基底細胞がんへのvismodegib、腫瘍縮小効果と関連

提供元:ケアネット

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公開日:2012/06/20

 

基底細胞がんの多くは外科的に治療されるが、局所進行型や転移性の症例については効果的な治療法が存在しない。その基底細胞がんの発生機序に関与しているヘッジホッグ情報伝達の変化に着目して開発されたvismodegib(GDC-0449)は、画期的医薬品(ファースト・イン・クラス)といわれるヘッジホッグ経路低分子阻害薬で、第1相試験では進行型基底細胞がん患者で奏効率58%という成績を示した。本報告は、米国・メイヨークリニックのAleksandar Sekulic氏らにより行われた多施設共同国際2コホート非無作為化試験の結果で、NEJM誌2012年6月7日号で発表された。

手術不能・不適応の転移性・局所進行型の基底細胞がん患者に経口vismodegibを投与
試験には、米国、欧州、オーストラリアの31施設から104例の患者が登録され、全例に150mg/日の経口vismodegibを投与し、有効性と安全性について検討した。

33例が転移性の基底細胞がん、71例が局所進行型の基底細胞がん患者で、いずれも、手術不能または手術不適応(複数回の再発で外科的治癒の可能性が低いか、著しく外見が損なわれることが予想されたことを理由とする)の患者であった。

主要エンドポイントは、独立評価による客観的奏効率とした。局所進行基底細胞がん患者の奏効率は20%以上、転移性基底細胞がん患者では10%以上との主要仮説について検討した。

奏効率30~43%、腫瘍縮小効果に関連すると結論
転移性基底細胞がん患者33例の独立評価による奏効率は、30%(95%信頼区間:16~48、P=0.001)だった。

局所進行基底細胞がん患者63例についての同奏効率は、43%(31~56、P<0.001)で、完全奏効が13例(21%)だった。

奏効期間中央値は、両群で7.6ヵ月だった。

有害事象について、筋けいれん、脱毛症、味覚障害、体重減少、疲労感が患者の30%以上で発現した。重篤な有害事象は25%の患者で報告され、そのうち有害事象関連の死亡が7例報告された。

結果を踏まえSekulic氏は、「vismodegibは、局所進行型または転移性の基底細胞がん患者の腫瘍縮小効果と関連している」と結論している。

(朝田哲明:医療ライター)