呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:34

がん罹患数が著増、がん死は減少~英国の25年/BMJ

 英国の年齢35~69歳の集団では、1993~2018年の25年間にがん罹患数が大きく増加したのに対し、がんによる死亡率は減少しており、この減少にはがんの予防(喫煙防止策、禁煙プログラムなど)と早期発見(検診プログラムなど)の成功とともに、診断検査の改善やより有効性の高い治療法の開発が寄与している可能性があることが、英国・Cancer Research UKのJon Shelton氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2024年3月13日号に掲載された。

肉を避ければいびきをかきにくくなる?

 植物性食品中心の健康的な食事スタイルの人は、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)のリスクが低いことを示唆するデータが報告された。フリンダース大学(オーストラリア)のYohannes Melaku氏らの研究によるもので、詳細は「ERJ Open Research」に2月20日掲載された。  OSAは睡眠中に気道がふさがれて呼吸が止まることを繰り返す病気。睡眠が浅くなりやすく、また呼吸が止まる前後に大きないびきをかくことが多い。さらに、高血圧や2型糖尿病、脳卒中、心臓病のリスクとも関連することが知られている。このOSAは肥満に伴いやすい病気のため、摂取エネルギー量との関連がこれまでに研究されてきている。それに対してMelaku氏らは、食事の質とOSAリスクとの関連に焦点を当て、米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータを用いた横断研究を行った。

高齢NSCLC患者へのICI、化学療法の併用を検討すべき患者は?

 PD-L1高発現(TPS≧50%)の非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、PD-1またはPD-L1を標的とする免疫チェックポイント阻害薬(ICI)単剤療法、ICIと化学療法の併用療法は標準治療の1つとなっている。しかし、高齢者におけるエビデンスは限られており、ICI単剤療法とICIと化学療法の併用療法のどちらが適切であるかは明らかになっていない。そこで、70歳以上のPD-L1高発現の進行NSCLC患者を対象とした多施設共同後ろ向き研究において、ICI単剤療法とICIと化学療法の併用療法が比較された。その結果、ECOG PS0または非扁平上皮がんの集団では、ICIと化学療法の併用療法が全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を改善した。本研究結果は、京都府立医科大学の武井 翔太氏らによってFrontiers in Immunology誌2024年2月23日号で報告された。

タバコを吸いたくなくなる食べ物は、果物や乳製品

 喫煙の欲求は、特定の食べ物や飲み物と関連する。新たな研究により、紙巻きタバコ・加熱式タバコ喫煙者において、摂取するとタバコを吸いたくなる飲食品は、ビールなどのアルコール飲料、コーヒー、脂肪の多い食品などであることが判明した。反対に、タバコを吸いたくなくなる飲食品は果物や乳製品であり、喫煙者では非喫煙者と比べて、果物や乳製品の摂取量が有意に少なかったという。京都女子大学家政学部食物栄養学科の三好希帆氏、宮脇尚志氏らによるこの研究は、「Tobacco Induced Diseases」に1月5日に掲載された。

新型コロナによる世界の死亡率と平均余命への影響/Lancet

 世界の成人死亡率は、2020年および2021年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック中に著しく上昇し、それまでの減少傾向が逆転した一方、小児死亡率は以前より緩やかではあるものの減少が続いていた。米国・保健指標評価研究所(IHME)のAustin E. Schumacher氏らGBD 2021 Demographics Collaboratorsが解析結果を報告した。COVID-19はパンデミックの最初の2年間に多くの人口統計学的指標に大きな影響を及ぼしたが、評価した72年間にわたる世界全体の保健医療の進歩は大きく、死亡率と平均余命は著しく改善していたという。また、低所得国では人口が安定または増加しているにもかかわらず、2017年以降、世界の人口増加の減速と共に、世界的に人口年齢構造の高齢化が続いていた。

