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悪夢は続く【Dr. 中島の 新・徒然草】(214)

二百十四の段 悪夢は続く朝、9時頃に起きた。すでに両親は出かけており、朝食もなかった。で、お茶だけ飲んでシャワーを浴びてから大学に出かけるか、と思いつつ、1学期は1回も授業に出ていないことに気づいた。これ、進級できるのかな? すごくまずい状況じゃないかな。留年してしまったら大変なことだ。でも、1回も授業に出ずに進級させてくれるほど大学も甘くないだろうし。そもそもどの教室でどの授業をしていたのかも覚えていない。それに試験がいつあるのかも。と、焦っていたら目が覚めました。夢で見たのは大学1年の頃から6年までの体験がごちゃまぜになったものです。布団の中で、「本当のところ今日は何時に出かけたら良かったのか」と一瞬考えてから、「ああ良かった、大学は何十年も前に卒業していたんだ。いくら授業をサボっていても試験の成績が悪くても、もう終わったことだもんね」と安堵しました。このパターンの夢は時々見ることがあります。なんでこんな悪夢を見たのかな、と思ったら、ごく最近、当院でマッチングの三次募集をしたからかもしれません。初期研修医候補がフルマッチしていたのにもかかわらず、医師国家試験で1人落ちてしまったので、あわてて募集をかけたのです。すぐに何人かの応募があり、面接試験をしました。そこで、受験生から留年やら国試浪人やらの生々しい話をあれこれ聞かされることになり、それが形を変えて自分の夢の中に入り込んだのだと思います。私の場合、幸いなことに留年も国試浪人もせずに済みましたが、あまり楽勝でもありませんでした。さて、4月からは当院にも新しい研修医たちが入ってきますが、まずは学生気分を抜いてもらわなくてはなりません。年齢とか学力とかは関係なく、まずは社会人として相応しい態度で、2年間一生懸命に研修して欲しいですね。1つ残念なことがあるとすれば、教える側にとって、実際にマンツーマンで診断や治療のあれこれを伝授する時間が取りにくいことです。研修医の提出物の催促とか採点とかトラブルの後始末とかをしているうちに1年が経ってしまいました。今年の4月からは同時に新専門医制度もスタートするので、そちらの方にも時間を取られそうで、考えるだけでも恐ろしいです。ひょっとしたら新たな悪夢の始まりかもしれません。なるべく楽観的な気持ちで対処したいと思いますが、果たしてどうなることやら。最後に1句年食えど 悪夢は続く どこまでも

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循環器内科 米国臨床留学記 第27回

第27回 米国における専門医 Boardの問題点日本で新しい専門医制度が始まり、物議を醸しています。私は米国で内科のレジデンシーと循環器のフェローシップ、不整脈(電気生理学:EP)のフェローシップを修了し、今年は不整脈の専門医試験を受けます。すでに内科、循環器の専門医を持っていますので、3つ目の専門医を持つことになりますが、3つすべてを維持していくのは大変です。しかし米国では、専門医を持たなければその科の専門医として働くことはほとんど不可能です。今回は、米国における専門医の持つ意味や、それにまつわる問題点に触れてみたいと思います。専門医がなければ、就職活動もできないフェローやレジデンシーは、最終年になると就職活動が始まります。内科のレジデンシー修了後に指導医(attending doctor)になる場合は、多くの場合hospitalistとなります。cardiologyやcritical care(集中治療)のフェローを修了した後であれば、cardiology やcritical careの指導医としてのポジションを探します。医師の募集広告には、よく「A hospital is seeking a BC/BE cardiology physician」 など書かれています。レジデンシーやフェローシップ、それらを修了後、専門医試験に合格するまでは、board eligible(BE)などと呼ばれますが、これはboardを受ける資格があるという意味です。フェローシップ終了後、数ヵ月以内に各科の専門医試験があり、それに合格することが前提で病院に雇われます。仮に1回目で落ちてもすぐにクビにはなりませんが、「就職後2年以内」などのルールが採用時に決められているため、その期限内に合格する必要があります。boardに合格すると、晴れてboard certified(BC)となります。医師の名前をインターネットで検索すると、すぐにどの専門医資格を持っているかがわかります。紹介患者以外でも、多くの患者がインターネットの情報を基に医師を選ぶので、専門医資格の有無は重要です。また、医療訴訟が起きた際に、専門医資格がないとかなり不利になってしまうようです。専門医資格の維持私の専門領域である不整脈(EP)の場合、専門医になるためには、まず内科の専門医になる必要があります。その上で循環器の専門医を取得し、最後にEPの専門医を取得します。一度専門医試験に合格すると、10年間は専門医資格が維持されます。その10年の間に医学知識、患者の調査や患者の安全に関するモジュールを行い、筆記試験(MOC試験:Maintenance of Certification)を受ける必要があります。また、内科、循環器、不整脈のすべての専門医資格を維持するとなると、10年間に3つの試験を受けなければなりません。こういった内科系の専門医資格に関しては、アメリカ内科学会(American Board of Internal Medicine: ABIM)が試験や資格維持に関するルールを決めていました。ところが、10年ごとの高額な専門医試験や、そのために重箱の隅をつつくような知識を学ぶことは不必要であり、高額な試験を課すことはABIMによる制度の悪用ではないか(お金を集めるために試験を義務付けている、MOC試験も1,000ドル以上かかる)といった批判の声が上がり、多くのサブスペシャルティがABIMの定めた専門医更新のルールに反対する意向を示しました。多くの医師が、更新直前まで試験勉強や点数集めをしないこともわかっており(この辺りは日本も米国も同じですね)、逆に言うと期限ギリギリまで知識のupdateをしないということになります。こうした点を踏まえ、10年目に慌てて知識を詰め込むよりも、継続した学習が評価されるように専門医維持の方法も変更されました。先述のように、サブスペシャルティの反対もあり、自分の専門領域の資格のみを維持することも認められました。例えば不整脈の場合、内科もしくは循環器の専門医を維持しなくても、不整脈の専門医だけを維持することができます。実際、分業が進む米国で、レジデンシー卒業後10年目に再び内科(とくに他科)の勉強をすることは非常に大変です。このように、米国における専門医維持の方法はここ数年で大きく変わり、今後も変更が予想されます。専門医を維持するために勉強するのは、医師として当たり前のことなので、定期的に知識をupdateするために試験を行うのは個人的には賛成です。しかしながら、普段の臨床からあまりにも逸脱した内容を学ぶことや高額な試験費用には疑問を感じます。とはいえ、試験費用はABIMにとって大きな収入源であり、その上、各専門医団体との利権も絡み合っており、すべての人が納得する制度を作るのは難しいのかもしれません。

