医療一般|page:149

ワルファリン時代vs.DOAC時代、日本の実臨床でのVTE長期転帰

 静脈血栓塞栓症(VTE)に対し、実臨床で直接経口抗凝固薬(DOAC)が使用されるようになって以降、ワルファリン時代と比較した長期転帰には実際どのような変化があるのだろうか。京都大学の金田 和久氏らは、急性の症候性VTE患者を対象とした多施設共同観察研究COMMAND VTE Registryから、ワルファリン時代とDOAC時代のデータを比較し、結果をJournal of the American College of Cardiology誌2024年8月6日号に報告した。  本研究では、COMMAND VTE Registryから、ワルファリン時代(2010~14年)の連続3,027症例(29施設)を登録したレジストリ1と、DOAC時代(2015~20年)の連続5,197症例(31施設)を登録したレジストリ2のデータが用いられた。

医師偏在に対する6項目の考え方/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、定例会見を開催し、「医師偏在に対する日本医師会の考え方」について、過去の地域医療との医師会の取り組みや実績を辿りつつ、今後の医師偏在への医師会の取り組みについて、その考え方を説明した。  会見では松本会長が、日本医師会は、地域のかかりつけ医として自院の診療や在宅診療以外に「地域の時間外・救急対応」、「行政・医師会等の公益活動」、「地域保健・公衆衛生活動」「多職種連携(訪問診療などの在宅医療ネットワークへの参画など)」、「その他(看護師・准看護師養成所、種々の診断書の作成など)」の活動を地域と連携して行い、住民の健康を守るため、それぞれの地域を面として支えてきたことを説明した。

X世代とミレニアル世代でがん罹患率が上昇

 X世代(1965年から1980年の間に生まれた世代)とミレニアル世代(1981年から1990年代半ば頃までに生まれた世代)でがん罹患率が上昇していることが、新たな研究で明らかにされた。若い世代ほど、34種類のがんのうちの17種類の罹患率が上昇していることが示されたという。米国がん協会(ACS)のサーベイランス・健康公平性科学の上級主任研究員であるHyuna Sung氏らによるこの研究結果は、「The Lancet Public Health」8月号に掲載された。  今回の研究でSung氏らはまず、2000年1月1日から2019年12月31日の間の、34種類のがんの罹患率と25種類のがんによる死亡率のデータを入手した。このデータは、2365万4,000人のがん罹患者と734万8,137人のがんによる死亡者で構成されていた。Sung氏らは、これらの人を、1920年から1990年までの5年ごとの出生コホートに分け、出生コホート間でがんの罹患率比(IRR)と死亡率比(MRR)を計算して比較した。

主食・主菜・副菜をとる頻度と栄養素摂取量の関係

 主食・主菜・副菜を組み合わせた食事をとる頻度が、さまざまな栄養素の習慣的な摂取量とどのように関係するかを詳細に調べる研究が行われた。その結果、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の頻度は栄養素摂取量の適切さと関連し、その頻度が低いほど、たんぱく質やビタミンなど、いくつかの栄養素の摂取量が低いこと、習慣的な摂取状況が不足の可能性の高い栄養素の数が多いことが示された。神戸学院大学栄養学部の鳴海愛子氏らによる研究であり、「Nutrients」に5月26日掲載された。

食育プログラムが子どもと大人の孤独を改善

 地域における多世代を対象とした食育プログラムを実施した結果、参加した子どもと大人の孤独感に対して肯定的な影響が認められ、食育が孤独を改善する手段として有効である可能性が示唆された。昭和女子大学大学院生活機構研究科の黒谷佳代氏らが行った研究の成果であり、「Nutrients」に5月28日掲載された。  孤独対策では、人と人との「つながり」を実感できる地域作りが重要である。つながりを感じられる場所を確保する手段の一つとして、日本では食育が推進されている。例えば、子ども食堂は地域の子どもたちと大人が一緒に食事をすることができ、多世代が集うコミュニケーションの場所となっている。しかし、地域における多世代を対象とした食育について、その効果をまとめた研究報告は少ない。

