両方の点からみた全体においても、有意な関連は認められなかった。・統合失調症患者では、ドパミンD2受容体占有率が主観的な体験/服薬態度に影響を与える可能性がある。抗精神病薬の種類により傾向が異なるため、さらなる検討が必要である。

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若年発症統合失調症への第二世代抗精神病薬治療で留意すべき点

 統合失調症患者は一般集団と比較して寿命が短く、その主な死亡原因として心血管疾患が関与している。一方で、第二世代抗精神病薬(SGA)の使用は、有意な体重増加と代謝性副作用と関係していることが知られるが、特定の診断群、とくに若年発症統合失調症における情報は限定的であった。オーストラリア・Orygen Youth HealthのBrian O'Donoghue氏らによる検討の結果、若年発症統合失調症へのSGA治療では、代謝性の副作用に関する定期スクリーニングの必要性が強調されるとともに、肥満症やメタボリック症候群に対する予防および治療の介入が必要であることが報告された。Early Intervention in Psychiatry誌オンライン版2013年8月22日号の掲載報告。 研究グループは、若年発症統合失調症の初発エピソードを有した未治療の小児および若者コホートについて、SGA(とくにオランザピン、リスペリドン、クエチアピン)の代謝性副作用について調査した。BMI、血清コレステロール値、同トリグリセリド値を、ベースラインと追跡中央値7ヵ月時点で測定し検討した。 主な結果は以下のとおり。・コホート被験者は合計49例であった。そのうち追跡調査が完了したのは36例(74%)であった。・SGA治療開始後、任意に抽出したコホートにおいて、BMI、トリグリセリド、コレステロールの有意な上昇がみられた。・小児と若者の3人に1人は、トリグリセリドとコレステロールの値が異常値であった。用量依存反応はみられなかった。・オランザピンとクエチアピンは、トリグリセリドの上昇がより大きかった。・以上を踏まえて著者は、「若年発症統合失調症では、代謝性副作用について定期スクリーニングの必要性が強調されるとともに、肥満症やメタボリック症候群に対する予防および治療の介入が必要である」と結論した。関連医療ニュース 若年者への抗精神病薬投与、2型糖尿病リスクが3倍に 統合失調症患者、合併症別の死亡率を調査 抗精神病薬治療中の若者、3割がADHD

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ヨガはうつ病補助治療の選択肢になりうるか

 ヨガは、うつ病患者またはうつレベルが高い人の補助的治療の選択肢となりうることが、ドイツ・デュイスブルグ-エッセン大学のHolger Cramer氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、示された。心身医学的介入は、うつ病への対応として一般的に用いられており、なかでもヨガは最も高頻度に用いられる心身医学的介入の1つである。Depression and Anxiety誌オンライン版2013年8月6日号の掲載報告。 研究グループは、2013年1月時点でのMedline/PubMed、Scopus、Cochrane Library、PsycINFO、IndMEDを介して、うつ病障害を有する患者またはうつレベルが高い人に対するヨガ介入の無作為化比較試験(RCT)を検索した。主要アウトカムは、うつ病重症度と寛解率、副次アウトカムは、不安症、QOL、安全性についてであった。 主な結果は以下のとおり。・12件のRCT、被験者合計619例が解析に組み込まれた。3件のRCTは、バイアスリスクが低かった。・うつ病重症度に関しては、ヨガのほうが通常ケアと比較して、わずかだが短期的効果のエビデンスが認められた(標準化平均差[SMD]:-0.69、95%信頼区間[CI]:-0.99~-0.39、p<0.001)。・リラクゼーション法との比較(SMD:-0.62、95%CI:-1.03~-0.22、p=0.003)、また有酸素運動との比較(同:-0.59、-0.99~-0.18、p=0.004)に関するエビデンスは限定的であった。・不安症に関して、リラクゼーション法と比較したヨガの短期的効果のエビデンスも限定的であった(同:-0.79、-1.3~-0.26、p=0.004)。・サブグループ解析では、うつ病性障害を有する患者、うつレベルの高い人への効果に関するエビデンスが示された。・長期的効果についてのメタ解析は、RCTの不足と不均一性により実行できなかった。また安全性については、データ報告をしたRCTがなかった。・上記を踏まえて著者は、「解析に含んだ試験には方法論的欠陥があるが、ヨガはうつ病患者およびうつレベルの高い人に対する補助的治療の選択肢と考えられた」と結論している。関連医療ニュース 1日1杯のワインがうつ病を予防 抑うつ症状改善に“手紙による介入”は効果的か?:京都大学で試験開始 抗うつ薬による治療は適切に行われているのか?:京都大学  担当者へのご意見箱はこちら