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循環器内科 米国臨床留学記 第24回

第24回 受験準備に50万円も必要な米国専門医試験今年は米国の専門医試験を受ける予定ですが、かなりお金がかかることに気付きました。循環器フェロー修了後に受けるCardiology board(米国循環器専門医試験)は、循環器専門医資格の取得のために必要な試験です。それ以外にもエコー専門医や核医学専門医を受ける人も多いです。とくに循環器フェロー修了後、インターベンション、EP(不整脈)、心不全などのサブスペシャルティーに進まず、一般循環器(General Cardiologist)になる場合、大半のフェローはエコー、核医学の専門医を取得しています。なぜなら、職場によっては採用の際にこれらの資格を求めてくるからです。このCardiology Boardですが、お金と時間がかかります。まず、受験料だけでも2,405ドル(26万円)かかります。さらに、試験勉強のためにACC(アメリカ循環器学会)が発行しているACCSAP(画像)という問題集を購入する必要があり(購入しない人は極めて珍しいと思います)、これに850ドルかかります。試験対策ですが、一般的にはMayo Clinicなどが主催する専門医試験対策の講習会に行くか、行けない場合は講習会のビデオを購入します。ビデオを購入するだけでも1,000ドル近くかかりますが、Liveで授業を聞くとなると、ホテルや飛行機を含めて2,000ドル近くになるでしょう。次に試験対策の時間ですが、少なくとも2ヵ月程度は勉強する必要がありそうです。これに落ちてしまうと、次の段階の専門医(EP、インターベンション、心不全、先天性心疾患)試験を受けられないなど、就職にも影響が出る可能性があるため、受験者も必死です。合格率は相対的に決まり、皆が勉強して臨むため、それ相応の分量を勉強するしかありません。実際の試験は2日間で行われます。米国の医学関係の試験(USMLE、内科専門医など)は、ほぼコンピュータベースの試験となっているため、最寄りのプロメトリックセンター(TOEFLを受けられるようなコンピュータベースの試験を行う専門のセンター)で受験します。以上をまとめると、4,000~5,000ドルの費用と、2ヵ月程度の時間が必要となり、経済的にも時間的にも結構な負担となることがわかっていただけると思います。私が日本で、循環器専門医試験を受験した頃と比べてみると、まず費用の面では、受験料が3万円と米国よりも格段に安く、問題集に関してもトレーニング問題をやる程度で済ませたので、1万円もかからなかったと思います。試験対策の勉強も1~2週間程度でした。サマリーの作成に結構時間を取られたものの、勉強自体ははるかに楽だったように思います。ちなみに合格率は日本の85~90%に対して、米国は90%前後と少し高めになっています。Cardiology Boardの合格率はプログラムにとって死活問題にもなりうるため、おのずとプログラムからもプレッシャーがかかります。極端に合格率が低いと、ACGMEという団体からプログラムの保護観察や停止の指定を受ける可能性もあります。このような背景もあり、フェローの採用時には、USMLEなどの点数が高く試験が得意なレジデンシーが好まれる傾向があります。受験料が高いのは、循環器専門医試験だけではありません。エコーの専門医は800ドルですし、EPやインターベンションの専門医試験は2,905ドルかかります。なぜ、こんなに高額なのかはまったくわかりませんが、受けないわけにはいきません。というのも、米国ではこれらの専門医の資格がないと循環器内科医として病院に雇ってもらえないからです。日本にいたころ、循環器内科の専門医資格を持たずに専門医として働いている方も見かけましたが、日本ではその分野における能力がある限り問題とはならないからでしょう。科の標榜などができない、診療報酬の点数が変わってくる、循環器研修認定施設になれないなど、多少のデメリットはあるかもしれませんが、個人の給料まで変わってくるということはあまりないのではないでしょうか。しかし今後、日本でも専門医制度が変われば、診療報酬加算や給料にもっと影響が出てくることが予想されます。米国では、2ヵ月の勉強を強いられる分、瞬間的には知識が向上しますが、その後維持できるかは、普段の診療内容によるところが大きいと思われます。米国内科専門医を受ける際もずいぶんと勉強しましたが、日々使わない知識を維持することは非常に難しいと感じています。時間ばかりとられる日本のサマリー制度もどうかとは思いますが、貧しいフェローに50万円もの負担を強いる米国の専門医試験も勘弁してほしいものです。アメリカ循環器学会発行の問題集。説明編と質問編に分かれており、9冊からなる

