アレルギー科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:9

乳児期のRSV感染が小児喘息発症に関連/Lancet

 正期産の健常児で、生後1年目(乳児期)に重症呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に感染していない場合は感染した場合と比較して、5歳時点の小児喘息の発生割合が大幅に低く、乳児期のRSV感染と小児喘息には年齢依存的な関連があることが、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのChristian Rosas-Salazar氏らが実施した「INSPIRE試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年4月19日号で報告された。  INSPIRE試験は、2012年6月~12月または2013年6月~12月に正期産で生まれた非低出生体重の健常児を対象とする大規模な住民ベースの出生コホート研究であり、米国テネシー州中部地域の11の小児科診療所で参加者の募集が行われた(米国国立衛生研究所[NIH]の助成を受けた)。

喘息診断で注目、タイプ2炎症バイオマーカーの手引き発刊/日本呼吸器学会

 タイプ2炎症は、主に2型ヘルパーT細胞(Th2細胞)や2型自然リンパ球(ILC2)が産生するIL-4、IL-5、IL-13などの2型サイトカインが作用する炎症である。気道・肺疾患と密接な関係にあり、診断や治療に直結する。とくに、生物学的製剤の治療選択や効果予測に重要な役割を果たすことから、近年注目を集めている。そのような背景から、「タイプ2炎症バイオマーカーの手引き」が2023年4月3日に発刊された。第63回日本呼吸器学会学術講演会において、本書の編集委員長を務めた松永 和人氏(山口大学大学院医学系研究科呼吸器・感染症内科学講座 教授)が「タイプ2炎症バイオマーカーが切り拓く未来」と題し、主に「喘息の診断と管理効率の向上」「疾患修飾による喘息寛解の展望」について、解説した。

喘息の悪化、寒い時期だけでなく夏の高温でも増加か

 喘息症状の発現や増悪には冷気の吸入、大気汚染物質やアレルゲンの吸入などが関連していることが知られている。気温の高さが喘息による入院の増加に関連するという報告も存在し、日本では姫路市の住民を対象とした研究において、夏季に気温が高くなると夜間の喘息増悪による来院が増加したことが報告されている。しかし、研究間で結果は一貫していない。また、年齢や性別、時間(日時)、地理的な要因による違いや交絡因子の影響は明らかになっていない。そこで、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのGaryfallos Konstantinoudis氏らは、イングランド全土における2002~19年の夏季の喘息による入院を調査した。その結果、交絡因子を調整しても夏季の気温上昇が喘息による入院リスクを上昇させ、その影響は16~64歳の男性で大きく、時間の経過と共に小さくなる傾向にあることが示された。Thorax誌オンライン版2023年4月17日号の報告。

アトピー性皮膚炎、抗IL-13抗体薬lebrikizumabが有効/NEJM

 インターロイキン13(IL-13)を標的とするIgG4モノクローナル抗体lebrikizumabは、中等症~重症アトピー性皮膚炎(AD)の成人・青少年患者を対象とした2つの第III相試験において、16週の導入療法期間での有効性が確認された。米国・ジョージ・ワシントン大学のJonathan I. Silverberg氏らがNEJM誌2023年3月23日号で報告した。  研究グループが実施した「ADvocate1試験」と「ADvocate2試験」は、個別にデザインされた52週の国際共同第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、いずれも16週の導入療法期間と36週の維持療法期間で構成された。

乳児期アトピーの“早期治療介入”、鶏卵アレルギーの発症予防に/国立成育医療研究センター

 国立成育医療研究センターの大矢幸弘氏らの研究グループは、2023年4月10日のプレスリリースで、食物アレルギーの発症リスクが高い、乳児期早期発症のアトピー性皮膚炎の乳児に対する早期の積極的治療が食物アレルギーの発症を予防することを世界で初めて実証したと発表した。  大矢氏らは、食物アレルギー予防のためにアトピー性皮膚炎の乳児に対して早期に治療を行う臨床研究「アトピー性皮膚炎への早期介入による食物アレルギー発症予防研究/多施設共同評価者盲検ランダム化介入平行群間比較試験:PACI(パッチー) Study(スタディ)」を実施し、研究対象となるアトピー性皮膚炎の生後7週~13週の乳児を、標準的な治療を行う群と、ステロイド外用薬などを使った積極的な治療を行う群に分け、生後28 週時点で鶏卵アレルギーがあるかどうかを調べた。

