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第202回 新型コロナ新変異株「KP.3」拡大で感染者数急増/政府

<先週の動き>1.新型コロナ新変異株「KP.3」拡大で感染者数急増/政府2.新型コロナワクチン定期接種10月から開始、任意接種は1万5,000円/厚労省3.かかりつけ医制度の整備進む、2025年度から報告義務化/厚労省4.マイナ保険証推進のため医療DX推進体制整備加算の見直しが決定/中医協5.新興感染症対策強化へ、新たな行動計画と備蓄計画を発表/厚労省6.専門医機構の特別地域連携プログラム、要件緩和案に反発広がる/厚労省1.新型コロナ新変異株「KP.3」拡大で感染者数急増/政府林 芳正官房長官は7月19日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染者数が増加していることについて、「今後、夏の間に一定の感染拡大が生じる可能性がある」と述べ、感染対策を徹底するよう呼び掛けた。厚生労働省によると、全国約5,000の定点医療機関から7月8~14日に報告された感染者数は5万5,072人で、1医療機関当たり11.18人と、前週比1.39倍に増加。感染者数は10週連続で増加し、とくに九州地方での増加が目立った。鹿児島県の定点医療機関の感染者数は31.75人、佐賀県は29.46人、宮崎県は29.34人と高い水準を記録。東京(7.56人)、愛知(15.62人)、大阪(9.65人)、福岡(14.92人)でも増加が確認され、全国45都府県で感染者数が増加していた。入院者数も増加傾向にあり、14日までの1週間で新規入院患者は3,081人、前週の2,357人から724人増加。集中治療室(ICU)に入院した患者数も113人と、前週から11人増加していた。専門家は、今回の感染拡大の背景には、新たな変異株「KP.3」の存在があると指摘する。東京大学の研究チームによると、KP.3はオミクロン株から派生した変異株で、感染力が強く、免疫を回避しやすい特徴があるという。とくに高齢者は重症化するリスクがあるため、十分な対策を講じる必要がある。感染症に詳しい東京医科大学の濱田 篤郎客員教授は、「今後、夏休みやお盆期間中に人の移動が増えることで、感染がさらに拡大する可能性がある」と警告。室内の換気や手洗い、マスクの着用など基本的な感染対策の徹底を呼び掛けている。また、高齢者は人混みを避け、感染が疑われる場合には、速やかに医療機関を受診することが重要だとしている。参考1)新型コロナ流行、なぜ毎年夏に 「第11波」ピークは8月か(朝日新聞)2)新型コロナの感染者数増加 林官房長官が注意喚起(毎日新聞)3)コロナ「第11波」、夏の流行期前に変異株KP・3が主流 梅雨明けで影響か(産経新聞)2.新型コロナワクチン定期接種10月から開始、任意接種は1万5,000円/厚労省2024年7月18日に厚生労働省は、新型コロナウイルスと帯状疱疹のワクチンを定期接種化する方針を発表した。新型コロナワクチンの定期接種は10月1日から開始予定で、65歳以上の高齢者と60~64歳の重症化リスクが高い人を対象とする。帯状疱疹ワクチンについては、対象年齢を65歳とし、費用を公費で支援する定期接種とする案が示された。新型コロナワクチンの定期接種は、2023年度まで全額公費負担で無料接種が行われていたが、今秋からは季節性インフルエンザと同様に接種費用の一部自己負担が求められる。接種費用の自己負担額は自治体によって異なるが、最大で7,000円と設定される。国は接種1回当たり8,300円を各自治体に助成し、費用負担を軽減する。接種期間は、2024年10月1日~2025年3月31日までで、各自治体が設定する。対象外の人は「任意接種」となり、全額自己負担で費用は約1万5,000円程度となる見込み。また、帯状疱疹ワクチンの定期接種についても同日、厚労省の予防接種基本方針部会で議論が行われた。帯状疱疹は水痘(水ぼうそう)と同じウイルスが引き起こし、加齢や疲労などによる免疫力の低下で発症する。日常生活に支障を来すほどの痛みが生じることがある。現在、国内で承認されている帯状疱疹ワクチンは、阪大微生物病研究会の生ワクチンと、英グラクソ・スミスクラインの不活化ワクチンの2種類である。部会では、65歳を対象とする定期接種化を検討し、帯状疱疹や合併症による重症化予防を目的とすることが提案された。厚労省は今後、専門家による会議での議論を経て正式に決定する予定。参考1)厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(厚労省)2)帯状疱疹ワクチン65歳に定期接種化、厚労省案 引き続き検討(CB news)3)新型コロナワクチン 高齢者など対象の定期接種 10月めど開始へ(NHK)4)新型コロナワクチンの定期接種、10月から開始…全額自己負担の任意接種費は1万5,000円程度(読売新聞)3.かかりつけ医制度の整備進む、2025年度から報告義務化/厚労省厚生労働省は、「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」を7月19日に開き、2025年4月に施行される新たな報告制度を巡る議論を大筋で取りまとめた。新しい報告制度によって、各都道府県が病院や診療所に対して、かかりつけ医の機能や診療できる疾患を毎年報告させる。報告された情報はウェブサイトで公開され、患者がかかりつけ医を選びやすくすることを目指す。この報告制度は、大学病院や歯科医療機関を除くすべての病院や診療所を対象とし、かかりつけ医の研修を修了した医師や総合診療専門医の有無も報告対象に含まれる。診療できる疾患は、患者にわかりやすいように高血圧や腰痛症、かぜ・感冒などの40疾患から選ぶ形となる。報告された情報は、厚労省の医療機関検索サイト「ナビイ」で公開される予定。地域の医療提供体制を把握し、足りない機能があれば対策を講じるよう各自治体に求める。初回の報告は2026年初めごろを見込んでおり、制度開始に向けてルールの改正やガイドライン作成が進められる。また、この報告制度では、病院や診療所は「日常的な診療」(1号機能)と「時間外診療」(2号機能)の2段階で報告する。1号機能は17の診療領域ごとに一時診療に対応できるかどうかを報告し、かかりつけ医機能に関する研修修了者や総合診療医の有無も報告する。2号機能には時間外診療や在宅医療、介護サービスとの連携が含まれる。時間外診療の体制については、在宅当番医制や休日夜間急患センターへの参加状況などを報告する。かかりつけ医機能の報告制度は、5年後を目途に報告内容の見直しが検討される。初回の報告時には「高血圧」「脳梗塞」「乳房の疾患」などの40疾患についての報告を求めるが、施行から5年後に改めて検討する予定である。また、かかりつけ医機能に関する研修の要件を設定し、それに該当する研修を示す予定。今回の制度導入により、患者が適切なかかりつけ医を選びやすくなると同時に、医療提供体制の強化が期待されることで、地域医療の質の向上が期待される。参考1)第8回 かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会(厚労省)2)「かかりつけ医機能報告」枠組み固まる 一次診療への対応は「17領域ごと」に(CB news)3)かかりつけ医、選びやすく 来年度、診療疾患をウェブ掲載(日経新聞)4.マイナ保険証推進のため医療DX推進体制整備加算の見直しが決定/中医協7月17日に厚生労働省は、中央社会保険医療協議会を開催し、2024年度の診療報酬改定で新設された「医療DX推進体制整備加算」の見直しを決定した。見直しでは、マイナカードの利用率の実績に応じて、医療DX推進体制整備加算を3区分に再編することが含まれている。具体的には、医科における加算1が現在の8点から11点に引き上げられる。医療情報取得加算についても変更があり、患者がマイナ保険証を利用するかどうかで区分されていた初診時と再診時の点数が、12月以降はそれぞれ1点に一本化されることが決定した。医療DX推進体制整備加算の医科における点数は、10月以降、加算1が11点、加算2が10点に引き上げられるのと同時に、マイナポータルの医療情報に基づき患者からの健康管理の相談に応じることが新たに求められる。加算3は現在の8点を維持し、相談対応の基準は設定されない。マイナ保険証の利用率は、原則として適用3ヵ月前のレセプト件数ベースでの実績を使い、10月から2025年1月までは2ヵ月前のオンライン資格確認件数ベースでの利用率の使用も認められる。具体的な基準値は、10~12月には加算1が15%、加算2が10%、加算3が5%となり、2025年1~3月にはそれぞれ30%、20%、10%に引き上げられる予定。2025年4月以降の基準は年末をめどに検討される予定となっている。医療情報取得加算については、医科の初診時と再診時の点数が12月以降に1点に一本化される。これは、現行の保険証が12月に廃止され、マイナ保険証に一本化されることに対応するための措置。厚労省は、この改定を8月中に告示する予定。一方、厚労省は、低迷するマイナ保険証の利用を推進するため、医療従事者のマイナ保険証に関する疑問を解消するためのセミナーを7月19日にYouTubeでライブ配信した。セミナー資料は下記のリンクを参照されたい。厚労省は、医療DX推進体制整備加算の見直しにより、マイナ保険証の利用率向上を図り、医療現場でのデジタルトランスフォーメーションを推進する考え。2025年度以降も、電子処方箋の普及のため、さらなる引き上げが検討される予定。参考1)中央社会保険医療協議会 総会(厚労省)2)徹底解決!マイナ保険証への医療現場の疑問 解消セミナー(同)3)医療DX推進体制加算1は11点、10月以降 加算3は8点、中医協が即日答申(CB news)4)マイナ保険証、来年度以降の基準は年末めどに 医療DX推進体制加算 中医協で検討・設定(CB news)5.新興感染症対策強化へ、新たな行動計画と備蓄計画を発表/厚労省7月17日に厚生労働省は、厚生科学審議会感染症部会を開催し、新型インフルエンザ等対策政府行動計画に基づく新ガイドライン案を示した。このガイドラインでは、緊急時に備えて医療用マスク3億1,200万枚を国と都道府県で備蓄することを盛り込んでいる。ガイドライン案には、高機能なN95マスク2,420万枚や非滅菌手袋12億2,200万枚の備蓄など、物資確保の項目が新たに追加された。都道府県は、初動1ヵ月分の物資を備蓄し、国は2ヵ月目以降の供給が回復するまでの分を備蓄する。また、事実誤認の指摘など国民への情報発信の強化も求められている。2024年度からの新しい医療計画(第8次医療計画)では、「新興感染症対策」が追加され、各都道府県で感染患者受け入れ病床や発熱患者対応外来医療機関の確保が進展している。6月1日時点で病床確保は目標の81.8%、発熱外来は54.0%の達成率となっている。とくに流行初期に確保すべき病床の進捗率は109.5%、初期に対応すべき発熱外来は124.1%と目標を上回る進展をみせている。新医療計画では、新興感染症の流行初期や蔓延時に備えて、都道府県と医療機関が「医療措置協定」を締結することが義務付けられている。現在、各都道府県で協議が進行中であり、9月末までに協定の締結完了を目指している。協定締結が進む一方で、病床数や発熱外来の整備が依然として必要とされている。部会では、病床の確保だけでなく医療従事者の確保も課題として挙げられた。出席した委員からは、「病床数は多いが医療従事者が不足することで運用が難しい」との指摘があり、医療現場の状況の把握も検討が求められた。また、初動期には各都道府県が相談センターを整備し、受診調整を実施することが提案された。厚労省は同日、新型インフルエンザ等対策ガイドラインの案も示し、感染症発生前の「準備期」から発生後の「初動期」、「対応期」ごとに対応策を整理し、感染者の受け入れや流行段階に応じた対応を求めている。政府は、今後もガイドラインの内容を議論し、夏ごろに取りまとめを目指す予定。参考1)新型インフルエンザ等対策政府行動計画 ガイドライン案 概要(厚労省)2)第87回厚生科学審議会感染症部会(同)3)新興感染症対策、各都道府県の「感染患者受け入れ病床」「発熱患者に対応する外来医療機関」確保が着実に進展-社保審・医療部会(Gem Med)4)感染症のまん延防止策、ガイドライン案を公表 リスク評価に基づき、機動的に実施 厚労省(CB news)5)感染症有事の対応、「病床確保」だけでは不十分 厚科審でガイドライン案めぐり議論(同)6.専門医機構の特別地域連携プログラム、要件緩和案に反発広がる/厚労省日本専門医機構は、7月19日に開催された厚生労働省の医道審議会の医師専門研修部会で、医師少数区域の施設で1年以上の研修を設ける「特別地域連携プログラム」の要件緩和案を示した。この案では、新たに医師を1年以上派遣する研修施設を連携先に加えることを提案。しかし、「ミニ一極集中」を招く恐れがあるとして反対意見が相次いだ。特別地域連携プログラムは、医師が不足している都道府県の医師少数区域の施設などを連携先とし、1年以上の研修を行うもの。しかし、研修施設としての要件を満たす施設が少ないことから、連携枠を設けるのが困難だという指摘が複数の学会から出ていた。そのため、同機構は2025年度に向けて、医師多数区域であっても、医師少数区域の医療機関に新たに医師を派遣する研修施設であれば、連携先に加えることを提案した。しかし、立谷 秀清委員(全国市長会相馬市長)は「ミニ一極集中を助長する」と反対を表明。2024年度のプログラムで採用された専攻医42人の連携先のうち、約4割が茨城県、約3割が埼玉県と、東京に近い地域に偏っていることが問題視され、他の委員からも反対意見が多く出された。花角 英世委員(全国知事会新潟県知事)は、要件緩和を行うにしても「シーリングの効果が十分に発揮されていない東北や東海、甲信越地域の医師少数区域に医師が派遣されるような制限を設けるべき」と主張し、医師の偏在解消に効果が期待できる制度設計を求めた。参考1)令和6年度第1回医道審議会医師分科会 医師専門研修部会(厚労省)2)特別地域連携プログラム、「要件緩和」に反対相次ぐ 25年度シーリング案 専門医機構(CB news)

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第201回 医師多数県で医学部定員を削減、医師多数区域の開業要件も検討へ/厚労省

