緩やかな低糖質食によるメタボ改善を保健指導で実証

提供元:HealthDay News

印刷ボタン

公開日:2021/07/30

 

 糖質(炭水化物から食物繊維を除いたもの)の摂取量を1食20g以上40g以下に制限する「緩やかな低糖質ダイエット」を用いた保健指導によって、メタボリックシンドローム(MetS)や糖・脂質代謝が改善したとの報告が、「Diabetes, Metabolic Syndrome and Obesity : Targets and Therapy」に6月23日掲載された。北里大学北里研究所病院糖尿病センターの山田悟氏らが、コンビニエンスストアやタクシー会社社員対象に行った研究であり、著者らは「緩やかな低糖質ダイエットの有効性を保健指導領域で評価した日本初の研究」と述べている。

 インスリン分泌を刺激し血糖を上昇させるように働く糖質の摂取を減らし、タンパク質や脂質を増やす低糖質ダイエットは、近年、減量や血糖管理目的で行う人が増えている。ただし、厳格すぎる糖質制限食は、し好に合わなかったりコスト負担のため長続きしないことが多く、リバウンドを招く懸念も指摘されている。それに対して山田氏らは、20~40gの範囲内で毎食の糖質摂取量を減らし、1日10gの糖質でし好品も楽しむ「緩やかな低糖質ダイエット」を提唱している。

 この研究の参加者は、ローソンの店員と日の丸交通のドライバーから採用された。いずれも交替勤務または長時間の座業のために食事・運動習慣が乱れやすく、MetSリスクが高くなりがちな職場環境。社内告知を通じてこの研究への参加に関心を示した人のうち、特定保健指導判定基準を満たし、糖尿病や脂質異常症に対する薬剤が処方されていない101人が参加した。

 効果的な指導を行うために、1回当たりの介入対象者数を上限30人として、2016年春から2018年秋にかけて計6回、保健指導が実施された。指導期間は12週間で、60分間のセミナーにより糖尿病やMetS、緩やかな低糖質ダイエットのエビデンスなどを解説。また、緩やかな低糖質ダイエットに則したメニューのあるレストランの紹介、食品の選択方法などを指導した。参加者は介入期間中、毎週メールやファックスで食事摂取状況と体重を指導者に報告し、指導者はアドバイスを返信した。また、積極的な運動を奨励した。

 評価項目は、体重やBMI、HbA1c、血清脂質値の変化。一部の参加者では、MetSとの双方向性の関連が報告されている睡眠時無呼吸症の状況も検討した。

 12週間の介入によって、体重は中央値82.5kgから79.7kg、BMIは同27.3kg/m2から26.9 kg/m2へと有意に低下していた(いずれもP<0.001)。また、介入前に睡眠時無呼吸症の見られた39人では、無呼吸・低呼吸指数(AHI)が同24.1から17.1へと改善していた(P<0.01)。

 一方、HbA1c、血清脂質値は有意な変化が見られなかった。しかし解析対象を、介入前にこれらの値が基準値を超えていた人に絞り込むと、全ての指標が有意に改善していた。

 例えばHbA1cが5.6%以上だった60人では、介入前の中央値6.0%から5.6%に低下していた(P<0.001)。また、中性脂肪150mg/dL以上だった57人では242mg/dLから190mg/dLに、HDL-Cが40mg/dL未満だった31人では35mg/dLから40mg/dLとなっていた(いずれもP<0.01)。

 さらに、低糖質ダイエットに伴い、時に上昇することのあるLDL-Cについても、120mg/dL以上だった31人の中央値が133mg/dLから120mg/dLに低下していた(P<0.001)。その他、介入に伴う有害事象は見られなかった。

 著者らは本研究には、対照群を置いておらず、また検討対象者は自主的に研究に参加しておりモチベーションの高い集団であったと考えられるといった限界が存在することから、「この栄養指導法の有効性検証のためには無作為化比較試験が必要」と述べている。その上で、「緩やかな低糖質ダイエットは、MetSを予防・改善するための効果的な介入法と示唆される。保健指導担当者や健保団体は、その可能性を認識すべき」と提言している。

[2021年7月26日/HealthDayNews]Copyright (c) 2021 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら