スタチン併用療法ではniacinがエゼチミブを凌駕

提供元:ケアネット

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公開日:2009/12/09

 



スタチン単独療法患者の脂質プロファイルを改善する併用療法としては、高比重リポ蛋白(HDL)コレステロールを高める併用療法と、低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールを低下させる併用療法の2つがある。ウオルター・リード米軍医療センターのAllen J. Taylor氏らの研究グループは、それぞれの併用療法の臨床効果を比較した有効性比較試験ARBITER-6 HALTSの結果について発表した。NEJM誌2009年11月26日号(オンライン版2009年11月16日号)より。

スタチン単独療法患者を、niacin併用群とエゼチミブ併用群に無作為割り付け




ARBITER-6 HALTSは前向き無作為化平行群オープンラベル試験で行われた。冠疾患または同等の冠疾患リスクがあり、長期間スタチン療法を受けていて、LDLコレステロール値が100mg/dL(2.6mmol/L)以下、かつ、HDLコレステロール・レベルが男性は50mg/dL未満、女性は55mg/dL未満(男女各1.3、1.4mmol/L)を達成していた患者が登録された。

被験者は、徐放性製剤niacin(目標:2,000mg/日)またはエゼチミブ(10mg/日)(商品名:ゼチーア錠)を併用投与するようランダムに割り付けられた。

主要評価項目は、14ヵ月後の平均総頸動脈内膜中膜厚の基線からの変化とした。試験は、208例が試験を完了した時点で実施された解析で有効性が認められ、早期終了されている。

平均・最大頸動脈内膜中膜厚ともniacin群で有意に低下




14ヵ月の追跡期間中、niacin群の平均HDLコレステロール値は、18.4%増え50mg/dLとなった(P<0.001)。一方、エゼチミブ群の平均LDLコレステロール値は、19.2%減少し66mg/dL(1.7mmol/L)となった(P<0.001)。

niacin投与により、LDLコレステロールとトリグリセリドは有意に低下し、エゼチミブ投与はHDLコレステロールとトリグリセリドを低下していた。

niacinの方がエゼチミブと比較して、平均頸動脈内膜中膜厚の14ヵ月の変化が、より有効であることが示された(P=0.003)。頸動脈内膜中膜厚の平均値(P=0.001)、最大値とも有意な減少が認められた(全比較においてP≦0.001)。また、niacin群の方がエゼチミブ群より主要な心血管イベント出現率は低かった(1%対5%、χ2乗検定によるP = 0.04)。

エゼチミブによるLDLコレステロール値の大幅な低下は、頸動脈内膜中膜厚の増加と有意に関係していた(R=-0.31、P<0.001)。

研究グループは、スタチンとの併用療法では徐放性製剤niacinの方が、頸動脈内膜中膜厚の減少が有意で、エゼチミブより優れていると結論づけている。

(医療ライター:朝田哲明)