幸福感が強い人の脳は“ゆらぎ”が少ない―感情処理力と関連か?

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HealthDay News

幸福感が強い人の脳は“ゆらぎ”が少ないのイメージ

 幸福感と脳活動の関連が報告された。自分が幸福だと強く感じている人は、大脳右楔前部という部分の安静時活動性が低いという。京都大学こころの未来研究センターの佐藤弥氏らの研究によるもので、詳細は「Scientific Reports」8月20日オンライン版に掲載された。

 佐藤氏らの研究グループは、大脳右楔前部の灰白質容積と主観的な幸福感が正相関することを既に報告しているが、右楔前部の活動性との関連は明らかでなかった。近年、脳内の低周波変動(低周波ゆらぎ)の振幅が自発的な神経活動の強度を反映すると報告されており、安静時に低周波ゆらぎとして観察される右楔前部の活動性が、主観的な幸福感と関係している可能性が考えられる。そこで佐藤氏らは、主観的幸福感と右楔前部の活動性との関連を検討した。

 研究対象はボランティア51人(平均年齢22.5±4.5歳、女性26人)。主観的幸福感は日本語版SHS(Subjective Happiness Scale)を用いてスコア化した。右楔前部の活動性は、被験者を5分かけて脳をリラックスさせた状態で、fMRI(磁気共鳴機能画像法)にて評価した。

 検討の結果、SHSスコアが高い(主観的な幸福感が強い)人ほど右楔前部の活動性が低い(低周波ゆらぎが少ない)という、有意な負の相関が確認された(r=-0.52、P<0.001)。楔前部の活動性は、否定的な自己意識や心の迷いと関係があることが先行研究で示されている。この知見と今回の検討結果を合わせて考察すると、否定的な自己意識や心に迷いを生じる働きが弱いことが、幸福感の基盤となっていることが示唆される。

 研究グループはさらに、右楔前部と右扁桃体の機能的なつながりに着目。両者の機能的結合が強い人ほどSHSスコアが高いという、有意な相関を認めた(r=0.48、P<0.001)。右偏桃体は感情の処理に関わる領域であることから、感情を適切に処理することで幸福感が生まれる可能性が考えられる。

 これら一連の結果について著者らは、「主観的幸福感と対応する脳活動および脳内ネットワークを初めて明らかにしたもの」としている。そして「楔前部の活動性が瞑想によって低下するといった知見もあることから、科学的データに裏打ちされた“幸福増進プログラム”の作成も期待される」と将来の展望を述べている。

[2019年9月9日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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