<先週の動き>1.医師多数県で医学部定員を削減、医師多数区域の開業要件も検討へ/厚労省2.コロナ後遺症、半年後も8.5%に深刻な影響/厚労省3.かかりつけ医機能、新たな報告制度で地域医療連携を強化へ/厚労省4.特定機能病院の要件、医師派遣機能も考慮して見直しへ/厚労省5.協会けんぽ、2023年度の黒字は4,662億円、高齢化で財政不安も/協会けんぽ6.旧優生保護法の違憲判決で国に賠償命令/最高裁1.医師多数県で医学部定員を削減、医師多数区域の開業要件も検討へ/厚労省厚生労働省は7月3日、第5回「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」を開き、2025年度の医学部定員について、医師が多い地域から医師が少ない地域に「臨時定員地域枠」を移行する方針を示した。医師多数県では2024年度の191枠が154枠に減少し、16都府県で計30枠減少する見込み。この調整により、医師少数県での地域医療の充実が期待されている。さらに、厚労省は「医師多数区域での開業要件」の検討も示唆し、医師偏在対策を総合的に進める方針で、無床診療所の開業制限や医師多数区域での保険医定員制などが議論の対象となるとみられている。地域枠の活用については、日本私立医科大学協会の小笠原 邦昭氏が、異なる診療科間での地域枠の交換を提案したほか、広域連携型プログラムの導入も評価されたが、調整のための時間が必要だという意見も出された。総合診療専門医の育成については、リカレント教育の重要性が指摘され、経済的インセンティブの必要性も強調された。さらに、サブスペシャリティ専門医の取得を容易にするための制度設計が求められている。新専門医制度について、日本専門医機構はシーリング制度の効果を検証中であり、制度改革の必要性を認識している。とくに、地域や診療科による偏在の是正に向けた取り組みが進められている。今後、厚労省は、各論点に関する議論を深め、年末までに「医師偏在対策の総合的なパッケージ」を策定する予定。これにより、地域間の医師の偏在が是正され、地域医療が向上することを期待しているが、偏在の是正が進むよう引き続き検討を重ねていくとみられる。参考1)第5回医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会(厚労省)2)医学部臨時定員、医師多数県で25年度は30枠減へ 厚労省検討会(CB news)3)医学部地域枠を削減へ 厚労省、医師過剰の16都府県で(日経新聞)2.コロナ後遺症、半年後も8.5%に深刻な影響/厚労省厚生労働省の研究班は、7月1日に新型コロナウイルス(COVID-19)感染後の後遺症患者のうち、8.5%が感染から約半年後も日常生活に深刻な影響を受けていることを発表した。この調査は、2022年7~8月にオミクロン株流行期に感染した20~60代の8,392人を対象に行われた。アンケート結果では、感染者の11.8%にあたる992人が後遺症として長引く症状を報告。その中でも84人が「日常生活に重大な支障を感じている」と回答した。主な症状としては、味覚障害、筋力低下、嗅覚障害、脱毛、集中力低下、そして「ブレインフォグ」と呼ばれる頭に霧がかかったような感覚などが含まれる。とくに女性や基礎疾患のある人、感染時の症状が重かった人で後遺症の割合が高かった一方、ワクチン接種を受けた人ではその割合が低かった。この結果は、COVID-19の後遺症が長期間にわたり日常生活に大きな影響を及ぼす可能性を示しており、全国での他の医療機関でも同様の後遺症報告があり、医療体制や患者支援の改善が急務とされる。また、研究班が、一般住民を対象に感染者と非感染者を比較し、後遺症の頻度や関連要因を調査した結果、感染者の罹患後症状の頻度が非感染者に比べて約2倍高いことが確認された。今後、後遺症のリスク要因や長期的な影響についての詳細な研究が求められるために、厚労省では引き続き、COVID-19の後遺症に対する対応策を進める予定。参考1)コロナ後遺症8.5%「半年後も」日常生活に深刻な影響 厚労省研究班(日経新聞)2)コロナ後遺症患者、半年後も日常生活に深刻な影響8.5% 厚労省(毎日新聞)3)オミクロン株(BA.5系統)流行期のCOVID-19感染後の罹患後症状の頻度とリスク要因の検討(NCGM)3.かかりつけ医機能、新たな報告制度で地域医療連携を強化へ/厚労省2024年7月5日、厚生労働省が病院や診療所による「かかりつけ医機能」の発揮を促進するために「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」を開催し、これまでの議論をまとめた整理案を提示した。かかりつけ医機能については、2025年4月に施行される新たな報告制度を中心に据え、地域ごとに病院や診療所の役割を協議し、地域の医療機能の底上げを図ることを目的としている。整理案によれば、病院や診療所は「日常的な診療を総合的・継続的に行う機能」(1号機能)と、時間外診療や在宅医療、介護連携などの「2号機能」について、毎年1~3月に都道府県へ報告する。都道府県はこれらの報告を公表し、地域の「協議の場」で共有する。この「協議の場」には、都道府県や医療関係者だけでなく、市町村、介護関係者、住民・患者も参加し、地域の医療課題について協議するものとしている。厚労省は、1号機能として「専門を中心に総合的・継続的に実施」や「幅広い領域のプライマリケアを実施」などのモデルをガイドラインで示す予定。また、地域の医療連携を強化するため、複数医師による診療所の配置や、複数診療所によるグループ診療の推進も提案している。厚労省は、来年4月の報告制度発足に向け、自治体向けにガイドライン(GL)を作成する方針で、今月中に取りまとめを目指すとしている。参考1)第7回 かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会[資料](厚労省)2)かかりつけ医機能報告制度の詳細が概ね固まる、17診療領域・40疾患等への対応状況報告を全医療機関に求める-かかりつけ医機能分科会(Gem Med)3)かかりつけ医機能、対応可能な一次診療について「診療領域」で報告へ(日経ヘルスケア)4)「かかりつけ医機能」データ活用して役割協議 厚労省が「議論の整理案」示す(CB news)4.特定機能病院の要件、医師派遣機能も考慮して見直しへ/厚労省厚生労働省は、7月3日に特定機能病院の承認要件の見直しを議論する検討会を5年ぶりに開催した。特定機能病院とは、高度な医療の提供、高度医療技術の開発、および研修を行う能力を備えた病院とされ、現在、全国には特定機能病院が88施設あるが、うち79施設は大学病院。今回の検討会は、社会保障審議会の医療分科会が3月に提出した意見書を受け、特定機能病院の要件を現代の医療ニーズに合致させるための見直しを目指す。この日の会合では、以下の論点が示された。(1)高度な医療の提供の方向性、(2)医療技術の開発・評価の方向性、(3)医療に関する研修の在り方、(4)医師派遣機能の承認要件への組み込みなど。とくに大学病院からの医師派遣機能を承認要件に加えるべきだとの意見が出されたほか、論文発表の質の確保、特定機能病院の機能や役割を明確化する必要性も議論された。特定機能病院の承認要件は、病床数や診療科数、紹介率、逆紹介率、論文発表数など多岐にわたっており、これらの要件を満たすことで、高度な医療提供能力が証明される仕組みとなっている。一方、現行の承認要件は時代に合わない部分もあり、特定機能病院と一般病院との違いが曖昧になってきているという指摘もされている。検討会では、特定機能病院の機能をさらに細かく分類し、承認要件を見直す方向で議論が進められる見込み。たとえば、「特定領域型」の特定機能病院の承認要件を明確化し、地域医療への貢献や医師派遣機能も承認要件に加えることが検討されているほか、承認要件には医療の質や研究の質も考慮されるべきだとの意見も出されている。今後、厚労省は各論点に関する議論を深め、年内に取りまとめを行う予定で、これをもとに特定機能病院の承認要件が見直される。参考1)第20回特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会(厚労省)2)特定機能病院の要件見直し、年内をめどに取りまとめ 厚労省検討会 医師派遣機能の要件化求める声も(CB news)3)特定機能病院に求められる機能を改めて整理、類型の精緻化・承認要件見直しなどの必要性を検討-特定機能病院・地域医療支援病院あり方検討会(Gem Med)5.協会けんぽ、2023年度の黒字は4,662億円、高齢化で財政不安も/協会けんぽ中小企業の従業員やその家族が加入する全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)は、2023(令和5)年度の決算見込み(医療分)について公表した。それによると、2023年度の決算では、4,662億円の黒字を見込んでいる。黒字は14年連続で、賃上げによる保険料収入の増加が主な要因とみられる。協会けんぽの収入は前年度比2.7%増の11兆6,104億円で、賃金の伸びに伴い保険料収入が増えたことが背景にあり、とくに月額賃金が平均30.4万円と過去最高を記録したことが収入増に寄与した。一方、支出は11兆1,442億円で、前年度比2.5%増となった。支出の増加要因として、新型コロナウイルス禍後の社会活動再開に伴うインフルエンザなどの呼吸器系疾患の患者増加や75歳以上の後期高齢者医療制度への拠出金の増加が挙げられている。また、医療給付費は6兆4,542億円に達し、前年度に続いて過去最高を更新した。しかし、全国健康保険協会は、今回の決算の発表と同時に、今後の財政状況について楽観視できないとしている。その理由として、今後、加入者の高齢化や医療の高度化に伴い、団塊の世代が後期高齢者になる時期に支援金の急増が見込まれているためであり、財政の健全化と持続可能な運営が求められていく。参考1)2023(令和5)年度協会けんぽの決算見込みについて(協会けんぽ)2)「協会けんぽ」賃上げによる保険料増などで4,600億円余の黒字(NHK)3)協会けんぽ黒字、23年度4,662億円 賃上げで保険料増(日経新聞)6.旧優生保護法の違憲判決で国に賠償命令/最高裁旧優生保護法に基づく強制不妊手術を受けた被害者が国に損害賠償を求めた裁判で、最高裁判所大法廷は7月3日に「旧優生保護法が憲法違反である」と判断し、国に賠償を命じる判決を下した。旧優生保護法は、1948~1996年まで施行され、障害者を対象に強制的な不妊手術を認めていた。これにより約2万5,000人が手術を受けたとされる。最高裁は、旧優生保護法が「不良な子孫の淘汰」を目的にしており、障害者を差別的に扱い、生殖能力を奪うことは憲法13条および14条に違反するとした。また、不妊手術が当時の社会状況を考慮しても正当化できないとし、本人の同意があった場合も含めて手術の強制性を指摘した。さらに、国会議員の立法行為自体が違法であるとも断じた。国は20年以上前の不法行為について賠償請求権が消滅する「除斥期間」を理由に訴えを退けるよう主張したが、最高裁はこの主張を認めず、被害者の権利行使が困難であったことや旧法廃止後も補償を行わなかった国の姿勢を問題視し、除斥期間の適用を否定した。今回の判決で、国には被害者1人当たり1,100~1,650万円(その配偶者には220万円)の賠償責任が確定した。この判決は、全国の被害者救済に道を開くものであり、旧優生保護法の被害者の全面救済が期待される。政府は判決を重く受け止め、早期の対応を行う必要に迫られている。参考1)旧優生保護法は「違憲」 国に賠償命じる 最高裁、除斥期間適用せず(朝日新聞)2)旧優生保護法は憲法違反 国に賠償命じる判決 最高裁(NHK)3)旧優生保護法「違憲」、強制不妊で国に賠償命令…最高裁が「除斥期間」不適用で統一判断(読売新聞)

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第200回 相次ぐ往診サービスの終了、診療報酬改定の影響で経営困難に

<先週の動き>1.相次ぐ往診サービスの終了、診療報酬改定の影響で経営困難に2.美容医療トラブル急増、消費者保護のために規制強化へ/厚労省3.新たに3大学が心臓移植に参入、移植医療の逼迫改善を目指す4.紅麹サプリ問題、新たに76人の死亡例が判明/厚労省5.森光 敬子氏を医政局長に起用、初の女性医政局長が誕生/厚労省6.出産費用の保険適用へ議論開始、妊婦の負担軽減を目指す/厚労省1.相次ぐ往診サービスの終了、診療報酬改定の影響で経営困難に夜間や休日の往診サービスを提供する医療スタートアップが、2024年度の診療報酬改定により相次いで事業の縮小やサービスの提供を終了している。今春の診療報酬改定により往診報酬が大幅に減額されたことが、主な原因とされている。「キッズドクター」を運営するノーススターは、5月までに往診サービスを終了し、オンライン診療や健康相談に特化する方針を示した。また、「コールドクター」も3月末で往診サービスから撤退し、オンライン診療と医療相談にシフトしている。さらに、「家来るドクター」は、往診エリアの縮小と料金の引き上げを行い、最大手の「ファストドクター」も自己負担額を引き上げることを決定した。これらの事業者は、新型コロナウイルス感染症の影響下で自宅療養者の急増に対応し、往診サービスを拡大してきた。しかし、今回の診療報酬改定では「普段訪問診療を受けていない患者への夜間・休日の往診」が厳しく見直され、報酬が大幅に減額された。最も報酬が高い「深夜往診加算」は従来の2万3,000円から4,850円に減額されるケースもある。これら改定の結果、往診サービスの提供が経済的に困難となり、多くの事業者が撤退を余儀なくされている。ファストドクターの菊池 亮社長は「改定により往診サービスが縮小すると救急医療の負担増加につながる可能性がある」と懸念を示している。一方、往診サービスを頼りにしてきた自治体では、診療報酬改定の影響で公共サービスとしての往診の見直しが迫られている。とくに、高齢化が進み医療機関が少ない地域では、往診サービスの縮小が医療体制に深刻な影響を与える可能性がある。東京都医師会理事の西田 伸一医師は「今回の改定は不要な往診を減らすことが目的だが、在宅医療の充実には夜間・休日の往診サービスに特化した事業者も必要」と述べ、医療財源の最適化と救急医療のバランスが課題であると指摘している。参考1)夜間休日往診サービス、撤退・縮小相次ぐ 診療報酬減で(日経新聞)2)“往診サービス”続々終了、利用者負担増 理由は「診療報酬改定」?(withnews)2.美容医療トラブル急増、消費者保護のために規制強化へ/厚労省厚生労働省は、美容医療に関するトラブルが急増していることを受け、6月27日に「美容医療の適切な実施に関する検討会」の初会合を開催した。検討会では、やけどや皮膚障害などの健康被害に関する相談が、2018~2023年度にかけて倍増し、2023年度には796件に達したことが報告された。相談件数は、新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に減少したものの美容医療の施術回数も急増しており、2022年度には373万件を超え、とくに非外科的手技が大幅に増加していた。一方で、美容医療に従事する医師の数も増加し、おもに若い世代の医師が多くを占めていた。消費者庁によれば、美容医療サービスに関する相談件数は2019年度の2,036件から2023年度には6,264件に増加がみられており、具体的なトラブルの例として、脱毛後にシミが残ったり、リフトアップ後に神経麻痺が生じたりするケースについて報告があった。また、料金トラブルも多く、たとえば発毛治療の費用が予想以上に高額になることがある。美容医療の多くは自由診療であり、料金や診療内容の妥当性を審査する制度がないことが問題視されている。これに対し、厚労省では、ガイドラインの策定やルール作りの必要性を議論しており、年内を目途に取りまとめを行う予定。さらに、医師資格を持たない者が施術を行うケースや、医師不在のクリニックでのトラブルも指摘され、これらの問題に対する対策が求められている。消費者が被害を避けるために、消費者庁などは美容医療を受ける前に確認すべきチェックリストを作成し、リスクや副作用を十分に理解した上で医療機関を選ぶことを推奨している。厚労省の検討会では、医療行為に関する法的な線引きや、モラルに欠ける医師に対する取り締まりの強化を議論し、美容医療に関する安全性の向上を目指し、年内にも報告書をまとめる方針となっている。参考1)第1回美容医療の適切な実施に関する検討会(厚労省)2)美容医療「危害」の相談倍増、5年間で やけどや皮膚障害など(CB news)3)“美容医療で健康被害” 対策話し合う検討会 議論開始 厚労省(NHK)4)美容医療巡る健康被害、国が対策議論 医師不在の事例も(日経新聞)3.新たに3大学が心臓移植に参入、移植医療の逼迫改善を目指す6月27日、東京医科歯科大学、岡山大学、愛媛大学が新たに心臓移植を実施する方針を発表した。日本心臓移植学会の調査では、2023年に心臓移植を断念せざるを得なかった例が16件あり、移植施設の人員や病床不足が原因となっていた。3大学の参入により、全国の心臓移植施設は14ヵ所に増え、医療体制の逼迫解消が期待される。東京医科歯科大学は、東京大学と近距離にあり、東京大学での移植断念例が多い現状を踏まえ、東大との連携を視野に入れている。今年10月には東京工業大学と統合し、新大学「東京科学大学」として心臓移植を実施することで、実力のアピールを図る狙いもある。岡山大学は現在、肺、肝臓、腎臓の移植を行っており、心臓移植施設となれば中国地方で唯一の存在となる。愛媛大学は、四国初の心臓移植施設として登録され、現在は実施に向けた準備を進めている。心臓移植を行うには、日本循環器学会などの協議会の推薦を受け、日本医学会の委員会で選定される必要がある。さらに、臓器あっせん機関「日本臓器移植ネットワーク(JOT)」に登録されることが必要条件。東京医科歯科大学と岡山大学は、来年度にも申請を予定し、愛媛大学はすでに登録を完了している。心臓移植に詳しい福嶌 教偉氏(千里金蘭大学長)は、「移植施設が増え、待機患者の偏りが緩和されれば、臓器の受け入れを断念する問題を解決する一助となる」と期待を寄せる。医療機関の多くは収益性が低いため、心臓移植に新たに参入する動きが鈍かったが、今回の3大学の参入は移植を待つ患者にとっては朗報となる。厚生労働省も移植医療体制の強化に向け、待機患者が複数の施設に登録できる仕組みを進める方針を示している。これにより、東大で受け入れが難しい場合、連携する東京医科歯科大学で手術を受けるなどの選択肢が増えることが期待されている。参考1)心臓移植断念の防止へ一歩、3大学が参入へ…収益性低く国公立に偏り(読売新聞)2)心移植に東京医科歯科・岡山・愛媛の3大学参入へ…医療のひっ迫改善に期待(同)3)四国初 愛媛大附属病院が心臓移植施設に認定(NHK)4.紅麹サプリ問題、新たに76人の死亡例が判明/厚労省小林製薬が販売する「紅麹」サプリメントを巡る健康被害問題で、摂取との関連性が疑われる死者数が新たに76人に上ることが判明した。同社は3月に5人と公表して以来、厚生労働省への報告を怠っており、今回の発覚は厚労省からの問い合わせが契機となった。厚労省は、6月13日に小林製薬に問い合わせた際、「新たな死亡事例はない」との回答を受けたが、翌14日に「調査中の事例がある」と一転して報告があった。最終的に27日に170人の死者についての相談が寄せられていることが明らかになり、28日のうち76人について調査中と報告された。これに対し、武見 敬三厚労相は記者会見で「小林製薬だけに任せておけない」と不信感を示し、今後は厚労省が詳細な指示を出す方針を明らかにした。小林製薬は、これまでは腎疾患と診断されたケースのみを報告対象としていたと説明したが、厚労省は3月の時点で因果関係が不明でも早急に報告するようにと指示していた。消費者庁はこれを受けて、機能性表示食品制度の見直しを進め、9月1日から健康被害情報の報告を義務化する方針を示している。今回の問題をきっかけに、政府は機能性表示食品の製造・販売事業者に対し、医師の診断がある健康被害情報を因果関係にかかわらず速やかに報告することを義務付ける再発防止策を決定した。また、食品表示基準も改正され、2026年9月からはパッケージ表示に「国による評価を受けていない」「医薬品ではない」などの記載が義務化される予定。小林製薬の対応について、消費者問題のある専門家は「消費者を軽んじている」と指摘し、情報開示と透明性の確保が欠かせないと批判している。また、台湾では30人が同社に対して集団訴訟を起こす予定であり、同社への批判は国際的にも広がっている。参考1)小林製薬またも後手 「紅麹」死亡疑い76人、国に報告せず(日経新聞)2)厚労省の問い合わせで発覚=小林製薬側から報告なし-紅麹問題(時事通信)3)「小林製薬だけに任せられない」 3月にも問題視された報告漏れ(毎日新聞)4)「紅麹」死者調査の報告3月以降なし、武見厚労相「もう任せておけない」…小林製薬「確認を重視」と釈明(読売新聞)5.森光 敬子氏を医政局長に起用、初の女性医政局長が誕生/厚労省2024年6月28日に厚生労働省は、新たな事務次官に伊原 和人保険局長を起用する人事を発表した。発令は7月5日付で、現次官の大島 一博氏は退官する。伊原氏は、東京大学法学部卒業後、1987年に旧厚生省に入省し、厚労省政策企画官、大臣官房総務課企画官、健康局総務課長、医政局長などを歴任し、2022年より現職。今回の人事では、医政局長に森光 敬子危機管理・医務技術総括審議官が就任することも発表された。森光氏は、佐賀医科大学医学部を卒業後、1992年に旧厚生省に入省。医薬安全局監視指導課医療監視専門官や厚労省保険局医療課長などを歴任し、2023年9月から現職を務めていた。森光氏の就任により、医政局長に女性が初めて就任することになる。さらに、保険局長には鹿沼 均政策統括官(総合政策担当)が起用される。鹿沼氏は、東京大学経済学部卒業後、1990年に旧厚生省に入省し、保険局総務課長や大臣官房審議官(医療保険担当)、首相秘書官などを歴任してきた。今回の人事発表について、武見 敬三厚労相は「適材適所の人事」と評価しつつ、女性幹部のさらなる登用に努める考えを示した。参考1)厚労事務次官に伊原和人氏起用へ 医政局長など歴任(CB news)2)医政局長に森光敬子氏を起用へ、女性初 保険局長は鹿沼均氏 厚労省人事(同)3)厚労次官に伊原氏(日経新聞)6.出産費用の保険適用へ議論開始、妊婦の負担軽減を目指す/厚労省厚生労働省は、2026年度からの出産費用の保険適用について話し合う有識者検討会の初会合を6月26日に開催した。現在、出産費用は帝王切開などを除き保険適用外であり、国が「出産育児一時金」として原則50万円を支給している。検討会では、保険適用の範囲や全国一律の公定価格の在り方などを議論し、来春を目途に妊産婦の経済的負担軽減策の方向性をまとめる予定。この検討は少子化対策の一環として進められており、2022年度時点の出産費用の全国平均額は約48万2,000円で、都道府県別では最も低い熊本県が約36万円、最も高い東京都が約60万円となり、地域間格差が顕著となっている。保険適用により、出産費用の地域差を縮小し、経済的負担を軽減することが期待される。会合では、保険適用による医療機関の経営悪化を懸念する声が上がったほか、産婦人科医の一部からは、保険適用によって減収となり、分娩を取り扱う医療機関が減少する可能性が指摘された。これを受け、厚労省は出産を担う病院やクリニックの経営実態を調査し、適切な診療報酬の設定を検討する方針を確認した。現在、正常分娩で出産育児一時金が支給されているが、一時金の増額に伴い、医療機関の出産費用も上昇しているため、十分な負担軽減につながっていないとの指摘がある。2022年度の正常分娩の平均費用は54万円で、10年間で12%上昇した。検討会では、出産費用の保険適用によって「天井知らず」の出産費用に歯止めをかけることが狙いだが、産科医側は自由な料金設定ができなくなることによる経営悪化を懸念している。出産は昼夜関係なく発生するため、夜間の受け入れ体制も整える必要があり、医師の働き方改革も考慮しなければならない。今後の議論のポイントは大きく4つある。1つ目は保険適用時の診療報酬設定であり、高めの報酬を求める声があるが、費用抑制の目的から逸脱しないようにする必要がある。2つ目は保険適用の範囲であり、無痛分娩や助産所での出産の扱いを議論する必要がある。3つ目は妊婦側の費用負担であり、自己負担が発生しない仕組みを求める声がある。最後に、給付を増やす場合の財源に関する議論も重要である。厚労省では、2025年春を目途に検討会としての意見をまとめ、2026年度から自己負担を求めない方向にする予定。参考1)第1回「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」資料(厚労省)2)出産費用、保険適用で初会合 妊婦の自己負担焦点に(日経新聞)3)出産費用への医療保険適用巡り初会合 厚労省、26年度から自己負担求めない方向で検討(産経新聞)4)自己負担分は?閉院可能性など影響指摘も 出産の保険適用で検討会(朝日新聞)5)分娩医療機関が24年間でほぼ半減 産婦人科医は増加、厚労省集計(CB news)

