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精神疾患のグルタミン酸仮説は支持されるか

 初回エピソードの精神疾患患者において、右連合野線条体においてグルタミン酸値の上昇が示されている。しかし、この上昇が、効果的な抗精神病薬治療後に持続するかどうかについては不明であった。メキシコ・Instituto Nacional de Neurologiay NeurocirugiaのCamilo de la Fuente-Sandoval氏らは検討の結果、4週間の抗精神病薬治療により臨床的有効性が認められた初回エピソードの精神疾患患者ではグルタミン酸値が正常化していたことを報告し、「これらの結果は、臨床症状の改善にグルタミン酸値低下が関連している可能性があるとの仮説を支持するものである」と結論している。JAMA Psychiatry誌オンライン版2013年8月21日号の掲載報告。 研究グループは、治療前と治療4週後の同値の測定を行い、性でマッチさせた健常対照被験者のデータとの比較を行った。グルタミン酸値の測定は、陽子磁気共鳴分光学(MRS)を用いて右連合野線条体と右小脳皮質で行った。具体的な試験デザインは、初回エピソードで入院治療を受けた精神疾患患者(24例)と、年齢、性、利き手、喫煙状況でマッチさせた健常対照(18例)による、前後比較試験であった。本検討において被験者は、2回のMRS試験を受けた。MRS試験は、患者被験者はベースライン時と抗精神病薬治療4週後の2回、健常被験者はベースライン時と同撮影時から4週後の2回であった。4週間の抗精神病薬治療は、リスペリドンの経口投与を行い、臨床症状の診断に基づきオープンラベル下で行われた。主要評価項目はグルタミン酸値で、LCModel(バージョン6.2-1T)を用いて推定し、脳脊髄液中の割合で修正算出した。 主な結果は以下のとおり。・初回エピソードの精神疾患患者は、抗精神病薬治療を必要としている状態において、連合野線条体および小脳のグルタミン酸値が、対照群と比べてより高値であった。・臨床的に有効な抗精神病薬治療後は、連合野線条体のグルタミン酸値は有意に減少した。一方、小脳におけるグルタミン酸値に変化はみられなかった。・両群間のグルタミン酸値の有意差は、4週時点では認められなかった。・以上のように、初回エピソードの精神疾患患者においてベースラインでみられたグルタミン酸値の上昇は、臨床的に有効な抗精神病薬治療4週後に正常化していた。・結果を踏まえて著者は、「これらの結果は、臨床症状の改善にはグルタミン酸値の低下が関連している可能性があるとの仮説を支持するものである」と結論した。関連医療ニュース グルタミン酸トランスポーター遺伝子と統合失調症・双極性障害の関係 検証「グルタミン酸仮説」統合失調症の病態メカニズム グルタミン酸ドパミンD3受容体遮断による統合失調症の新たな創薬の可能性

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自閉症スペクトラム障害に対するSSRIの治療レビュー

 オーストラリア・メルボルン大学のKatrina Williams氏らは、自閉症スペクトラム障害(ASD)に対するSSRIによる治療の有用性についてレビューを行った。その結果、小児に対する有効性および有害性のエビデンスはなく、成人については試験規模が小さくバイアスリスクが不明であり有効性のエビデンスは限定的であることを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2013年8月20日号の掲載報告。 SSRIは、ASDにしばしば共存するうつ病や不安症、強迫性障害の治療に対して処方が行われている。研究グループは、そうした治療がもたらす影響について、(1)自閉症の中心的特徴(社会的関係性、コミュニケーション、行動の問題)を改善するか、(2)自傷行動のような非中心的特徴である側面を改善するか、(3)成人または小児およびその介護者のQOLを改善するか、(4)短期的または長期的アウトカムを有するか、(5)有害性の発生の5点について検討した。レビューは、CENTRAL、Ovid MEDLINE、Embase、CINAHL、PsycINFO、ERIC、Sociological Abstractsのデータベースを2013年5月時点で検索して行い、また、ClinicalTrials.govやICTRPなども対象とした。文献リストの補充や当該分野の専門家とのコンタクトも行った。ASD患者を対象に、あらゆるSSRIとプラセボの投与について比較した無作為化試験を適格とし、2名の研究者が独立して試験の選択、データの抽出、各試験のバイアスリスクを評価した。 主な結果は以下のとおり。・9試験、被験者320例がレビューに組み込まれた。小児のみ対象とした試験は5試験、成人のみは4試験であった。・評価に含まれたSSRIは4種類で、フルオキセチン(国内未承認)(3試験)、フルボキサミン(2試験)、フェンフルラミン(国内未承認)(2試験)、シタロプラム(国内未承認)(2試験)であった。・被験者の診断基準、IQ評価の指標は、試験によってさまざまであった。示されていたアウトカム尺度は18種類に及んだ。・複数の試験で、CGIとOCBのアウトカム尺度が用いられていたが、使用されたツールや評価項目は試験によって異なっていた。そのため、1つのアウトカム(改善割合)を除いてメタ解析を行うことは不適当であった。・その中で、大規模かつ質の高い小児の1試験があったが、シタロプラムのポジティブな有効性についてエビデンスは認められなかった。・成人では3試験で、CGIとOCBにおいてポジティブなアウトカム(1試験は攻撃性の改善、2試験は不安症の改善)が示されていたが、試験規模が小さかった。関連医療ニュース 自閉症、広汎性発達障害の興奮性に非定型抗精神病薬使用は有用か? 新たな選択肢か?!「抗精神病薬+COX-2阻害薬」自閉症の治療  大うつ病性障害の若者へのSSRI、本当に投与すべきでないのか?

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若年者への抗精神病薬投与、2型糖尿病リスクが3倍に

 抗精神病薬を処方された小児および若年者の2型糖尿病リスクは、その他の向精神薬の使用者に比べ3倍高く、用量依存的にリスクが高まることが、米国・ヴァンダービルト大学のWilliam V. Bobo氏らによる後ろ向きコホート研究の結果、報告された。JAMA Psychiatry誌オンライン版2013年8月21日号の掲載報告。 小児および若年者への抗精神病薬の処方が増加しているが、それが2型糖尿病のリスクを高めるのではないかとの懸念が強まっている。Bobo氏らは、抗精神病薬による治療を最近開始した6~24歳の小児および若年者の2型糖尿病リスクを、患者背景をマッチさせたコントロール(別の向精神薬による治療を開始)と比較することを目的に、後ろ向きコホート研究を実施した。対象はTennessee Medicaid programに参加した患者で、内訳は抗精神病薬を開始した患者が2万8,858例、コントロールが1万4,429例であった。糖尿病あるいは統合失調症と診断されたことのある例、認識している治療が抗精神病薬のみであった例は除外した。主要アウトカムは、診断および糖尿病治療薬の処方に基づき、観察期間中に新規に確認された糖尿病とした。 主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬使用者は、2型糖尿病のリスクが3倍高く(HR :3.03、95%CI:1.73~5.32)、観察開始後1年以内のリスクが顕著であった(同:2.49、1.27~4.88)。・抗精神病薬の累積投与量(クロルプロマジン換算)に伴い2型糖尿病リスクは上昇し、投与量5g以上におけるハザード比は2.13(95%CI:1.06~4.27)、5~99gでは3.42(同:1.88~6.24)、100g以上では5.43(同:2.34~12.61)であった(p<0.04)。・抗精神病薬の投与中止後も、リスクは1年間にわたり上昇し続けた(HR:2.57、95%CI:1.34~4.91)。・コホートを6~17歳の小児に限定すると、抗精神病薬使用者の2型糖尿病リスクは3倍を超え(HR:3.14、95%CI:1.50~6.56)、累積投与量の増加に伴いリスクの有意な上昇が認められた(p<0.03)。・2型糖尿病リスクの増大には、非定型抗精神病薬の使用(HR:2.89、95%CI:1.64~5.10)、リスペリドンの使用(同: 2.20、1.14~4.26)が関連していた。関連医療ニュース 抗精神病薬治療中の若者、3割がADHD 大うつ病性障害の若者へのSSRI、本当に投与すべきでないのか? 検証!抗精神病薬使用に関連する急性高血糖症のリスク

