救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:58

「新型コロナウイルス感染症~日独の対応」Web講演開催/日本国際医学協会

 日本国際医学協会では、2020年11月26日(木)18時より、第60回国際治療談話会総会「新型コロナウイルス感染症~日独の対応」をWeb講演で開催する。日独それぞれにおける治療の実際、防疫課題についての講演が行われる。 <新型コロナウイルス感染症~日独の対応> 日時:2020年11月26日(木) 18:00~21:00(Web講演) 司会:近藤 太郎氏、ゲオルグ・K・ロエル氏(日本国際医学協会) 【講演I】新型コロナウイルス感染症の臨床像と治療の実際 演者:大曲 貴夫氏(国立国際医療研究センター 国際感染症センター長)、オリバー・ヴィッツケ氏(エッセン大学病院感染症科 教授、西ドイツ感染症センター[WZI] 理事)

Pfizer社の新型コロナワクチン、接種28日目以降の予防効果確認/第III相試験中間解析

 Pfizer社とBioNTech社が開発している、SARS-CoV-2に対するmRNAベースのワクチン候補BNT162b2の第III相試験の最初の中間解析で、感染歴のないボランティアへの2回目の投与(初回から21日後)の7日目以降に90%以上のワクチン有効率を示した。これは、ワクチン接種の開始から28日目以降の予防効果が達成されたことを意味する。Pfizer社とBioNTech社が11月9日に発表した。11月第3週に米国食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可(EUA)を申請する予定という。  BNT162b2の第III相試験は7月27日に開始。現在までに4万3,538人が登録され、そのうち3万8,955人が11月8日時点で21日間隔・2回目の投与を受けている。中間解析は、評価可能なCOVID-19症例数が94例に達した時点で外部の独立データモニタリング委員会により行われ、2回目の投与の7日後に90%を超えるワクチン有効率を示した。今後の研究の進行に応じて、最終的な有効率は変わる可能性がある。

COVID入院患者で注意しなくてはならないのは?(解説:香坂俊氏)-1314

COVIDは11月現在、まだ世界で猛威を振るい続けている。なかでも状況が深刻なのは米国であるが、かの国から興味深い報告がなされた(掲載されたのは珍しくBMJ[英国の雑誌]なのであるが…)。COVID-19の感染が確認された成人患者情報が68の病院のICUから集められ、合計5,019人の「集中治療を要した」COVID患者のデータが解析された。このうち14%が心肺停止となったとされ、このあたりの数値は武漢からの報告ともおおむね一致している(武漢のCOVID専属治療施設での重症例の心肺停止の頻度が20~25%程度であった)。院内心停止が発生した患者は高齢かつ、併存疾患が多く、ICU病床数の少ない病院に入院している傾向にあり、心停止の際にモニターでよく見られたパターンはPEA(無脈性電気活動:50%)とasystole(心静止:24%)であった

PCI後チカグレロルvs.クロピドグレル、NACEリスク差は?/JAMA

 日常臨床で経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた急性冠症候群(ACS)患者の抗血小板療法において、チカグレロルとクロピドグレルには、1年後の純臨床有害事象(NACE、虚血性イベント+出血性イベント)のリスクに差はないことが、韓国・亜洲大学校のSeng Chan You氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年10月27日号で報告された。欧米の現行のガイドラインは、主に単一の大規模な無作為化臨床試験(PLATO試験)に基づき、ACS患者への優先的なP2Y12阻害薬としてチカグレロルを推奨しているが、PLATO試験では北米やアジアの患者におけるチカグレロルの有益性は明確ではなく、薬剤誘発性の呼吸困難や出血イベントなどの問題が残されている。また、最近の観察研究の結果からは、日常臨床においてチカグレロルはクロピドグレルに比べ良好な転帰をもたらすとの見解に疑問が投げ掛けられているという。