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第218回 2040年に向けさまざまな改革が本格始動、「骨太の方針2024」から見えてくる医療提供体制の近未来像

日本医師会会長選、松本氏大勝で2期目に突入こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。任期満了に伴う日本医師会の会長選は6月22日に投開票が行われ、現職の松本 吉郎氏が元副会長の松原 謙二氏を破り、再選を果たしました。投票総数378票で、松本氏334票、松原氏38票という、前回を上回る圧勝でした。エムスリーなどの報道によれば、選挙後に都内で開いた報告会で松本氏は、「財務省などから本当に強大な圧力がかかっており、多くの課題を抱えている。それに打ち勝つには、これまで以上に私ども役員がもっとしっかりと頑張って、先生方とも共闘して事に当たらなければ、本当に日本の医療が壊れてしまうと思う」と述べたとのことです。本連載の前回「第217回 迫る日医会長選、『もう日医の力は昔ほどではない』と元自民党医系議員、松本会長は再選後も“茨の道”か?」でも書いたように、財務省が提案してくるさまざまな政策に加え、秋にかけて激しさを増す政局にも翻弄される、まさに“茨の道”のスタートと言えそうです。2040年ころまでの医療政策の中心課題が盛り込まれた「骨太の方針2024」さて、今回は、6月21日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2024~賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現~」(骨太の方針2024)1)について書いてみたいと思います。今国会で成立した改正政治資金規制法を巡る与野党の激しい攻防の陰に隠れる形となり、例年に比べ、一般紙の報道は地味な印象でした。しかし、診療報酬・介護報酬の同時改定も終わり、新たな地域医療構想の検討も進む中、今回の「骨太」には、2040年頃までの医療政策の重点課題が盛り込まれています。ここでは医療提供体制関連の項目を中心に見てみたいと思います。かかりつけ医機能が発揮される制度整備と地域医療連携推進法人に言及、連携推進法人は4年連続で記述「骨太の方針2024」において医療や社会保障関連の内容は、主に「第3章 中長期的に持続可能な経済社会の実現」の「主要分野ごとの基本方針と重要課題(1)全世代型社会保障の構築」に書かれています。医療提供体制については、「国民目線に立ったかかりつけ医機能が発揮される制度整備、地域医療連携推進法人・社会福祉連携推進法人の活用、救急医療体制の確保、持続可能なドクターヘリ運航の推進や、居住地によらず安全に分べんできる周産期医療の確保、都道府県のガバナンスの強化を図る。地域医療構想について、2025年に向けて国がアウトリーチの伴走支援に取り組む」と、かかりつけ医機能が発揮される制度整備と地域医療連携推進法人に言及。本連載の「第214回 岸田首相、初夏の山形・酒田へ。2024年度から制度テコ入れの地域医療連携推進法人に再び脚光」でも予想したように、地域医療連携推進法人については4年連続の記述となり、同制度に対する国の期待を改めて感じ取ることができます。2040年頃を見据えた新たな“地域医療構想”の概要を年末までに現在検討が進む次なる地域医療構想については、「2040年頃を見据えて、医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上人口の増大や現役世代の減少等に対応できるよう、地域医療構想の対象範囲について、かかりつけ医機能や在宅医療、医療・介護連携、人材確保等を含めた地域の医療提供体制全体に拡大するとともに、病床機能の分化・連携に加えて、医療機関機能の明確化、都道府県の責務・権限や市町村の役割、財政支援の在り方等について、法制上の措置を含めて検討を行い、2024年末までに結論を得る」と明記、2040年頃を次の目標年に置いて、かかりつけ医機能や医療・介護連携についても盛り込んだ新たな”地域医療構想”(仮称)の概要を2024年末までに決めるとしています。かかりつけ医機能が発揮される制度整備に加え、次なる地域医療構想も2024年中にその概要が固まるわけで、医療関係団体にとって、今年がとても重要な年となることがこうした記述からも見て取れます。医師の偏在解消に向けた総合的な対策のパッケージも年末までに策定昨年の「骨太の方針」と比べた大きな変化は、医師の偏在解消対策についての記述が以下のような長文で入ったことでしょう(昨年は「実効性のある医師偏在対策」という文言のみ)。「医師の地域間、診療科間、病院・診療所間の偏在の是正を図るため、医師確保計画を深化させるとともに、医師養成過程での地域枠の活用、大学病院からの医師の派遣、総合的な診療能力を有する医師の育成、リカレント教育の実施等の必要な人材を確保するための取組、経済的インセンティブによる偏在是正、医師少数区域等での勤務経験を求める管理者要件の大幅な拡大等の規制的手法を組み合わせた取組の実施など、総合的な対策のパッケージを2024年末までに策定する」。医師偏在については、本連載の「第208回 『地域ごとの医師の数の割り当てを、本気で考えなければならない時代に入ってきた』と武見厚労大臣、地域偏在、診療科偏在の解消に向け抜本策の検討スタート」で、武見 敬三厚生労働大臣が、規制の導入も視野に入れて医師偏在解消の具体策をまとめる方針を示した、と書きましたが、その意気込みがそのままこの長文につながった感じです。「骨太」に書かれた対策は“ごった煮”感もありますが、とにかくあらゆる手立てを尽くして医師偏在を解消するということのようです。これもまた「2024年末までに策定する」となっているのもポイントです。なお、1点気になったのは、「経済的インセンティブによる偏在是正」の文言が入っていることです。こちらは、本連載の「第209回 これぞ財務省の執念?財政審・財政制度分科会で財務省が地域別単価導入を再び提言、医師過剰地域での開業制限も」で書いた、診療報酬への地域別単価導入と思われますが、財務省が(言葉を少し変えて)するりと潜り込ませたのでしょう。2024年末までにまとめられるという「総合的な対策のパッケージ」の内容に注目したいと思います。医療・介護DXについてはマイナ保険証を柱とする従来方針を改めて強調その他の医療関連の重要項目としては「DX」があります。「第2章 社会課題への対応を通じた持続的な経済成長の実現」の中の「3.投資の拡大及び革新技術の社会実装による社会課題への対応」の「(1)DX」で、医療・介護DXについて言及、「政府を挙げて医療・介護DXを確実かつ着実に推進する。このため、マイナ保険証の利用の促進を図るとともに現行の健康保険証について2024年12月2日からの発行を終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行する。『医療DXの推進に関する工程表』に基づき、『全国医療情報プラットフォーム』を構築するほか、電子カルテの導入や電子カルテ情報の標準化、診療報酬改定DX、PHRの整備・普及を強力に進める。調剤録等の薬局情報のDX・標準化の検討を進める」と、マイナ保険証をベースとして、全国医療情報プラットフォームを構築するという従来方針を改めて強調しています。今年の「骨太の方針」は、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)を2025年度に黒字化するという目標を盛り込みつつも、具体的な数値目標は設けられておらず、踏み込みが甘いとの見方がもっぱらです。また、岸田 文雄首相は「骨太の方針」を閣議決定した直後の記者会見で、物価高対策として電気・ガス代の補助や年金世帯への給付金支給を表明、「政府の歳出改革は一貫性を欠く」(6月22日付日本経済新聞)との批判もあります。とは言え、医療提供体制に関する項目については、「かかりつけ医機能」「次期地域構想」「医師偏在対策」「医療介護DX」とそれぞれの整合性が取れており、近未来を俯瞰する上では参考になる内容となっています。時間があれば、ご一読をお勧めします。参考1)経済財政運営と改革の基本方針2024/内閣府

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最初の数分で患者の情報を系統立てて収集する【こんなときどうする?高齢者診療】第2回

外来で1人の患者に割ける診察時間は何分ありますか?今回は限られた時間の中で高齢者の健康問題の情報を効率的に得る方法「DEEP-IN」を紹介します。こんな場面を想定してみてください。90歳男性。独居。既往歴は安定した高血圧と糖尿病。前医の退職に伴い、新しいかかりつけ医を求めて新規患者枠で外来にやってきました。診察に使える時間は5分です。高齢者診療の原則は「老年症候群があるという前提で診療する」ことです。患者の老年症候群を把握すると、疾患の治療だけでなく、同時にQOL/ADLの維持・向上への次の一手を考えることができるようになります。包括的高齢者アセスメント(Comprehensive Geriatric Assessment ; CGA)は優れたツールですが、まとまった時間を十分にとることのできない外来で使うのはあまり現実的ではありません。そこで短時間で高齢者アセスメントができる型、簡易高齢者アセスメントを活用してみてはいかがでしょうか。簡易高齢者アセスメントの型は、高齢者にコモンに生じる項目の頭文字をとり「DEEP-IN」と覚えます。順番にDementia, Depression, Delirium, Drugs(認知機能、抑うつ、せん妄、服薬状況)、Eye(視力)、Ear(聴力)、Physical function・Fall(身体機能、転倒)、Incontinence(失禁)、Nutrition(栄養状態)です。この型は、短時間で高齢者の診療とケアに必要な情報が得られるよう、とくに「身体・認知機能」と日々の自立生活に必要な項目に注目して設計されています。DEEP-INで患者の情報を効率的に収集する各項目でどのようなことを聞くか、例をみてみましょう。D(認知機能)診察当日の曜日や家族・お孫さんの名前や年齢。これらで大まかな認知能力をアセスメントできます。E&E(視力・聴力)眼鏡や補聴器の使用有無だけでなく、テレビや電話が使いにくくなっていないか、と日々の生活からも情報を収集することができます。P(身体機能)毎日の生活で○○するのが難しい、不安、ということはないか。例えば着替えや洗濯、買い物などです。独居であれば入浴について聞くのがおすすめです!衣服の着脱、浴槽をまたぐ、水・お湯の温度を設定するなど、複雑な動作が数多く含まれている入浴という行為。これに問題や不安がなければ、ほかの日常生活動作も大丈夫というアセスメントも可能でしょう。I(失禁)多くの高齢者の方が悩まれている失禁ですが、これまで一度も聞かれたことがない、ということも珍しくありません。血圧が心配で来たのに、「尿失禁」について急に聞かれると驚く方もいます。デリケートな話題なので聞き方には配慮しましょう。「○○さんのお年になると悩む方も多いのですが」といった一言を添えると答えやすくなります。N(栄養状態)衣服やベルトのサイズ変化、1年間の体重変化や食事内容などが聞けるとGoodです!さて、DEEP-INの型を使って問診したところ、次のような情報が得られました。90歳男性。独居。安定した高血圧と糖尿病D:今日の曜日が言える。孫の名前と年齢を覚えている。しかし服薬記憶はあいまい。お薬手帳は所持。服用している薬の中に、副作用リスクが高い薬がある(NSAIDs、ベンゾジアゼピン、抗ヒスタミン薬が配合された総合感冒薬、抗アレルギー薬を常用)、複数の保険薬局を使用している。E&E:眼鏡と補聴器が欠かせない。眼鏡は2焦点レンズ1)。補聴器は耳掛け式。P:ADLはほぼ自立しているものの、入浴時に転倒の不安がある。直近12ヵ月で転倒歴はない。しかし外出時は杖を使用。I:尿便失禁なし。夜間頻尿もなし。N:1年で5kgの体重減少(これまで誰にも相談したことはない)。ベルトサイズ、時計のバンドサイズの変化、食欲低下あり。いかがでしょうか。「高血圧症、糖尿病」と疾患名だけでは焦点が定まっていなかった患者像の解像度がグッと高くなったと思いませんか?これだけの情報が得られれば、高血圧と糖尿病への処方だけでなく、自立した生活・QOLを向上させるような健康増進介入も可能です。今回は転倒リスクに注目してみましょう。赤字の項目すべてが転倒リスクにつながるため、介入策はないか考えてみましょう。介入の方法としては、(1)転倒につながる副作用がある薬剤の減薬・中止を検討する(2)視力検査と単焦点レンズの眼鏡への変更の2点は比較的簡単にできるのでは、と考えます。2焦点レンズの眼鏡の下部は近距離用に焦点があわせてあるため、足元を見たときに視界がぼやけて遠近感がつかみにくいため転倒のリスクが高まります。単焦点眼鏡への変更を提案してもいいでしょう。1回の問診で網羅できなくても、すべての健康問題を解決できないとしても、焦る必要はありません。これらの項目はさまざまな医療職の方でも情報収集が可能で、医師よりも聞きやすい、聞きなれていることも多いのではないでしょうか。例えば看護師の方に失禁に関して聞いていただくなど、ぜひチームで役割分担、情報共有してみてください。患者の日々の生活が鮮明に想像できるようになります。本人から情報を得られないときは?高齢者の診療においては、患者本人から情報が得られない状況によく遭遇します。その際は、身体診察から情報を得る、年齢・性別といった疫学的視点から頻度の高い症状・徴候を推測してみましょう。これは老年症候群を知っておくことにほかなりません! 医師で在宅医療に携わるサロンメンバーは、患者本人から情報が得られないときには「●歳をすぎたら、突然具合が悪くなって救急車に乗ることがあるかもしれません。そうなったときにすぐに対処できるように、子どもさんにお薬や治療のことを知ってもらっているんですよ」と声掛けをして、家族の同席を促すそうです。身内がいない方であれば地域包括支援センターとの連携を促すなど、どんな形であっても第3者の目を入れることがポイントです。この声掛けには老年医学で大切にしている、高齢者へのかかわり方のコツが詰まっています。1つめはノーマライゼーション。「●歳を過ぎたら皆さんそうしていますよ」と患者と同年代の人の多くがそうしていると伝えると心理的ハードルが下がります。2つめは「救急車に乗るかもしれない」という言い方で、予後予測を共有していること。患者と予後予測を共有するのは非常に重要ですが、受け入れがたい方が多い話題でもあります。このケースは今すぐに起こることではないが起こってもおかしくない話なので、患者が恐れを持ちづらいのがポイントです。そして最後に、「子どもさんに知ってもらっているんですよ」という締め方。どうしますか?と患者に選択させるのではなく、医療者としてのお勧めをデフォルトで提示すること。これで患者の意思決定ストレスを減らしています。いずれも患者に恥ずかしさや恐怖を与えない配慮が素晴らしいです。これらは高齢者にかかわるときあらゆる場面で役に立ちます。DEEP-INとともにぜひ診療で使ってみてください!参考1)多焦点レンズの使用は遠近感や周囲視野の視力を低下させ、転倒のリスク上昇と関連するといわれている。Lord SR,et al. J Am Geriatr Soc. 2002 Nov;50(11):1760-1766.

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第196回 6月からの生活習慣病管理料の導入、新たな事務負担と実質的な減収に/厚労省