コーヒーや紅茶の摂取と認知症リスク~メタ解析

 コーヒー、紅茶、カフェイン摂取と認知症およびアルツハイマー病リスクとの関連性は、限定的で相反する結果が示されている。中国・汕頭大学のFengjuan Li氏らは、これらの関連性を明らかにするため、潜在的な用量反応関係を定量化することを目指し、メタ解析を実施した。Food & Function誌2024年8月12日号の報告。  2024年6月11日までの公表されたコホート研究を、PubMed、EMBASE、Web of Scienceより検索した。ランダム効果モデルを用いて、プールされた相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。用量反応関係の評価には、制限付き3次スプラインを用いた。バイアスリスクの評価には、GRADE(Grading of Recommendations Assessment Development and Evaluation)ツールを用いた。

早老症の寿命延長に寄与する治療薬ロナファルニブ発売/アンジェス

 アンジェスは、小児早老症であるハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(HGPS)とプロセシング不全性プロジェロイド・ラミノパチー(PDPL)の治療薬であるロナファルニブ(商品名:ゾキンヴィ)の発売に伴い、都内でプレスセミナーを開催した。  HGPSとPDPLは、致死性の遺伝的早老症の希少疾病であり、若い時点から死亡率が加速度的に上昇する疾患。これらの疾患では、深刻な成長障害、強皮症に似た皮膚症状などを来す。  ロナファルニブは、2023年3月に厚生労働省により希少疾病医薬品に指定され、2024年1月に国内製造販売承認を取得、同年4月に薬価基準に収載され、同年5月27日に発売された。

モデルナのJN.1対応コロナワクチン、一変承認を取得

 モデルナは2024年8月23日付のプレスリリースにて、オミクロン株JN.1に対応する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「スパイクバックス筋注(1価:オミクロン株JN.1)」の承認事項の一部変更承認を厚生労働省より取得したことを発表した。  厚生労働省は2024年5月に、2024/2025秋冬シーズンの定期接種に使用する新型コロナワクチンの製造株として、JN.1系統および下位系統に中和抗体を誘導する抗原を採用することを決定していた。このガイダンスは、世界保健機関(WHO)のTAG-CO-VACの勧告と一致している。

成人のうつ病や不安症と関連する幼少期の要因とは

 うつ病および不安症の発症率について、子宮内・周産期・幼児期の発達段階における5つの人生早期の因子(母乳育児、出産前後の母親の喫煙、出生体重、多児出産、養子縁組)との長期的な関連性を明らかにするため、中国・Medical College of Soochow UniversityのRuirui Wang氏らが40~69歳の成人を対象に調査を行った。Translational Psychiatry誌2024年7月20日号の報告。  UK Biobankのデータを用いて、2006~10年に40~69歳の50万2,394例を募集した。ベースライン時にタッチスクリーンアンケートまたは口頭でのインタビューを通じて、参加者より幼少期の情報を収集した。主要アウトカムは、うつ病および不安症の発症とした(ICD-10に従って定義)。各因子のハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。

高K血症によるRA系阻害薬の中止率が低い糖尿病治療薬は?

 高血圧治療中の2型糖尿病患者が高カリウム(K)血症になった場合、レニン-アンジオテンシン系阻害薬(RA系阻害薬)を降圧薬として服用していたら、その使用を控えざるを得ない。最近の報告によれば、GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)は尿中カリウム排泄を増加させ、高K血症のリスクを軽減させる可能性があることが示唆されている。今回、中国・北京大学のTao Huang氏らは2型糖尿病患者の治療において、GLP-1RAは高K血症の発生率が低く、DPP-4阻害薬と比較してRA系阻害薬が継続できることを示唆した。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2024年8月12日号掲載の報告。