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てんかんと運転免許

てんかんなどの意識障害を伴う疾患が関係する道路交通法が可決・成立し、一定の病気*と関連して生じた交通死傷事故の処罰に関する法律をまとめた刑事法新法を策定しようとする動きがある(添付資料1)。しかし、これらの法改正がてんかんやその他の疾患に対する偏見や誤解を助長する可能性があると懸念されており、日本てんかん学会をはじめ関連学会では、これらの法改正について協議を重ねている。【道路交通法改正】2013年5月に日本てんかん学会と日本てんかん協会の共催で開かれた、緊急シンポジウム(「事故をなくしたい-病気や障害と自動車社会の共存をめざして-」)の中で、道路交通法改正に関して、「排除の論理が優先しており、実効性に疑問があるばかりか、差別社会につながりかねない。関連支援法の整備や数年後の見直しなどの付帯決議が必要である」との提言が出された。これにより、2013年6月7日衆議院本会議で可決した改正道路交通法には、付帯決議が追加された(添付資料2)。詳細な通報ガイドラインや運用基準の見直しについては、関連学会と警察庁で協議を重ねている。【刑事法新法】2013年8月に開かれた法的問題検討委員会・関連学会合同会議では、今回の刑事法新法が一定の病気*を理由に刑罰が加重されるという法律であるため、問題視する声が大きかった。これらの病気による事故率が他の要因と比較して高いという医学的根拠はなく、疾患に対する差別を助長しかねず、疾患の適切な治療を阻害しかねない。今後、関連学会の連名にて、新法の慎重な運用と付帯決議追加の要望書を提出する予定である。* 一定の病気とは、統合失調症、てんかん、再発性失神、無自覚性の低血糖症、躁うつ病、重度の眠気の症状を呈する睡眠障害をいう。添付資料1画像を拡大する添付資料2画像を拡大する(ケアネット 岸田有希子)

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うつ病に対するアリピプラゾール強化療法、低用量で改善

 大うつ病性障害(MDD)に対する低用量アリピプラゾールの強化療法について、プラセボと比べてうつ病サブスケールについては有意な改善が示されることが明らかになった。米国・マサチューセッツ総合病院のChristina Dording氏らによる検討の結果で、忍容性については身体症状の悪化がない場合に良好である可能性が示された。結果を踏まえて著者は、さらなる前向き試験において同療法がもたらす効果をMDDの症状別に検討する必要があるとまとめている。International Clinical Psychopharmacology誌2013年9月号の掲載報告。 研究グループは最近、MDDに対する低用量アリピプラゾール強化療法についての検討を行い、有意ではなくとも有益であることが認められたとした。また、二次的研究において、アリピプラゾールがケルナー症状質問票(KSQ)の4つのサブスケール(抑うつ、不安、身体症状、敵意)について改善をもたらすかを調べた。本検討では、SSRIまたはSNRIに対する十分な反応を示さなかったMDD患者221例の主要アウトカム試験のデータを再解析した。被験者は、経時的並行群間比較デザインを用いて、30日間ずつの2つのフェーズからなる次の3つの投与群、(1)試験薬(アリピプラゾール2mg/日)/ 試験薬(アリピプラゾール5mg/日)投与群、(2)プラセボ/ 試験薬(アリピプラゾール2mg/日)投与群、(3)プラセボ/ プラセボ投与群、に無作為に割り付けられ追跡された。Well-beingサブスケールとReversal Distressed Anxiety Subscalesについて、ベースラインからエンドポイントまでのKSQスコアの変化を調べた。 主な結果は以下のとおり。・うつ病サブスケールについてのKSQスコア変化は、プラセボよりもアリピプラゾールのほうが有意に改善したことが示された(p=0.0327)。・不安および敵意サブスケールにおいても、アリピプラゾールの改善がプラセボよりも優れていたが、有意ではなかった。・身体症状サブスケールは、有意な変化がみられなかった。・以上のように、アリピプラゾール強化療法はプラセボと比べて、KSQのうつ病サブスケールにおいてのみ有意な改善を示した。低用量投与は、不安と敵意のスケールには十分な影響を及ぼさない可能性が示された。・低用量の良好な忍容性は、身体症状の悪化がない場合に認められる可能性があった。・MDDの症状別に、低用量アリピプラゾール強化療法の効果をより明らかにする前向き研究が必要である。関連医療ニュース アリピプラゾール治療を見極めるタイミングは何週目か 各抗うつ薬のセロトニン再取り込み阻害作用の違いは:京都大学 抗精神病薬による高プロラクチン血症に関するレビュー