<先週の動き>1.6月からの生活習慣病管理料の導入、新たな事務負担と実質的な減収に/厚労省2.iPhoneにマイナンバーカード機能を搭載、2025年春に実現へ/デジタル庁3.総合診療科の認知向上とオンライン診療の普及に向け提言を提出/規制改革推進会議4.グーグルマップの口コミ訴訟、眼科医院が名誉毀損で勝訴5.健康被害が急増の自由診療クリニック、名義貸しが横行6.出産費用の透明化進む、『出産なび』で安心の選択を/厚労省1.6月からの生活習慣病管理料の導入、新たな事務負担と実質的な減収に/厚労省2024年度の診療報酬改定が6月1日より適用される。高血圧、糖尿病、脂質異常症の治療において「特定疾患療養管理料」から「生活習慣病管理料(I)」「生活習慣病管理料(II)」への移行が行われる。この改定は、質の高い疾病管理を進めることを目的とし、具体的には患者と医療者が共通の理解を持ち、療養計画書を作成して共有することが求められる。新たに導入される「生活習慣病管理料(II)」は333点となり、従来の「特定疾患療養管理料」225点より高く設定されている反面、算定回数が月2回から1回に減少する。また、「外来管理加算」や「処方箋料」が併算定できなくなり、全体の診療報酬は減少することになる。都内の開業医によれば、1日50人の患者のうち6割が特定疾患療養管理料を算定していた場合、年間で約115万円の減収が予測されている。改定のもう1つの大きな変更点は、療養計画書の作成と患者の同意・署名の取得が必須となる点で、これにより医師やスタッフの業務負担が増加する。療養計画書には、患者と相談した達成目標や行動目標、食事や運動の指導内容、血液検査の結果などが記載され、これを患者に説明し、同意を得て署名をもらう必要がある。一方、改定により「生活習慣病管理料(I)」も引き続き存在し、点数が引き上げられた。脂質異常症は610点、高血圧症は660点、糖尿病は760点となり、一定条件下で療養計画書の交付義務が免除される場合がある。また、生活習慣病管理料(II)の算定には多職種連携が推奨され、管理栄養士などの専門職との協力が求められる。外来栄養食事指導が必要な場合は、他の医療機関と連携し、指導記録を共有する体制を整備することが重要となる。厚生労働省は、生活習慣病管理料の導入により計画的な治療管理を促進し、疾病管理を求めている。その一方で、医療機関側には新たな文章作成など負担が増大するため、業務改善が必要となる。参考1)診療報酬の改定で開業医が年間115万円の減収? 生活習慣病の治療、6月から何が変わるのか(東京新聞)2)生活習慣病管理料(II)を新設し、2区分に(CB news)3)糖尿病・高血圧症等治療は特定疾患療養管理料から生活習慣病管理料I・IIへシフト、計画的治療管理を(Gem Med)4)生活習慣病管理料への移行、当院の「療養計画書」の作成法(日経メディカル)2.iPhoneにマイナンバーカード機能を搭載、2025年春に実現へ/デジタル庁5月31日にデジタル庁は、2025年春をめどにiPhoneにマイナンバーカードの機能を搭載する計画を発表した。岸田 文雄首相と米アップル社のティム・クックCEOとの会談で、この計画が確認された。これにより、iPhoneを使って行政手続きや本人確認ができるようになる。すでにAndroid端末向けには2023年5月からスマホ用電子証明書の運用が開始されており、iPhoneへの対応が焦点となっていた。アップル社は、デジタル庁と協力してiPhoneのウォレット機能にマイナカードを追加する準備を進めており、物理的なカードがなくても、スマホだけで身分証明書として使用できるようになる。これによりコンビニエンスストアでの公的証明書の発行や、病院での本人確認などが可能となる。アップルウォレットの身分証明書機能が米国以外で展開されるのはわが国が初めてとなる。一方で、政府はマイナカード機能のスマホ搭載を進めるために法改正を行い、今回の法改正でマイナカードの全機能がスマホに搭載されることが可能となり、銀行口座や証券口座の開設がスマホだけで完結できるようになるほか、コンビニエンスストアなどでの年齢確認にも使用可能となる。さらに、マイナ保険証も2025年春以降にスマホで使用できるようになる見通し(なお現行の保険証は2024年12月に廃止され、マイナカードに1本化される)。しかし、マイナンバー制度には、個人情報の管理やセキュリティの面で課題が残っているため、政府は、デジタル庁が主体となり、個人情報の正確性を確保するための支援を行うことを新たに規定する。また、医療機関でのマイナ保険証の利用率が低いため、普及促進のための取り組みが必要とされている。iPhoneへのマイナンバーカード機能の搭載は、デジタル社会への移行を大きく進める重要な1歩となると予想され、今後も利用者が安心して使える環境を政府が整えることが求められる。参考1)マイナンバーカード機能のiPhoneへの搭載について(デジタル庁)2)iPhoneにマイナカードの機能搭載へ 来春を予定 デジタル庁(CB news)3)iPhoneにマイナ機能 かざして身分証明、病院などで アップル、来夏までに(日経新聞)3.総合診療科の認知向上とオンライン診療の普及に向け提言を提出/規制改革推進会議政府の規制改革推進会議は、規制改革推進に向けた答申をまとめ、5月31日に岸田 文雄首相に提出した。主な内容として、医療機関が「総合診療科」を標榜できるように広告規制の見直しを厚生労働省に求め、2025年までに結論を出す方針。これは、患者がプライマリケアにアクセスしやすくするための措置となる。現在の医療法の広告規制では、内科、外科、精神科など特定の診療科名しか単独で広告できないが、総合診療科はこの中に含まれていない。高齢化に伴い、複数の疾患を抱える高齢者が増える中、総合診療を提供する医療機関の認知度向上が求められ、これに対応するため規広告規制の見直しを求めたもの。また、在宅医療における薬物治療を円滑に提供するため、厚労省には、訪問看護ステーションにストックできる薬の種類を拡大することが検討されている。このほか、オンライン診療で精神療法が初診から利用できることにつき2025年までに結論を出し、診療報酬の見直しを行う方針。これは、オンライン診療の利用拡大を通じて、地域差を解消し、患者の利便性を高めることを目的としている。もう1つの重要な施策として、薬剤師が不在の店舗でもオンラインで市販薬を販売できるようにする規制改革が進められている。とくに、過疎地や深夜・早朝に薬剤師が常駐しない店舗に、遠隔で管理することで市販薬の販売を可能にする方針。これにより、薬剤師の人手不足を解消し、地域住民の利便性を向上させることを目指している。今回の答申を受け、政府は新たな規制改革実施計画を取りまとめ、近く閣議決定する予定。これにより、医療分野でのデジタル技術の活用などが具体的に進められることになる。参考1)規制改革推進に関する答申~利用者起点の社会変革~(規制改革推進会議)2)「総合診療科」の標榜容認検討へ、25年結論 規制改革推進の答申(CB news)3)人手不足、デジタルで解消 遠隔で薬販売/AIで要介護認定 規制改革会議が最終答申(日経新聞)4.グーグルマップの口コミ訴訟、眼科医院が名誉毀損で勝訴兵庫県尼崎市の眼科医院がグーグルマップの口コミ欄に一方的に悪評を投稿されたとして、損害賠償を求めた訴訟の判決が大阪地裁であった。5月31日に山中 耕一裁判官は、投稿者の大阪府豊能町の女性に対し、200万円の賠償と投稿の削除を命じた。訴えによると、眼科医院は3年前に「レーシック手術を受けたが左目だけで、右目はレンズを入れられた」や「何も症状がないのに勝手に一重まぶたにされた」といった内容の書き込みを受けた。医院の院長は、これらの内容に身に覚えがないとして、グーグルに情報開示を求めて投稿者を特定し、今年1月に女性を訴えた。山中裁判官は「書き込みは、眼科の医師が患者から承諾を得ずに勝手な医療行為をするという印象を与え、医院の社会的評価を低下させた」と述べ、投稿が名誉毀損にあたると判断した。眼科医院の代理人弁護士である壇 俊光氏は、「投稿者の特定には3年かかり、ネット社会における不当な投稿への対応の遅れを感じている。迅速な削除を求める司法判断が必要だ」と述べる。この判決により、インターネット上での名誉毀損行為に対する法的対応の重要性が再確認された。参考1)グーグルマップの口コミ欄で一方的に眼科医院の悪評、投稿者に200万円の賠償命じる判決(読売新聞)2)「クチコミ」投稿者に賠償命令 眼科医院長“評判落とされた”(NHK)5.健康被害が急増の自由診療クリニック、名義貸しが横行美容や健康への関心の高まりを背景に、公的な医療保険が適用されない自由診療を提供するクリニックが急増している。しかし、自由診療クリニックの増加に伴い、健康トラブルも多発しており、健康被害や契約上の問題が顕在化している。とくに、美容医療分野では、脱毛や薄毛治療、医療ダイエットなどの自由診療が行われ、患者は全額自己負担で利用している。NHKの報道によれば、都市部を中心に「一般社団法人」として設立された美容クリニックが急増し、その多くが自由診療を提供している。一般社団法人は、医師でなくても設立可能であり、登記のみで開業できるため、異業種からの参入が容易なために医師の「名義貸し」が横行、実際には医療行為に関与しない医師が管理者として名前を貸しているケースが多数報告されている。国民生活センターによると、美容医療に関するトラブルの相談件数は、2023年度に5,833件と、この5年間で約3倍に増加している。とくに健康被害の相談は839件に上り、過去5年間で約1.7倍に増加している。たとえば、高濃度のビタミン点滴によるアナフィラキシーショックなど、深刻な健康被害も報告されている。一般社団法人によるクリニックの運営に関しては、監督官庁がなく、医療法人のような規制も適用されないため、管理が不十分とされる。渋谷区保健所の熊澤 雄一郎生活衛生課長は、「一般社団法人のクリニックも医療法人と同様に業務内容の報告体制を整備する必要がある」と指摘する。厚生労働省は、専門家による検討会を立ち上げ、自由診療における美容医療の適切なあり方や対策を協議し、行政が事業内容を定期的にチェックできる制度について検討する予定。適切な監視体制の構築が急務となる。参考1)追跡“自由診療ビジネス”の闇 相次ぐ美容・健康トラブルの深層(NHK)2)一般社団法人のクリニック 都市部で増 医師「名義貸し」証言も(同)3)美容医療でトラブル増加 厚労省 検討会立ち上げ対策など協議へ(同)6.出産費用の透明化進む、『出産なび』で安心の選択を/厚労省5月30日に厚生労働省は、医療機関ごとの出産費用やサービス内容を比較できるウェブサイト「出産なび」を開設した。このサイトは、全国の病院や助産所など約2,000の出産施設を対象に、妊婦やその家族が適切な施設を選択できるよう情報を提供する。「出産なび」では、各施設の出産費用や分娩実績、サービス内容を一覧で確認でき、たとえば、無痛分娩の対応有無や24時間対応の可否、立ち会い出産の可否などが細かく紹介されている。施設の種類や希望するサービスにチェックを入れて検索すると、条件に合致する施設が一覧表示され、地図上で施設の位置を確認することもできる。出産費用の内訳も明示されており、基本的な分娩費用や個室の追加料金などがわかるようになっている。これにより、妊婦や家族が費用面での予測を立てやすくなり、出産に伴う経済的な負担を見通しやすくなる。「出産なび」の開設は、少子化対策の一環として、出産費用の透明化を図り、不透明な値上げを防ぐことを目的としている。また、正常分娩への保険適用に向けた議論の材料としても活用される予定。現在、正常分娩は保険適用外であり、費用は全額自己負担となっているが、2026年度をめどに保険適用を検討している。厚労省では、今後も「出産なび」の情報を定期的に更新し、利用者が最新の情報にアクセスできるよう努める。また、出産費用の保険適用についても議論を進め、妊婦や家族の負担軽減を図っていく方針。参考1)「出産なび」へようこそ(厚労省)2)お産の費用見える化サイト「出産なび」開設 全国の約2千施設が対象 厚労省(CB news)3)医療機関ごとの出産費用を検索「出産なび」開設…無痛分娩の対応有無や24時間対応可も紹介(読売新聞)4)出産費用丸わかり、厚労省が施設検索サイト「出産なび」(日経新聞)

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第195回 「かかりつけ医機能報告制度」が来年4月から施行へ、特定機能病院は対象外/厚労省

<先週の動き>1.「かかりつけ医機能報告制度」が来年4月から施行へ、特定機能病院は対象外/厚労省2.診療報酬改定で医療現場の賃上げを促進、医師会も協力/厚労省3.医師の偏在解消へ、都道府県に医療機関ごとの医師数把握を検討/厚労省4.臓器移植手術断念の理由はICU満床が最多-緊急調査結果/日本移植学会5.紅麹サプリ問題を受けて機能性表示食品の規制強化へ/消費者庁6.対面診察なしで処方箋の交付が常態化、医師法違反が発覚/登米市1.「かかりつけ医機能報告制度」が来年4月から施行へ、特定機能病院は対象外/厚労省厚生労働省は、5月24日に「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」を開催し、来年4月から施行される「かかりつけ医機能報告制度」の枠組みについて議論を行なった。この中で、厚労省側から新制度の具体案が示され、厚労省に対する報告は医療機能情報提供制度と併せて毎年1~3月に行うこととし、特定機能病院と歯科の医療機関は対象外とした。新制度の目的は、時間外診療などの「かかりつけ医機能」を地域ごとに強化し、地域の患者が適切な医療機関を選択できるようにするためであり、病院や診療所は「日常的な診療を総合的・継続的に行う機能」(1号機能)を都道府県に報告し、診療時間外の診療や入退院時の支援、在宅医療の提供、介護との連携などの機能(2号機能)も報告する必要がある。また、報告制度の対象外の医療機関についても検討が進められている。「1号機能」報告に関しては、かかりつけ医機能に関する研修修了者や総合診療専門医の有無、特定の診療領域ごとの1次診療対応能力などについて議論された。これらの報告データは地域ごとの「協議の場」で共有され、地域の医療機能の底上げや病院・診療所の役割分担が議論される。厚労省は、時間外診療や在宅医療、介護との連携については市町村単位で、入退院時の支援については2次医療圏単位で協議を行い、都道府県単位で全体を統合・調整する協議の場を提案している。各医療機関から報告された「かかりつけ医機能」のうち、地域の患者が受診先を選択するのに役立つ情報は医療機能情報提供制度(ナビイ)に盛り込まれる予定。厚労省は、次回以降の分科会でさらに具体案を示し、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法の改正に基づく省令・告示の改正、かかりつけ医機能報告システム構築に向けた準備を行い、かかりつけ医機能が発揮される社会の実現に向けた取り組みを強化する。参考1)第5回 かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会(厚労省)2)「かかりつけ医機能」、毎年1-3月に報告 特定機能病院は対象外、厚労省が具体案(CB news)3)医療情報ネット(ナビイ)2.診療報酬改定で医療現場の賃上げを促進、医師会も協力/厚労省厚生労働省は、今回の診療報酬改定で初診料や再診料、入院基本料を引き上げる増収分について、医療従事者の賃上げの原資となることを推進する。武見 敬三厚生労働大臣は、6月から施行される診療報酬改定について、医療関係団体の代表者との意見交換会を開催し、増収分が確実に人件費に充てられるよう要請した。今回の改定では、初診料が30円増の2,910円、再診料が20円増の750円となり、賃上げする医療機関ではさらに加算される。入院基本料も1日当たり50~1,040円上がる。患者の自己負担額は、かかった医療費の1~3割増加することになる。賃上げを実現するために新設された「ベースアップ評価料」では、賃金改善計画書や賃金改善実績報告書の作成・提出が算定要件となっているが、日本医師会の松本 吉郎会長は、「この計画書の作成が『最大のネック』」として現場での困難を指摘した。武見大臣は「医療機関での賃上げは非常に重要」と述べ、医療関係団体に協力を求めた。厚労省では賃上げの取り組みを支援するため、YouTubeなどで解説動画を通じて理解促進を図っているが、職種ごとの計画書作成や専任スタッフの確保が難しい診療所にとっては依然として課題が多い。松本会長は「日本医師会として賃上げが実現できるよう取り組む」と述べた。厚労省は、看護師や医療技師、若手勤務医など幅広い職種での賃上げを目指し、政府としても財政的支援を検討している。賃上げを通じて医療現場の人手不足を緩和し、デフレからの脱却を図る狙いがある。参考1)ベースアップ評価料等について(厚労省)2)“診療報酬が引き上げ 増収分は確実に人件費に” 武見厚労相(NHK)3)「医療機関で賃上げを」 武見厚労相、医師会長と会談(日経新聞)4)6月から初・再診時に負担増 医療従事者の賃上げで-診療報酬改定(時事通信)3.医師の偏在解消へ、都道府県に医療機関ごとの医師数把握を検討/厚労省厚生労働省と財政制度等審議会が、医師の地域偏在を是正するため、新たな施策を提案していることが明らかになった。財務省の諮問機関である財政制度等審議会は、5月21日に、春の建議「我が国の財務運営の進むべき方向」を公表した。この中で大都市への診療所の集中を是正するため、診療所過剰地域における診療報酬単価の引き下げや、医師過剰地域での新規開業規制を提言した。厚労省の将来推計では、2030年頃に医師数が供給過剰になると見込まれ、医師の診療所・病院間および地域間の偏在解消が急務となっている。厚労省は、医療機関ごとに必要な医師数を都道府県に把握させる方針を検討しており、これを「医師確保計画」に記載することを義務付ける。また、都道府県知事に開業条件を提示できる権限を強める方向で調整を進めている。この計画は、2次医療圏ごとに確保すべき医師数の目標を設定し、3年ごとに見直すことで、医師の適正な配置を図ることを目的としている。地域間の医師偏在是正策として、診療所過剰地域では診療報酬の単価を引き下げ、不足地域では高く設定することが提案されている。これにより、過剰地域から不足地域への医療資源の移行を促進する狙いがある。また、ドイツ、フランスのように診療科別・地域別の定員制を導入し、新規開業規制を検討することも求められている。さらに、厚労省は、大学病院などからの医師派遣に依存する医療機関の実態を把握し、派遣が必要な医師数も計画に記載することを検討している。国は、必要に応じて医師確保に必要な費用を財政的に支援することも考えている。医師数は2022年までの過去10年で4万人増え、34万人を超えたが、都市部での増加が顕著で、地域間格差が依然として大きい。厚労省は、医師少数区域での勤務経験がある医師を管理者とする病院を拡大し、医師の循環を図ることも検討している。武見 敬三厚生労働大臣は、医師の偏在を規制によって管理する必要性を強調し、地域ごとに医師数を割り当てる手法に言及していたが、現時点では地域ごとの割り当てには踏み込んでいない。これらの施策を通じて、医師の偏在を解消し、地域医療の充実を図ることが期待されている。参考1)診療所過剰地域の診療報酬単価引き下げなどを提言-財政審・春の建議(医事新報)2)診療所の報酬適正化を提言、財政審 偏在解消策として(CB news)3)我が国の財政運営の進むべき方向(財政制度等審議会/財務省)4)医療機関ごとの必要な医師数、都道府県に把握義務化 厚労省検討(朝日新聞)5)必要医師数、医療機関ごとに都道府県で把握 厚労省検討(日経新聞)4.臓器移植手術断念の理由はICU満床が最多-緊急調査結果/日本移植学会2023年に脳死者から提供された臓器の移植手術を断念したケースが、東京大学、京都大学、東北大学の3大学で計62件に上ることが日本移植学会の緊急調査で明らかになった。断念理由の最も多い回答は「ICUが満床」であり、全体の3割を占めた。そのほかの理由としては「手術室の態勢が整わない」、「同日に2件の移植手術を実施した翌日は移植しない院内ルール」などが挙げられ、施設や人員の脆弱性が浮き彫りとなった。断念件数は東大36件、京大19件、東北大7件で、臓器別では肺36件、肝臓16件、心臓10件であった。ドナーの臓器は日本臓器移植ネットワークが斡旋し、待機患者リストに基づき移植施設に受け入れを要請する。62件のうち54件はほかの施設で移植が行われたが、8件は受け入れが拒否され臓器が移植に使われなかった。とくに京大では受け入れを断念した患者が死亡した事例もあった。断念の背景には、脳死下の臓器提供の増加により、待機患者の多い3大学に受け入れ要請が集中している現状がある。2023年は過去最多の132人が脳死ドナーとなり、計352件の移植手術が行われた。東大88件、京大36件、東北大34件が主要な移植実施施設だった。参考1)臓器提供数/移植数(日本臓器移植ネットワーク)2)臓器移植断念、3大学で昨年62件…緊急調査への回答「ICU満床だった」が3割(読売新聞)5.紅麹サプリ問題を受けて機能性表示食品の規制強化へ/消費者庁小林製薬(大阪)の紅麹成分を含むサプリメントを摂取した人々が腎臓病などを発症した問題を受け、消費者庁は5月23日「機能性表示食品を巡る検討会」を開き、機能性表示食品の制度見直しを提言した。この提言には、健康被害の報告を迅速に行うためのルールの明確化や製造・品質管理に関する基準を設けることが含まれている。とくにサプリメント形状の製品に対しては、適正製造規範(GMP)の義務化が提案された。これに伴い、政府と与党はGMPの認証を取得した工場での製造を義務付ける方針を発表。現在は医薬品に対して義務化されているGMPが、今後はサプリメントにも適用されることになる。さらに、健康被害が発生した場合の報告義務化も検討されており、消費者庁は月内にこれらの再発防止策を公表する予定。一方、小林製薬の紅麹サプリメント問題について、厚生労働省と大阪市が合同で行った調査により、約2,000人が健康被害を訴えたことが明らかになった。この調査では、発症した人の約7割が2023年11月~2024年3月の間に発症しており、とくに中高年の女性に多くの被害が出ていることが示された。消費者庁は、この調査結果をもとに、健康被害の原因物質についてさらに分析を進める予定。消費者庁の検討会では、GMPに関連してサプリメント製造工場での原材料の受け入れ検査の厳格化や、製品の均質性と設計通りの製造が求められることが提言された。これにより、健康被害の再発防止と消費者の安全確保が図られることが期待されている。参考1)第6回 機能性表示食品を巡る検討会(消費者庁)2)紅麹コレステヘルプ等に関する事例数(小林製薬)3)健康被害事例の疫学調査結果(大阪市)4)機能性食品、報告・管理を実質義務化 消費者庁見直しへ(日経新聞)5)機能性表示食品のサプリにGMPを義務づけへ 紅麹問題受け(毎日新聞)6)サプリメントで病気発症 機能性表示食品 制度見直しの報告書案(NHK)6.対面診察なしで処方箋の交付が常態化、医師法違反が発覚/登米市宮城県登米市立米谷病院の発熱外来において、医師が対面診察を行わずに診断や処方箋交付を行っていたことが明らかになった。新型コロナウイルス感染症の特例期間を除き、医師法では医師による診察が義務付けられているが、同病院では患者が車で訪れた際、看護師が窓越しに受付けを行い、検査技師が新型コロナとインフルエンザの検査を実施。その結果、軽症と判断された場合で、患者が医師の診察を希望しない場合は対面診察をせずに薬が処方されていた。病院側は、感染者が多い時期に患者を長時間待たせることを避けるための措置だったと説明しているが、医師法に違反するとの指摘を受け、今月17日からすべての患者に対面診察を実施するように切り替えた。登米市は、「医療報酬の返却など、監督官庁に求められた処分に真摯に向き合います」とコメントしている。参考1)発熱外来で対面診察せずに医療行為 登米市立米谷病院(仙台放送)【動画】2)発熱外来、対面診察せず処方箋交付 宮城・登米市立米谷病院で常態化 専門家「医師法に違反」(河北新報)