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総合内科専門医試験対策 アップデート問題はココが出る!2016

第1回 循環器第2回 消化器第3回 呼吸器第4回 感染症第5回 代謝(糖尿病) 日本内科学会の認定医・専門医制度が大きく変わろうとしているなか、受験者が急増しているのが総合内科専門医。今後は、現行の総合内科専門医から移行する「新・内科専門医」が従来の内科認定医に代わり、すべての内科系専門医の"基礎資格"になるとみられているからです。総合内科の中でも重要となる、循環器、消化器、呼吸器、感染症、代謝(糖尿病)の「up to date問題」対策に特化した本DVDは2016年、さらにバージョンアップ!直近に起こった重要なトピックについての予想問題を各科目で追加しました。各科の専門医の協力の下、作成した予想問題を“愛され指導医”こと総合内科医の志水太郎氏が次々とコンパクトに解説していきます。試験直前の主要科目の知識確認にうってつけです。第1回 循環器総合内科専門医資格認定試験に出そうな最新医学トピックについて、演習問題形式で解説していきます。初回は循環器です。災害時の循環器疾患の予防・管理についてや閉塞性動脈硬化症のガイドライン改訂に関する知識を、予想問題を通して学んでください。第2回 消化器第2回は消化器。B型肝炎やC型肝炎は新薬の登場で治療方針が大きく変わりました。その転換についての詳細や、続々と新規薬剤が登場する分子標的薬とがんの組み合わせなど、頻出の最新医学トピックを、予想問題を通して学びましょう。第3回 呼吸器第3回は呼吸器。2013年改訂「COPD診断と治療のためのガイドライン第4版」で推奨されるCOPDの第1選択薬や、肺動脈性肺高血圧症と慢性血栓塞栓性肺高血圧症の違いなど。押さえておくべきの最新医学トピックを、“愛され指導医”がコンパクトに解説します。医療・介護関連肺炎(NHCAP)分類の概念、この機会に覚えておきましょう。第4回 感染症第4回は感染症。2015年に韓国で大流行した中東呼吸器症候群(MERS)は、出題の可能性大!また、国内感染で話題に上ったデング熱や、新しい薬剤が次々と発売されているHIV感染症の最新治療なども、しっかり確認しておきましょう。第5回 代謝(糖尿病)高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c)が2016年5月に発表されました。また、「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013」からの出題は必須なので、予想問題を通してしっかり押さえておきましょう。そのほかインクレチン関連薬やSGLT2阻害薬などの特徴と副作用。糖尿病とがんの関連など、最近のクリニカルな話題も要チェックです。

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総合内科専門医試験対策 “苦手”科目をクイック復習 2016

第1回 内分泌第2回 腎臓第3回 血液第4回 膠原病 第5回 神経 日本内科学会の認定医・専門医制度が大きく変わろうとしているなか、受験者が急増しているのが総合内科専門医。今後は、現行の総合内科専門医から移行する「新・内科専門医」が従来の内科認定医に代わり、すべての内科系専門医の"基礎資格"になるとみられているからです。内科の中でもついおろそかになりがちな、内分泌、腎臓、血液、膠原病、神経をピックアップした本番組は、2016年の試験に向けてより実践に即した演習問題を追加し、さらにバージョンアップしました。講師は、医師国家試験予備校で試験対策講義に豊富な経験を持つ民谷健太郎氏。苦手意識がある科目だけでも一通りチェックすれば、自信を持って試験に臨めます。第1回 内分泌初回は内分泌。「負荷試験」「甲状腺疾患」「Cushing症候群」など、基本であるにもかかわらす、専門科に進んでしまうとつい忘れてしまいがちな内容を、民谷氏が独自で作成した図解を用いて、わかりやすく解説していきます。試験対策はもちろん、内科全般の復習にも役立ちます。第2回 腎臓第2回は腎臓。多くの方がつまずくであろう腎生検に着目し、民谷氏オリジナルのアニメーションで腎臓の解剖生理を徹底解説。この領域では基本を知ることが多くの問題を読み解く鍵となります。また「ネフローゼ症候群」を振り分けるキーワードなど、試験対策のための“コツ”も満載です。第3回 血液複雑な疾患が多く苦手意識を持ちやすい血液領域ですが、「ハプトグロビン」「Coombs試験」など、血液内科で使用される専門用語に慣れておくことが自信につながります。血管を中心に骨髄、肝臓、脾臓という全体像をイラストで解説。また参考症例で注目すべき血液所見、覚えておくべき塗抹標本の所見を紹介します。第4回 膠原病 第4回の膠原病。全身のさまざまな臓器に障害を来すため、その分広範囲の勉強が必要と思われがちですが、ずばり強化すべきは関節リウマチとSLE!出題頻度がとても高いんです!特異度の高い自己抗体さえ覚えてしまえば、あっさり解けてしまう問題が多いのも特徴。もちろん苦手な人の多い血管炎症候群のポイントについても紹介しています。第5回 神経第5回は神経。プライマリの現場でもよく出くわすcommonな疾患を取り扱っていますが、試験で混乱しないためのヒントが満載です。神経領域では、似たような疾患名でも扱う薬剤や検査が全く異なります。薬理作用を理解して、きちんと整理することが試験攻略の近道です。

