救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:104

携帯GPS機能で心肺蘇生実施率が向上/NEJM

 携帯電話使用者の位置情報を瞬時に特定する携帯電話位置情報システムを使って、救急通報があった院外心停止が疑われる患者の近くにいる心肺蘇生(CPR)訓練を受けたボランティア市民に連絡し、現場への急行を依頼することで、“居合わせた市民(バイスタンダー)によるCPR実施率”が有意に上昇したことが示された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のMattias Ringh氏らが、二重盲無作為化比較試験を行い明らかにした。バイスタンダーによるCPRは、院外心停止患者の生存率上昇と関連することが示されている。NEJM誌2015年6月11日号掲載の報告より。

救急隊到着前の心肺蘇生で予後改善/NEJM

 スウェーデンでは、人口約970万人のうち300万人以上が心肺蘇生(CPR)の訓練を受けているが、その効果を疑問視する声があるという。今回、同国カロリンスカ研究所のIngela Hasselqvist-Ax氏らが調査したところ、救急隊(EMS)到着前のCPRにより院外心停止患者の30日生存率が2倍以上に向上していることがわかった。心肺停止患者のアウトカムの改善には発症から治療開始までの期間の短縮が重要であり、欧米のガイドラインでは、院外で可能な最も重要な措置は、心停止の発生を早期に認識して緊急電話を入れ、CPRおよび除細動を行うこととされる。研究の成果は、NEJM誌2015年6月11日号掲載の報告より。

急性期重症患者、経腸栄養の至適目標量は?/NEJM

 急性期重症患者の経腸栄養療法について、非タンパクカロリー量を制限する低栄養許容(permissive underfeeding)の補給戦略は、標準量の補給法と比較して90日死亡率の低下について有意な差はなかったことが示された。サウジアラビア・King Saud Bin Abdulaziz大学のYaseen M. Arabi氏らが、同国およびカナダの7施設のICU入室患者894例を対象とした無作為化試験の結果、報告した。急性期重症患者の至適目標栄養量については明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2015年5月20日号掲載の報告より。

心臓手術後の呼吸不全、ネーザルハイフローは有用/JAMA

 心臓手術後の呼吸不全患者または同リスクのある患者に対して、ネーザルハイフロー(high-flow nasal oxygen)療法はバイレベル気道陽圧(BiPAP)療法と比較して、遜色のない治療法であることが明らかにされた。フランス、マリ・ラヌロング記念外科センター(CCML)のFrancois Stephan氏らが無作為化試験の結果、報告したもので、「所見は、類似の患者であれば、ネーザルハイフロー療法の使用を支持するものであった」とまとめている。心臓手術後に低酸素血症を来した患者について、再挿管を回避しアウトカム改善する非侵襲的な換気法として、しばしばBiPAP療法が用いられる。一方でネーザルハイフロー療法は、施行の簡便さ、耐用性および臨床的効果の観点から酸素投与が必要な患者への使用が増大しており、研究グループは、ネーザルハイフロー療法がBiPAP療法に劣らないと仮定し無作為化試験で検証した。JAMA誌オンライン版2015年5月17日号掲載の報告より。

第4回 臨床研修医・医学生のための救急セミナー【ご案内】

 日本救急医学会は、本年も臨床研修医・医学生を対象に救急医学の魅力を伝えるセミナーを開催する。救急医の活躍する場は、ER、ICU、手術室、災害医療と多岐にわたる。当日はさまざまな現場で働く現役の救急医が参加し、症例検討、クイズ、ディスカッションを通じて参加者との交流を図る。を身に着けてきた来場者にプレゼントも用意されている。

REVASCAT試験:脳梗塞の急性期治療に対する血栓回収療法の有効性と安全性が確立(解説:中川原 譲二 氏)-359

 2015年2月に、米国・ナッシュビルで開催された国際脳卒中学会議(ISC)では、急性期脳梗塞に対する、血栓回収療法の有効性を示す4件(MR-CLEAN、ESCAPE、EXTEND-IA、SWIFT-PRIME)のランダム化比較試験(RCT)の結果が一挙に報告され、脳梗塞の急性期治療は、t-PA静注療法の確立から20年目にして歴史的な転換点を迎えようとしている。

脳卒中後の超急性期リハは本当に有効か/Lancet

 脳卒中後24時間以内に開始する超急性期リハビリテーション(very early mobilization)は、介入量が多いほど、また早期であるほど3ヵ月後の良好なアウトカムのオッズ比減少と関連していることが報告された。オーストラリア・メルボルン大学のJulie Bernhardt氏らAVERT試験研究グループが、2,104例の患者について行った無作為化試験の結果、明らかにした。著者は「世界中のガイドラインで脳卒中後の早期リハが推奨されているが、われわれの検討結果は現行のガイドラインを改善して臨床に反映すべきであることを示すものであった。ただし臨床的な勧告は、さらなる用量反応関連の分析を行い告知するべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2015年4月16日号掲載の報告。

急性虚血性脳卒中、血栓除去術の追加は有用/NEJM

 急性期虚血性脳卒中患者に対する発症後8時間以内のステント型リトリーバー(血栓回収デバイス)を用いた血栓除去術は、脳卒中による障害の重症度を改善し、機能的自立の割合を増加させることが、米国・ピッツバーグ大学医療センターのTudor G Jovin氏らが実施したREVASCAT試験で示された。近年、機械的血栓除去療法の臨床的有効性が複数の無作為化試験によって報告されているが、脳卒中の血管内治療の試験では、間断のない連続的な患者登録が困難なことが問題とされる。その解決策として、本試験では地域住民ベースの前向き患者登録システムが用いられた。NEJM誌オンライン版2015年4月17日号掲載の報告。