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第212回 新規開業の落とし穴(前編) 診療所の大型化・重装備化、複数医師開業というトレンドの背後にあるもの

コロナ禍が過ぎて、各地で診療所の新規開業が活発化こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は、愛知県で一人暮らしをしている父親の様子を見に行ってきました。先月、洗濯物の取り込み中に転倒し、顔面を強打、血だらけになってしまったと電話で話していたので心配しての帰省です。久しぶりに会ってみると、「おまえ、喋り方が下手になった。聞きづらいのでもっときちんと喋れ!」と話す92歳の父親は、自分の耳のせいだとはまったく考えていないようです。顔だけではなく頭も打ったのかな、と思ったのですが、土曜昼間にテレビで放送されていた、広島・中日戦での中日ドラゴンズの戦いぶりを観て、「中田 翔はもう少し打点がほしい」、「マルティネスは時々打たれるが、防御率ゼロは大したもんだ」と意外と的確な評価をしていたので、頭はまだ大丈夫そうだ、とひと安心した次第です。さて今回は、いつもの事件や医療行政の話題から少し離れて、新規開業の最近の動きについて書いてみたいと思います。というのも、医療業界で働く知人から「コロナ禍が過ぎて、各地で新規の開業が活発化しているようだ」と聞いたからです。実際、コロナ禍が過ぎて、新規開業は再び増え始めているようです。各地で活発化している病院の再編統合や、医師の働き方改革を背景に、病院での実際の働き方にやたら制約ができて、“バイト”も気軽にできなくなっていることも、勤務医生活に見切りを付けるきっかけになっているのかもしれません。2022年医療施設調査では、無床診療所は1,101施設増最近の大まかな開業動向は、厚生労働省が発表している「令和4(2022)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」1)で確認できます。それによれば、2022年10月1日現在の一般診療所は10万5,182施設。うち無床診療所は 9万9,224 施設(一般診療所総数の94.3%)で、前年に比べて 1,101 施設増加しました。一方、有床診療所は5,958 施設(同5.7%)で、前年に比べ211 施設減少しました。この無床診療所1,101増という数字は、廃止・休止を差し引いた純増数です。同調査によれば新規開設は7,803施設でした。コロナ禍もあって前年2021年の9,503、2020年の8,250に比べると少ないですが、それでも年間8,000近い診療所の新規開業があり、その数は廃止・休止を上回っているのです。開業当初からMRIなど高額な医療機器を導入するところもこうした新規開業、最近の一つの傾向として言われているのは、「診療所の大型化・重装備化」、「複数医師による開業」です。以上の2点を背景に「開業費の増大」も指摘されています。昨年末、ある開業コンサルタントの話を聞く機会があったのですが、たとえば整形外科診療所では、開業当初からMRIなど高額な医療機器を導入するところが少なくないそうです。複数医師による開業は在宅専門診療所によくみられる傾向ですが、在宅医療ではない診療分野でも、最初から複数医師の共同開業や複数医師による診療体制を整えるところが増えているようです。国のかかりつけ医の議論の中で、かかりつけ医の体制は単独で構築するだけではなく、複数で一人の患者をフォローしていく体制も今後は望ましいと言及されたことも影響しているのかもしれません。一方、開業費は増大の一途です。大型化・重装備化で必然的に必要資金が増えることに加え、建築資材の高騰や、都市部での不動産マーケットの好況を背景に賃料が値上がりしていることなどもその要因です。戸建て開業では億単位の資金が必要になるケースは少なくないですし、大都市のテナント開業でも、そこそこの医療機器を揃えれば、億に近い資金が必要になってきます。そうした多額の開業資金を金融機関から借り入れる場合、相応の返済期間が必要になってきます。50代、60代になってからの新規開業は厳しく、勢い30代、40代という比較的若年での開業が増えていくことになります。開業の成否は二の次に、大規模・重装備、複数医師開業を提案するコンサルタントもただ、これから開業を考える医師が注意しなければならないのは、こうしたトレンドは、先程も書いたように金融機関や開業コンサルタント側の事情も多分に関係している、という点です。とくに地方では、企業や事業者数そのものが限られており、有望かつ融資金額が大きい案件はそんなにありません。というわけで、地方銀行や信用金庫にとって病院や診療所などの医療機関は願ってもない上顧客ということになります。融資金額を最大限に増やしたい金融機関や、コンサルタント料に加え診療所の管理業務を受託したい、関連企業で門前薬局を経営したい、と考える開業コンサルタントの中には、開業の成否は二の次に、大規模・重装備の診療所で、複数医師による病院並みの外来運営を企画・提案するところもあると聞きます。「医療機関が潰れたら、金融機関側も困るのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、債務を負うのは医師です。仮に経営が破綻し診療所を畳むことになったとしても、金融機関側は「僻地の診療所などで10年も働いてもらえば億のお金でも返済してもらえる」と考えます。さらに、複数医師開業で債務者が複数いれば、返済期間も短くなります。そういった意味でも金融機関にとって医師は願ってもない上顧客なのです。最初、患者として勤務医に近づく開業コンサルタントもそうした状況下、開業志望の医師の相談や悩みに親身になって対応してくれる金融機関やコンサルタントがいる一方で、医師を単なる“カモ”としか見ない悪いやつもいます。結果、経営に疎い医師が騙される、という事態も発生します。「第176回 虫垂がんを宣告されたある医師の決断(後編) 田舎の親の病医院を継ぎたくない勤務医にも参考になる『中小病院が生き残るための20箇条』」で紹介した『続“虎”の病院経営日記 コバンザメ医療経営を超えて』(東謙二著、日経メディカル開発)の中には典型的なエピソードが紹介されています。同書の「中小病院が生き残るための20箇条」の章の20箇条目、「医師は世間知らず、開業で騙されないために」の項では、「熊本界隈でも新規開業したばかりの診療所の閉院が増えている」として、40代の公的病院勤務医の開業失敗話が紹介されています。最初、患者として勤務医が働く病院の外来にやってきた男が、親密になると「開業コンサルタントである」と打ち明けます。その後、地方銀行員と組んで言葉巧みかつ強引に勤務医を新規開業に導いていく展開は、モダンホラーさながらです。コンサルタントの“悪魔の囁き”、「先生なら開業すれば患者さんがたくさん集まるでしょうね」この本には、「先生なら開業すれば患者さんがたくさん集まるでしょうね」、「開業資金のことなら心配要りません」、「開業までのことはすべてお任せください」といったコンサルタントの“悪魔の囁き”の例もいくつか紹介されています。この勤務医は結局、「開業後、自腹を切りながら経営を続けたものの、結局は多額の借金を背負い閉院した」とのことです。なお、東氏は「医師をはじめ、医療従事者はほとんどが『性善説』の中で仕事をしているが、世の中には『性悪説』を基本に対処していかないとすぐに騙されてしまう世界もあるのである」と書くとともに、「だから開業するな、と言っているわけではない。自分の所有する土地があり、運転資金も十分にあるならば多くのリスクは回避できる。しかし、土地から購入して、全てが一から開業となれば、自分はかなりギャンブル性の高い勝負に出るのだと理解してほしい。もちろん全ての業者が悪徳ではないし、親身になってくれる経営コンサルタント会社や銀行もあるだろう」と結んでいます。収益が出ないと不正請求すれすれの無理な診療に手を染めるところも少し話が脱線してしまいました。診療所の大型化・重装備化、複数医師開業の話に戻りましょう。大型化・重装備化は開業費がかかり、複数医師開業は医師の人件費が倍になります。収入は増えますが、支出も当然増えます。患者数をこなしてもこなしても収益がなかなか出ないとなると、不正請求すれすれの無理な診療に手を染めるところも出てきます。私が昨年秋にかかった都内の整形外科はまさにそんな診療所でした(この項続く)。参考1)令和4(2022)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況/厚生労働省

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第190回 2025年、かかりつけ医機能報告制度スタートに向けて検討/厚労省

<先週の動き>1.2025年、かかりつけ医機能報告制度スタートに向けて検討/厚労省2.新型コロナ治療薬ラゲブリオ、7月から8.2%薬価引き下げ/厚労省3.マイナ保険証利用促進に向けた集中取り組み月間開始/厚労省4.少子高齢化が進行、65歳以上の人口が初めて2,000万人を超える/総務省5.子供の入院時、4割の医療機関が家族付き添いを要請/こども家庭庁6.画像診断の報告書確認が遅れ、患者が死亡/名古屋大学1.2025年、かかりつけ医機能報告制度スタートに向けて検討/厚労省厚生労働省は、4月12日に「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」を開催、2025年4月に施行予定の「かかりつけ医機能報告制度」に向けて、医療機関からの報告要件を議論した。この制度は、医療機関がどのようなかかりつけ医機能を有しているかを患者に対して明らかにし、患者の医療機関選択をサポートする目的で実施される。さらに地域医療の提供体制を強化するため、地域全体で機能を補完する形の協力体制を確立することも求められている。分科会では、医療機関に要求される報告内容として、通常の診療時間外の対応、入退院時の支援、在宅医療の提供、介護との連携などが提案されている。また、地域における医療ニーズに応じたかかりつけ医機能の確保と、それに必要な医師の教育や研修の充実が議論された。報告の具体案は、2024年5月の会合で示される予定であり、病院や診療所がどのように機能しているかの透明性を高めることが期待されている。報告制度は、地域ごとの医療の質の向上に寄与し、患者が自分の症状に最適な医療機関を選べるようにすることを目指している。参考1)第4回 かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会 資料(厚労省)2)「かかりつけ医機能」報告、厚労省が論点示す 報告内容など、5月中に具体案(CB news)3)かかりつけ医機能報告制度、「患者の医療機関選択」支援を重視?「地域での医療提供体制改革」論議を重視?-かかりつけ医機能分科会(Gem Med)2.新型コロナ治療薬ラゲブリオ、7月から8.2%薬価引き下げ/厚労省厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症治療薬ラゲブリオ(一般名:モルヌピラビル)の薬価を7月1日から8.2%引き下げると発表した。この薬価改定は、中央社会保険医療協議会(中医協)において承認された費用対効果評価結果に基づいて行われるもの。モルヌピラビルは現在、1回の治療費が9万4,312円で、7月からの新薬価は8万6,596円となる。この薬はとくに重症化リスクが高い成人患者向けに使用され、治療の有効性とコストのバランスが評価された。分析では、ラゲブリオを使用した患者群と抗ウイルス薬を使用しない患者群との間で入院や死亡リスクに有意な差はみられなかった一方で、治療費の増加が確認されたため薬価の調整が必要と判断された。同様の評価が他の薬にも適用され、一例として慢性腎臓病治療薬ケレンディア(同:フィネレノン)は2.7%の薬価引き下げとなった。これらの薬価調整は、医療機関の在庫への影響を考慮し、新薬価の適用開始日が設定されている。中医協は、この決定を通じて、医療の費用効率の向上と患者への負担軽減を図ることを目指している。参考1)医薬品・医療機器等の費用対効果評価案について(厚労省)2)コロナ飲み薬 7月から薬価引き下げ 厚労省、費用対効果を分析(朝日新聞)3)中医協総会 ケレンディアは2.7%、ラゲブリオは8.2%薬価引下げ了承 費用対効果評価で 7月1日適用(ミクスオンライン)4)ラゲブリオ薬価8.2%引き下げ、7月から ケレンディアはマイナス2.7%(CB news)3.マイナ保険証利用促進に向けた集中取り組み月間開始/厚労省厚生労働省は、4月10日に社会保障審議会医療保険部会を開催した。現行、紙の健康保険証は、2024年12月2日に廃止される一方、利用が伸び悩んでいるマイナ保険証の利用促進強化を進めることを決定した。厚生労働省によれば、2023年3月のマイナ保険証利用率は5.47%と低迷しており、これを改善するために2024年5月~7月までを「マイナ保険証利用促進集中取組月間」と定め、積極的な推進活動を行う。経済団体、医療団体、保険者などが連携する健康寿命延伸と医療費適正化の支援活動を行う「日本健康会議」は、4月25日に東京都で医療DX推進フォーラム「使ってイイナ!マイナ保険証」を開催する。このイベントはオンラインでも中継され、武見 敬三厚生労働省大臣を含む3閣僚が参加し、利用促進宣言を行う予定。具体的な施策として、医療機関や薬局でマイナ保険証の利用者数を増やした場合、最大20万円の一時金が支給されることになった。支給の条件には、患者への声掛けやチラシの配布などが条件となっているさらに、厚労省は広範なメディアを利用した広報活動を展開し、医療機関のデジタル化推進体制整備に対しても支援を行う。また、新たに設けられた一時金は、医療機関が2023年10月以降に利用率向上を達成した場合に支給される。一方、この政策には批判もあり、公的資金を使用してのキャンペーンに対する疑問の声が上がっている。とくに金銭的インセンティブを用いた利用促進策が適切かどうかが議論の的となっている。しかし、厚労省はマイナ保険証が医療の質を向上させる重要なツールであるとし、その普及に向けた努力を続けるとしている。参考1)医療DX推進フォーラム「使ってイイナ!マイナ保険証」開催のお知らせ(日本健康会議)2)マイナ利用増、支援金 厚労省、医療機関に最大20万円(毎日新聞)3)「マイナンバーカードによる受診」実績等もとに、最大で病院20万円、クリニック10万円の一時金を今夏支給-社保審・医療保険部会(Gem Med)4)マイナ促進、6-11月の支援金を「一時金」に見直し 医療DX推進加算の新設に伴い(CB news)5)マイナ保険証利用促進宣言へ、日本健康会議 25日の医療DXフォーラムで、3閣僚出席(同)4.少子高齢化が進行、65歳以上の人口が初めて2,000万人を超える/総務省総務省は、4月12日に2023年のわが国の人口が前年比59万5,000人減少し、総人口は1億2,435万2,000人になったと発表した。わが国の人口減少は、13年連続で減少率は1950年以降で2番目に大きい。とくに、65歳以上の高齢者人口は2,007万8,000人増加し、全人口の約16.1%を占める。これは、少子高齢化の進行を示し、生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピークに減少が続き、全体の約59.5%となった。厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2033年には世帯の平均人数が初めて2人を割り、1.99人になると予測されている。2050年までに、わが国の5,261万の全世帯のうち44.3%が1人暮らしの独居世帯となり、高齢者が半数近くを占める見込み。さらに未婚率の高い高齢者の割合も急増し、未婚の男性高齢者は約60%、女性は約30%に上るとされている。この人口動態の変化は、社会保障制度、とくに年金制度に大きな影響を与えており、労働力人口の減少と高齢者人口の増加により、年金財政の悪化が進行し、将来的な制度改革が急務となっている。さらに、外国人労働者の増加が新たな労働力として注目されている一方で、わが国の社会保障制度の持続可能性の確保が重要な課題となっている。参考1)人口推計(2023年)ー全国:年齢(各歳)、男女別人口・都道府県:年齢(5歳階級)、男女別人口ー(総務省)2)『日本の世帯数の将来推計(全国推計)』[2024年推計](国立社会保障・人口問題研究所)3)日本人人口、減少幅最大の83万人 外国人が労働力補う(日経新聞)4)平均世帯人数、初の2人割れへ=22年に、厚労省研究所推計-未婚化で単独高齢者増加(時事通信)5)23年総人口、13年連続減 59万人少ない1億2,435万人(日経新聞)6)2023年の日本の総人口 前年より60万人近く減少と推計 総務省(NHK)5.子供の入院時、4割の医療機関が家族付き添いを要請/こども家庭庁こども家庭庁によると、子供が入院する際、44%の医療機関が家族の付き添いを要請していることが明らかになった。付き添い入院は、原則任意であり、看護師が主にケアを担当することが一般的だが、小児の入院の際は家族が協力を求められるケースが多いとされていた。同庁が実施した調査結果によれば、付き添いが難しいと感じた家族が入院を見送ったり、他院への転院を考えたりする例が36%に上った。多くの医療機関は、とくに小さな子供の場合に付き添いを求める際に、家族の付き添いは子供の不安を和らげる効果もあるためと回答している。しかし、付き添い中の家族が直面する困難も多く、適切な寝具の提供がないためソファで寝るケースや、食事の調達が問題となることもある。実際、寝具の貸与が行われていない病院は15%に上り、食事は主にコンビニでの購入となっている。今回の調査結果を受け、同庁は医療機関に対して、保育士の配置など家族を支援する体制整備を促している。今後、付き添い入院の環境改善に向けた対策が、さらに進むことが期待される。参考1)令和5年度子ども子育て支援推進調査研究事業「入院中のこどもへの家族等の付添いに関する病院実態調査」の報告書及び事例集について(こども庁)2)子供入院時の家族付き添いは「病院が要請」44%、ソファで寝るケースも こども庁調査(産経新聞)3)子どもへの「付き添い入院」医療機関の4割要請…こども家庭庁調査、保育士らの手厚い配置促す(読売新聞)4)こどもの入院で家族の付き添い4割、転院調整も 全国医療機関調査(朝日新聞)6.画像診断の報告書確認が遅れ、患者が死亡/名古屋大学名古屋大学医学部附属病院は、画像診断の報告書の見落としによって肺がん診断が遅れ、患者が死亡する事例が発生したことを4月11日に公表した。報告書によると2016年3月、80代男性患者が腹痛を訴え胸腹部のCT検査を受けた。放射線科医は、肺に異常陰影を認めたため、肺がんの除外目的で追加検査を推奨した。しかし、泌尿器科の主治医はこの報告書を十分に熟読せず、放置したため、患者はその後、無治療で過ごし、2019年7月に肺がんと診断された。肺がんの発見が遅れたために患者の病状は進行し、手術不可能な状態となり、患者は2022年3月に肺がんおよび転移による腫瘍死によって死亡した。名古屋大学の安全推進委員会によって設置された「事例調査委員会」によってこの事例が調査され、2024年3月に調査報告書が取りまとめられた。報告書によると、肺がんの診断が適切に行われていれば、肺がんは初期段階で発見され、根治可能であった可能性が高いとされている。事例調査委員会の報告を踏まえ、病院は遺族に対して説明と謝罪を行い、賠償を行った。さらに、放射線科の報告書に対する対応の見落としを防ぐための再発防止策を強化することを発表した。この事例から、画像診断レポートの確実な読解と対応の重要性が再確認され、放射線科医からの報告に対する適切な臨床的フォローアップの必要性が浮き彫りとなった。また、患者とのコミュニケーションの改善と、医療チーム内の情報共有の徹底が求められている。参考1)画像診断レポートに記載された所見に対応せず、肺癌が進行し死亡した事例について(名大)2)肺がん疑い見落とし治療2年以上遅れるミス、病状悪化し80代男性死亡…名古屋大病院が遺族に謝罪(読売新聞)3)名大病院で医療ミス、医師がCT結果見落とす 肺がん進み男性死亡(朝日新聞)

