抗てんかん薬抵抗性の側頭葉てんかん、早期の側頭手術が発作を抑制

提供元:ケアネット

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公開日:2012/03/20

 



抗てんかん薬抵抗性の側頭葉てんかん患者に対し、早期に側頭切除を行うことで、治療薬継続群との比較でその後2年間の発作が抑制されることが示された。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のJerome Engel Jr,氏らが、38人の内側側頭葉てんかん患者について行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2012年3月7日号で発表した。これまでも成功例が報告されているにもかかわらず、手術療法は最後の手段とされ、発作後20年を経てからの手術依頼が一般的で、重大障害や早期死亡を回避するには遅すぎるのが現状だという。

2つの抗てんかん薬治療に抵抗性の患者に対し、切除術を行い追跡




研究グループは、早期の手術が発作をコントロールし生活の質QOLを改善するかを評価することを目的とした。内側側頭葉てんかんでの痙攣発作を発症して2年以内の、12歳以上の患者38人(うち男性18人)について、米国16カ所のてんかん手術センターを通じて試験を行った。被験者は、2つの抗てんかん薬治療に抵抗性を示していた。

研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方の群(23人)には抗てんかん薬治療を続け、もう一方の群には内側側頭切除を行い2年間観察した。

主要アウトカムは、2年間の観察期間中の発作の無発症とした。副次アウトカムは、2年間のてんかんに関する生活の質(QOLIE-89)の総合Tスコアの変化や、認知機能などとした。
2年間発作なしは切除群で15人中11人、抗てんかん薬治療群では23人中0人




その結果、追跡期間中に発作が起きなかったのは、抗てんかん薬治療群では23人中0人だったのに対し、切除群では15人中11人に上った(オッズ比:∞、95%信頼区間:11.8~∞、p<0.001)。

QOLIE-89の総合Tスコアの改善幅は、抗てんかん薬治療群が4.0ポイントに対し、切除群が12.6ポイントだったが、両群で有意差は認められなかった(p=0.08)。

切除群の4人(36%)で記憶力低下が認められた。これは文献でみられる割合と一致していたが、被験者数が小さすぎ、結論づけることはできなかった。

有害事象は、MRIで特定された術後脳卒中に起因する一時的な神経障害が、抗てんかん薬治療群でてんかん重積持続状態で手術を受けた3例で認められた。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)