糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:202

交代勤務で血管イベントが増加、200万人以上の国際的メタ解析

 交代勤務制の労働形態により、血管イベントが有意に増加することが、カナダ・ウェスタン大学のManav V Vyas氏らの検討で示された。交代勤務は、一般に規則的な日中勤務(おおよそ9~17時の時間帯)以外の勤務時間での雇用と定義され、高血圧、メタボリック症候群、脂質異常症、糖尿病のリスクを増大させることが知られている。さらに、概日リズムの乱れにより血管イベントを起こしやすいとの指摘があるが、相反するデータもあるという。BMJ誌2012年8月25日号(オンライン版2012年7月26日号)掲載の報告。

細胞診で確定されない甲状腺結節、遺伝子発現分類法が評価を改善

 診断的手術によってその大半が良性と判明するものの通常の細胞診では確定されない良性の甲状腺結節について、167個の遺伝子の表現型を尺度とした新しい診断法である遺伝子発現分類法を術前検査に用いることで、診断的手術をより多く回避するよう示唆されることが、米国・ハーバードメディカルスクール/ブリガム&ウィメンズ病院のErik K. Alexander氏らによる大規模前向き検証試験の結果、明らかにされた。穿刺吸引によって評価される甲状腺結節の約15~30%は、良性なのか悪性なのかが判然とせず診断的手術となることが多い。遺伝子発現分類法は、術前リスク評価を改善することが有望視されていた。NEJM誌2012年8月23日号(オンライン版2012年6月25日号)掲載報告より。

肥満者の2型糖尿病発症予防には肥満外科手術が有効

 2型糖尿病の発症予防について、肥満者においては肥満外科手術が通常ケアと比べて顕著に有効とみなされることが、スウェーデン・ヨーテボリ大学のLena M.S. Carlsson氏らが「Swedish Obese Subjects(SOS)study」の長期追跡データを解析し報告した。減量は2型糖尿病に対し防御的に作用するが、行動変容だけで減量を維持し続けることは難しい。肥満外科手術は、2型糖尿病発症リスクが最も高い重度肥満者において、減量を維持可能な現在唯一の治療法で、多くの試験で糖尿病を軽減することが報告されている。しかし長期追跡と対照群を必要ため、予防効果について報告した試験はほとんどなかったという。NEJM誌2012年8月23日号掲載報告より。

バンデタニブが局所進行性/転移性分化型甲状腺がんのPFSを延長:無作為化二重盲検第2相試験

 放射性ヨード耐性の進行性分化型甲状腺がんに対する有効な標準的治療はまだない。Sophie Leboulleux氏らは、RET、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、上皮成長因子受容体(EGFR)のシグナル伝達のチロシンキナーゼ阻害薬であるバンデタニブが、無作為化二重盲検第2相試験によって、局所進行性または転移性分化型甲状腺がんに対する有効性を示したことを報告した。著者らは、この疾患に対するチロシンキナーゼ阻害薬のさらなる研究が必要であるとしている。The Lancet Oncology誌オンライン版2012年8月13日号に掲載。

糖尿病発症時に正常体重の人、過体重・肥満の人に比べ死亡リスクが約2倍

 2型糖尿病発症時の体重が正常範囲(BMI 25未満)の人は、過体重や肥満の人に比べ、長期死亡リスクは約2倍に増大することが示された。米国・ノースウェスタン大学のMercedes R. Carnethon氏らが、5つのコホート試験を基に分析を行い明らかにしたもので、JAMA誌2012年8月8日号で発表した。2型糖尿病発症時に正常体重の人は、いわゆる「隠れ肥満(metabolically obese normal-weight)」の代表と考えられている。しかしこれまで2型糖尿病発症時の体重と死亡との関連に関して、心不全や慢性腎臓病、高血圧などの慢性疾患でみられた「肥満パラドックス(obesity paradox:BMIが大きいほうが予後が良好)」が認められるかどうか、明らかでなかった。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(8)〕 結果は正しいが・・・

 無作為化試験のメタ解析で得られたエビデンスのレベルは最も高いとされるが、どの試験を解析対象とするかといった点に解析者の作為が入る余地があることからより注意深い批判的吟味(Critical Appraisal)が必要である。しかしCTT Collaborationは公平、中立な解析を行うグループであり、その点では安心してよい(高血圧領域ではBPLTTCが有名)。

血漿HDL-C高値、心筋梗塞のリスクを低下させない可能性が

 血漿HDLコレステロール(HDL-C)値の上昇が、必ずしも心筋梗塞のリスクを低減しない可能性があることが、米国・ペンシルバニア大学のBenjamin F Voight氏らの検討で明らかとなった。血漿HDL-C高値は心筋梗塞のリスク低減と関連するとされるが、その因果関係は不明である。遺伝子型は、減数分裂時にランダムに決定され、非遺伝子的な交絡因子の影響を受けず、疾患過程の修飾も受けないことから、バイオマーカーと疾患の因果関係の検証にはメンデル無作為化(mendelian randomization)解析が有用だという。Lancet誌2012年8月11日号(オンライン版5月17日号)掲載の報告。

スタチンによるLDL-C低下療法、低リスク集団でも血管イベントを低減

 スタチンによるLDLコレステロール(LDL-C)低下療法は、血管イベントの低リスク集団においても主要血管イベント(MVE)の抑制効果を発揮することが、Cholesterol Treatment Trialists’(CTT)Collaboratorsによる検討で示された。スタチンはLDL-Cを低下させることで血管イベントを予防するが、血管イベントのリスクが低い集団における効果は、これまで明らかにされていなかった。血管疾患の既往歴のない集団は血管イベントの絶対リスクが低いものの、血管イベントの半数以上はこの集団で発生しているため、とくにスタチン治療の1次予防効果は解明すべき重要な課題とされる。Lancet誌2012年8月11日号(オンライン版2012年5月17日号)掲載の報告。