抗菌薬rifaximin、肝性脳症の治療効果だけでなく予防効果も

提供元:ケアネット

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公開日:2010/04/07

 



肝硬変の合併症である肝性脳症は重篤な意識障害により、患者・家族およびヘルスケアシステムに多大な負担を課すが、吸収率が最小の抗菌薬rifaximinには、肝性脳症の予防効果もあるようだ。米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校のNathan M. Bass氏らが行った無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果による。同薬についてはこれまで、急性肝性脳症に対する治療効果は、十分実証されていた。NEJM誌2010年3月25日号掲載より。

反復性肝性脳症寛解期の患者299例を、rifaximin投与群とプラセボに無作為化




試験は、慢性肝疾患による反復性肝性脳症が寛解期の患者299例を対象に行われた。被験者は6ヵ月間にわたり、rifaximin(550mgを1日2回)投与群(140例)と、プラセボ投与群(159例)に無作為に割り付けられ追跡された。

有効性の主要エンドポイントは、肝性脳症と診断された初回発症までの期間とし、主要な副次エンドポイントは、肝性脳症に関連する初回入院までの期間とされた。

rifaximin投与群の方が、エピソード、入院リスクとも半減




6ヵ月超期間中、rifaximin投与群はプラセボと比較して、肝性脳症エピソードのリスクが有意に低かった。rifaximin投与群のハザード比は0.42(95%信頼区間:0.28~0.64、P<0.001)。エピソード発生は、rifaximin群で22.1%だったが、プラセボ群では45.9%だった。

肝性脳症などで入院を要したのは、rifaximin群は13.6%だった、プラセボ群では22.6%で、rifaximin群のハザード比は0.50(同:0.29~0.87、P=0.01)だった。

なお、患者の90%以上が、ラクツロースの併用投与を受けていた。

有害事象発生率、重篤な有害事象発生率とも試験期間中、両群で同程度だった。

Bass氏は、「6ヵ月の試験期間中、rifaximin群の方がプラセボ群よりも肝性脳症の寛解が維持されていた。rifaximin治療は、有意に入院リスクも低下していた」と結論している。

(医療ライター:武藤まき)