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統合失調症患者、合併症別の死亡率を調査

 統合失調症は、重大な併存疾患と死亡を伴う主要な精神病性障害で、2型糖尿病および糖尿病合併症に罹患しやすいとされる。しかし、併存疾患が統合失調症患者の超過死亡につながるという一貫したエビデンスはほとんどない。そこで、ドイツ・ボン大学のDieter Schoepf氏らは、一般病院の入院患者を対象とし、統合失調症の有無により併存疾患による負担や院内死亡率に差異があるかどうかを調べる12年間の追跡研究を行った。European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience誌オンライン版2013年8月13日号の掲載報告。統合失調症の併存疾患の大半は糖尿病合併症またはその他の環境因子に関与 対象は、2000年1月1日から2012年6月末までにマンチェスターにある3つのNHS一般病院に入院した成人統合失調症患者1,418例であった。1%以上の発現がみられたすべての併存疾患について、年齢、性別を適合させたコントロール1万4,180例と比較検討した。多変量ロジスティック回帰解析により、リスク因子(例:院内死亡の予測因子としての併存疾患など)を特定した。 統合失調症の併存疾患を比較検討した主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者はコントロールに比べ緊急入院の割合が高く(69.8 vs. 43.0%)、平均入院期間が長く(8.1 vs. 3.4日)、入院回数が多く(11.5 vs. 6.3回)、生存期間が短く(1,895 vs. 2,161日)、死亡率は約2倍であった(18.0 vs. 9.7%)。 ・統合失調症患者では、うつ病、2型糖尿病、アルコール依存症、喘息、COPDに罹患していることが多く、併存疾患としては23種類も多かった。また、これらの大半は糖尿病合併症またはその他の環境因子に関与していた。・これに対し、高血圧、白内障、狭心症、脂質異常症は統合失調症患者のほうが少なかった。・統合失調症患者の死亡例において、併存疾患として最も多かったのは2型糖尿病で、入院中の死亡の31.4%を占めていた(試験期間中、2型糖尿病を併発している統合失調症患者の生存率はわずか14.4%であった)。・統合失調症患者においては、アルコール性肝疾患(OR:10.3)、パーキンソン病(OR:5.0)、1型糖尿病 (OR:3.8)、非特異的な腎不全(OR:3.5)、虚血性脳卒中(OR:3.3)、肺炎(OR:3.0)、鉄欠乏性貧血(OR:2.8)、COPD(OR:2.8)、気管支炎(OR:2.6)などが院内死亡の予測因子であることが示された。・コントロールとの比較において、統合失調症患者の高い死亡率に関連していた併存疾患はパーキンソン病のみであった。パーキンソン病以外の併存疾患に関しては、統合失調症の有無による死亡への影響に有意差は認められなかった。・統合失調症患者の死亡例255例におけるパーキンソン病の頻度は5.5%、試験期間中に生存していた1,163例におけるパーキンソン病の頻度は0.8%と、統合失調症患者の死亡例で有意に多かった(OR:5.0)。・また、統合失調症死亡例はコントロール死亡例に比べ、錐体外路症状の頻度が有意に高かった(5.5 vs. 1.5%)。・12年間の追跡調査により、統合失調症患者はコントロールに比べて多大な身体的負担を有しており、このことが不良な予後と関連していることが判明した。・以上のことから、統合失調症において、2型糖尿病および呼吸器感染症を伴うCOPDの最適なモニタリングと管理は、鉄欠乏性貧血、糖尿病細小血管障害、糖尿病大血管障害、アルコール性肝疾患、錐体外路症状の的確な発見ならびに管理と同様に細心の注意を払う必要がある。関連医療ニュース 検証!抗精神病薬使用に関連する急性高血糖症のリスク 抗精神病薬によるプロラクチン濃度上昇と関連する鉄欠乏状態 抗精神病薬と抗コリン薬の併用、心機能に及ぼす影響

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オランザピン服用患者の一部で認められる糖尿病などの代謝異常、原因が明らかに:京都大学

 オランザピン服用患者の一部で認められる、体重増加を伴わない脂質異常症や糖尿病の原因について、オランザピンがインスリン分泌を制御する膵β細胞のアポトーシスを引き起こしている可能性があることを、京都大学大学院理学研究科教授・森 和俊氏らが明らかにした。Cell Structure and Function誌2013年第2号の掲載報告より。オランザピンは一部の患者において糖尿病などの代謝異常を引き起こす 統合失調症患者の症状軽減のためにさまざまな薬物投与が行われるが、いくつかの有効な第2世代(非定型)抗精神病薬、とくにオランザピンは一部の患者において、肥満や脂質異常、糖尿病を引き起こす。一般的にオランザピンは、肥満を誘発し、その後インスリン抵抗性が引き起こされることによって糖尿病発症に関与すると考えられているが、森氏らはインスリン分泌を制御する膵β細胞への直接的な薬物作用を、オランザピンほかリスペリドン、その他の非定型抗精神病薬についてハムスターを用いて調べた。また、その際に細胞への悪影響(ストレス)を生じさせる小胞体(ER)ストレスの喚起が認められるかについて、ERストレスセンサー分子PERKの低活性をエビデンスとして調べた。オランザピンによる膵β細胞の損傷が好ましくない代謝の影響に関与 得られた主な知見は以下のとおり。・オランザピン治療細胞でのみ、アポトーシスの誘発が認められた。・オランザピン治療細胞においては、PERK仲介翻訳減衰が選択的に損傷を受けており、そのためにERストレスの持続がみられた。・インスリン分泌は顕著に阻害されていた。そして、プロインスリンとインスリンがいずれもオランザピン治療細胞に蓄積していた。・蛋白質合成抑制とインスリンmRNAのノックダウンにより、それ以後はオランザピン誘発のアポトーシスは減弱した。・以上から、オランザピンを服用する患者の一部で、体重増加することなく高脂血症と高血糖が臨床的に認められることについて、オランザピン治療による膵β細胞への損傷が好ましくない代謝の影響に関与している可能性が示唆された。関連医療ニュース 非定型抗精神病薬治療、忍容性の差を検証 抗精神病薬多剤併用による代謝関連への影響は? 第二世代抗精神病薬によるインスリン分泌障害の独立した予測因子は

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抗精神病薬のアジア実態調査:高用量投与は36%

 アジア人の高齢統合失調症患者における抗精神病薬の処方状況が調査された。その結果、50歳以上のアジア人統合失調症患者の3分の1以上が高用量の抗精神病薬を使用しており、低~中用量を処方されている患者に比べ罹病期間が長く、現在陽性症状または陰性症状を呈している割合が多く、処方されている抗精神病薬の種類が多いことなどを香港中文大学のYu-Tao Xiang氏らが報告した。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2013年8月13日号の掲載報告。 本研究は、アジア人の高齢統合失調症患者における、抗精神病薬高用量使用(クロルプロマジン換算600 mg/日以上)の実態と、その患者背景ならびに臨床特性との関連を検討することを目的とした。Research on Asian Psychotropic Prescription Patterns studyのデータベースを用い、50歳以上の統合失調症入院患者に関する2001~2009年までの情報を抽出した。中国、香港、日本、韓国、シンガポールおよび台湾を含むアジア6ヵ国・地域の患者2,203例のデータを解析に組み込み、社会人口統計学的および臨床的特徴、抗精神病薬の処方状況を確認した。 主な結果は以下のとおり。・高用量の抗精神病薬が処方されていた割合は、全体で36.0%であった。年代別では、2001年38.4%、2004年33.3%、2009年36.0%であった。・多重ロジスティック回帰解析により、低~中用量の抗精神病薬を処方されていた患者に比べ、高用量を処方されていた患者は、罹病期間が長く(オッズ比[OR]:2.0、95%信頼区間[CI]:1.2~3.3、p=0.008)、50~59歳の年齢層が多く(OR:0.95、95%CI:0.94~0.97、p<0.001)、現在陽性症状(OR:1.5、95%CI:1.2~1.8、p<0.001)または陰性症状(OR:1.3、95%CI:1.03~1.6、p=0.03)を呈している割合が高く、複数の抗精神病薬が処方されていた(OR:5.3、95%CI:4.1~6.7、p<0.001)。・高用量グループで錐体外路症状(p=0.25)および遅発性ジスキネジア(p=0.92)の頻度が高いということはなかった。・以上のように、アジア人統合失調症患者の3分の1以上が高用量の抗精神病薬を使用していた。この理由に関してはさらなる検討が求められる。関連医療ニュース 認知症高齢者5人に1人が抗コリン薬を使用 抗精神病薬の等価換算は正しく行われているのか 統合失調症の急性増悪期、抗精神病薬の使用状況は?:国立精神・神経医療研究センター