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第203回 薬局薬剤師の反感を招いたかまいたち・山内氏の“失言”、国の制度をうまく使いこなせていない薬局、日本薬剤師会の不甲斐なさも背景に

一般人が薬剤師に対して抱いているイメージを正直に話してしまった山内氏こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は、新宿に映画を観に行ってきました。スキャンダル後、関東近辺の山奥に引っ込んだ俳優・東出 昌大氏の狩猟の日々を追ったドキュメンタリー映画「WILL」(監督・エリザベス宮地)です。水道もガスもない山小屋で、淡々と狩猟を行い、鹿やイノシシを見事なナイフ捌きで解体し、食する姿はワイルドかつ修行僧のようで、友人として登場する“サバイバル登山家”服部 文祥氏の生と死、命に関する哲学的な発言と相まって、なかなか見応えのある映画でした。東出氏は山小屋の場所を明かしておらず、映画の中では「北関東」と紹介されています。しかし、映画に映っている山並みや木々、岩の感じからは、奥多摩から大菩薩嶺、奥秩父にかけてのあたりに見えました。東京、山梨の県境付近ではないか、と勝手に予想した次第です。甲州ワインも飲んでいましたし…。さて、今回は、お笑い芸人、かまいたちの山内 健司氏(背の低いほうです)が、関西ローカルのテレビ番組で薬剤師軽視ともとれる発言をした、という話題を取り上げます。”失言”のように聞こえますが、一般人が薬剤師に対して抱いているイメージを正直に話してしまったもので、薬剤師のつらいところを突いてもおり、医療関係者から見てもなかなか興味深いニュースです。「お熱、今あるんですか?」と医療機関での診察時と同じように症状を尋ねられイライラしてしまった大阪のテレビ局、朝日放送(ABCテレビ)は3月5日、同局のトークバラエティ番組『これ余談なんですけど…』で、一部不適切な内容があったとして以下のような謝罪文を同社の公式サイトに掲載しました。「2月28日(水)の放送における薬剤師の業務に関する発言で、一部不適切な内容がありました。窓口で薬剤師が症状等の確認をすることは、法律(薬剤師法)に基づいた適正な業務であることなど、薬剤師に関する番組側の認識が不足していました。また医師と薬剤師との関係について、薬剤師の方々および関係する皆様にご不快な思いをおかけした内容もありました。謹んでお詫びいたします」「不適切な内容」とは、どんなものだったのでしょうか。3月6日付の「女性自身」などの報道によれば、同日の放送では「せっかち関西人200人に聞いた『あの瞬間イライラするわぁ~』ランキングトップ10」を紹介し、出演者たちがテーマにちなんだトークを展開する中、MCの山内氏が自身の薬局での体験を話したそうです。その体験とは、医療機関でもらった処方箋を薬局に持っていったところ、薬剤師から「どうされたんですか?」「お熱、今あるんですか?」と医療機関での診察時と同じように症状を尋ねられイライラしてしまった、というものです。山内氏は「それ(診察)はもうしてきた。その結果、これ(処方箋)もらって渡してるねんから。さっさと薬もらって帰りたいのに。“どうされたんですか?いつから熱出てるんですか?”って、あれもう全然要らん時間やなって思っちゃう。しんどいから、はよ薬渡して帰らせてほしいのに」と不満を漏らしたとのことです。相方の濱家 隆一氏(背が高いほうです)もこの意見に同意し、「薬剤師さんも医療に携わってるから、一応、“医者憧れ”みたいなのがあるんちゃう」と語り、共演していたお笑い芸人の馬場園 梓氏も「だってそいつ(薬剤師)が見たって、薬変わらへんからな」と話したとのことです。こうした会話がネットニュースなどで報じられると、そのコメント欄に「全然要らない時間ではありません」「自分の仕事を否定されている気分です」といった薬剤師などからの批判が相次ぎました。濱家氏は1日に自身のXを更新し、「処方箋の件、考えなしに失礼な事言ってしまいました 薬剤師の皆さん、本当にすみませんでした」と謝罪、馬場園氏も2月29日にInstagramストーリーズに「全然知らんかった!アホですいません!」「薬剤師の皆様、すいません!」と謝罪、5日には朝日放送の謝罪となったわけです。処方箋の内容や症状を問うちょっとした会話から病名を類推して服薬指導を行うネット上では、かまいたちの2人や馬場園氏ら(とテレビ局スタッフ)が薬剤師の業務の意味や重要性を知らなかったことに批判が集まったようです。ただ、私自身は、山内氏は“素人”だからこそ感じた、薬局薬剤師の「つらいところ」を突いたのではないか、と思いました。「つらいところ」とは、「薬剤師は病名を知らない」という点です。処方箋には患者の氏名、年齢、薬名、分量、用法、用量の記載はありますが、病名は記されていません。というわけで、薬局の薬剤師は処方箋の内容や症状を問うちょっとした会話から病名を類推して服薬指導を行うことになります。山内氏も含め、自分に服薬指導をする薬局薬剤師のほとんどが病名を知らない、知り得ないことを理解している人はどれくらいいるでしょうか。ICT化が進んだ一部の地域では薬局にも病名が公開されているところがありますが、まだまだ限られています。マイナ保険証や電子処方箋の普及によって、複数の医療機関の間での医療情報の共有が進むと言われていますが、病名の薬剤師への通知については従前通りです。電子処方箋の時代になっても、病状(あるいは病名)を把握したいと考える薬剤師は、リアルな会話の中で聞き出さなければなりません。その是非はともかく、医療DXからはほど遠い世界と言えます。5期10年も務めたにもかかわらず、これからの薬剤師の職能を確立できなかった日薬会長国は、調剤など対物業務に偏ってきた薬剤師の働き方を見直し、服薬指導などの対人業務を充実させる方向で検討を進めています。その背景には、薬局や薬剤師の仕事が(今回の山内氏も含め)一般の人には見えづらく、その役割・意義も明確ではないことが挙げられます。厚生労働省は2023年12月25日、「第1回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」を開きました。検討会での優先的検討課題としては、(1)夜間・休日および離島・へき地での外来・在宅医療における薬剤提供の在り方、(2)認定薬局、健康サポート薬局など薬局の機能の在り方で、2024年夏頃までに取りまとめる予定としています。そもそも、「認定薬局」、「健康サポート薬局」と言われても、どれくらいの人が知っているでしょう。「かかりつけ薬剤師」がいる人はどれくらいいるでしょう。いろいろな仕組みや制度を厚労省に用意してもらっても、それをうまく使いこなせていない薬局、ひいて言えば日本薬剤師会の不甲斐なさがこの検討会を開かせた、とも言えるでしょう。この春、日本薬剤師会の会長が変わります。5期10年務めた山本 信夫会長が勇退し、3月9、10日に開催された日本薬剤師会臨時総会の次期会長候補者選挙で当選した岩月 進氏(日本薬剤師会常務理事、愛知県薬剤師会会長)が6月の代議員会総会の承認を経て、新会長になる予定です。かまいたちの山内氏が薬局で感じたイライラや“失言”には、5期10年(最近の日本医師会会長の最長任期は、先々代の横倉 義武氏で4期8年でした)も務めたにもかかわらず、日本におけるこれからの薬剤師の職能を確立できず、一般人のイメージもなんら変革できなかった山本会長にも責任の一端があるのではないでしょうか。山内氏にはコンプライアンスに縛られずテレビやネットの世界でビシバシと発信してもらいたいところで、かまいたちの山内氏は、薬に関連して昨年もちょっとした騒動を起こしています。2023年4月16日に公開したYouTube動画において「お腹に注射を打つダイエット」で8キロの減量に成功したと報告、それが話題の「GLP-1ダイエット」だったのです。動画には「今回の動画は山内個人の体験談・見解になります」という注意書きがありましたが、日本医師会や日本糖尿病学会などがすでにGLP-1ダイエットに警告を発していたことに加え、ネット上などで多くの批判が寄せられたことなどから、4月18日には動画は非公開となりました。山内氏の今回の薬剤師に対する発言やGLP-1ダイエット体験のネット発信は、一般人の薬や医療に対する本当の意識、考え、理解レベルを知る貴重な場であるとも言えます。個人的には、山内氏には変なコンプライアンスに縛られず、これからもテレビやネットの世界で自身の体験で感じたことをビシバシと発信してもらいたいと思います。

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調剤後薬剤管理指導が“格上げ”、対象の薬と患者が拡大【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第127回

2024年度の調剤報酬改定の内容が確定しました。これまでの改定は華々しく何かがスタートしたりしましたが、あまり浮足立った感じはなく、しっかりと地に足が着いた改定のように感じます。今回は2024年度の調剤報酬改定によって新設や変更となった加算を紹介します。「調剤後薬剤管理指導料」が加算→指導料に変更薬学管理料の「調剤後薬剤管理指導加算」が廃止され、「調剤後薬剤管理指導料」が新設されます。2020年度改定で新設された調剤後薬剤管理指導加算は、薬剤を服用中の患者に対する薬剤師のフォローアップを評価する目的で新設された点数でした。その基本的な考え方は受け継がれつつ加算から指導料へ変更されたということは、これらの指導が評価されて格上げされたと考えてよいでしょう。調剤後薬剤管理指導加算の対象となっていた糖尿病薬の範囲はインスリンとSU薬でしたが、「糖尿病用剤」に拡大され、また対象患者に慢性心不全患者が追加されました。調剤後薬剤管理指導加算では、かかりつけ薬剤師管理指導料の算定患者では算定できませんでしたが、調剤後薬剤管理指導料では算定患者に対してフォローアップを実施した場合でも算定ができるようになります。加算から指導料になっても60点という点数に変更はありません。しかし、この調剤後のフォローアップが踏襲され、しかも対象が広がったということは、これを積極的に取り組んでいる薬局が評価されたということでとてもうれしいです。調剤後薬剤管理指導料を算定できる薬局は、地域支援体制加算を算定可能として届出をしている薬局です。ベースが地域支援体制加算というのは、今後も基本要件になってくる可能性は高いでしょう。「在宅移行初期管理料」が新設在宅訪問を開始する際には、あらかじめ患者さん宅やケアマネジャーさんを訪問してさまざまな確認をすると思いますが、その加算や指導料はとくにありませんでした。今回、患者さんが病院から退院するときなど、在宅医療に移行する際の薬学管理に対する評価として、新たに「在宅移行初期管理料」が導入されます。退院直後などに薬局薬剤師が患者宅を訪問し、服薬状況の確認や薬剤の管理などの必要な指導を実施した場合に、1回に限り230点を算定できます。1回だけの算定とはいえ230点は大きいですし、その1回を確実に意味のあるものにしようという気合と責任が芽生えますよね。ただし、認知症や精神疾患、小児、末期がんなど条件を満たす患者さんのうち、とくに重点的な服薬支援を行う必要性があると判断された場合に限る、とされているので、対象となる患者さんの注意が必要です。私は、日々患者さんのために頑張っている薬局や薬剤師が報われてほしいと思ってこのコラムを書いていますが、今回の改定内容を読み込めば読み込むほど、薬局がどんどん増え、薬剤師は稼げると言われた時代は過ぎ去り、地域医療のために実績を上げている薬局や薬剤師が生き残る時代に突入したのだなという実感がします。今回新設・変更された項目に対する取り組みや実績が今後の報酬改定で評価されればよいなと思います。

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緩和ケアにおける低ナトリウム血症【非専門医のための緩和ケアTips】第71回

第71回 緩和ケアにおける低ナトリウム血症電解質異常には、いろいろな種類がありますが、遭遇する機会が最も多いものが「低ナトリウム血症」でしょう。頻度は高くとも、程度によっては意識障害や痙攣といった重篤な症状を引き起こします。緩和ケアでは、低ナトリウム血症とどのように向き合えば良いのでしょうか?今回の質問訪問診療で診ている終末期がん患者さん、低ナトリウムにどの程度介入すべきかを悩んでいます。低ナトリウム血症の原因は、SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)だと考えています。水分制限も考えるのですが、口渇が苦痛のようで、厳密に取り組むのは難しそうです。がん患者の低ナトリウム血症の原因として、しばしば見かけるのがこのSIADHですね。抗利尿ホルモンが不適切に分泌されることで水分の再吸収が過剰となり、低ナトリウムに至ります。この病態は、さまざまな原因で生じることが知られており、痛みや吐き気といった、がん患者でよく経験する症状でも悪化します。SIADHの治療は、原因除去と併行して、低ナトリウムの程度によっては水分制限を行います。回復可能な病態の高齢者に生じたSIADHに関しては、これらに取り組むことで改善することが通常です。ただし、緩和ケア領域で悩ましいのはここからです。改善可能な原疾患がないことが多いため、厳しい闘いを強いられます。水分制限も、今回のように口渇がある場合には、どこまで厳密に行うかは悩ましいところです。ここで考えるべきは予想される予後とのバランスでしょう。予想される予後が月単位を切っている状況であれば、すでにコントロール困難な低ナトリウム血症に対して、厳密な介入はデメリットのほうが大きい、と判断する専門家が大半でしょう。もちろん、この辺りは関係者で擦り合わせながら取り組むべき領域です。患者は口渇感を和らげるために飲水を望みますが、実はここでは口腔ケアも有効です。スポンジブラシなどで口の中を湿らしながらケアすることで、口渇感が和らぐことが知られており、検討するのも良いかもしれません。口腔ケアは病態改善だけでなく、症状緩和の観点からも重要なので、積極的に看護師と相談したい分野です。近年、予後が比較的保たれる状況での低ナトリウム血症に対する介入に、新たな選択肢が増えました。心不全患者に使用されていたトルバプタンが、2020年にSIADHへ適応拡大されたのです。予後の問題から私は処方経験があまりありませんが、状況によっては選択肢になるでしょう。ただし、採血でナトリウムを頻回に確認する必要があり、在宅医療における有効性は難しいところがあります。今日のTips今日のTipsがん患者の低ナトリウム血症、SIADHに注意しよう。

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死亡確認、どんなかたちが理想?【非専門医のための緩和ケアTips】第67回

第67回 死亡確認、どんなかたちが理想?自分以外の医師は、どんなふうに死亡確認をしているのだろうって思うことはありませんか? 初期研修医ならいざ知らず、ある程度の年齢になると、ほかの医師の死亡確認に同席することはあまりないでしょう。今回は緩和ケアの実践でも重要なシーンである、死亡確認について考えてみましょう。今日の質問私の診療所は、初期研修の地域研修施設で、定期的に初期研修医が学びに来ます。研修中は在宅医療でお看取りをする機会があり、その指導をする必要もあります。とはいえ、私自身、学生や研修医時代に死亡確認の指導を受けた記憶がなく、何を伝えるべきか迷います…。私自身、死亡確認について明確に指導を受けた経験はありません。ただ、若手医師の多い環境で勤務してきたので、「どんなふうにやってますか?」と時々話題になり、皆で議論したことが学びになりました。患者、家族にとってはもちろん、医療者にとっても死亡確認は重要な場面です。それまで積み重ねてきたケアや関係の集大成であり、医師の立ち居振る舞いがネガティブな影響を与えないことが求められます。緩和ケア病棟に限定されたものではありますが、死亡確認時に関する研究があります1)。日本で行われた、遺族を対象にホスピス・緩和ケアの質の評価した研究で、この中で死亡確認にまつわる内容も調査しています。「遺族にとって、どのような死亡確認が望ましいか」がテーマの1つです。この研究では、「医師の死亡確認の仕方には、改善すべきところがあった」という質問について、「大いにある」「かなりある」「ある」との回答は計12.4%でした。また、改善の必要性に関連した要素では、「主治医以外の医師による死亡確認」は改善の必要性が有意に高くなり、「死亡確認を行う前に、医師は患者に声を掛けてから診察を始めた」は改善の必要性が有意に低くなる、という結果になりました。この知見をどのように臨床と教育の現場に活かすとよいでしょうか?ここからは私の解釈と意見になります。まず、死亡確認の改善の必要性について、12.4%という数字を多いと見るか少ないと見るかは意見の分かれるところですが、多くの家族にとって大切なシーンですので、医療者としては常に改善できないかを顧みる必要があるでしょう。一方、改善の要素としては、必ず主治医が死亡確認をできるわけではないので、事前に家族に「主治医以外が対応する可能性もある」と説明し、主治医以外の患者には、いっそう丁寧に対応する意識が必要でしょう。具体的には、「主治医の先生から申し送りをしてもらっている」と伝えるとよいかもしれません。また、「患者さんに声を掛ける」というのは私もよくしていますが、ここには経験や練習が必要かもしれません。「声掛けをしましょう」とアドバイスされても、死亡確認は診療とはまた違った緊張が伴う場面であり、何を言ったらよいか、わからなくなりそうです。ここでは、ロールプレイの研修などが有効でしょう。死亡確認時の工夫、皆さんの知見もぜひ共有ください。今回のTips今回のTipsよりよい死亡確認については、関連研究があります。施設内で議論する、ロールプレイ研修をするなど、工夫をしてみてください。1)浜野 淳. 42. 緩和ケア病棟における望ましい死亡確認に関する研究. 遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に関する研究4(J-HOPE4).日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団;2020.p.253-256.