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1日1杯のワインがうつ病を予防

 うつ病はアルコール摂取に関連しているといわれている。スペイン・ナバラ大学のAlfredo Gea氏らはアルコール摂取とうつ病との関係をプロスペクティブに評価した。BMC medicine誌オンライン版2013年8月30日号の報告。 対象は、PREDIMEDトライアル(最大7年フォローアップ)の参加者のうちハイリスク群の男女5,505人(55~80歳)。試験登録時、対象者にうつ病の有病および既往歴はなく、アルコール関連の問題もなかった。アルコール摂取量を評価するため、栄養士によって管理された137項目の食物摂取頻度調査票による調査を毎年実施した。うつ病発症の定義は、臨床診断により新規にうつ病と診断された場合、あるいは抗うつ薬の使用を開始した場合とした。分析にはCox回帰分析を用いた(2万3,655人年)。 主な結果は以下のとおり。・適度なアルコール摂取(5~15g/日)は、うつ病発症の低いリスクと有意に関連していた(HR[95%CI]:0.72[0.53~0.98] vs 禁酒群)。・具体的には、1週間あたり2~7杯のワイン摂取がうつ病発症の低リスクと有意に関係していた(HR[95%CI]:0.68[0.47~0.98])。・適度なワインの摂取はうつ病発症リスクの軽減につながるが、大量飲酒ではリスクが増加する傾向がある。関連医療ニュース 日本人のうつ病予防に期待?葉酸の摂取量を増やすべき 「抑うつ+過度な飲酒」その影響は? ゲームのやり過ぎは「うつ病」発症の原因か?!