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各抗うつ薬のセロトニン再取り込み阻害作用の違いは:京都大学

 臨床使用される抗うつ薬の大半は、シナプス間隙でのモノアミン濃度を急激に上昇させるが、その治療効果のために数週間の投与を必要とする。このように効果が遅発性なのは、セロトニン作動性神経における神経適応変化が緩徐なためと考えられている。京都大学大学院薬学研究科の永安一樹氏らは、抗うつ薬慢性処置のセロトニン遊離への影響について、ラットの縫線核脳切片培養系を用いて調べた。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2013年8月7日号の掲載報告。 著者らは先の研究において、多量のセロトニン作動性神経を含むラット縫線核脳切片培養系に、選択的セロトニン(5-HT)再取り込み阻害薬(シタロプラム、フルオキセチン、パロキセチン)を持続的に曝露すると、セロトニンの開口放出の増大が生じることを報告した。そこで今回、まだ明らかになっていない他の抗うつ薬における同様の作用について、2つの三環系抗うつ薬(イミプラミン、デシプラミン)、1つの四環系抗抑うつ薬(ミアンセリン)、3つのセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(ミルナシプラン、デュロキセチン、ベンラファキシン)、1つのノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(ミルタザピン)について検討した。 主な結果は以下のとおり。・9つの抗うつ薬のうち7つについて、0.1~100μmの持続的曝露により、細胞外セロトニン濃度の上昇が認められた。・その作用強度の順位は、ミルナシプラン>デュロキセチン>シタロプラム>ベンラファキシン>イミプラミン>フルオキセチン>デシプラミンであった。・ミルタザピン、ミアンセリンは少しも上昇しなかった。・持続的曝露による作用増強が最も大きかったミルナシプランは、α1-アドレナリン受容体遮断薬(ベノキサチアン)によって部分的に減弱された。一方、デュロキセチン、ベンラファキシン、シタロプラムの伝達増大は影響を受けなかった。・以上の結果から、5-HTトランスポーターの阻害が、セロトニン遊離増強には必要であることが示唆された。また、ミルナシプランによる増強は、α1-アドレナリン受容体の活性化を伴うことが明らかになった。関連医療ニュース 抗うつ薬による治療は適切に行われているのか?:京都大学 大うつ病性障害の若者へのSSRI、本当に投与すべきでないのか? 抗うつ薬を使いこなす! 種類、性、年齢を考慮

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うつ病患者のGERD有病率は高い

 大うつ病(MDD)患者における胃食道逆流症(GERD)の有病率は、健常人と比較して有意に高いことが台中ベテランズ総合病院のPo-Han Chou氏らの研究により明らかになった。精神科医は大うつ病患者を診る際、日常診療において、胸焼けや嚥下障害など、逆流性食道炎の症状がないか注意を払い、症状を認めた場合は専門医に相談すべきである。Psychosomatics誌オンライン版2013年8月13日号の報告。 GERDは、精神疾患の患者において一般的な疾患である。本研究では、GERD有病率とリスクを調査するために、台湾の国民健康保険の研究データベースを用いて横断的研究を行った。 調査対象は2005年にMDDと診断された4,790人(MDD群)と健常人72万8,749人(対照群)。GERD有病率は、カイ2乗検定を用いて、年齢、性別、所得、居住地域、他疾患の合併(糖尿病、高血圧症、腎疾患、高脂血症、虚血性心疾患などの治療中)ごとに比較した。また、GERDとMDDとの関連は、多変量ロジスティック回帰モデルを用いて分析した。 主な結果は以下のとおり。 ・GERDの年間有病率は、MDD群で3.75%、対照群で1.05%であった。・MDD群のGERDの有病率は、すべての年齢、性別、保険金額、居住地域、都市在住サブグループにおいて、対照群よりも有意に高かった(すべてp<0.001)。・GERDの増加率は、対照群のそれと比較し、MDD群で有意に高かった(オッズ比:3.16、95%CI:2.71~3.68、p<0.001)。・以上の結果より、MDD患者のGERD有病率は健常人と比較して有意に高いことが明らかとなった。

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SSRI/SNRI治療患者の約7割はアドヒアランス不良

 イタリア・ボローニャ大学のElisabetta Poluzzi氏らは、過去6年間の抗うつ薬処方の傾向と、SSRIまたはSNRIの治療を受ける患者のアドヒアランスについて評価した。その結果、過去6年間で抗うつ薬消費量は20%増えていたこと、SSRI/SNRI治療のアドヒアランスは23.8%であったことなどを報告した。European Journal of Clinical Pharmacology誌オンライン版2013年8月1日号の掲載報告。 Poluzzi氏らは、イタリア北東部に位置するエミリア・ロマーニャ地方における抗うつ薬使用について明らかにすること、またSSRI/SNRI治療を受ける患者のアドヒアランスを評価することを目的とした。同地方衛生局のデータベースで抗うつ薬の処方データ(償還ベース)を検索し、2006~2011年の全消費量から有病率と使用量を割り出した。また、SSRI/SNRI治療を受けていた患者の服薬アドヒアランスを、治療開始から6ヵ月間追跡して評価した。アドヒアランスは、治療期間≧120日間、処方に対する達成≧80%、処方とのギャップ<3ヵ月、の3つの指数で検討した。アドヒアランス不良の決定要因(社会人口統計学的変数、臨床変数など)を特定し、多変量ロジスティック回帰分析にて補正オッズ比(adjOR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・2006~2011年に、抗うつ薬使用でみた有病率は5%上昇していた(住民1,000人当たり86例から90例に増大)。抗うつ薬の消費量は20%上昇していた(住民1,000人/日当たりの規定1日用量は43例分から51例分に上昇)。・SSRI/SNRI治療例は34万7,615例であった。そのうち良好なアドヒアランスが認められたのは23.8%のみであった。・良好なアドヒアランスは、共存症(adjOR:0.69、95%CI:0.67~0.72)、前年に抗うつ薬治療を繰り返している(同:0.91、0.89~0.92)と関連していた。・パロキセチン(商品名:パキシルほか)の治療を受けていた患者と比べて、デュロキセチン(同:サインバルタ、adjOR:0.58、95%CI:0.55~0.60)、エスシタロプラム(同:レクサプロ、0.64、0.62~0.66)、セルトラリン(同:ジェイゾロフト、0.65、0.64~0.67)の治療を受けていた患者のアドヒアランスは良好であった。・アドヒアランス改善は、より重症な患者で実際に薬物療法のアプローチを必要としている患者で認められるようであった。一方で、抗うつ薬のアドヒアランスの格差は、情報およびスポンサーのバイアスにより一部で起きている可能性があった。・症状の急速な改善あるいは副作用のために服薬を中断しがちな、閾値以下または軽度のうつ病ケースへの抗うつ薬処方は、プライマリ・ケアと精神科専門医との協力関係を改善することで減らせる可能性があった。関連医療ニュース 大うつ病性障害の若者へのSSRI、本当に投与すべきでないのか? 抗うつ薬による治療は適切に行われているのか?:京都大学 日本人のうつ病予防に期待?葉酸の摂取量を増やすべき

