暑い季節になりやすい腎臓結石のリスクを下げる方法

夏の暑い時期には、腎臓結石による耐え難い痛みが発症しやすい。ただし幸いなことに、水分摂取量を増やしたり、食生活を少し変えたりすることで、結石をできにくくすることが可能だ。米テキサス大学サウスウェスタン医療センターのMegan Bollner氏は同大学発のリリースの中で、それらのヒントを紹介している。同氏は、「一度結石ができてしまうと10年以内に再発する確率が最大50%程度に上る。とはいえ、再発する腎臓結石の危険因子の多くは、自分自身でコントロールできるものだ。特に食習慣を変えることが、大きな違いを生む可能性がある」と話している。
腎臓結石は、尿の色が透明でなく、濃い色になっている状態で起こりやすい。結石は、シュウ酸カルシウムなどのミネラルの結晶が元になって形成される。最初のうちは砂粒ほどの小さなものだが、大きく成長すると尿の流れを妨げたりする。症状は、強い腰痛、吐き気、嘔吐、発熱、悪寒、血尿などだ。約10人に1人が生涯のうちに一度は腎臓結石を発症し、男性は女性よりそのリスクがやや高い。米国腎臓財団によると、同国では毎年50万人以上が腎臓結石のために緊急治療を受けているという。ただし、症状の現れない人もいる。
再発の原因として、家族歴、食習慣、肥満、糖尿病、慢性的な脱水状態、炎症性腸疾患などが挙げられる。では、再発を防ぐにはどうすればよいのだろうか。Bollner氏は次のような推奨を掲げている。
・水分を積極的に取って、尿を薄める。腎臓結石を患ったことがある人なら、1日にコップ8~12杯飲むとよい。
・暑くて汗をかいた場合は、さらに多く水を飲む。
・水にレモンまたはライムを加える。それらに含まれているクエン酸は、シュウ酸とカルシウムが結合して結石ができるのを抑えるように働く。
・塩分摂取量を減らす。塩分の取り過ぎで尿中のカルシウムの量が増加するため。また減塩は血圧を低下させ、血圧の管理は腎臓にメリットをもたらす。
もう一つのヒントは、カルシウムが豊富な食品を食べることだ。カルシウムは腎臓結石の形成に関係しているため、このヒントは直感的に予防戦略に反するように思えるかもしれない。しかしカルシウムは腸内でシュウ酸と結合して、シュウ酸を尿ではなく便の中へ排泄するように働く。カルシウムが豊富な食品として、乳製品、大豆、豆類、緑色の野菜(ケールやブロッコリー)などが挙げられる。また、果物や野菜を多く取ることも、尿中のクエン酸を増やして腎臓結石の予防に役立つ。
一方、動物性タンパク質を過剰に摂取すると、腎臓結石の発生リスクが高まる。摂取量を控え目にした方がよい動物性タンパク源としては、赤身肉だけでなく、鶏肉、豚肉、魚、卵も含まれる。
また、一般に健康的とされることの多い食品もシュウ酸を含んでいて、腎臓結石の形成に寄与する可能性がある。例えば、ほうれん草、ビート、ナッツ、小麦胚芽などだ。これらの食品のシュウ酸のみであればリスクになる可能性は低いものの、ほかの食品と合わせたシュウ酸摂取量の合計が大きくなるようなケースでは、過剰摂取にならないように量を考えながら取るべきだ。そして、シュウ酸を多く含む食事をした時は、その後の食生活に気を付けたり、乳製品を付け足したりするとよい。
[2023年6月18日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら
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The University of Texas Southwestern Medical Center:7 diet tips to prevent kidney stones
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