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エキスパートQ&A

プライマリ・ケア医はどの範囲まで、がん患者さんを診るべきなのでしょうか?プライマリ・ケア医の定義がなかなか難しいところですが、地域の開業医の先生方であれ病院勤務の一般内科の先生方であれ、がん患者さんを診るべきだと思います。サブスペシャリティががんとは無関係の領域(循環器、神経、内分泌、腎臓、膠原病、感染症など)であったとしても同じことです。理由は単純です。患者さんは多いのに診る医者が少ないからです。がんは日本人の2人に1人が罹患し、3人に1人が亡くなるという非常にコモンな病気です。がん患者の診療において、専門医数(全国でがん薬物療法専門医<1000人、緩和医療専門医<100人)が少ないなどインフラの問題もありますが、一番大きい問題は患者さん側と医師側が日本のがん医療や一般診療に対してそれぞれが持つ固定観念だと思います。患者さん側は「大きな病院で専門医の先生にずっと診てもらわないと心配だ」、医師側は「がん診療は高度に専門化していて難しい。患者や家族の対応にもストレスを感じることが多い。治らずに亡くなっていく患者を診るのもつらいし、しんどい」といった気持ちがお互いにあるのではないでしょうか。これを少しずつでも変えていかないことには、がん対策基本法の理念である「すべてのがん患者さんに等しく適切な医療を提供する」を実現することは困難だと思います。がん診療はやりがいがあります。患者さんにとって一度は死を意識せざるを得ない疾患ですから、その患者さんや家族との対応の中で自分なりのさまざまな思索を巡らすことになります。また、自分や家族も将来罹患する可能性が高い疾患を目の前の患者さんを通じて経験し、人間の永遠のテーマである「生と死」について深く考えることができるのです。プライマリ・ケア医にできる身体的なケアにはどのようなものがあるでしょうか?がん患者さんの何を診るかについては議論のあるところですが、患者さんのQOL維持・向上のため少なくとも支持療法(緩和医療)についてはカバーすべきと考えています。支持療法の範囲は広く、緊急事態(オンコロジック・エマージェンシー)への対応、疼痛を含む症状コントロール、がん治療による有害事象対策、栄養療法、リハビリ、無再発患者の定期的フォロー(再発の有無、二次がんのチェック、骨粗鬆症、不妊、一般内科的マネジメント)などプライマリ・ケア医であればある程度対応可能な分野と考えています。抗がん薬治療はご自身のサブスペシャリティと、置かれている環境(開業医か病院勤務医か、地方か都市部か)で異なると思いますが、開業医の先生方が抗がん薬治療を扱うのは現状ではなかなか難しいかもしれません。基幹病院への紹介の仕方や、うまく機能しているシステムがあれば教えていただけますか?具体的に機能しているシステムはわかりませんが、病病連携や病診連携において大切なのはやはり「顔の見える関係」です。紙だけのやり取りでは関係が希薄になりがちですので、研究会等で基幹病院の先生と会って良い関係を築くことが重要ですし、いろいろな情報や知識も得られると思います。また紹介患者さんが基幹病院に入院したら、その病院に会いに行くことも重要だと思います。患者さんが喜ぶのはもちろん、基幹病院の医療スタッフも信頼を寄せますので、患者さんを逆紹介していただきやすくなると思います。可能であれば、基幹病院、地域の開業医、訪問看護ステーション、ケアマネージャーなどで症例を通じた多職種カンファレンスを開くのもよいと思います。日常診療でがんを早期発見するためには、どこに気を付ければよいですか?有症状か無症状かで考え方が異なります。有症状の場合、そのがんはすでに早期がんである確率は低いので、ご質問そのものに対する回答にはなっていませんが、個人的には以下のような症状があった場合には、がんを疑うことにしています。すなわち、体重減少、リンパ節腫脹、原因不明で夜間に増悪する腰痛・背部痛、不明熱、嚥下困難、下血・血便・タール便、黄疸、血痰、血尿などです。また過去のがんの既往があれば、より検査閾値を下げて精密検査を進めることになると思います。無症状のがんを診断するためには、基本的にはがん検診を定期的に受けていただくことだと思います。私はがん以外で診ている患者さんに「がんについては検診を受けてください。残念ながら、あなたががんになっていないかどうかについてまでは診られていないのです」と説明しています。高血圧や糖尿病で診ている患者さんでも、患者さん側からすればがんも含めて診てもらっていると思っている方がいらっしゃいます。