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抗精神病薬による高プロラクチン血症に関するレビュー

 フランス・Etablissement Public De Sante Mentale(EPSM)のI. Besnard氏らは、抗精神病薬の有害事象である高プロラクチン血症に着目し、文献から得られた知見を基にレビューを行った。プロラクチンを増加させる抗精神病薬とプロラクチン増加を起こしにくい抗精神病薬があること、高プロラクチン血症は男性に比べ女性でより高頻度にみられ、性腺機能不全による症状がみられること、必要に応じて抗精神病薬の減量または変更を行う必要性などを報告した。Encephale誌オンライン版2013年8月5日号の掲載報告。 高プロラクチン血症は、抗精神病薬による治療を受けた患者にしばしば認められるが、なおざりにされている有害事象である。Besnard氏らは本レビューにおいて、抗精神病薬による高プロラクチン血症の病因メカニズム、男女の臨床的徴候、および管理方法について概説した。高プロラクチン血症の原因にいずれの抗精神病薬もなりうる 文献から得られた高プロラクチン血症の主な知見として、以下を報告している。・プロラクチンは、下垂体前葉のプロラクチン産生細胞から分泌されるホルモンで、その産生・分泌はペプチド、ステロイドおよび神経伝達物質により制御されている。・プロラクチン産生・分泌の阻害に関与する主な物質はドパミンで、プロラクチン産生細胞膜上のドパミンD2受容体に結合して作用を発揮する。・抗精神病薬はドパミンD2受容体をブロックし、ドパミンのプロラクチン分泌阻害活性を消失させる。すべての抗精神病薬がD2受容体をブロックするため、いずれの抗精神病薬も高プロラクチン血症を惹起しうる。ただし、D2受容体からの解離速度が速い抗精神病薬は、血漿中プロラクチンレベルの増加が少ない。・また、高プロラクチン血症が起こるもう一つの説明として、抗精神病薬は血液脳関門を通過できることも挙げられる。抗精神病薬の代謝物の役割もまた考慮されるべきである。・これらの理由により、プロラクチンを増加させる抗精神病薬(従来の神経遮断薬であるアミスルプリド、リスペリドン)とプロラクチン増加を起こしにくい抗精神病薬(クロザピン、アリピプラゾール、オランザピン)がある。・英国の研究では、重篤な精神疾患に対し抗精神病薬が投与された男性の18%および女性の47%でプロラクチンレベルが正常範囲を超えていることが示された。・高プロラクチン血症は男性に比べ女性でより高頻度にみられる。高プロラクチン血症は時に無症候性であるが、プロラクチンレベルが高いほど臨床的徴候がより多く認められる。いくつかの症状は、プロラクチンによる性腺機能不全に起因するもので、視床下部下垂体機能を障害する。その他は、標的組織に対する直接的な影響による。・結果として、患者は性機能障害、 不妊、無月経、女性化乳房、乳汁漏出などに悩まされる。・これら症状は一般的であるものの、患者が自発的に述べることはなく、臨床医はそれらの発現状況を把握できていないことがデータで示唆されている。・長期的に、性腺機能不全症は男女において早期からの骨量減少を引き起こす。・Klibanski 氏らは、この骨減少は無月経と関連する高プロラクチン血症を呈する女性においてのみ有意であることを示した。これは、プロラクチンがこうした臨床的特徴に直接的に寄与していないことを示唆している。それでもやはり、プロラクチンは乳がんの発症に関連しているようである。しかし、前立腺がんにおける役割は不明である。高プロラクチン血症の原因が抗精神病薬なら減量または変更 また、高プロラクチン血症について得られた知見を受け、次のように考察している。 本レビューから、抗精神病薬による治療開始前にはcheck-up(検査)が重要といえる。第一に、ベースラインのプロラクチンレベルを測定すべきである。また、抗精神病薬投与歴、高プロラクチン血症を示唆する有害事象も評価すべきである。そして問診により抗精神病薬に対する禁忌の有無を最終的に確認すべきである。 高プロラクチン血症の臨床ガイダンスの批評レビューを行った精神医学、内科学、毒性学、薬学の国際的な専門グループにより、抗精神病薬による治療中のモニタリングについて研究が行われた。専門家らは、性欲減退、月経不順、乳汁漏出などの性機能障害の有無を確認することが重要だとしている。用量が安定してから3ヵ月後、または高プロラクチン血症の何らかの徴候が現れた場合、プロラクチンレベルをコントロールすべきである。抗精神病薬を処方された患者においてプロラクチンレベルが正常範囲を超えていることが確認された場合、高プロラクチン血症を惹起しうるその他の原因を除外する必要がある。抗精神病薬がその真の原因である場合には、プロラクチンレベルおよび患者の状況に応じて、抗精神病薬の減量または変更などを行うべきである。妊娠を避ける、あるいは骨量減少および骨粗鬆症を防ぐため、経口避妊薬の追加も可能である。最終的に専門家らは、精神疾患を悪化させうるという理由から、きわめて例外的な状況における抗精神病薬による高プロラクチン血症に対し、ドパミンアゴニストの使用は控えることを勧告した。

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ミノサイクリン、腰椎ヘルニア術後疼痛を改善せず

 腰椎椎間板切除の周術期におけるミノサイクリン(商品名:ミノマイシン)8日間投与の術後疼痛の軽減効果について検討したフランス・INSERMのValeria Martinez氏らによる無作為化二重盲検比較試験の結果、有効性は認められなかったことが報告された。ミノサイクリンは、慢性疼痛の主な発症機序である中枢性感作に関与するミクログリアの活性化を強く阻害することから、腰椎椎間板切除後の持続性疼痛を軽減することが期待されていた。Pain誌2013年8月号(オンライン版2013年3月27日号)の掲載報告。 対象は、腰椎椎間板切除術実施予定患者100例で、プラセボ群とミノサイクリン群に無作為に割り付け、ミノサイクリン群には同薬剤100mgを1日2回、手術前夜から8日間経口投与した。 主要評価項目は、ベースライン時から3ヵ月後における下肢安静時疼痛強度の変化であった。副次的評価項目は、同じく3ヵ月後における動作時疼痛強度、持続痛と慢性神経障害性疼痛の頻度、安静時および動作時の腰痛強度、神経障害性疼痛重症度(NPSI)スコア、簡易疼痛質問票(BPI)スコアおよびローランド・モリス障害質問票(RMDQ)スコアの変化であった。 主な結果は以下のとおり。・下肢疼痛強度の減少は、プラセボ群とミノサイクリン群とで同程度であった(安静時:-1.7±1.6 vs. -2.3±2.4、動作時:-2.5±2.1 vs. -3.4±2.9)。・神経障害性疼痛の頻度、強度および機能スコアは、プラセボ群とミノサイクリン群とで差はなかった。・探索的分析の結果、ミノサイクリンはベースライン時において主に深部自発痛を有する患者に対しては有効である可能性が示唆された。■関連記事無視できない慢性腰痛の心理社会的要因…「BS-POP」とは?「天気痛」とは?低気圧が来ると痛くなる…それ、患者さんの思い込みではないかも!?腰椎圧迫骨折3ヵ月経過後も持続痛が拡大…オピオイド使用は本当に適切だったのか?ミノサイクリンの投与は統合失調症に本当に有用か:藤田保健衛生大学

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セロトニン3受容体、統合失調症の陰性症状改善に期待:藤田保健衛生大学

