一過性蛋白尿で心血管死リスクが上昇、一過性eGFR低下は関連せず

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 一過性の蛋白尿が心血管疾患(CVD)による死亡リスクの上昇と関連する一方、一過性の腎機能(eGFR)低下は有意なリスクでないことが、30万人以上の特定健診データを追跡した結果から示された。筑波大学医学医療系臨床医学域腎臓内科の永井恵氏、山縣邦弘氏らの研究によるもので、「PLOS ONE」10月2日オンライン版に掲載された。

 持続的な蛋白尿やeGFRの低下が確認された時に診断が確定する慢性腎臓病(CKD)は、腎不全のリスクであるだけでなく、CVDのリスクでもある。実際、CKD患者の死亡原因は、CVDとがんがそれぞれ3割以上を占めている。その一方、一時的に蛋白尿やeGFR低下が見られることも少なくない。しかしその意義は十分にわかっておらず、永井氏、山縣氏らはこの疑問を明らかにするため特定健診のビッグデータを用いて検討を行った。

 解析対象は、2008~14年の特定健診受診者のうち、尿検査の判定とeGFRの値が2回以上記録されていた33万8,094人。それぞれの検査について、2回とも所見なしの(-/-)群、1回目だけ所見あり一過性の異常と考えられる(+/-)群、2回目に所見が見られた(-/+)群、および2回とも所見がありCKDに該当する(+/+)群の4群に分類。年齢や性別、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などで調整の上、CVDによる死亡、がんによる死亡、および全死亡のリスクを比較した。なお、尿蛋白は尿試験紙で「1+」以上、eGFRは60mL/分/1.73m2未満を所見ありとした。

 各群の該当者数の割合は、尿蛋白での分類では(-/-)群91.8%、(+/-)群2.9%、(-/+)群3.1%、CKD群2.2%。eGFR低下での分類では(-/-)群81.2%、(+/-)群4.3%、(-/+)群4.9%、CKD群9.6%。観察期間4.3年(中央値)中に、CVD死510人(20.6%)、がん死1,328人(53.5%)を含む2,481人の死亡が発生した。

 一過性蛋白尿は、CVD死の有意な増加と関連していた。具体的には、男性において、(-/-)群を基準とした場合、一過性蛋白尿に該当する(+/-)群の調整ハザード比(aHR)が1.94(P<0.01)であった。それに対し、観察期間中に新たに蛋白尿を認めた(-/+)群はaHR1.32で有意でなかった。また女性においても(+/-)群がaHR2.78(P<0.01)、(-/+)群はaHR2.04(P<0.05)で、一過性蛋白尿の方が高リスクだった。CKD群では男性・女性ともにCVDリスクが上昇していた。

 一方、全死亡との関連は、男性・女性ともに(-/+)群とCKD群とで有意なリスク増加が見られた。がん死との関連は、男性のCKD群と女性の(-/+)群で有意なリスク増加が見られた。

 他方、eGFRの低下と死亡リスクの関連で有意な関連が認められたのは女性のCKD群のみで、前記3つの死因と関連していた。男性はeGFRが持続的に45mL/分/1.73m2未満まで低下している場合に全死亡リスクが有意に増加していた。

 今回の研究について研究グループは「尿試験紙により判定した一過性蛋白尿と原因別死亡リスクとの関連を検討した初めての大規模調査だろう」と述べた上で、「一過性蛋白尿は特にCVD死の重要な危険因子と考えられるが、一時的なeGFRの低下と死亡リスクとの関連は弱い」と結論づけている。

[2019年11月11日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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