ADHDや境界性パーソナリティ障害に対するシンバイオティクスの有効性〜basket試験

 注意欠如多動症(ADHD)およびまたは境界性パーソナリティ障害(BPD)の患者では、易怒性により予後が悪化し、死亡率上昇を来す可能性がある。しかし、その治療選択肢は、不十分である。近年、プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせたシンバイオティクスは、医療のさまざまな領域で注目されている。スペイン・Hospital Universitari Vall dHebronのGara Arteaga-Henriquez氏らは、ADHDまたはBPD患者の易怒性レベルに対するシンバイオティスクの有効性を評価するため、ランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。Brain, Behavior, and Immunity誌2024年8月号の報告。  本試験は、2019年2月〜2020年10月、ハンガリー、スペイン、ドイツの臨床センター3施設で実施した。対象は、ADHDおよびまたはBPDと診断され、易怒性レベルの高い18〜65歳の患者。易怒性レベルが高い患者の定義は、Affectivity Reactivity Index(ARI-S)5以上かつ臨床全般印象度-重症度(CGI-S)スコア4以上とした。対象患者は、シンバイオティクス群とプラセボ群にランダムに割り付けられ、10週間連続で毎日投与を行った。主要アウトカムは、治療終了時の治療反応とした。治療反応の定義は、ベースライン時と比較し10週目のARI-Sスコア30%以上減少かつ臨床全般印象度-改善度(CGI-I)総スコアが3未満(very muchまたはmuch)とした。両群間の副次的アウトカムの治療差および安全性も評価した。

長期のコロナ罹患後症状、入院後6ヵ月時点がカギに

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、急性期以降の認知および精神医学的転帰のリスク増加と関連することが知られている。英国で行われた大規模研究ではCOVID-19による入院後2~3年間における認知・精神症状の進行を追跡し、その症状と就労への影響について調査した。The Lancet Psychiatry誌2024年9月号掲載の報告。  本研究は英国の臨床医コンソーシアムであるThe Post-hospitalisation COVID-19 study(PHOSP-COVID)の登録データを使い、英国全土の参加病院でCOVID-19の臨床診断を受けて入院した成人(18歳以上)を対象とした前向き縦断コホート研究だった。

日本発の論文数は横ばい、博士課程への進学者は微増/文科省

 文部科学省科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の科学技術予測・政策基盤調査研究センターが毎年発行している『科学技術指標2024』が公開された。  この指標は、わが国の科学技術活動を客観的・定量的データに基づき、体系的に把握するための基礎資料であり、科学技術活動を「研究開発費」、「研究開発人材」、「高等教育と科学技術人材」、「研究開発のアウトプット」、「科学技術とイノベーション」の5つのカテゴリーに分類、約160の指標で状況を表している。  2024年版の主要な指標では、産学官を合わせた研究開発費、研究者数は主要国(日米独仏英中韓の7ヵ国)中第3位、論文数(分数カウント法)は世界第5位だった。注目度の高い論文を見るとTOP10%・TOP1%補正論文数で第13位・第12位であり、いずれについても昨年と同順位だった。また、博士課程入学者数は長期的に減少していたが、2023年度に対前年度比4.4%増加した。

加糖飲料とうつ病リスク〜前向きコホート研究

 加糖飲料とうつ病リスクの遺伝的素因との関連性は、いまだ明らかとなっていない。中国・天津医科大学のYanchun Chen氏らは、加糖飲料、人工甘味飲料、天然ジュースとうつ病との関連を調査し、これらの関連が遺伝的素因により変化するかを評価した。General Psychiatry誌2024年7月17日号の報告。  ベースライン時のうつ病でない39〜72歳の一般集団18万599人を英国バイオバンクのデータより抽出した。加糖飲料、人工甘味飲料、天然ジュースの摂取量は、2009〜12年の24時間思い出し法(24-hour dietary recall)より収集した。うつ病の多遺伝子リスクスコアを推定し、低リスク(最低三分位)、中リスク(中間三分位)、高リスク(最高三分位)に分類した。ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)の算出には、Cox比例ハザードモデルおよびsubstitutionモデルを用いた。

自己免疫疾患を有するがん患者、免疫チェックポイント阻害薬によるirAEリスクは?