しかし、がんでない患者さん全員にがんが無いかどうかを診ていくのは大変だと思います。ただ、がん検診については注意すべき点があります。がん検診は早期発見のみを目的にしているのではなく、早期発見を通じてがんによる死亡を減らすことを目標としていますし、その点についてある程度コンセンサスがあるがん種についてがん検診が行われているのです。したがって、がん検診の内容に満足できない患者さんには、賛否両論あるにせよ、人間ドックを受けていただく以外にないと考えています。また、がんをスクリーニングする方法としての腫瘍マーカー測定は勧められません。スクリーニングには高い感度が求められますが、腫瘍マーカーで感度の高い検査はないからです(PSAは前立腺がんのスクリーニングには適していますが、早期診断することで死亡割合を低下させるかどうかが専門家の間で見解が異なるため現時点でがん検診に用いられてはいません)。症状もないのに患者さんの希望のみで、安易に腫瘍マーカーを測定し少しでも異常があった場合には、患者側も医師側も必要以上にがんを心配することになってしまいます。健診受診を促していますが、嫌がる人が多いです。どうすべきでしょうか?どうして嫌がるのかその理由によると思います。がんが見つかるのが怖いのか、それともがんになっても構わないし、早期発見が重要と考えていないなど、いろいろ理由があると思います。まずは患者さんの考え方を十分に把握することから始めてみてはいかがでしょう。CKDにおける抗がん治療の注意点を教えてください。腎障害の程度や、抗がん薬が腎排泄か肝代謝・肝排泄かなどによって、投与量は変わってきますので一般化できません。また、透析患者さんの場合はまた別の因子(透析性、分布容積、蛋白結合率、投与するタイミングなど)を考慮する必要が出てきます。詳しくは各抗がん薬の添付文書をご覧ください。高齢患者さんの治療に関する注意点を教えてください。一般的に抗がん治療の治療目標は二つあります。すなわち、生存期間の延長とQOLの改善・維持です。高齢患者さんの場合、抗がん治療により得られるメリットは非高齢患者さんのそれに比して小さくなります。つまり、生存期間の延長も小さくなるでしょうし、QOLも低下する可能性が十分あります。大切なことは、何を治療目標にして個々の患者さんを治療しているのかについて主治医と患者さん・家族が十分話し合い、認識を共有しておくことだと思います。個々の抗がん治療(手術、抗がん薬、放射線)の注意点については紙面の関係でここでは割愛します。食欲不振に対する対処法を教えてください。食欲不振の原因によります。原疾患によるものか、抗がん薬治療によるものか、あるいはうつ病などの内因性精神疾患によるものか、など多岐にわたります。認知症患者におけるがん治療について教えてください。がん治療に関して、その患者さんに自己意思決定能力があるかどうかが最大の問題になります。認知症のために本人に意思決定ができない場合は、家族や友人などに代理意思決定をしていただく必要があります。その際に大切なのは、代理者の意向ではなく、患者さん本人の意思を代弁する(または推定する)ことです。あくまでも患者さんが主体です。また、認知症患者の抗がん治療自体も難しいものになります。認知症の患者さんは脳の脆弱性のため、せん妄を起こしやすく、脳以外の身体の脆弱性も伴っていることが多いことから、その他の合併症(肺炎など)も起こしやすいのです。前立腺がんにおける高濃度ビタミンCの有用性について教えてくださいマルチビタミン(ビタミンCを含む)とミネラル補充療法の前立腺がん発症や進行予防との関連についてはメタ解析により現時点では否定されています(Stratton J,et al. Family Practice. 2011; 28:243–252)。上部消化管検診においてペプシノゲンがBaや内視鏡に代行できるという考え方はもう一般的になっているのでしょうか?日本のガイドラインでは現時点においても胃透視を推奨しており、ペプシノゲンはピロリ抗体や胃内視鏡と共に胃透視に比べてエビデンスレベルは下位に位置づけられています(Hamashima C, et al. Jpn J Clin Oncol 2008;38(4)259–267)。したがって、一般的にペプシノゲン測定はほかの検査の代用にはならないと考えられます。ただ、ABC検診と言って、血液検査でH. pylori感染とペプシノゲン値を調べ、胃がんのリスク評価を行う検診があり、リスクに応じて胃内視鏡検査による胃がんのスクリーニングを推奨する動きもあります。