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循環器内科 米国臨床留学記 第2回

第2回:日米における循環器専門医トレーニング 臨床と研究の両方において、日本の循環器医師のレベルは非常に高いと米国でも認識されていますので、お前はわざわざ米国でなんのためにトレーニングを繰り返しているんだといつも聞かれます。答えにはいつも困っています。日本の循環器の先生はどこの病院に行っても、遅くまで残業し、臨床や研究に励んでいました。そういった姿を見て、自分の中でも循環器医の心構えが育ったと思います。このように、日本の循環器は現状のトレーニングでも優れた医師が輩出されているわけですが、問題点がないわけではないと思います。今回は、日米の長所、短所を比較しながら、これからの専門医教育の課題を考えてみました。日本の循環器専門医教育の長所誰でも循環器医になれる! 日本の医者には、職業選択の自由があります。つまり、循環器を含め、どの医者もなりたい専門医になれる。他の国と比べても、これは非常に恵まれている点だと思います。米国に来て、循環器医になりたくても諦めている人などを見ると、本当に幸せなことだと痛感します。専門医の意義 米国>日本 日本では循環器専門医を取得した瞬間、一人前と見なされるというわけではありませんから、専門医を取ったからといって、医局を辞めて独立をする人は少ないでしょう。また、開業医においても、循環器専門医がなくても、循環器と標榜できるのが現状で、専門医を持つことの意義が低いような気がします。徒弟制度 徒弟制度には、修業年限はありません。師匠が少しずつフェードアウトし、気がつけば1人で手技をさせてもらっている。逆に言えば、何年経とうが、師匠が認めない限り、一人前とは認められない。人によって成長のスピードが違うことを考えると、何年間で一人前になると決められ、フェローシップ終了後に独立を義務付けられる米国の制度のほうがおかしいようにも思います。市中病院:インターベンションなどの臨床トレーニングのスピードが早い 一概に、日本の循環器専門医トレーニングと言っても、市中病院と大学病院で大きく異なると思います。研修医の頃、私の中で、循環器=インターベンションのイメージがありました。 実際、日本の市中病院では冠動脈造影、PCI(経皮的冠動脈インターベンション)に重きが置かれる傾向があると思います。多くの市中病院では若手に積極的にカテをさせて、5年目ぐらいには基本的なPCIを行えるようになることが多いと思います。また、緊急カテーテルのオンコールを5~6人の循環器医でうまく回すためには、早く一人前になってもらわないと困るという実情もあると思います。若い医師もPCIなどの経験が積める病院に集まる傾向があるようです。慶応大学の香坂先生らの報告(Am J Cardiol.2014;114:629-634.)によると、卒後10年以内の若い循環器医のトレーニングに対する満足度は、冠動脈造影、PCI、エコーなどの症例数と大きく関係することが示されています。大学病院系列:豊富で幅広い症例・専門家による指導 逆に、大学病院や国立循環器病研究センター病院(国循)などでPCIを5年目がメインで行うというのは少し難しいと思いますが、大学病院や国循のような大きな施設には市中病院にない大きなメリットがあります。 医師6-7年目を過ごした国立循環器病センター研究病院(NCVC)東京都済生会中央病院、NCVCというタイプの異なる二つの病院で、素晴らしい指導医や仲間に出会え、有意義な研修を送ることができました。 第一に、肺高血圧、重症心不全、遺伝性疾患などのまれな症例を診る機会もあり、幅広いトレーニングが期待できます。また、各サブスペシャルティの専門家から直接指導を受けられます。実際、私も不整脈に関する知識や手技をもっと重点的に修練したいと感じ、国循に移動しました。その国循で、レジデント達∗が心エコーやリハビリなどに関して、手厚い指導をトップクラスの先生から受けているのを見て、うらやましく感じたのを覚えています。 ∗国循では循環器の基礎的な訓練を3年間で受けます。初期研修を終えた、3年目以降で応募でき、レジデントといいます。立場的には米国で言うフェローに当たると思います。研究の機会 大学や国循では、基礎研究、臨床研究のチャンスもあります。各専門分野の指導者もおり、循環器学会やAHA、ACC、ESCなどの国際学会での発表や一流雑誌への掲載といった可能性もあり、研究者として大きく羽ばたけるチャンスがあります。日本の循環器専門医教育の問題点曖昧な施設基準・膨大な研修施設 日本には循環器フェローシッププログラムというものは存在しませんが、専門医となるには3年間以上認定施設でトレーニングを受ける必要があります。表1)に日本の専門医施設の基準を示しました。2名以上で指導が十分な体制とあります。何をもって十分とするのかそもそも曖昧です。日本循環器学会のホームページによると日本全国で1,000近くの循環器研修施設がありますが、人口が倍以上の米国で180しかないことを考えると、いかに日本の認定施設が米国に比して多いかがわかります。これだけあると、すべての施設で十分な教育ができているかは疑問の余地があります。研修施設に名乗りを上げないと、若い医師が獲得できないという事情もあると思います。