 自己免疫疾患を有するがん患者では、免疫チェックポイント阻害薬の投与によって免疫関連有害事象(irAE)が発現する割合は高いものの、これらは軽度で管理可能であり、がんへの反応性には影響がなかったことを、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのMaria A. Lopez-Olivo氏らが明らかにした。European Journal of Cancer誌2024年8月号掲載の報告。 自己免疫疾患を有するがん患者は、免疫チェックポイント阻害薬のランダム化比較試験から除外されていることが多い。そこで研究グループは、自己免疫疾患の既往があり、免疫チェックポイント阻害薬を投与されたがん患者を含む観察試験と非対照試験のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施し、新規イベントや自己免疫疾患の再燃を含むirAEの発現率、irAEによる入院・死亡などを調査した。

グセルクマブ、尋常性乾癬への投与間隔を16週ごとに延長可能か

 インターロイキン(IL)-23のp19サブユニットに結合し、IL-23の活性を阻害するグセルクマブを用いた尋常性乾癬の維持療法について、16週ごと投与は8週ごと投与に対して非劣性であることが、ドイツ・フライブルク大学のKilian Eyerich氏らによる海外第IIIb相二重盲検無作為化比較試験「GUIDE試験」で示された。慢性の炎症性皮膚疾患である乾癬には、個別化治療およびde-escalation治療戦略に関するアンメットニーズが存在する。試験結果を踏まえて著者は、「今回の試験は、2回の連続した診察時(20週時および28週時)に皮膚症状が完全に消失した患者において、グセルクマブの投与間隔を延長しても疾患活動性をコントロール可能であるとのエビデンスを示した初の無作為化比較試験となった」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年7月31日号掲載の報告。

日本における低気圧誘発性頭痛に関する性差

 片頭痛は、女性に多い疾患である。低気圧は、頭痛発症の因子であるが、性別により違いがあるかは確認されていない。慶應義塾大学の藤本 卓磨氏らは、低気圧誘発性頭痛の性差について、調査を行った。BMC Research Notes誌2024年7月23日号の報告。  対象は、調査会社(マクロミル)のWebパネルよりランダムに抽出された20〜49歳の慢性片頭痛および緊張型頭痛患者。対象患者は、Webベースの自己記入式アンケートに回答した。目標変数をHeadache Impact Test-6(HIT-6)の高スコア(56以上)または低気圧誘発性頭痛とし、ロジスティック回帰分析を行った。  主な結果は以下のとおり。

高齢者への低用量アスピリン、中止すると…?

 心血管疾患(CVD)を有さない高齢者において、低用量アスピリンはCVDリスクを低下させず、全死亡や大出血のリスクを上昇させたことが報告されているが1,2)、すでに多くの高齢者に低用量アスピリンが投与されている。そこで、オーストラリア・モナシュ大学のZhen Zhou氏らは、アスピリン中止の安全性を明らかにすることを目的として、CVDを有さない高齢者において、低用量アスピリン中止がCVDリスクに与える影響を検討した。その結果、低用量アスピリン中止はCVDリスクを上昇させず、大出血リスクを低下させることが示された。本研究結果は、BMC Medicine誌2024年7月29日号に掲載された。

肺がん患者、肥満でICIの効果が減少する可能性

 がんと肥満を併存している患者は正常体重の患者に比べて予後が不良であるとされているが、一部のデータでは体格指数(BMI)が高い場合のほうが、治療後の全生存率がより良好であるとの報告もあり、これは「肥満パラドックス」とされている。大阪公立大学・井原 康貴氏らは、進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、BMIが免疫療法または化学療法後の全生存率(OS率)に関連するかを調査した。JAMA Network Open誌2024年8月1日号掲載の報告。  研究チームは2015年12月1日~2023年1月31日、日本の急性期病院のレセプトデータを用いた後ろ向きコホート研究を実施した。参加者は新規診断を受けた成人の進行NSCLC患者であり、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)治療または従来の化学療法を受けた。分子標的薬(TKI)治療や化学放射線療法を受けた患者は除外された。主要評価項目はOS率、解析は初回治療後3年の追跡期間を対象とした。BMI 18.5未満を低体重、18.5~24.9を標準体重、25.0~29.9を過体重、30以上を肥満と定義した。