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統合失調症の再発、コスト増加はどの程度

 カナダ・Groupe d'analyse LteeのMarie-Helene Lafeuille氏らは、コストの側面から統合失調症の再発について評価を行った。その結果、再発エピソード期間中は薬局、外来、入院・救急などのリソース活用が有意に増えてコスト増大を招くこと、とくに入院や救急などの病院診療がコスト増大に大きく関わることを報告した。Journal of Medical Economics誌オンライン版2013年9月5日号の掲載報告。 本研究は、統合失調症の再発ならびに再発の主要なコスト・ドライバーを、コストベースのアルゴリズムに基づいて明らかにすることを目的としたものであった。Multistate Medicaid dataを用いて、1997~2010年までに非定型抗精神病薬(AP)の投与を受けた成人統合失調症患者を抽出し、初めて統合失調症と診断されAP投与が開始された日をもってindex dateとした。再発エピソードは(1)index dateから2年以降に、ベースライン(index date前12ヵ月)から高額なコスト増加を認めた週、(2)週間絶対コスト高値とし、これら2つの基準によりcompound scoreを算出し、患者の54%でベースラインからの高額なコスト増加、および週間絶対コスト高値を認めた場合に再発とした。ベースラインおよび再発エピソード期間中のリソース使用とコストはincidence rate ratios (IRRs)およびブートストラップ法により比較検討した。 主な結果は以下のとおり。・再発例は9,793例で、1例当たり平均9回の再発エピソードが認められた。・再発エピソードの期間は、経過とともに減少した(平均[中央]値:初回エピソードは34[4]週間、その後のエピソードは8[1]週間)。・しかし再発エピソード期間中は、薬局、外来および病院診療(入院、救急)におけるリソース活用が、ベースラインと比較して有意に増大していた(IRRsは1.9~2.4、すべてのp<0.0001)。・同様に1週間当たりの平均増分コストも、再発により2,459ドル(95%CI:2,384~2,539ドル)増加した。病院診療に関する増大が53%だった。・本研究には、以下の点で限界がある。再発例および再発エピソードをコストベースのアルゴリズムにより特定したが、これは臨床的再発の定義とは相反するものである。また、それらは統合失調症患者の約54%が2年間に1回以上の再発エピソードを経験するであろう、という文献からの仮定にすぎなかった。・以上を踏まえて、統合失調症の再発はコストを有意に増加することが認められた。それは主に入院、救急などの病院診療によるものであった。関連医療ニュース 統合失調症患者の再発を予測することは可能か? 統合失調症“再発”の危険因子は? 統合失調症の再燃や再入院を減少させるには:システマティックレビュ―

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統合失調症、双極性障害で新たに注目される「アデノシン作用」

 アデノシン・モジュレータ補助療法は、統合失調症の精神病理全般(とくに陽性症状)および双極性障害の躁病エピソードの治療において、より大きなベネフィットをもたらすことが示唆された。米国・ヴァンダービルト大学メディカルセンターのTomoya Hirota氏らがシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。Schizophrenia Research誌2013年9月号の掲載報告。 アデノシンは現在、統合失調症の病態生理で注視されているドパミンとグルタミン酸と相互に作用することが報告されている。さらに、双極性障害患者にプリン作動性システムの病態生理学的変化をもたらすという新たな報告もなされていることから、Hirota氏らは本検討を行った。2013年4月25日までに発表されたPubMed、EMBASE、Cochrane Library databases、CINAHL、PsycINFOを検索し、統合失調症および双極性障害患者を対象にアデノシン・モジュレータ補助療法とプラセボを比較した無作為比較試験を選択した。主要評価項目は、陽性・陰性症状尺度(PANSS)、ヤング躁病評価尺度(YMRS)とし、リスク比と95%信頼区間、標準化平均差(SMD)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症(457例)に関する6試験、双極性障害(289例)に関する3試験の計9試験が解析に組み込まれた。・全体として、統合失調症において、アデノシン・モジュレータ補助療法によるPANSS総スコアがプラセボより優れていた(SMD:-1.07、p=0.01)。症状サブスケールでみると陽性尺度および総合精神病理評価尺度で優れており、陰性尺度では優位性はみられなかった。・個別にみるとアロプリノールは、統合失調症におけるあらゆる主要転帰尺度についてプラセボに対する優位性がみられなかった。・双極性障害におけるアデノシン・モジュレータに関するプールデータの解析からは、プラセボと比較して、YMRSスコアの有意な減少(SMD:-0.39、p=0.004)が示された。・本検討において、アデノシン・モジュレータ補助療法は、統合失調症の精神病理(とくに陽性症状)の治療と双極性障害の躁病治療に有益であることが示唆された。ただし解析に組み込まれた試験はサンプルサイズが限られており、有効性と忍容性の評価についてはさらに多くの研究が必要であることが示された。関連医療ニュース 精神疾患のグルタミン酸仮説は支持されるか 統合失調症の治療ターゲット、新たな遺伝要因を特定 双極Ⅰ型障害患者の症状発症に関連する“キヌレン酸”