Common diseaseへの偏り 一部の有名な市中病院を除くと、市中病院では、冠動脈疾患、不整脈、心不全、末梢血管、心エコー、リハビリテーションなどの循環器のサブスペシャルティの専門医を揃えることは難しく、結果として、循環器のcommon diseaseである冠動脈疾患や心不全に偏ったトレーニングにならざるを得ない側面もあると思います。さまざまな症例を経験することも大切です。市中病院から国循などに来ると、3年間のトレーニングで見たことがないような症例に出くわします。たとえ、将来的にその疾患を自ら治療する機会がないとしても、一度の経験がその後の臨床の助けになることがあります。ほぼ義務化された研究・大学院 大学にも問題点はあります。先ほど挙げましたが、手技などのトレーニングは大学自体で数多くこなすのは難しそうです。恵まれた医局に所属していれば、関連病院でその点は十分に挽回できるでしょう。また、医局では研究や博士号の取得はほぼ義務化されています。これはメリットでもありますが、臨床で研鑽を積みたい人にとっては、4年間の大学院生活はデメリットにもなりえます。米国のフェローシップの長所指導者の数の保障 米国ではプログラムディレクターに加えて、3人以上のKey Clinical Facultyが必要、つまり最低でも4人の指導教官が必要ということになります2)。また、フェロー3人に対して2人のKey Clinical Facultyが義務付けられているので、実際、University hospitalなどの施設では10人以上の指導教官がいることがほとんどです。手厚い教育・確保された症例数 先ほど述べましたように、米国には、180しか循環器フェローシッププログラムがなく、毎年850人しか循環器フェローになれません。そうすることで全米のCardiologistの数をコントロールしています。狭き門ですが、一度入ると手厚い教育が保障されます。どちらかというと、米国のフェローシップは日本の大学や国循のような特徴を有していると思いますが、それに加えて、経験症例数が確保されており、雑用が少なく、トレーニングに集中できる環境が整っています。米国のフェローシップの問題点狭き門=Cardiologistになれない? 第1回でお話ししましたが、循環器フェローシップは狭き門であり、Cardiologistになれない可能性があります。外国人は半分以下、米国人でも85%ほどしかCardiologistになれません。10年以上かけて苦労して内科医になったうえで、やりたいことができないのは、ある意味悲惨です。段階を超えて、次のトレーニングへ進めない サブスペシャルティがあることから、いくら優秀でも循環器フェローシップ中は基本的には高度なPCIやアブレーションのトレーニングを開始することはできません。トレーニングが終わったら一人前 フェローシップを卒業した瞬間、どんなに手技が下手でも、一人前と見なされます。同じ病院の先輩も含めて、もはや、誰も助けてくれません。インターベンションやEP(不整脈)のフェローを卒業したものの、就職先で使い物にならず、クビになるという話はよくあります。日本が取り入れたほうが良いと思われる点 現状でも、日本の循環器医は世界のトップクラスであり、結果としては問題ないのかもしれませんが、私の経験を基に、以下の点を今後の日本の循環器専門医トレーニングが検討すべき課題として挙げました。経験症例数の保障 冠動脈造影や心エコーの能力は症例数で決まるものではありませんが、専門医教育を評価するうえで、トレーニング中にどのくらいの症例が経験できるかは最低限保証されるべきだと思います。また、選ぶ側は症例数を基にどこのプログラムで研修を行うかを決める指標ともなります。学年当たりのフェローの数の明確化 症例数を保証するなら、おのずとフェローの数も明確にしなければならないと思います。同じ学年のフェローが増え過ぎると当然、症例数も減ります。ただ、無制限に人を受け入れなければいけない日本の医局制度と相いれるかは微妙なところです。フェローによるプラグラムの評価 フェローによるプログラムの評価は必須です。ただ、医局に所属している医局員が自分の医局のプログラムを批評するようなことは、日本では難しいのかもしれません。公的な機関による積極的なプログラムへの評価・指導 公的な機関がフェローの意見を聞き、教育体制が不十分なプログラムの指導や廃止をすることも必要です。終わりに 医局制度との絡みなど難しい問題はありますが、米国の良いところのみを参考にして、日本の良さを残した、日本独自の優れた専門医教育が発展してほしいと思います。 次回も、もう少し具体的にアメリカのトレーニングについて触れたいと思います。 参考文献 1) 日本循環器学会.日本循環器学会認定循環器専門医制度規則.日本循環器学会ホームページ.(参照 2015-09-21). 2) ACGME. ACGME Program Requirements for Graduate Medical Education in Cardiovascular Disease (Internal Medicine). Accreditation Council for Graduate Medical Education. (accessed 2008-08-25).

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循環器内科 米国臨床留学記 第1回

第1回:米国における専門医教育事情今回、ケアネットから寄稿をする貴重な機会をいただきました河田 宏と申します。私は2003年に大学を卒業後、日本で循環器専門医を取得し、不整脈のトレーニングを経た後、卒後7年目の2010年より米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校(UC San Diego)で、不整脈(Cardiac Electrophysiology:EP)の臨床留学(クリニカルフェロー)を開始しました。当初は不整脈のトレーニングを修了後に帰国する予定でしたが、米国に残り臨床医としてのトレーニングを続けることに決めました。カリフォルニア大学 アーバイン校米国で不整脈専門医となるには、内科、循環器の専門医の取得が条件となっており、2013年からはオハイオ州シンシナティーに移り、内科のレジデンシーを開始しました。内科レジデンシーを修了し、本年度からカリフォルニア大学アーバイン校(UC Irvine)に移り循環器のフェローを開始しました。米国の循環器フェローシップを経験された日本人医師の多くは、日本での循環器のトレーニングを経ずに米国に渡り、内科のレジデンシーから開始しておられます。ご存じのように日本で循環器専門医を取得するのも卒後6~7年かかります。同じ科目の研修を日本と米国で2回繰り返すということは時間の無駄になりますし、臨床留学を卒後6~7年からやり直すという人もあまりいませんので、私のように日本で循環器専門医を取得した後、米国に渡るというのはまれなケースだと思われます。米国で臨床留学していると聞くと「米国の臨床医学よりに偏向した意見の持ち主か」と思われるかもしれません。私は今でも日本の医療システムのほうが優れている点が多いと思っていますし、成果主義、金儲け主義的な米国の医療には渡米5年経った今でも違和感を覚えます。ただ、医学教育に関しては米国に一日の長があるように感じます。日本の研修医制度が始まって10年が経過し、ようやく専門医制度の改革が動き出したところで、日本の専門医教育(フェローシップ)はこれから大きく変わっていくと思います。米国の専門医教育は自分の学びたいことに集中できる環境が整っており、そこが米国臨床留学の醍醐味だと思いますし、日本が見習うべき点もあると思います。日本の専門医教育も日本の良さを残しつつ、米国の良いところのみを取り込んで、素晴らしいものになってほしいと思っております。今回のコラムでは、循環器を中心に、日本と米国の医療、専門医、教育の違いについて、できるだけ客観的に比較しながら伝えていきたいと思います。循環器医になるまでに何年かかる?最初に米国で循環器内科医となる過程をみてみたいと思います。米国で循環器専門医となるには医学部卒業後、最低6年間が必要です。3年間の内科のレジデンシーを修了後、3年間の循環器のフェローシップを修了して、専門医試験への資格を得ることができます。さらに、冠動脈インターベンション、EP、心不全などのサブ-スペシャルティートレーニングを1~2年間行うことも可能です。画像を拡大するたとえば、EPの場合、すべてのトレーニングを終えるのに内科レジデンシー終了後最低5年はかかります。他の内科のトレーニングは2年か3年で終わるものが多いので、循環器のトレーニングは他の内科のトレーニングより時間がかかります。EPや冠動脈インターベンションの専門医になるのは順調にいっても34歳ごろとなってしまいます。内科レジデンシー終了後、借金を返すために内科医として数年間働いたり、リサーチやチーフレジデントを行ってからフェローに応募することも多いため、トレーニング修了時で40歳ぐらいになってしまう人も珍しくはありません。狭き門? 循環器フェローへのマッチング内科の3年目の夏に循環器、消化器など内科のサブスペシャルティーのマッチングへの応募が始まります。12月のマッチデイ(マッチングの発表)まで、全米各地にインタビューに回ります。マッチする人で平均8個前後のインタビューを受けますし、飛行機を使うことも多いですから、5,000ドル程度の出費は覚悟しなければなりません。マッチングに関しては詳しいデータが公にされています。循環器は最近、給料が下がっている影響か少し人気が下がっています。ポジションに対する応募者の割合は、2011年から2013年までは倍率が1.5倍でしたが2014年~2015年は1.4倍に下がりました。具体的に、今年は835のポジションに対して1,142の応募があり、マッチ率が73%、つまり27%はマッチできなかったということになります。人口を考えると米国の循環器専門医の認定数は日本より少ないと思います。米国ではトレーニングの質を保つため、ACGMEというトレーニングを管轄する団体が病院の規模、ベッド数、手技の数、指導教官数、外来・入院患者数、カンファレンスの数などに応じてフェローの定員を決めています。このため、各病院の自由裁量では人数を増やせず、結果として上限が決まってきます。UC San DiegoやUC Irvineと言った大学病院ですら1学年の定員は5人です。米国人に有利なマッチング米国の医学部を卒業した米国人にとって、循環器のフェローシップを得ること自体はそれほど難しくなく、2011年のデータによると86%がマッチしています。一方、外国の医学部を卒業した外国人には狭き門であり、47%、半分以上が循環器フェローになれなかったということになります。優秀な候補者はどこでもいいというわけではありません。MayoやClevelandのような有名プログラムは競争も激しく、一つのポジションに対して50人を超える応募がくるようです。米国は学歴社会です。卒業した医学部に加えてどこで研修をしているかが非常に重要視されます。ホームページなどで確認できますが、有名プログラムの循環器フェローは殆どが有名なレジデントプログラムの出身です。また、住みやすいと言われる大きな都市のプログラムも倍率が高くなります。内科のレジデンシーを行った病院に循環器フェローシップがあれば、評価の高いレジデントは内部進学ができます。内部といっても競争が激しく、同期のレジデントに競り勝つ必要があります。内科を3年終えた後にチーフレジデントをやると、ほぼ確実に希望するフェローシップにいくことができるプログラムが多いため、最初からそれを目的としてチーフレジデントになる人もいます。日本のチーフレジデントとは違って実利があるのです。最近、一番人気の高いサブスペシャリティーは消化器内科でマッチ率は64%、それに呼吸器・集中治療、循環器、血液/腫瘍が続いています。逆に老年科、腎臓内科、感染症科は人気が低く、倍率は1倍以下になっています。科別の平均年収と人気の科には相関があるようで、この辺りがアメリカっぽいところでしょう。次回以降、具体的に日米のトレーニングの差についても触れていきたいと思います。