酒で顔が赤くなる人は、コロナ感染リスクが低い?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック時、日本は欧米などと比較して人口当たりの感染率・死亡率が低かったことが報告されている。この要因としては、手洗いやマスクなどの感染予防策が奏効した、日本の高い衛生・医療水準によるものなどの要因が考えられているが、アジア人に多い遺伝子型も一因となっている可能性があるとの報告がなされた。佐賀大学医学部 社会医学講座の高島 賢氏らによって国内で行われた本研究の結果は、Environmental Health and Preventive Medicine誌に2024年3月5日掲載された。  日本人をはじめとした東アジア人には、アルコールを分解するアルデヒド脱水素酵素2型(ALDH2)の活性が弱く、飲酒時に顔が赤くなる特性を持つ人(rs671変異体)が多い。

ICIによる心臓irAE発症タイミングと危険因子~国内RWDより/日本循環器学会

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)とは、ご存じのとおり、近年注目されているがん薬物療法で、T細胞活性を増強することによって抗腫瘍効果をもたらし、多くのがん患者の予後を改善させている。しかし、副作用として心筋炎や致死性不整脈など循環器領域の免疫関連有害事象(irAE)の報告も散見される。そこで、稗田 道成氏(九州大学医学部 第一内科 血液・腫瘍・心血管内科)らがLIFE Study1)のデータベースを基に心臓irAEの発生率を調査し、3月8~10日に開催された第88回日本循環器学会学術集会Late Breaking Cohort Studies2において報告した。

深刻化が懸念される抗がん剤のドラッグ・ロスについて議論/日本臨床腫瘍学会

 日本の医療界にとって深刻な課題となりえるドラッグ・ロス。第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)では、会長企画シンポジウムとして取り上げられ、各方面の専門家による議論が交わされた。  国立がん研究センター中央病院先端医療科長の山本 昇氏は、ドラッグ・ロス解消を目的に欧米のEBPと交渉した体験談を交え発表した。  EBPとの交渉では、薬価制度に対する苦言はなかったものの、日本の医療環境や開発環境は知られていないことが明らかになった。開発対象の患者数がわからず、日本で薬を開発したらどれだけ売れるかイメージできていない。日本のがん統計データは日本語表記という問題がある。それだけでなく、EBPが求めるのは特定の遺伝子異常のがん患者数など、現状のがん統計データよりも細かい情報である。一方、日本は承認されると一定期間内に必ず保険償還されるという特徴は好感触であった。

論文執筆における生成AIの利用範囲はどこまでか?(解説:折笠秀樹氏)

ChatGPTなどの生成AI(GAIと呼ぶ)に関する、指針に関する調査報告です。ChatGPTは2022年に生まれ、急拡大したのは周知のとおりです。英文校正や翻訳作業の利用にとどまらず、論文執筆や図表作成にも使われ始めたようです。こうした生成AIの利用に関する指針が出てきたのは見聞きしていましたが、それに関する大々的な調査結果です。当然ながら、著名な雑誌ほど投稿規定などにいち早く盛り込んでいました。トップジャーナルではすでに87%に及んでいますが、全体で見るとまだ24%しかないようです。生成AIを共著者とすることは、95%以上で禁止しているようです。しかし、生成AIを利用すること自体を禁止しているわけではありません。その範囲はどこまでにすべきかについて、雑誌ごとにばらばらのようです。コンセンサスが得られていないということなのでしょう。

喫煙による咽頭がんリスク、非喫煙者の9倍に

 飲酒、喫煙ががん罹患リスクと関連するとの報告は多いが、頭頸部がんと飲酒、喫煙、食習慣との関連をみた研究結果が発表された。米国・ワシントン大学のDaniel P. Lander氏らによる本研究の結果は、JAMA Otolaryngology誌オンライン版2024年2月8日号に掲載された。  本研究は、前立腺がん、肺がん、大腸がんおよび卵巣がん検診に関する臨床試験参加者のコホート解析だった。参加者は55~74歳、1993年11月~2001年7月に全米10施設で募集された。頭頸部がんを発症した参加者は、喫煙、飲酒、食習慣解析のため、人口統計学および頭頸部がん家族歴に加え、喫煙状況および喫煙期間に基づいて対照群とマッチングされた。