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てんかんにVNSは有効、長期発作抑制効果も

 現在、12歳以上のてんかん部分発作に対する補助療法として承認されている迷走神経刺激療法(VNS)。Aurora Epilepsy CenterのGeorge L. Morris III氏らは、VNSに関する一連のエビデンスを評価した。その結果、VNSは小児の発作、レノックス・ガストー症候群(LGS)関連発作、成人てんかんの気分障害の改善に効果が期待できること、また治療継続により発作抑制効果が高まることが示唆され、これらをエビデンスレベルCとして推奨した。Neurology誌オンライン版2013年8月28日号の掲載報告。 本研究では、VNSの有効性と安全性に関する1999年以降のエビデンスを評価することを目的とした。文献レビューを行い代表的な試験を選出し、米国神経学会(American Academy of Neurology)のevidence-based methodologyに従って分類した。 主な結果は以下のとおり。・VNSにより、部分てんかんまたは全般てんかんを有する小児470例の55%(95%信頼区間[CI]:50~59%)において、50%超の発作減少が認められた(13試験:Class III)。・VNSにより、LGSを有する患者113例の55%(95%CI:46~64%)において、50%超の発作減少が認められた(4試験:Class III)。・VNS装置の植込手術後1~5年の間に、発作が50%以上減少する患者の割合が7%増加した(2試験:Class III)。・成人てんかん患者31例において、VNSにより気分障害の指標であるstandard mood scaleの有意な改善が認められた(2試験:Class III)。・小児におけるVNS植込手術部位の感染リスクは、成人に比べ増加した(オッズ比:3.4、95%CI:1.0~11.2)。・VNSは、小児の発作(部分および全般)、LGS関連発作、成人てんかんの気分障害に対して有効な可能性がある。・VNSにより長期の発作抑制効果が期待される。・以上のことから、次の推奨が示された。「VNSは、小児の発作、LGS関連発作、成人てんかんの気分障害の改善に考慮されうる」(Level C)「VNSは長期発作抑制効果が期待できる」(Level C)「小児に対するVNS植込手術後は、局所感染を注意深くモニターすべきである」関連医療ニュース 難治性の部分発作を有する日本人てんかん患者へのLEV追加の有用性は?/a> 抗てんかん薬レベチラセタム、日本人小児に対する推奨量の妥当性を検証 セロトニンが重要な役割を果たす!うつ病合併側頭葉てんかん

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高齢の皮膚疾患患者におけるうつ病の有病率とリスク因子は

 皮膚疾患は、他の慢性疾患の罹患やそれに伴う精神的苦痛と同様に、高齢者におけるうつ病の原因のひとつとなることがある。韓国・カトリック大学校のEun Kyung Kim氏らは、高齢皮膚疾患患者のうつ病の有病率と、そのリスク因子を特定するため、調査を実施した。 その結果、高齢の皮膚疾患患者におけるうつ病の有病率は一般集団より顕著に高率であること、身体の健康、教育レベル、併存疾患の存在がリスク因子であることを報告した(Annals of dermatology誌2013年8月25日掲載報告)。 調査の対象は60歳以上の皮膚疾患患者。高齢者うつ病評価尺度(GDS:The Geriatric Depression Scale )による質問票を用い、うつ病の判定を実施した。さらに、人口統計学的情報や病歴を収集した。 主な結果は以下のとおり。・GDS質問票を完遂したのは313例であった。そのうち男性が39.94%、平均年齢は69.04歳、平均罹患期間は3.23年であった。・高齢皮膚疾患患者の平均GDSスコアは、30点満点中12.35点であり、皮膚疾患は、全体としてうつ病に有意な影響を及ぼしていた(χ2=177.13、p<0.0001)・高齢皮膚疾患患者のうち、中等度~重度のうつ病と評されるGDSスコア10点以上であったのは62.3%であった。一方、一般集団でGDSスコア10点以上であったのは、22.22%であった。・単変量解析によると、高齢皮膚疾患患者のうつ病のリスク因子は、身体の健康、教育レベル、併存疾患の存在であった。・しかし、うつ病の独立した予測因子となる人口統計学的変数および疾患関連の変数を特定するまでには至らなかった。

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