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マイクロシミュレーションモデルを用いた大腸腺腫検出率と大腸がん検診の解析(解説:上村 直実 氏)-389

 住民検診や企業検診および人間ドックにおいて、使用される検査自体の精度管理は非常に重要である。今回、地域における大腸内視鏡を用いた大腸がん検診では、腺腫検出率(adenoma detection rate:ADR)が高いほど、生涯にわたる大腸がんの発症や大腸がん死亡のリスクが抑制されるとともに、費用対効果にも優れていることがオランダから報告された。 この研究では、大腸がん検診における内視鏡検査の質に対する評価指標とされるADRを、5群に分類して比較検討した結果、内視鏡術者によってはADRに3倍以上のばらつきがみられた。最もADRが低い内視鏡術者は、最もADRが高い術者に比べて、10年以内の大腸がんの発症リスクが約50%、大腸がん死亡のリスクが約60%上昇するとされている。しかし一方では、ADRが高すぎると低リスクの小さなポリープが多く発見され、追加の検査や治療が増加して、患者にとっての合併症のリスクやコスト高などの不利益が、ベネフィットを上回る可能性も示唆されている。 わが国の診療現場においても、大腸内視鏡検査の精度は施設間や術者間の格差が非常に大きいことは経験上明らかである。今後、このような内視鏡診療技術を用いた臨床研究を解析する場合、上記のバイアスの補正をどのように行うかも課題となる。一方、わが国では新たな専門医制度の認定方法が注目されているが、内視鏡や超音波検査などの診療技術に関して、臨床的に満足できる診療精度が担保される専門医ないしは技術認定医を育成するシステムが必要であるものと思われた。

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アルコール使用障害の治療に関するメタ解析に驚く話(コメンテーター:岡村 毅 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(210)より-

