アスリートの睡眠習慣は食事に左右される?

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/06/05

 

 早寝早起きの生活にしたいのなら、食べ物をアレンジしてみると良いかもしれない。新たに報告された研究によると、何を食べるかによって、睡眠パターンが異なる可能性があるという。米ウエストバージニア大学のLauren Rentz氏らが、大学生アスリートを対象に行った小規模な研究の結果であり、米国生理学会(APS2023、4月20~23日、米国・ロングビーチ)で発表された。

 Rentz氏によると、「アスリートの成功にとって、試合時に自分のパフォーマンスを最大化して発揮することだけでなく、試合やトレーニングの後の迅速な回復も重要。良い睡眠習慣が日々の身体的・精神的ストレスからの回復を促し、将来のパフォーマンスに好影響を与える」とのことだ。ただし、「常に強いストレスにさらされているアスリートの回復戦略における、睡眠と栄養素摂取の関係はまだほとんど知られていない」と、同氏は研究の背景を語っている。

 この研究の対象は、サッカーを行っている大学生女子アスリート23人。サッカーシーズン中の31晩連続で、ウェアラブルデバイスによって睡眠パターンを記録。また最後の3日間は、食事摂取状況も調査された。

 収集されたデータを解析した結果、大半のアスリートは、平均すると毎日7〜8時間の睡眠を取っていて、多くのビタミンの摂取推奨量を満たしていた。ただし、全ての栄養素の摂取量が推奨値を満たしていたわけではなく、ほぼ全員が炭水化物とビタミンDが不足しており、約半数のアスリートはタンパク質とビタミンA、Kも不足していた。

 栄養素摂取量と睡眠習慣との関連を検討すると、入眠や起床の時刻と一部の栄養素の摂取量との間に関連が認められた。具体的には、炭水化物とビタミンB12およびCを多く摂取しているアスリートは、より早く入眠し、より早く起床する傾向があった。一方、睡眠時間の多寡と栄養素摂取量との関連は認められなかった。

 Rentz氏は、「炭水化物やビタミンB12、Cなどの栄養素は、睡眠にとって重要なセロトニンやメラトニンなどの合成を増加させる可能性がある」と述べている。また、「ウェアラブルデバイスはアスリートの間で非常に一般的な存在になっている。われわれの研究は、ウェアラブルデバイスがストレスによる体の反応を把握するのに適しており、アスリート自身による健康管理に有用であることを示している」としている。

 ただし同氏は、「今回の研究で示された結果は、因果関係の証明ではない」と拙速な解釈に注意を促し、「研究の次のステップは、より大きなサンプル数で評価すること」と述べている。将来的には、栄養素の摂取量をアレンジすることで睡眠習慣を変えることが、アスリートの成功を左右するかを調査することも視野に入れているという。

 なお、学会発表された研究は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものとみなされる。

[2023年4月24日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら