術中覚醒予防モニタリングでのBIS使用、優越性立証されず

提供元:ケアネット

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公開日:2011/08/31

 



術中覚醒予防のモニタリングについて、前向き無作為化試験の結果、脳波から派生するバイスペクトラル・インデックス(BIS)を組み込んだプロトコルは、呼気終末麻酔薬濃度(ETAC)を組み込んだ標準的モニタリングプロトコルよりも優れていることは立証されなかったとの報告がNEJM誌2011年8月18日号に掲載された。米国・ワシントン大学医学部麻酔学科のMichael S. Avidan氏らによる。「予想に反して、BIS群よりもETAC群のほうが覚醒した患者は少なかった」と結論している。予期せず起こる術中覚醒は、全身麻酔が得られないか維持されない場合に起こり、そうした患者における覚醒発生率は1%近く、米国では毎年推定2~4万人が術中覚醒を経験している。また術中覚醒患者の約70%がPTSDになる可能性があるという。

6,041例をBISプロトコルとETACプロトコルに無作為割り付け




研究グループは2008年5月~2010年5月の25ヵ月間にわたり全米3ヵ所の医療センターから、覚醒リスクが高い18歳以上の患者6,041例を登録し、BIS指標麻酔群またはETAC指標麻酔群に割り付け前向き無作為化評価者盲検試験を行った。

BISは、検出可能な脳電気的活性を指標とし、0~100のスケールで示され0は抑制された状態、100は覚醒した状態を示し、モニタリングでは<40または>60になると警告音が鳴るようになっていた。一方ETACは、最小肺胞内濃度を指標とし、<0.7または>1.3になると警告音が鳴るようになっていた。これらの警告音に加えてプロトコルには、モニタリングに関する教育およびチェックリストが組み込まれた。

術中覚醒の評価は術後72時間以内と抜管後30日に患者への面接調査にて行われた。いずれかの面接調査を完了した5,713例(98.3%)が解析対象に含まれ、BISプロトコルの優位性について、Fisherの正確確率検定の片側検定を用いて評価された。

覚醒可能性例を含んでもBISプロトコルの優越性示されず




明確な術中覚醒を経験したのは、ETAC群2,852例中2例(0.07%)、BIS群2,861例中7例(0.24%)だった。両群差は0.17ポイント(95%信頼区間:-0.03~0.38、P=0.98)で、BISプロトコルの優越性は示されなかった。

明確な術中覚醒が起きた可能性があった例も含んでも、BIS群19例(0.66%)、ETAC8例(0.28%)であり、この場合もBISプロトコルの優越性は示されなかった(差:0.38ポイント、同:0.03~0.74、P=0.99)。

麻酔投与量や重大な術後有害転帰の発生率において群間差は認められなかった。

(朝田哲明:医療ライター)