 統合失調症患者に対する5-HT3受容体拮抗薬による治療成績は、それぞれの無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験の結果により異なっている。藤田保健衛生大学の岸 太郎氏らは、5-HT3受容体拮抗薬は統合失調症治療に有効であると仮説を立て、検証を行った。Neuromolecular medicine誌オンライン版2013年7月30日号の報告。 PubMed、コクランライブラリー、PsycINFOから2013年6月15日までに公開された研究を検索した。5-HT3受容体拮抗薬の追加療法とプラセボの追加とを比較したランダム化比較試験から得られた患者データより、系統的レビューとメタ分析を行った。また、ランダム効果モデルを用い、リスク比(RR)、95%信頼区間(95%CI)、標準化平均差(SMD)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・6試験、311例が抽出された。・5-HT3受容体拮抗薬の追加はプラセボと比較しPANSS総スコア(SMD=-1.03、95%CI:-1.70~-0.36、p=0.003、I2=82%、5試験、261例)、陰性症状尺度(SMD=-1.10、95%CI:-1.82~-0.39、p=0.002、I2=84%、5試験、261例)、総合精神病理尺度(SMD=-0.70、95%CI:-1.23~-0.17、p=0.01、I2=73%、5試験、261例)の有意な改善が認められた。しかし、陽性症状尺度では改善が認められなかった(SMD=-0.12、p=0.33)。・全原因による中止(RR=0.80、p=0.50)、無効(RR=0.76、p=0.65)、有害事象(RR=0.84、p=0.75)は両群間で同等であった。・便秘は5-HT3受容体拮抗薬追加により有意に増加した(RR=2.05、95%CI:1.07~3.91、p=0.03、NNH=11、p=0.02)。・統合失調症患者に対する5-HT3受容体拮抗薬追加療法は精神症状(とくに陰性症状)改善に有効であり、忍容性も良好であると考えられる。関連医療ニュース 陰性症状改善に!5-HT3拮抗薬トロピセトロンの効果は? 統合失調症患者にNaSSA増強療法は有用か:藤田保健衛生大学 統合失調症患者へのセロトニン作動薬のアドオン、臨床効果と認知機能を増大

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統合失調症患者にNaSSA増強療法は有用か:藤田保健衛生大学

 藤田保健衛生大学の岸 太郎氏らは、統合失調症の増強療法としてノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA:ミルタザピン、ミアンセリン)が有用かを系統的レビューにより検討した。The international journal of neuropsychopharmacology誌オンライン版2013年7月3日号の報告。 系統的レビューは、2012年12月にPubMed、コクランライブラリー、PsycINFOから無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験のメタアナリシスを検索した。 主な結果は以下のとおり。・12試験、362例が抽出された(ミルタザピン:7試験、221例、ミアンセリン:5試験、141例)。・NaSSa増強療法はプラセボと比較し全体的な症状(SMD=-0.75、95%CI:-1.24~-0.26、p=0.003、11試験、301例)、陰性症状(SMD=-0.88、95%CI:-1.41~-0.34、p=0.001、9試験、240例)、奏効率(RR=0.71、95%CI:0.57~0.88、p=0.002、NNT=4、p<0.00001、6試験、163例)において優れていた。陽性症状、抑うつ症状、中止率では有意差はみられなかった。また、試験中に精神症状の悪化が認められた患者はいなかった。・ミルタザピンによる増強療法はプラセボと比較し全体的な症状(SMD=0.98、95%CI:-1.74~-0.22、p=0.01、7試験、194例)、陰性症状(SMD=-1.25、95%CI:-1.88~-0.62、p=0.0001、6試験、172例)、奏効率(RR=0.70、p=0.04、NNT=4、p=0.0004、4試験、119例)において優れていた。・NaSSa増強療法はアカシジアスコア(p<0.00001)、錐体外路症状スケール(p=0.01)の減少と関連していた。しかし、眠気、鎮静、傾眠を引き起こした(RR=3.52、p=0.002、NNT=6、p=0.01、8試験、209例)。・NaSSa増強療法(とくにミルタザピン)は統合失調症患者の全体的な症状および陰性症状を改善させることが示唆された。関連医療ニュース 統合失調症患者に対するフルボキサミン併用療法は有用か?:藤田保健衛生大学 統合失調症患者へのセロトニン作動薬のアドオン、臨床効果と認知機能を増大 統合失調症患者とタバコ、どのような影響を及ぼすのか?:藤田保健衛生大学