COVID-19に対する中和抗体LY-CoV555の有効性は?/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の外来患者へのSARS-CoV-2の中和抗体LY-CoV555投与について、2,800mg用量ではウイルス量を減少することが認められたが、他の用量では有効性が確認されなかった。米国・シダーズ・サイナイ医療センターのPeter Chen氏らが、進行中の第II相試験「Blocking Viral Attachment and Cell Entry with SARS-CoV-2 Neutralizing Antibodies trial:BLAZE-1試験」で事前に計画された中間解析(2020年9月5日現在)の結果を報告した。COVID-19は、多くの患者では軽症であるが、重症化し生命を脅かす可能性もある。ウイルス中和モノクローナル抗体は、ウイルス量を減らし、症状を改善し、入院を防ぐと予測されている。NEJM誌オンライン版2020年10月28日号掲載の報告。

COVID-19回復者血漿療法は有益か/BMJ

 インドで行われた第II相多施設共同非盲検無作為化試験の結果、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)回復期患者の血漿を用いた治療は、COVID-19の重症化や全死因死亡の抑制と関連しないことが、インド・Indian Council of Medical ResearchのAnup Agarwal氏らにより報告された。2020年10月現在、COVID-19回復期血漿療法に関しては、複数の小規模ケースシリーズと1つの大規模観察試験(3万5,000例超)および3つの無作為化試験が発表されている。観察試験では臨床的有益性が示唆されたが、試験は早期に中止され、また死亡への有益性を確認することはできていなかった。BMJ誌2020年10月22日号掲載の報告。

Scoop and Runは正しいのか? 院外心停止の現場から(解説:香坂俊氏)-1311

院外での心停止(OHCA:Out-of-Hospital Cardiac Arrest)の際、(1)そのまま現場にとどまって蘇生行為を続けるか、あるいは(2)専門施設への搬送を優先するのか(いわゆるScoop and Runと呼ばれる方式)、難しい判断を迫られることも多い。そうした現場のジレンマを解決すべく、北米で大規模調査(2万7,705例)のデータ解析が行われた(傾向スコアを活用し2群の重症度をある程度マッチさせた集団をこの研究では扱っている)

COVID-19の入院/死亡の新予測アルゴリズムが有望/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院と死亡を予測するリスクアルゴリズム「QCOVID」は、良好に機能し識別能は非常に高いことが認められた。英国・Radcliffe Observatory QuarterのAsh K. Clift氏らは、成人COVID-19患者を含む患者データを用いたコホート研究により「QCOVID」を開発し、検証結果を報告した。これまでに論文発表されたCOVID-19のリスク予測モデルは、バイアスリスクが高く、実臨床に適用する際には信頼できない可能性があることが懸念されていた。今回のリスクアルゴリズムについて著者は、「提示された絶対リスクは、SARS-CoV-2感染率やソーシャルディスタンスの取り方などに応じて時間とともに変化する可能性があるので、解釈には注意すべきである」と述べたうえで、「本モデルは、異なる期間で再較正することができ、流行拡大に合わせて動的にアップデートされる可能性がある」としている。BMJ誌2020年10月20日号掲載の報告。

中等度COVID-19へのトシリズマブ、挿管・死亡リスク低減せず/NEJM

 これまで明らかになっていなかった、人工呼吸器を要しない中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対するIL-6受容体遮断薬トシリズマブの有効性について、挿管または死亡のリスクを低減しないことが、米国・マサチューセッツ総合病院のJohn H. Stone氏らが行った、COVID-19入院患者243例を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験で示された。ただし、有効性比較の信頼区間(CI)値が幅広く、一部の有益性と有害性は排除できないとしている。NEJM誌オンライン版2020年10月21日号掲載の報告。

普段から気を付けたい身体診察のうっかり/日本感染症学会

 第94回日本感染症学会総会・学術講演会(会長:館田 一博氏[東邦大学医学部 教授])が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行下、8月19日~21日の期日でインターネット配信との併用で東京にて開催された。  本稿では、特別企画「感染症を究める」より徳田 安春氏(群星沖縄臨床研修センター長)の「診察」の概要をお届けする。  「感染症です」と外来に訪れる患者はいない。その多くは「熱っぽい、だるい、寒気がする」などの訴えから医師が知識と経験を通じて総合的に診断をする。徳田氏の講演では、こうした診断の際に忘れがちなポイントや見落としやすい身体部位などについて症例を交え、レクチャーを行った。以下にレクチャーされた症例を抜粋して紹介する。