一般的な研修コースを歩んだ精神科医師は、さまざまな症例の経験を経て、順調に行けば卒後5年強で精神保健指定医となる(近年は専門医制度も確立したが、私の頃は整備がなされていなかった)。 指定医になるには、治療論や法的側面などを緻密に書かないと落とされてしまう症例レポートの提出が義務付けられており、「依存症」も課題の一つだった。多くの同僚は、症例に遭遇する確率が高いこともありアルコール依存症でレポートを書いたもので、研修コースにはアルコール病棟のある病院が多く含まれていた。 正直に告白すると、私はアルコール依存症のマネジメントはあまり得意ではなかった。アルコール依存症のレポートでは、意識清明となった患者に対してあらためて断酒意欲を確認し、ピア・サポートなどの助けも借りながらアルコールの有害性を学習し、断酒意欲を強化し、断酒維持に向かって伴走する、というような入院、退院、外来治療の経過を書くことが求められていたと記憶している。そこでは薬物治療の出る幕はあまりなく、あくまで離脱や二次的不眠等の対症療法であった。あるいは抗酒薬(飲酒してしまうと不快感が生じる物質を本人納得のもとに使用する)というものもある。 しかし、そもそもアルコールは日本中どこでも売っていて、いわゆる違法薬物ではない。アルコールで人生が破綻した悲惨なケースをたくさん見てきたし、破綻したからアルコールに走ったというケースも多々あった。そういう人が死ぬ思いで断酒しているのに、数十メートルも歩けば簡単に手に入る状況というのも理不尽にも思えて、真にアルコールの弊害を解決したければ国家として禁酒をしたほうがいいのではないか、などと考えもした。 また、アルコール依存の人は内科治療が必要な割にはずいぶん縁遠い人生を歩むことが多い(真面目に治療を受けなかったりするため)が、人生の最終局面では肝硬変と静脈瘤破裂で一瞬だけ内科の患者さんになっていたりする。「私は無力だ」そう思ったので得意ではなかったのだろう。これを読んでご不快に感じられた依存症の専門家がおられたら、専門外の人間の浅い理解と嗤っていただきたい。 いずれにせよ、アルコール依存症の症例レポートを書くためというのもあり、不思議な穏やかさと仲間意識の混在する梅雨どきのアルコール専門病棟にてしばらく働いたことを思い出した。 なんだかまったりしたエッセイになってしまったが、本論文を読んで、まずは外来でのアルコール使用障害(AUD)治療における薬物治療のメタ解析であることに驚いた。前述のような私の経験(入院中心の心理教育)とは、ずいぶんと距離がある。 本論文の考察において、「米国でもプライマリ・ケア医はAUDの治療には障壁があり専門機関に紹介する傾向があった」、「しかしプライマリ・ケアの段階での治療をすることが望まれる」と書いてあり、すわAUD治療のノーマライゼーションかと驚く。もっともAUDの1/3以下しか治療を受けていない、10%以下しか薬物治療を受けていない、とも記載されているので理念の表明なのだろう。時代の潮流を見極める必要がある。 次に、エビデンスがあるAUDの外来薬物療法が確立したことは素晴らしいことであるが、医学モデルが問題解決に必要十分と早とちりしないことも重要である。 極端な例だが、アルコール問題のあるホームレスの人には、治療を受けるならば居住施設に入ってもらうという姿勢よりも、治療を受ける受けないにかかわらず、まずは住居を提供することで、結果的に生活が安定しアルコールの問題も減るのではないかと考えられないだろうか? 実際、そのような報告がJAMAでなされている(Larimer ME, et al. JAMA. 2009 ;301(13):1349-1357.)。 私は本論文を批判しているのではなく、筆者らはこんなことは当然承知のうえだ。考察では、疫学研究ではさまざまな因子が飲酒に関連することに言及しているし、プライマリ・ケアでAUDの治療をするためにはメンタルヘルスの専門家との連携が鍵となることを公平に記載している。 いずれにしろ、この論文は新しい時代の羅針盤となるべき重要な論文かもしれない。2013年からアカンプロサートは本邦でも発売されている。多くの方が救われることを心から願う。 なお、最新の米国精神医学会の診断マニュアル(DSM-5)からはアルコール依存症と乱用という2分法は消滅してしまい、アルコール使用障害(AUD)という概念が使われている。

50.

30回の節目、日本臨床内科医会総会を開催

 4月14日、一般社団法人 日本臨床内科医会(会長:猿田 享男氏)は、第30回となる総会を東商ホール(東京・千代田区)にて開催した。当日は、全国より1000名を超える会員が参集し、企画されたさまざまなセッションに参加した。 初めに総会として、今回の会頭である菅原 正弘氏(東京内科医会会長)などの挨拶や各種決議、報告、表彰式が行われた。 次に、「医療を取り巻く最近の話題」をテーマに、今村 聡氏(日本医師会副会長)が「医療と消費税」をテーマにミニレクチャーを行った。レクチャーでは、2014年に消費税が引き上げられることに鑑み、現在の診療報酬からの手当てでは、医療機関の持ち出しが多くなってしまうことから「今後も医師会として政府に対応を働きかけていく」と述べた。続いて、嶋田 丞氏(日本臨床内科医会副会長)が、「在宅医療を取り巻く話題」として、高齢社会の中でいかに地域の臨床医が、医療と介護を両立させ、地域住民の健康を守るかを説明した。その後、司会の清水 惠一郎氏(日本臨床内科医会常任理事)も交え鼎談となり、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)、医師の裁量権の動向、地域包括ケアシステムの在り方、総合医専門医制度の在り方など多岐にわたる問題を話し合った。 午後には特別講演(1)として「『心臓バイパス手術』の最前線」をテーマに天野 篤氏(順天堂大学大学院医学研究科心臓血管外科学教授)が、自身の専門領域である「心臓バイパス手術」について、オン・オフポンプでの手術成績の違いやどのようなリスク患者での予後の成績が良いかなど、海外のエビデンスと自験例を交えて講演を行った。 続いて、特別講演(2)として「特定健診の5年間の評価と今後の方向性」をテーマに永井 良三氏(自治医科大学学長)が、2008年より導入された「特定健診・特定保健指導」について5年の成果を振り返るとともに、次の5年について講演を行った。世界の潮流が、NCD(非感染性疾患)への対応にシフトしている今、生活習慣病の予防に主眼をおいて定められたのが「特定健診・特定保健指導」であり、とくに「高齢者は受診率が上がると、医療費を抑えることができた」と解説した。そして、健康寿命の延長、非肥満者の疾病予防、COPDなどの肺疾患への対応など「第二次国民健康づくり運動」の概要について説明し、講演を終えた。■日本臨床内科医会■第27回 日本臨床内科医学会

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