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睡眠に関する記事 まとめ

 高知県四万十市で国内の観測史上最高の41℃が観測されるなど、2013年は例年にない猛暑に見舞われている。連日の熱帯夜に寝苦しい思いをされている方も多いのではないか。医学論文にも睡眠にまつわる文献が多数投稿されている。今回は睡眠に関する記事をまとめて紹介する。寝室での夜間光曝露がうつ病に関連 現代生活では夜間光曝露が増加しているが、夜間光曝露はサーカディアンリズム(生体の概日リズム)の変調に関連している。しかし、家庭における夜間光曝露がうつ病と関連しているかどうかは不明である。今回、奈良県立医科大学地域健康医学講座の大林 賢史氏らが高齢者を対象とした研究の横断解析を行った結果、一般の高齢者において自宅の夜間光曝露が抑うつ症状に有意に関連することが示唆され、寝室を夜間暗く保つことによってうつ病のリスクが低下する可能性が示された。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2013年7月12日号に報告。http://www.carenet.com/news/general/carenet/35649境界性パーソナリティ障害と睡眠障害は密接に関連 Edward A. Selby氏は、境界性パーソナリティ障害(BPD)と睡眠障害の関連について、レトロスペクティブに検討を行った。その結果、BPDと睡眠障害との間に関連が認められ、両者が相互に悪影響を及ぼし合っている可能性が示唆された。これまで、BPDにおける慢性睡眠障害の状況を検討した研究は少なかった。Journal of Consulting and Clinical Psychology誌オンライン版2013年6月3日号の掲載報告。http://www.carenet.com/news/general/carenet/35263閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と閉塞性肺疾患の有病率の関係は? 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と閉塞性肺疾患の有病率に関係はあるのか。OSAを有する成人患者とOSAのない成人患者において、COPD、喘息、COPDと喘息の合併、それぞれの有病率を検討した。http://www.carenet.com/news/population/carenet/35168メラトニン分泌の低下が2型糖尿病発症リスクを増大/JAMA メラトニン分泌の低下と2型糖尿病発症リスクの増大が独立して関連していることが明らかにされた。米国・ハーバード公衆衛生大学院のCiaran J. McMullan氏らが行った症例対照研究の結果で、夜間のメラトニン分泌低下とインスリン抵抗性の増大との関連も明らかになったという。メラトニンは体内時計のコントロール下にあり、一般的には夜間の就寝後3~5時間で分泌はピークに達し日中はほとんど産生されない。先行研究において、メラトニンの糖代謝における役割の可能性が示唆され、またゲノムワイド研究ではメラトニン受容体の機能喪失と2型糖尿病発症率との関連などが報告されていたが、メラトニン分泌と2型糖尿病との関連を前向きに検討した報告はなかった。JAMA誌2013年4月3日号掲載の報告。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/34333長距離ドライバーのカフェイン摂取、事故リスク減少と関連/BMJ 商業用自動車の長距離ドライバーにとって、お茶やコーヒー、カフェイン錠剤などの法的に認められているカフェイン添加物は、事故のリスクを6割強減少することが、オーストラリア・ジョージ国際保健研究所のLisa N Sharwood氏らによる症例対照研究の結果、明らかになった。長距離ドライバーに関しては、疲労対策として違法な刺激物(コカインなど)の使用が知られる。一方で、カフェインは法的に認められた刺激物で広く消費されており、シミュレーションでは運転者の敏捷性や作業効率を亢進することが示されていたが、リアルワールドでの研究は行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2013年3月18日号の掲載報告。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/34105閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療、プライマリ・ケアでも提供可能/JAMA 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の治療について、プライマリ・ケアでの提供が、睡眠専門医療施設での提供に匹敵することが、オーストラリア・フリンダース大学のChing Li Chai-Coetzer氏らによる無作為化非劣性試験の結果、示された。睡眠障害への気づきと受診を促す啓発活動や肥満者の増大でOSA治療のために専門施設を受診する患者が増え、戦略的な外来治療への関心が高まってきている。プライマリ・ケア受診患者の約3分の1にOSAの疑いがあるとの報告もあり、Chai-Coetzer氏らは、適切な訓練と簡便なマネジメントツールで、プライマリ・ケアでのOSA治療が提供可能か本検討を行った。JAMA誌2013年3月13日号掲載の報告より。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/33989ナルコレプシーのリスクが約16倍に、インフルワクチン接種の子ども/BMJ ASO3アジュバント添加パンデミックA/H1N1 2009インフルエンザワクチン(Pandemrix)の接種を受けた英国の子どもで、接種後6ヵ月以内に睡眠障害であるナルコレプシーを発症するリスクが約16倍に増大したことが、同国健康保護局(HPA)のElizabeth Miller氏らの調査で明らかとなった。2010年8月、フィンランドとスウェーデンで同ワクチンの接種とナルコレプシーの関連を示唆するデータが提示され、2012年にはフィンランドの疫学調査により、ワクチン接種を受けた小児/青少年でリスクが13倍に増大したことが判明した。現在、北欧諸国以外の国での検証が進められている。BMJ誌オンライン版2013年2月26日号掲載の報告。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/33889統合失調症の陰性症状有病率、脳波や睡眠状態が関連か 統合失調症の研究では、臨床的な不均一性が混乱を招いていることを踏まえ、米国・ウェイン州立大学のNash N. Boutros氏らは、Deficit Syndrome(DS)を考慮した統合失調症の陰性症状集団の特定を試みた。統合失調症症候群に含まれる疾患として欠損型統合失調症(deficit schizophrenia)が提唱されており、欠損症候群診断基準(SDS;Scale for the Deficit Syndrome)の活用により持続的な陰性症状を特徴とするサブグループの特定が可能とされている。しかし長年にわたり、統合失調症の陰性症状集団の電気生理学的な相互作用を検討した研究は報告されているが、DSに焦点を当てた研究はごくわずかしかないのだという。Clinical Schizophrenia & Related Psychoses誌オンライン版2013年2月21日号の掲載報告。http://www.carenet.com/news/general/carenet/33732てんかん患者の50%以上が不眠症を合併! てんかん患者では睡眠障害が頻繁にみられるものの、不眠症とてんかんとの関係はほとんど明らかとなっていない。ボストン大学のMartina Vendrame氏らは、てんかん患者における睡眠状態に関して調査した。Journal of clinical sleep medicine誌オンライン版2013年2月1日号の報告。http://www.carenet.com/news/population/carenet/33636むずむず脚症候群と統合失調症、遺伝子の関連が示唆 脚がむずむずして眠れない、といった症状を呈するむずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群:RLS)。その原因は明らかになってはいないが、脳内のドパミン調節機能障害や鉄分の不足が大きく影響していると言われている。また、ゲノムワイド関連解析やいくつかのレプリケーション研究により、RLSとBTBD9遺伝子の一塩基多型との関連も示されている。韓国のSeung-Gul Kang氏らは抗精神病薬誘発性のRLSと統合失調症患者のBTBD9遺伝子多型との関連を調査した。Human psychopharmacology誌オンライン版2013年1月30日号の報告。http://www.carenet.com/news/general/carenet/33516低用量ゾルピデム舌下錠、不眠症患者における中途覚醒後の入眠潜時を短縮 米国・ヘンリーフォード病院(デトロイト)のThomas Roth氏らは、中途覚醒後の入眠困難を訴える不眠症患者を対象に、新規低用量ゾルピデム舌下錠の有用性をプラセボと比較検討した。その結果、低用量ゾルピデム舌下錠は中途覚醒後の入眠潜時を有意に短縮することを報告した。Sleep誌2013年2月1日号の掲載報告。http://www.carenet.com/news/head/carenet/33494検証!統合失調症患者の睡眠状態とは 統合失調症患者では、睡眠状態に問題を抱えることがしばしば見られる。また、睡眠状態が統合失調症の各症状に影響を及ぼす可能性もある。ポルトガル・リスボン精神病院センターのPedro Afonso氏らは、睡眠パターンや睡眠の質、QOLに関して、統合失調症患者と健常者で違いがあるかを検討した。The world journal of biological psychiatry : the official journal of the World Federation of Societies of Biological Psychiatry誌オンライン版2013年1月15日号の報告。http://www.carenet.com/news/head/carenet/33323

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抗精神病薬治療中の若者、3割がADHD

 米国・ザッカーヒルサイド病院のMichael L. Birnbaum氏らは、若年者の注意欠陥多動性障害(ADHD)における抗精神病薬使用に関する薬剤疫学データのシステマティックレビューとプール解析を実施した。その結果、若年ADHDの約1割で抗精神病薬が投与されていること、抗精神病薬による治療を受けている若年者の約3割にADHDがみられる状況を報告した。Current Psychiatry Reports誌2013年8月号の掲載報告。 若年ADHDへの抗精神病薬の処方について懸念が高まっているが、利用可能なデータベースは個々の試験に限られている。そこで、全体的な頻度と経年的な傾向を明らかにすることを目的に、若年ADHDにおける抗精神病薬使用に関する薬剤疫学データのシステマティックレビューとプール解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・ヒットした1,806件の試験のうち21件で、以下の3つの集団解析データの報告を含んでいた。1)抗精神病薬による治療を受けている若年者( 15件、34万1,586例)2)若年ADHD(9件、619万2,368例)3)一般の若年者(5件、1,428万4,916例)・抗精神病薬による治療を受けている若年者の30.5±18.5%がADHDを有していた。その割合は、1998年から2007年の間に21.7±7.1%から27.7 ±7.7%(比= 1.3±0.4)へと増加していることが長期試験で示された。・若年ADHDの11.5±17.5%が抗精神病薬の投与を受けていた。その割合は、1998年から2006年の間に5.5±2.6%から11.4±6.7%(比= 2.1±0.6)へと増加していることが長期試験で示された。・一般の若年者の0.12±0.07%でADHDが確認され、抗精神病薬の投与を受けていた。その割合は、1993年から2007年の間に0.13±0.09%から0.44±0.49%(比= 3.1±2.2)へと増加していることが長期試験で示された。・以上の知見より、抗精神病薬は臨床的に重要かつ大勢の若年ADHDに使用されていることが示唆された。処方の理由およびリスク対ベネフィットに関するエビデンスが少ないため、さらなる検討が望まれる。関連医療ニュース 自閉症、広汎性発達障害の興奮性に非定型抗精神病薬使用は有用か? 抗てんかん薬によりADHD児の行動が改善:山梨大学 摂食障害、成人期と思春期でセロトニン作動系の特徴が異なる!