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第194回 能登半島地震、被災地の医療現場でこれから起こること、求められることとは~東日本大震災の取材経験から~

木造家屋の倒壊の多く死因は圧死や窒息死こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。元日に起きた、最大震度7を観測した能登半島地震から9日が経過しました。最も被害が大きかった石川県では、1月9日現在、死者202人、負傷者565人、安否不明者102人と発表されています。1月8日現在の避難者数は2万8,160人とのことです。テレビや新聞などの報道をみていると、木造家屋の倒壊の多いことがわかります。その結果、死因は圧死や窒息死が大半を占めているようです。道路の寸断などによって孤立している集落がまだ数多く、避難所の中にも停電や断水が続いているところもあります。さらには、避難所が満員で入所できない人も多いようです(NHKニュースではビニールハウスに避難している人の姿を伝えていました)。本格的な冬が訪れる前に、被災した方々が、まずは一刻でも早く、ライフラインや食料が整った避難所やみなし避難所(宿泊施設等)への避難できることを願っています。東日本大震災との大きな違い1995年に起きた阪神・淡路大震災では、約80%が建物倒壊による圧死や窒息死でした。このときの教訓をもとに組織されたのがDMATです。しかし、2011年に起きた東日本大震災では津波の被害が甚大で、死亡者の8〜9割が溺死でした。震災直後、私は被災地の医療提供体制を取材するため宮城県の気仙沼市や石巻市に入りましたが、阪神・淡路と同じような状況を想定して現地入りしたDMATの医師たちが、「数多くの溺死者の前でなすすべもなかった」と話していたのを覚えています。今回の地震は、津波の被害より建物倒壊の被害が圧倒的に多く、その意味で震災直後のDMATなどの医療支援チームのニーズは大きいと考えられます。ただ、道路の寸断などで、物資や医療の支援が行き届くまでに相当な時間が掛かりそうなのが気掛かりです。これから重要となってくるのは“急性期”後、“慢性期”の医療支援震災医療は、ともすれば被災直後のDMATなどによる“急性期”の医療支援に注目が集まりますが、むしろ重要となってくるのは、その後に続く、“慢性期”の医療支援だということは、今では日本における震災医療の常識となっています。外傷や低体温症といった直接被害に対する医療提供に加え、避難所等での感染症(呼吸器、消化器)や血栓塞栓症などにも気を付けていかなければなりません。その後、数週間、数ヵ月と経過するにつれて、ストレスによる不眠や交感神経の緊張等が高血圧や血栓傾向の亢進につながり、高血圧関連の循環器疾患(脳梗塞、心筋梗塞、大動脈解離、心不全など)が増えてくるとされています。そのほか、消化性潰瘍や消化管穿孔、肺炎も震災直後に増えるとのデータもあります。DMAT後の医療支援は、東日本大震災の時のように、日本医師会(JMAT)、各病院団体や、日本プライマリ・ケア連合学会などの学会関連団体が組織する医療支援チームなどが担っていくことになると思われますが、過去の大震災時と同様、単発的ではなく、長く継続的な医療支援が必要となるでしょう。ちなみに厚生労働省調べでは、1月8日現在、石川県で活動する主な医療支援チームはDMAT195隊、JMAT8隊、AMAT(全日本病院医療支援班)9隊、DPAT(災害派遣精神医療チーム)14隊とのことです。避難所や自宅で暮らす高齢者に対する在宅医療のニーズが高まる医療・保健面では、高血圧や糖尿病、その他のさまざまな慢性疾患を抱えて避難所や地域で暮らす多くの高齢者の医療や健康管理を今後どう行っていくかが大きな課題となります。そして、避難所や自宅で暮らす住民に対する在宅医療の提供も必要になってきます。東日本大震災では、病院や介護施設への入院・入所を中心としてきたそれまでの医療提供体制の問題点が浮き彫りになりました。震災被害によって被災者が病院・診療所に通えなくなり、在宅医療のニーズが急拡大したのです。この時、気仙沼市では、JMATの医療支援チームとして入っていた医師を中心に気仙沼巡回療養支援隊が組織され、突発的な在宅医療のニーズに対応。その支援は約半年間続き、その時にできた在宅医療の体制が地域に普及・定着していきました。奥能登はそもそも医療機関のリソースが少なかった上に、道路が寸断されてしまったこと、地域の高齢化率が50%近いという状況から、地域住民の医療機関への「通院」は東日本大震災の時と同様、相当困難になるのではないでしょうか。東日本大震災が起こった時、気仙沼市の高齢化率は30%でした。今回、被害が大きかった奥能登の市町村の高齢化率は45%を超えています(珠洲市50%、輪島市46% 、いずれも2020年)。「気仙沼は日本の10年先の姿だ」と当時は思ったのですが、奥能登は20年、30年先の日本の姿と言えるかもしれません。テレビ報道を見ていても、本当に高齢者ばかりなのが気になります。東日本大震災では、被災直後からさまざまな活動に取り組み始めた若者たちがいたのが印象的でした。しかし、これまでの報道を見る限り、被災者たちは多くが高齢で“受け身”です。東日本大震災や熊本地震のときよりも、個々の被災者に対する支援の度合いは大きなものにならざるを得ないでしょう。プライマリ・ケア、医療と介護をシームレスにつなぐ「かかりつけ医」機能、多職種による医療・介護の連携これからの医療提供で求められるのは、プライマリ・ケアの診療技術であり、医療と介護をシームレスにつなぐ「かかりつけ医」機能、そしてさまざまな多職種による医療・介護の連携ということになるでしょう。東日本大震災、熊本地震、そして新型コロナウイルス感染症によるパンデミックで日本の医療関係者たちは多くのことを学んできたはずです。日本医師会をはじめとする医療関係団体の真の“力”が試される時だと言えます。ところで、被災した市町村の一つである七尾市には、私も幾度か取材したことがある、社会医療法人財団董仙会・恵寿総合病院(426床)があります。同病院は関連法人が運営する約30の施設と共に医療・介護・福祉の複合体、けいじゅヘルスケアシステムを構築し、シームレスなサービスを展開してきました。同病院も大きな被害を被ったとの報道がありますが、これまで構築してきたけいじゅヘルスケアシステムという社会インフラは、これからの被災地医療の“核”ともなり得るでしょう。頑張ってほしいと思います。耐震化率の低さは政治家や行政による不作為にも責任それにしても、なぜあれほど多くの木造住宅が倒壊してしまったのでしょうか。1月6日付の日本経済新聞は、その原因は奥能登地方の住宅の低い耐震化率にある、と書いています。全国では9割近くの住宅が耐震化しているのに対して、たとえば珠洲市では2018年末時点で基準をクリアしたのは51%に留まっていたそうです。ちなみに輪島市は2022年度末時点で46%でした。耐震化は都市部で進んでいる一方、過疎地では大きく遅れているのです。その耐震基準ですが、建築基準法改正で「震度5強程度で損壊しない」から「震度6強〜7でも倒壊しない」に引き上げられたのは1981年、実に40年以上も前のことです。きっかけは1978年の宮城県沖地震(当時の基準で震度は5、約7,500棟の建物が全半壊)でした。仙台で学生生活を送っていた私は、市内で地震に遭遇、ブロック塀があちこち倒れまくった住宅街の道路を自転車で下宿まで帰ってきた記憶があります。各地域(家の建て替えがないなど)や個人の事情はあるとは思いますが、法改正後40年経っても耐震化が進んでおらず、被害が大きくなってしまった理由として、政治家(石川県選出の国会議員)や行政による不作為もあるのではないでしょうか。もう引退しましたが、あの大物政治家は石川県にいったい何の貢献をしてきたのでしょうか。お金をかけてオリンピックを開催しても、過疎地の住民の命は守れません。いずれにせよ、全国各地の過疎地の住宅の耐震化をしっかり進めておかないと、また同じような震災被害が起こります。政府にはそのあたりの検証もしっかりと行ってもらいたいと思います。

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死亡直前の身体的変化【非専門医のための緩和ケアTips】第64回

第64回 死亡直前の身体的変化「お看取り」、緩和ケアでは避けて通れない場面ですが、死亡の際には独特の身体的変化が見られます。こうしたことを、私自身は医学部教育であまり習った記憶がないのですが、最近はどうなのでしょうか? あまり真面目な学生ではなかったので覚えていないだけかもしれませんが…。知っておくべきことが多いと感じる分野です。今日の質問僻地勤務をしており、在宅医療にも関わっています。最近、在宅のお看取りが近いご家族から「少し呼吸の様子が変わってきました。あとどれくらいでしょうか?」と尋ねられました。これまでは「いつ亡くなるかは、誰にもわかりません」と説明していましたが、心配するご家族のためにも、もう少し情報提供ができればと思っています。ご家族からよく尋ねられる質問ですね。かつては自宅で亡くなる方が多数派で、家族を看取る経験も身近でした。しかし、現在では核家族化が進み、かつ多くの方が医療機関で亡くなるため、ご家族も看取りの経験が乏しく、見通しが立たずに不安になるのも当然でしょう。ちなみに、自宅と病院・診療所の死亡数が入れ替わったのは1970年代です。私が生まれる10年前は、まだ自宅で大半の方が亡くなっていた、というのはちょっと想像できません。今とはまったく異なる社会状況だったのです。話を本題に戻しましょう。呼吸の様子などの身体徴候から、亡くなるタイミングを予想することはできるのでしょうか。答えとしては「幅はあるものの、ある程度までの予測は可能」とされています。下顎呼吸になると多くの方が24時間以内に亡くなることがわかっており、それに基づいて「こうした呼吸は、徐々に呼吸をする体力がなくなってきているサインです。多くの方がその日中に亡くなることが多いので、そのような心構えでわれわれもケアをさせていただきます」とお話しします。質問のように、今後の見通しを心配されるご家族もよくお会いします。こうしたことが話題になる時点で、ご家族は死別自体には心構えができていることが多いでしょう。より具体的に情報を求めているのであれば、もう少し詳しい説明をしてもよいかもしれません。こうした状況において、私がよく活用しているのが、こちらのパンフレットです1)。最近は看護師から説明してもらうことも多くなっています。フリーでダウンロード可能ですので、今後の経過について心配されているご家族がいたら、一緒に見てみるとよいでしょう。今回のTips今回のTips死亡直前期の身体的変化は予後予測にも有効。予見される変化を家族とも共有しよう。1)看取りのパンフレット「これからの過ごし方について」/緩和ケア普及のための地域プロジェクト

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第170回 外来管理加算の廃止提案に医師会は強く反発/中医協

<先週の動き>1.外来管理加算の廃止提案に医師会は強く反発/中医協2.地域医療構想で進む病床再編、急性期病床が減少、回復期は増加/厚労省3.日本の公的医療支出が高水準、病床数と在院日数で2位/OECD4.GLP-1受容体作動薬の供給不足、卸に対して美容目的の出荷抑制を指示/厚労省5.美容目的のエクソソーム使用に規制を、死亡事例の報告も/再生医療学会6.介護職員の待遇改善へ、来年2月から月6,000円の賃上げ決定/政府1.外来管理加算の廃止提案に医師会は強く反発/中医協厚生労働省は、中央社会保険医療協議会(中医協)の総会を11月10日に開催。2024年度の診療報酬改定に向けて議論が行われた。とくに外来医療に関する「外来管理加算(52点)」については、支払い側が廃止を求め、激しい議論となった。外来管理加算は、2008年の診療報酬改定で再診患者に対する計画的な医学管理を評価するため導入された。当初は「おおむね5分を超える診察」の要件(いわゆる「5分ルール」)が含まれていたが、医療現場の強い反発で、このルールは2年後に廃止された代わりに、「簡単な症状の確認」だけで処方を行った場合は加算を算定できないことが明確化されていた。支払側委員の松本 真人氏(健康保険組合連合会理事)は、外来管理加算の算定要件があいまいで、その評価の妥当性に疑問を提起した。さらに、外来管理加算と「特定疾患療養管理料」、「生活習慣病管理料」、「地域包括診療加算」の併せて算定が許される現状についても、患者や保険者にとって理解しづらいと指摘し、廃止を主張した。これに対して、診療側の委員たちは強く反発。長島 公之委員(日本医師会常任理事)は、松本委員の意見を「暴論」と断じ、まったく容認できないと強調した。池端 幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)も、廃止の主張に全面的に反対する意向を示した。参考1)中医協資料 外来(その3)について(厚労省)2)外来管理加算の廃止を主張、支払側の松本委員 長島委員は「暴論、容認できない」(CB news)3)「外来管理加算の廃止」の支払側提案に、診療側委員は猛反発、「かかりつけ医機能」の診療報酬評価をどう考えるか-中医協総会(1)(Gem Med)2.地域医療構想で進む病床再編、急性期病床が減少、回復期は増加/厚労省厚生労働省は、11月9日に「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」を開催し、地域医療構想の進捗について報告した。厚労省が最新の病床機能報告を基に行った集計によれば、2025年までに急性期病床が約7.1万床減少する一方、回復期病床は約7.9万床増加する見込み。政府は、高齢化や人口減少に対応するため、2025年までに各地域の医療体制を効率化することを目的として地域医療構想の実現を目指し、病床再編を行っている。病床再編により、一部の地域では医療機関の存続が危ぶまれ、とくにコロナ禍での病床削減への疑問符が生じている。たとえば、岐阜県東濃地方では、公営病院の病床数削減や民間への譲渡が進められているが、地域全体での病床利用率は高くなく、病床削減による共倒れの懸念が指摘されている。新型コロナウイルスのパンデミックは、病床削減の方針に再考を迫っており、急性期病床の役割の重要性が再認識されているが、今後は、コロナ禍の経験や在宅医療の需要も考慮に入れた新たな医療再編の議論が求められている。参考1)地域医療構想の進捗等について(厚生労働省)2)急性期7.1万床減少見込み、15-25年に 回復期は7.9万床増、全国ベースで(CB News)3)目標の2025年迫る「地域医療構想」 病床再編 議論が“再燃” 地域医療の崩壊に危機感(東京新聞)3.日本の公的医療支出が高水準、病床数と在院日数で2位/OECD経済協力開発機構(OECD)の最新報告によれば、わが国の公的医療支出はGDPの11.5%であり、政府支出の22%を占めることが判明した。これは、加盟38ヵ国中最高の割合であることが明らかになった。わが国の人口当たり病床数(12.6)は韓国に次いで2位で、平均在院日数も16.0日と、OECDの平均の約2倍である。人口1,000人当たりの医師数は2.6人で、OECDの平均3.7人に及ばない。また、わが国は、65歳以上の高齢者割合が29%と最も高く、1人当たりの受診回数も11回で2番目に多い。OECDは、これらの現状をもとにわが国の医療資源の効率的な活用を促している。人口10万人当たりの薬剤師数は199人でトップに立つ一方で、ノルウェーやスウェーデンの65歳以上の人口100人当たり介護従事者の数は約12人に対して、わが国は6.8人である。そのほか、開業医の電子カルテ利用率は平均93%に対し、日本は42%と低くOECDの武内 良樹事務次長は、わが国の医療提供の効率化と介護の費用対効果の向上を求めている。さらにわが国の病院依存型の医療制度が非効率であると指摘し、遠隔医療の利用拡大やかかりつけ医の医療質向上のほか、スキルの高い介護人材の確保と労働条件の改善も必要とも述べている。参考1)図表でみる医療 2023:日本(OECD)2)公的医療支出の割合、日本がトップ OECD、病床数・在院日数は2位(MEDIFAX)4.GLP-1受容体作動薬の供給不足、卸に対して美容目的の出荷抑制を指示/厚労省厚生労働省は、2型糖尿病治療に使用されるGLP-1受容体作動薬の在庫が逼迫していることを受け、7月下旬に医療機関と薬局に対して、GLP-1受容体作動薬の買い込みを控え、必要量のみの購入を行うよう求め、薬剤の適正使用を依頼した。GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病患者以外への使用(主に美容・痩身目的)については有害事象の報告もあり、懸念が広がる一方、海外承認のニュースにより急速に処方が増えている。厚労省は、2型糖尿病患者に対して適切に供給されるように、医薬品卸売販売業者に対して、注文を受けた際に治療目的を確認し、糖尿病治療以外の目的での使用が明らかな注文に対しては、納入を控えるよう11月9日付けで通知を発出した。参考1)GLP-1受容体作動薬の在庫逼迫に伴う協力依頼(その2)(厚労省)2)GLP-1、糖尿病治療以外は納入しないよう卸に要請 厚労省(日刊薬業)5.美容目的のエクソソーム使用に規制を、死亡事例の報告も/再生医療学会厚生労働省が、11月10日に開催した厚生科学審議会の再生医療等評価部会で、日本再生医療学会は、細胞から分泌される微粒子「エクソソーム」が含まれる幹細胞培養上清液が、美容目的やアンチエイジング目的で自由診療の医療機関で使用されているとして、「何らかの規制下に置かれることが望ましい」とする提言書を国に提出した。エクソソームは組織再生を促す物質を含んでいるが、現行の再生医療の安全に関する法律の対象外のため、管理が不十分な場合には重大な事故を引き起こす可能性があると指摘されている。すでに、幹細胞培養上清液を使用した治療による患者の死亡事例も報告されており、研究者らはエクソソームの体内での効果や安全性に関する科学的根拠が不足しており、一部のクリニックが効果を誇張して宣伝されていることを問題視しており、大阪大学の曽宮 正晴助教は、このような未確立の治療法には倫理的、科学的な問題があると指摘している。これに対して、実施しているクリニックが所属している日本再生医療抗加齢学会側は、現在の状況を改善するためのガイドライン作成や問題点の精査を急務としている。参考1)エクソソーム等に対する日本再生医療学会からの提言(日本再生医療学会)2)幹細胞培養上清液に関する死亡事例の発生について(再生医療抗加齢学会)3)エクソソーム 美容目的などに利用 “将来的に規制を”学会提言(NHK)4)エクソソーム治療「規制下が望ましい」学会が提言 死亡例の報告も(朝日新聞)5)幹細胞培養上清液で死亡例 研究者「エクソソームの投与で何かを治したと人で実証された例はない」「身体にリスクも」“若返りや美容効果”うたうクリニックに警鐘(ABEMA TIMES)6.介護職員の待遇改善へ、来年2月から月6,000円の賃上げ決定/政府政府は、介護職員と看護補助者の賃金を2023年2月から月額6,000円引き上げることを含む補正予算を閣議決定した。この措置は、介護分野と他の産業との間で開いた待遇格差を埋め、介護職員の離職を防ぐための措置で、賃上げには関連経費が2023年度補正予算案に盛り込まれ、都道府県を通じて事業所や医療機関に補助される。今回の賃上げは、介護報酬の3年ごと、診療報酬の2年ごとの見直しに先立つ「つなぎ」としての措置であり、来年度の報酬改定で恒久的な賃上げを目指している。厚生労働省によれば、2022年の介護職員の給与平均は29.3万円、看護補助者は25.5万円で、全産業平均(36.1万円)と比べて低く、介護分野では低賃金のために他産業への人材流出が続いており、離職者数が増加している。全国老人保健施設協会の調査では、介護職員の2023年度の賃上げ率は1.42%で、春闘の平均賃上げ率3.58%を大きく下回っている。岸田 文雄首相は、医療介護における賃上げや人材確保を重要な課題として挙げ、「必要な処遇改善の検討を行わなければならない」と述べている。参考1)介護職、月6000円賃上げ 人材流出抑制で-厚労省・補正予算(時事通信)2)介護職員の賃金、来年2月から月6000円引き上げ…離職の歯止め措置で補正予算案に盛り込む(読売新聞)3)コロナ交付金に6,143億円、補正予算案決定 月6千円相当の看護職賃上げへ(CB news