花粉症患者はコロナによる嗅覚・味覚障害が悪化しやすい

 花粉症患者では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染時の嗅覚・味覚障害のリスクが高く、その回復も遅いことが、中国・西安交通大学のJingguo Chen氏らの調査によって明らかになった。Laryngoscope investigative otolaryngology誌2023年2月号掲載の報告。急な嗅覚障害や味覚障害の発現は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予測因子と考えられている。しかし、慢性副鼻腔炎や喘息、季節性アレルギー、アレルギー性鼻炎などを有する患者では、SARS-CoV-2に感染する前にすでに併存疾患の影響によって嗅覚障害や味覚障害が生じている可能性があり、それらによる評価が効果的ではないことがある。

garadacimab、遺伝性血管性浮腫の発作数を低減/Lancet

 遺伝性血管性浮腫の予防において、活性化第XII因子(FXIIa)の完全ヒト型モノクローナル抗体garadacimabはプラセボと比較して、1ヵ月当たりの発作数を著明に減少させるとともに、出血や血栓塞栓イベントのリスクは増加しないことが、米国・ペンシルベニア州立大学のTimothy J. Craig氏らが実施した「VANGUARD試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年2月28日号で報告された。  VANGUARD試験は、日本を含む7ヵ国28施設で実施された二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2021年1月~2022年6月の期間に患者のスクリーニングが行われた(CSL Behringの助成を受けた)。

SJS/TENの28%が抗菌薬に関連、その内訳は?

 抗菌薬に関連したスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)および中毒性表皮壊死症(TEN)は、全世界における重大なリスクであることを、カナダ・トロント大学のErika Yue Lee氏らがシステマティックレビューおよびメタ解析で明らかにした。抗菌薬関連SJS/TENは、死亡率が最大50%とされ、薬物過敏反応のなかで最も重篤な皮膚障害として知られるが、今回の検討において、全世界で報告されているSJS/TENの4分の1以上が、抗菌薬関連によるものであった。また、依然としてスルホンアミド系抗菌薬によるものが主であることも示され、著者らは「抗菌薬の適正使用の重要性とスルホンアミド系抗菌薬は特定の適応症のみに使用し治療期間も限定すべきであることがあらためて示唆された」とし、検討結果は抗菌薬スチュワードシップ(適正使用)、臨床医の教育と認識、および抗菌薬の選択と使用期間のリスク・ベネフィット評価を重視することを強調するものであったと述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年2月15日号掲載の報告。

花粉症患者の5割が医療機関受診の経験なし/アイスタット

 2023年の春は「10年に1度」と言われるくらい花粉の飛散が予測され、連日、天気予報では大量飛散の注意を伝えている。花粉症関連の市販薬や花粉予防グッズの売り上げが伸びている中で、患者はどのように感じ、備えや治療を行っているのであろうか。株式会社アイスタットは2月8日に「花粉症」に関するアンケートを行った。  アンケート調査は、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の首都圏在住の会員20~59歳の300人が対象。

紅皮症性アトピー性皮膚炎にもデュピルマブが有効

 紅皮症性アトピー性皮膚炎(AD)は、広範な皮膚病変によって定義され、合併症を引き起こし、場合によっては入院に至る重症ADである。米国・ノースウェスタン大学のAmy S. Paller氏らは、デュピルマブの有効性と安全性を検討した6つの無作為化比較試験の事後解析において、紅皮症性AD患者に対するデュピルマブ治療は、全体集団と同様にADの徴候・症状の迅速かつ持続的な改善をもたらし、安全性は許容できるものであったと報告した。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年2月1日号掲載の報告。  中等症~重症のAD患者を対象にデュピルマブの有効性と安全性を検討した6つの国際共同、多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照比較試験について、事後解析が行われた。対象は、AD病変が体表面積(BSA)の90%以上かつ全般症状スコア(Global Individual Sign Score)の紅斑のスコアが1以上を満たした患者とした(紅皮症性AD)。