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エキスパートに聞く!「認知症診療」Q&A 2013 Part1

CareNet.comでは認知症特集を配信するにあたって、事前に会員の先生方から認知症診療に関する質問を募集しました。その中から、とくに多く寄せられた質問に対し、大阪大学 数井裕光先生にご回答いただきました。2回に分けて掲載します。今回は、認知症とうつの鑑別方法、抗認知症薬の投与開始時期と効果の判定方法、増量のタイミング、コリンエステラーゼ阻害薬にメマンチンを併用する場合のタイミングについての質問です。Part2(Q6~Q10)はこちら1 認知症とうつ病の鑑別方法を教えてください。うつ病は高齢者に多く、患者さんやご家族が物忘れを訴えることもしばしばです。また注意力や集中力の低下のために、認知機能検査の得点が初期の認知症の患者さんと同程度に低下することもあります。このため、認知症とうつ病との鑑別は臨床的に重要です。うつ病と比べて認知症(とくにアルツハイマー病)で認められやすい症状を列挙すると、初発症状が物忘れである(うつ病では気分の落ち込みや意欲低下)記憶検査で自由再生も再認も障害される(たとえば、3単語を用いた記憶検査などで、覚えた単語をヒントなしに患者さんに思い出してもらう想起法を「自由再生」と呼ぶ。一方、答えの単語とそうでない単語をランダムに提示し、あったかなかったかを答えてもらう想起法を「再認」と呼ぶ。うつ病では自由再生は障害されても再認は障害されにくい)物忘れの自覚と深刻味が乏しい(うつ病では過剰に訴えることが多い)見当識障害を伴う(うつ病では見当識は保たれる)うつ病の既往がないなどです。頭部MRIや脳血流検査などの神経画像検査が鑑別に必要な場合もあります。とくに、早発性のアルツハイマー病患者さんでは上記の認知症の特徴が明らかにならず、MRIでも明瞭な萎縮を認めないことがあるので、脳血流検査が必要となることがあります。うつ病と診断していても、抗うつ薬などの治療の効果が乏しかったり、認知障害が進行したりする場合には、専門医への紹介を検討してください。アルツハイマー病患者さんの40~50%に抑うつ気分を認めるともいわれているため、認知症にうつ症状が合併しているかもしれないという視点も重要です。認知症に伴ううつ症状は、悲哀感、罪責感、低い自己評価のような古典的なうつ症状よりも、喜びの欠如、身体的不調感などの非特異的な症状が目立ちやすいという特徴があります。また、認知症患者さんに高頻度に認めるアパシーをうつ症状と混同しないことも重要です。アパシーでは、趣味や家事などの日常の活動や身の回りのことに興味を示さない、意欲が低下するなどの症状を認めますが、悲哀感、罪責感、低い自己評価、喜びの欠如、身体的不調感は認めません。2 抗認知症薬の投与開始時期について教えてください。抗認知症薬を早期から投与したほうがよいのでしょうか? わが国で使用可能な抗認知症薬は、アルツハイマー病に対するコリンエステラーゼ阻害薬3種類(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)とNMDA受容体拮抗薬1種類(メマンチン)です。コリンエステラーゼ阻害薬は軽度の状態から使用可能なので、薬の投与開始時期はアルツハイマー病と診断した時ということになります。また、これらの薬剤の主たる効能は、症状の進行抑制なので、アルツハイマー病の診断が確かであれば、早期から投与して、良い状態を少しでも長く維持させることを目指します。実際、早期に治療開始した患者さんのほうが、その後の全般的機能や認知機能の悪化が少ないという報告もあります。最近の研究では、アルツハイマー病患者さんが認知症の段階になった時、あるいはその前段階の軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment: MCI)の段階でも、脳内のアルツハイマー病の病理過程はかなり進行していることが明らかになっています。したがって、症状が軽くても疾患としてはある程度進行していると考えるべきです。また、コリンエステラーゼ阻害薬にはアルツハイマー病患者さんの海馬や全脳の萎縮の進行を遅延させる効果も報告されており、神経保護作用を有する可能性もあるからです。留意点としては、MCIの基準を満たす患者さんの原因疾患はアルツハイマー病だけでなく、うつ病などもあるため、すべてのMCI患者さんにコリンエステラーゼ阻害薬を投与してよいわけではなく、アルツハイマー病の診断を正確に行うことが前提です。3 抗認知症薬の効果の判定方法について、判定するまでの期間など、具体的に教えてください。効果判定の時期や方法について、わが国でとくに推奨されているものはありません。海外のガイドラインでは6ヵ月後に評価するとされていますが、評価法については明確に記載されていません。逆に認知機能検査に関して、Mini Mental State Examination(MMSE)のような簡易なものでは不十分であると記載されています。しかし実臨床場面では、複数のご家族やデイケアなどのスタッフからの情報とMMSEのような認知機能検査の結果などをもとに効果を判定することになると思います。ご家族が最も期待するのは記憶障害の改善なのですが、ご家族が記憶障害の改善を実感できる患者さんは少ないと思います。どの抗認知症薬においても改善を認めやすい症状は、意欲低下、注意・集中力の障害です。したがって、まず効果の判定には、これら症状の改善の有無を患者さんの周囲の複数の人に確認してもらうのがよいと思います。ご家族に聞くときは、具体的には、「言葉数が増えましたか」「何かをしようとすることが多くなりましたか」「表情が明るくなりましたか」などというように質問しましょう。しかしながら、アルツハイマー病は進行性の疾患なので、大きな変化がないというのも、効果があると考えてよいと思います。実際、前述の海外のガイドラインでは、投与前と同様に投与後も悪化している場合に、他剤への変更を検討するということになっています。ただし投与後に不変であっても、患者さん自身やご家族が、よりよい改善を期待して他剤への変更を希望する場合には変更してよいと思います。4 抗認知症薬の増量のタイミング(症状の目安など)を教えてください。ドネペジルは軽度から重度まで、すべての段階のアルツハイマー病に適応があります。これに対してガランタミン、リバスチグミンは軽度と中等度の患者さんに、メマンチンは、中等度と重度の患者さんに適応を有しています。したがって、保険適用の観点からは、中等度になったらメマンチンを併用し、重度になったらドネペジル10mgに増量、あるいは変更します。軽度認知症レベルとは、銀行などの手続きも含めた財産管理ができない、買い物で必要な物を必要な量だけ買うことができない、パーティーの段取りのような複雑な作業はできないが、家庭内の日常生活には支障が生じていない段階です。中等度認知症レベルとは、時期や場面にあった服を選べない、入浴を時々忘れるなどが生じ、日常生活にある程度の介護が必要な状態です。重度認知症レベルとは、服を着ることができない、入浴に介助が必要、トイレがうまく使えないなど、日常生活に多大な介助が必要な状態です。しかし、アルツハイマー病は緩徐に連続的に進行していく疾患なので、どこからが中等度でどこからが重度かの線引きをすることは困難ですし、境界には幅があります。そこで実臨床場面では、患者さんやご家族から日常生活上の障害に関する情報を聴取し、中等度、重度への移行をおおまかに判断しますが、同時に、患者さんやご家族の進行に対する不安、増量に対する意向なども聞いて、総合的に判断します。たとえば、ご家族が明らかに進行したと感じ、これに対して何とかしてほしいという気持ちが強い場合は、日常生活のごく一部のみで次の段階に移行した可能性がある程度でも、追加や増量を検討します。5 コリンエステラーゼ阻害薬にメマンチンを併用する場合のタイミングと、併用する際の増量や追加の順番を教えてください。アルツハイマー病患者さんにコリンエステラーゼ阻害薬を使用していても、症状が進行し、中等度認知症レベル(Q4参照)に至った時にコリンエステラーゼ阻害薬にメマンチンを併用します。メマンチンの増量は規定に従い、5mgから開始し、1週間ごとに5mgずつ増量していき、20mgの維持量まで持っていきます。しかしわが国での発売後の調査で、めまいや眠気などの副作用を認める例が少なくないことが明らかになりました。そこでこの副作用を防止するために、2~4週間ごとに増量する先生もいらっしゃいます。中等度の段階で初めてアルツハイマー病と診断した患者さんの場合は、コリンエステラーゼ阻害薬とメマンチンのどちらを先に処方するかという選択に迫られます。これまでの研究報告からは、コリンエステラーゼ阻害薬のほうがメマンチンよりも、認知機能に対する効果が大きいようなので、コリンエステラーゼ阻害薬を先に処方するほうがよいでしょう。ただし、患者さんの身体的既往症、合併症、精神行動障害によってはメマンチンを先に投与する場合もあります。しかし単独処方よりも両薬剤を併用することによって進行抑制効果が増すため、基本的には併用処方を目指します。したがって、どちらか一方のみを処方する期間は短いでしょうから、どちらが先かについてはあまり神経質にならなくてもよいと思います。※2012年10月の認知症特集におけるQ&Aも併せてご覧ください。認知症のエキスパートドクターが先生方からの質問に回答!(Part1)認知症のエキスパートドクターが先生方からの質問に回答!(Part2)