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ファストドクター、コロナ後遺症の専門オンライン診療を開始

 医療プラットフォーム「ファストドクター」は8月末からコロナ後遺症専門のオンライン診療サービスをスタートした。ファストドクターは2016年にスタートした在宅医療のデジタルプラットフォーム。主な事業として、夜間・休日医療の1)救急相談、2)救急往診・オンライン診療、3)かかりつけ医連携機能を担う。一般的な利用スタイルとしては、患者からの連絡で電話相談を受け、必要に応じて登録医師とマッチング、オンライン診療もしくは救急往診で対応、という流れとなる。 今回スタートしたコロナ後遺症専門サービスは、コロナ罹患後も倦怠感や不眠症などの体調不良が持続する人に対し、ファストドクターの登録医がオンラインで問診・診察を行う。コロナ後遺症は疲労感や味覚障害などの身体症状から不眠や記憶力低下などの精神障害にわたるものまで幅広く、患者側は適切な診療科を選択することが難しい。さらに対応する診療機関も限られる、という現状がある。 コロナ後遺症専門オンライン診療では、ファストドクターの救急往診サービスとの連携は行っておらず、オンライン診療後に対面受診が必要だと医師が判断した場合は、地域の専門医療機関への紹介状を発行し、そちらでの受診を促す。オンライン診療は精神科・内科を専門とする医師が中心となって対応するという。【コロナ後遺症専門オンライン診療の概要】・対応時間:月・木曜日(18~23時)・土曜日(9~12時)・対応地域:全国・薬の受け取り方法:自宅配送または指定の薬局での受け取り・利用方法:患者が専用サイトから予約してオンライン受診。保険証はオンライン確認、会計はクレジットカード払い。診療後は必要に応じて紹介状による専門機関との連携や必要書類を発行・料金:利用時間に応じて初診2,100円~(自己負担分の目安) また、サービスの提供を通じて収集される診療データは、患者の同意を得たうえで適した研究機関に提供され、コロナ罹患後の精神症状の評価や治療法の確立、治療薬の開発などに寄与することを目指すという。

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プライマリ・ケアと緩和ケアは統合されていくべきだ【非専門医のための緩和ケアTips】第54回

第54回 プライマリ・ケアと緩和ケアは統合されていくべきだ2023年5月に「第14回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会」が開催され、私も参加してきました。皆さんの中にも参加された方がいるのではないでしょうか。現地参加は数年ぶりでしたが、いろいろと刺激を受けました。今日の質問先日、プライマリ・ケアの学術団体の地方会に参加した際、緩和ケアに関する発表がありました。在宅医療でお看取りすることも増えてきたので、プライマリ・ケア医として、もう少し緩和ケアについて研修すると良いのかと感じました。今回はプライマリ・ケアと緩和ケアの関係についての質問ですが、これは非常に重要なポイントです。結論から言うと、緩和ケアの提供にとってプライマリ・ケアとの連携は非常に重要です。緩和ケア医の私がプライマリ・ケア学会に参加しているのも、この点が理由です。もっと言えば、緩和ケアとプライマリ・ケアは、「統合されていく」必要があると思っています。緩和ケアは悪性疾患のみでなく、非がん慢性疾患に対しても幅広く提供することが求められています。一方で、がん拠点病院などで活動する緩和ケアの専門スタッフはがん患者の対応だけで手一杯で、非がん疾患までをカバーするには十分な人員がいないのが実情です。そういった緩和ケア側の事情もあって、地域のプライマリ・ケアを支える診療所を中心とした先生方が緩和ケアを実践することが重要になっています。そうした背景から、プライマリ・ケアの学術大会でも緩和ケアに関連する企画が増えてきたのです。今回の学術大会では、日本プライマリ・ケア学会と日本緩和医療学会との合同企画もあり、「プライマリ・ケアを志す医師にとって望ましい緩和ケア研修のあり方」をテーマにしたセッションもありました。入院患者の緩和ケアと比較すると、在宅での緩和ケアは薬剤の使い方などをはじめ、異なる点が多くあります。そういった観点からは、今後在宅医療は緩和ケアを実践する場だけではなく、研修の場としての役割も期待されていくのではないでしょうか。ここまでで、「何がプライマリ・ケアで何が緩和ケアなのか?」という線引きが気になったかもしれません。もちろん、厳密にカリキュラムを整備するとか、診療報酬上の取り扱いのうえで分類することは大事です。ただ、実際の現場では、「地域の実情によってその線引きは異なる」というのが実際だと思います。プライマリ・ケアの実践の中で自然と緩和ケアが提供されているような、究極の統合モデルをつくれればと思います。今回のTips今回のTipsプライマリ・ケアと緩和ケアの統合を目指す時代が来ています。

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第165回 NP制度化、かかりつけ医機能認定制……、開業医常任理事を4人増員し、とにかく反対し続ける日医に未来はあるのか?

規制改革推進会議答申書、ナース・プラクティショナーは結局調査止まりこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は、久しぶりに茨城県桜川市で有機農業を営む大学の先輩宅へ農作業の支援に行ってきました。雨も止み暑さが和らいだ土曜、畑の草取りや玉ねぎの収穫などを手伝って来ました。先輩の話では、今年はグリーンピースや空豆、ニンニク、玉ねぎなどが例年になく豊作だったそうです。有機農法にこだわるあまり、貧相で虫食いの野菜が特徴の農園だったのですが、今年は直売所に置いても恥ずかしくない野菜ばかりで安心しました。「春が短く、早く夏が来たにもかかわらず、虫の出始めは例年並だったせいで、虫の被害が少なかったからではないか」と先輩は分析していました。温暖化の影響はこんなところにも出ているのでしょうか……。お土産に採れたての野菜をたくさんもらい、地球の未来について考えながら帰京しました。さて今回は、6月1日に政府の規制改革推進会議が公表した答申書、「転換期におけるイノベーション・成長の起点」1)の中の、とくに医療提供に関するパートについて考えてみたいと思います。「第162回 止められない人口減少に相変わらずのんきな病院経営者、医療関係団体(後編) 『看護師に処方権』『NP国家資格化』の行方は?」で多少の期待を込めて書いたナース・プラクティショナー(NP)ですが、結局は調査止まり、訪問看護ステーションでの配置可能薬拡大についても、実態調査を行ったうえで「必要な対応の検討を求める」方針となり、全体として尻すぼみの結果に終わりました。半ば予想されていたことですが、今回も日本医師会や日本薬剤師会などが強硬に反対したことが大きな理由です。現場の医師や薬剤師の仕事そのものにも大きなプラスになる改革だと思うのですが、未来のことを考えず、今ある既得権を守ろうとするその頑なさには、いつも”感心”してしまいます。「NP制度を導入する要望に対して様々な指摘があったことを適切に踏まえる」の一文答申の「医療・介護・感染症対策」の「医療関係職種間のタスク・シフト/シェア等」における医師、看護師間のタスクシェアについては、「医師、看護師が実際に果たしている役割や課題を令和6年度及び7年度に調査し、更なる医師、看護師間でのタスクシェアを推進するための措置について検討する」とされました。そして、「その際、限定された範囲で 診療行為の一部を実施可能な国家資格であるナース・プラクティショナー制度を導入する要望に対して様々な指摘があったことを適切に踏まえるものとする」との一文が入りました。「看護師が医師の包括的指示を受けて行い得る業務を明確化するため、現場のニーズを踏まえて、包括的指示の例を示す」ことや、「特定行為研修修了者の養成促進」「特定行為の運用状況と地域医療におけるニーズを現場の医師及び看護師等から把握し、特定行為の拡充について検討する」ことなども提言されました。訪問看護ステーションでの配置可能薬拡大も見送り日本薬剤師会が強く反対していた訪問看護ステーションでの配置可能薬拡大についても、「具体的にどのような地域にどの程度の頻度でどのような課題があるかについて現場の医師、薬剤師、看護師及び患者等に対して調査を行い、必要な対応を検討」とされ、具体案の提示にまで至りませんでした。ただ、24時間対応を謳いながら対応していない薬局に是正を求めるほか、それでも状況が改善しない場合は「訪問看護ステーションに必要な薬剤を配置することも含め必要な対応を検討する」としました。読みようによっては、「薬局も真面目にやらないと、制度化してしまうよ」と脅されたともとれます。医療・介護・感染症対策ワーキンググループで医師の佐々木 淳専門委員(医療法人社団悠翔会 理事長)の提案が、具体的で実効性がありそうだっただけに、この部分は今後動いて行く可能性も高そうです。答申前、日看協は厚労大臣に要望、日医など医療団体は反対の意見書ところで、規制改革推進会議の答申書が公表される10日前の5月22日、日本看護協会は「ナース・プラクティショナー(NP)制度の創設に関する検討」など、来年度の予算・政策に関する要望書を、加藤 勝信厚生労働大臣に提出しています2)。日看協は「特定行為研修制度では対応できない医療ニーズがあり、医師の指示が得られずに症状が悪化する利用者が少なくない」ことなどを踏まえ、NP制度化を改めて加藤厚労相に要望したわけですが、Medifax等の報道によれば、加藤厚労相は、NP制度の創設について、「離島やへき地など必要な場所はどこなのか、そしてそれらの地域の医療をどう支えるのか」との観点から、検討が必要との認識を示したとのことです。一方、NPの導入を阻止したい日本医師会は、5月24日、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会などとの連名で、「連携体制を強化することが第一に行われるべきことです。(中略)その点を改善しないまま、新たな資格により看護師が診断・処方をすれば解決するということはあり得ません」とする意見書3)を公表しています。意見書では、訪問看護師と医療機関との連絡体制を改めて確認するなど連携の強化をまず行うべきだと提言、在宅医療の分野で特定行為研修を推進する必要性も指摘しています。CBnewsマネジメントなどの報道によれば、日医の釜萢 敏常任理事は5月24日の定例記者会見で、「国によって医療の供給や提供体制は大きく異なる。NPの制度化が日本で本当に必要なのか慎重に検討する必要がある」と述べたとのことです。NPの必要性は「在宅医療」だけに留まるものではない日本ではNPは必要ない、医療現場で問題は何も起こっていない、やるなら特定行為研修の充実で十分だ、とする日医など医師、病院団体と、「医師の指示が得られず症状が悪化する利用者が少なくない」と主張し、NP制度化を要望する日看協。話はまったく噛み合わず、規制改革推進会議の答申も、一見日医寄りの内容となりました。しかし、「ナース・プラクティショナー制度を導入する要望に対して様々な指摘があったことを適切に踏まえるものとする」の一文が入ったことは、小さいながらも確実な前進と捉えることができそうです。日医側の意見書を読んでみると、なかなか苦しい言い訳だと感じます。「連携体制を強化することが第一」でそれが改善しないまま新たな資格をつくっても仕方がない、と主張していますが、そこを改善してこなかった、あるいはそこまで手が回らないのは一体誰なのか、という話です。現状、NPは「在宅医療」についての議論に留まっていますが、早晩、「医療」全体にも当てはまる話となっていくでしょう。日看協も厚労省に陳情するだけでなく、国民も巻き込んだPR作戦でも展開すれば局面も変わると思うのですが……。日本医師会常任理事4人増員の背景自分たちの既得権を壊しかねない規制改革案にとにかく反対し続ける日本医師会ですが、6月4日、新たに4人の常任理事を決定したと公表しました。立候補者が4人と定員と同数のため、6月25日に開催される第154回日本医師会定例代議員会では選挙は行われません。日本医師会の常任理事は現在10人。日本医師会の常任理事の14人への増員は3月26日の第153回臨時代議員会で承認され決定しました。「膨大かつ多様化する会務に対応できる有能な人材を、全国から発掘・登用し適材適所に配置する」ことが目的としています。この常任理事増員について、週刊ダイヤモンドの2023年6月3日号(医学部&医者特集号)に、「会長の座を巡って繰り返されるクーデター 医師会『役員大増員』の内情」というタイトルの、興味深い記事が掲載されています。その記事は、4人増員の最大の目的は、「4人を全国4地区に振り分けて、1人当り12都道府県を担当し、しっかりと会員増員や『医政活動』をやっていただく」(松本 吉郎会長の代議員会での言葉)ためと書いています。つまり、医師会員を増やし、自民党員を増やし、自民党議員とのつながりを強め、選挙における日医の力(集票力)を復活させるための常任理事増員というわけです。同記事はさらに、政権(自民党)と関係がうまく築けていない松本会長が「医政活動を強化しなければならないような状況に追い込まれているということだ。政権との太いパイプが築けていないからこそ、会員増強を図り国政選挙などで集票力を誇示しなければとの焦りのぞく」とも書いています。男性中心かつ診療所開業医のための利権団体同記事はまた、本連載の「第150回 かかりつけ医機能の確認めぐりひと悶着、制度化の芽も摘んだ日本医師会の執念」でも書いた、かかりつけ医機能の確認が「事実行為」か「行政行為」かをめぐってのひと悶着と、その結果、かかりつけ医機能の制度が骨抜きになってしまったことや、日医が発行する医学生向け情報誌のアンケートで、日医のイメージの5位が「開業医の利益のために活動している」であったことなどを挙げて、「日医がいま以上に『政治力』を発揮することを、医療全体、とりわけ現役の医師や、これから医師になろうとする医学生たちは望んでいるだろうか」とも書いています。先週、ある取材で地方の病院経営者に会ったのですが、「日医の新しい常任理事、4人とも診療所開業医だよ。これで診療所開業医のための利権団体という性格がこれまで以上に強まるね」と嘆いていました。人口減少、高齢社会という未来を見据えることなく、既得権とプライドに固執して制度の大胆な改革案に反対し続ける日本医師会に果たして未来はあるのでしょうか。ちなみに、増員された4人の常任理事は全員男性。現在の会長、副会長3人、常任理事14人中、女性は1人です。このあたりも時代に乗り遅れている気がします。「ズレてますから」と直言してくれる人間は、日医幹部の周りにいないのでしょうか。参考1)規制改革推進に関する答申~転換期におけるイノベーション・成長の起点~/内閣府2)令和6年度予算・政策に関する要望書/日本看護協会3)制改革推進会議医療・介護・感染症対策ワーキンググループにおけるナースプラクティショナー(NP)の議論について/日本医師会など

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加速する医療のタスク・シフト、今後はどう変わる? 【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第111回

薬局で薬剤師として働いている方は、薬剤師業務を行う中で「もうちょっとやれることが広がったらな」と一度は思ったことがあるのではないでしょうか。小さな話ですが、私は薬局で薬剤師が患者さんに湿布を貼ってあげてもよいのか、それは医療行為にあたるのか、と薬局で話し合ったことがあります。医療行為のタスク・シフト/シェアに動きがありそうです。政府の規制改革推進会議は6月1日、今後取り組む263項目の答申をまとめた。人手不足対策として、医師の業務を看護師に移すなどの「タスク・シフト」を明記したほか、人工知能(AI)を使った医療機器の開発促進などを盛り込んだ。政府は6月半ばに実施計画を閣議決定する。(中略)タスク・シフトについては、国の研修を受けた看護師が一部の医療行為を担える制度の普及が進んでいない。この研修を2024年度中に受けやすくするほか、看護師が担える業務を明確にし、業務範囲を広げることも検討する。(2023年6月1日付 朝日新聞デジタル)看護師は主に医師の診察・治療の補助を行いますが、医師の指示の下で一定の医療行為はできるとされています。さらに難易度の高い特定の医療行為については、国の研修を受講した看護師が担える制度が2015年に始まりました。しかし、研修が長時間に及ぶなどの理由で普及が想定どおりに進みませんでした。現在、医師が看護師に医療行為を指示する場合、日時や薬剤名を指定する「具体的指示」と、患者の状態変化を予測して一定範囲の行為を示す「包括的指示」があります。近くに医師がいる病院勤務の看護師と異なり、訪問看護師は医師と連絡がつかない場合などに患者への迅速な処置ができない事例があったことを踏まえ、上記の答申案では包括的指示で実施できる行為を2023年度中に明確にするよう求めました。包括的指示の範囲拡大の例として、「一定以上の発熱の場合は検査や投薬を実施する」などが挙げられています。これらにより、医師の不在時に訪問看護師が投薬の必要性などを判断することになるかもしれません。あくまでも個人的な印象ですが、少し前までは看護師の業務拡大などと聞くと、「看護師に負けない!」という薬剤師の声が聞こえましたが、ここ最近は聞かなくなったなという印象があります。在宅医療に携わる薬剤師が増えてきて、勝ち負けではなく、他の専門職といかに協働していくか、その現場でいかにその専門性を発揮するかという点にフォーカスされるようになってきたのではないでしょうか。また、答申では、訪問看護師が薬剤をすぐに入手できるよう24時間対応薬局の普及に向けた輪番制導入も促すとしています。現在、訪問看護ステーションに配置できる薬剤は限られているため、脱水症状で医師から点滴の指示が出ても、看護師が輸液を取りに行くのに往復で数時間かかるといったケースもあるようです。これとともに、配置できる薬剤の対象を拡充できないかという検討も規制改革推進会議で進められています。2024年4月から時間外労働の上限規制が医師にも適用されるため、医療現場は大きく変わろうとしています。また、高齢化や人材不足などさまざまな問題もある中、現場でそれぞれの職種が協力し、質・効率ともによい医療が提供されることが望まれています。

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