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統合失調症に対し抗精神病薬を中止することは可能か

 統合失調症治療では、急性期に使用した薬剤をそのまま維持期でも使用することが少なくない。そのため、抗精神病薬誘発性の副作用などにより、維持期統合失調症患者の社会的機能低下が問題となる。ノッティンガム大学のStephanie Sampson氏らは、維持期における間欠的な抗精神病薬治療が有用かを検討した。Schizophrenia bulletin誌オンライン版2013年7月16日号の報告。 著者らは、コクラン統合失調症グループの試験登録(2012年4月)を検索し、関連する研究の著者に連絡を取ったり、参考文献リストの作成を行うなどしてこれを補足した。 主な結果は以下のとおり。・関連するランダム化試験(RCTs)が17試験抽出された。・再発例は、長期にわたり抗精神病薬の間欠的投与を受けた群で有意に高かった(436例、RCTs:7試験、RR:2.46、95%CI:1.70~3.54)。・間欠的投与はプラセボより有効であったが、間欠的に抗精神病薬を服用している患者では中期までに再発する例は有意に少なかった(290例、RCTs:2試験、RR:0.37、95%CI:0.24~0.58)。・間欠的な抗精神病薬治療は、統合失調症患者の再発を防ぐために連続的治療ほどの効果はないものの、無治療よりは有意に優れることが示された。関連医療ニュース 維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か 新規抗精神病薬は患者にどう評価されているか? 青年期統合失調症の早期寛解にアリピプラゾールは有用か?

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てんかん患者の若年性死亡リスクは11倍/Lancet

 てんかん患者の若年性死亡リスクは、そうでない人に比べ、11倍超に増大することが明らかになった。外因性の死亡は15.8%で、そのうち75.2%において、うつ病など精神疾患の共存症が認められた。英国・オックスフォード大学ウォーンフォード病院のSeena Fazel氏らが、約7万人のてんかん患者について調べた検討で明らかにしたもので、Lancet誌オンライン版2013年7月19日号で発表した。追跡期間中のてんかん患者死亡率は8.8%、年齢中央値は34.5歳 研究グループは、スウェーデンで1954~2009年に生まれ、てんかんの診断を受けた6万9,995人について、若年死亡リスクとその原因を調べた。一般集団から年齢と性別をマッチングした対照群(66万869人)と、てんかんの診断を受けていない兄弟姉妹(8万1,396人)とを、それぞれ比較した。 その結果、追跡期間中に死亡したてんかん患者は6,155人(8.8%)で、死亡時の年齢中央値は34.5歳(四分位範囲[IQR]:21.0~44.0)だった。非交通事故死5.5倍、自殺3.7倍 てんかん患者の若年死亡リスクは極めて高く、一般集団の対照群に対する補正オッズ比は11.1(95%信頼区間[CI]:10.6~11.6)、てんかんの診断を受けていない兄弟姉妹に対する同オッズ比は11.4(同:10.4~12.5)だった。 てんかん患者の死亡例のうち、15.8%(972人)は外因性のもので、非交通事故による死亡について、対照群に対する同オッズ比は5.5(95%CI:4.7~6.5)、自殺の同オッズ比は3.7(同:3.3~4.2)だった。 なかでも、外因性の理由で死亡した人のうち、精神疾患の共存症が認められたのは75.2%と高く、うつ病のある人の死亡の同オッズ比は13.0(95%CI:10.3~16.6)、薬物依存の人では22.4(同:18.3~27.3)と高かった。 著者は、「てんかん患者の治療において、外因性による若年死亡率を低下させることが、優先すべき課題である。精神疾患の共存は、この課題において重要である。そのような死亡を阻止するための医療サービスや公衆衛生の介入能力について再考が必要である」とまとめている。

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線維筋痛症は治療継続が難しい

 線維筋痛症は、原因不明の慢性疼痛疾患で決定的治療法はなく、症状軽減にしばしば抗うつ薬や抗てんかん薬が用いられている。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のSeoyoung C. Kim氏らのコホート研究において、線維筋痛症で一般的な薬剤により治療を開始した患者は、いずれの場合も治療薬の増量はほとんどなされておらず、しかも治療期間が短期間にとどまっていたことを明らかにした。Arthritis Care & Research誌オンライン版2013年7月16日の掲載報告。 米国の医療利用データを用い、線維筋痛症と診断され、アミトリプチリン(商品名:トリプタノールほか)、デュロキセチン(同:サインバルタ)、ガバペンチン(同:ガバペン)またはプレガバリン(同:リリカ)を新規処方された患者について、臨床的特徴と投薬状況を調査した。(わが国で線維筋痛症に承認されている薬剤はプレガバリンのみ) アミトリプチリンで治療を開始した患者は1万3,404例、同じくデュロキセチン1万8,420例、ガバペンチン2万3,268例、プレガバリン1万9,286例であった(平均年齢48〜51歳、女性72%~84%)。 主な結果は以下のとおり。・合併症は、4群すべてにおいて腰痛症が最も頻度が高かった(48~64%)。・そのほかの合併症として、高血圧、頭痛、うつ病、睡眠障害などもみられた。・追跡開始時の1日投与量中央値は、アミトリプチリン25mg、デュロキセチン60mg、ガバペンチン300mg、プレガバリン75mgであった。・患者の60%以上は、追跡期間中に投与量が変更されていなかった。・1年以上治療を継続した患者は、5分の1にとどまっていた。 ・治療開始時の他の併用薬の数は、平均8~10剤であった。・患者の50%超がオピオイドを使用しており、3分の1がベンゾジアゼピン、睡眠障害治療薬、筋弛緩薬を投与されていた。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・無視できない慢性腰痛の心理社会的要因…「BS-POP」とは?・「天気痛」とは?低気圧が来ると痛くなる…それ、患者さんの思い込みではないかも!?・腰椎圧迫骨折3ヵ月経過後も持続痛が拡大…オピオイド使用は本当に適切だったのか?  治療経過を解説

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維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か

 統合失調症の薬物治療ではドパミンD2受容体を65~80%占有することで、錐体外路症状や認知機能障害のリスクを最小限にし、治療効果を最適化できると考えられている。この受容体占有率を保つことが維持期治療でも必要かどうかは不明である。慶應義塾大学の森口 翔氏らは、維持期におけるD2受容体占有をCATIE試験のフェーズ1のデータより再評価した。Journal of clinical psychopharmacology誌オンライン版2013年 7月29日号の報告。 対象は、抗精神病薬により寛解した統合失調症患者30例[リスペリドン12例、オランザピン12例、ジプラシドン(国内未承認)6例]。寛解の定義は、初期評価および1、2、6ヵ月時点でPANSS特定8項目(2005年のAndreasenらの定義による)が3以下であることとした。6ヵ月時点でのD2受容体占有率のピーク値およびトラフ値は、母集団薬物動態解析およびD2予測モデルを用い、抗精神病薬の血漿中濃度より推定した。 主な結果は以下のとおり。・6ヵ月時点でのD2受容体占有率のピーク値およびトラフ値はそれぞれ70.3%±9.8%、60.5%±20.2%であった(推定平均±SD)。・約半数(46.7%、14例)の患者においては、D2受容体占有率が65%未満であった。・統合失調症の維持治療において、D2受容体占有率は必ずしも65%以上必要でない可能性があることが示唆された。関連医療ニュース 抗精神病薬の等価換算は正しく行われているのか 維持期の統合失調症患者において現在の薬物投与量は最適か? 統合失調症“再発”の危険因子は?

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