2型糖尿病患者の7割は不適切な食習慣が関与して発症

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/05/30

 

 2018年の1年間で、世界で新たに2010万人が2型糖尿病を発症し、その7割は、不適切な食習慣が関与して発症した患者だとする報告が、「Nature Medicine」に4月17日掲載された。米タフツ大学のDariush Mozaffarian氏らの研究によるもの。不適切な食習慣とは、全粒穀物の不足、精製穀物や加工肉の取りすぎだという。Mozaffarian氏は、「われわれの研究結果によって、糖尿病による疾病負担を抑制するために、国家的あるいは世界的に取り組むべき、栄養上の課題が明らかになった」と述べている。

 この研究では、タフツ大学で開発された、世界184カ国の食事摂取状況に関するデータベース(global dietary database)と、国連の人口統計、世界の疾病負担研究(global burden of disease study)などのデータを用いて、人々の食習慣と2型糖尿病発症リスクとの関連が検討された。

 調査対象となった全ての国で、1990年から2018年にかけて、2型糖尿病患者数が増加していた。2018年の1年で2型糖尿病を新規発症した患者数は、2010万人(95%不確定区間1990万~2030万)と推計された。そのうち、不適切な食習慣が関与して発症したと考えられる患者数が、1410万人(同1380万~1440万)であり、新規発症者の70.3%(68.8~71.8)を占めていた。

 最も影響力が強いと推定されたのは全粒穀物の摂取不足であり〔新規発症の26.1%(25.0~27.1)に関与〕、続いて精製された米や小麦の過剰摂取〔同24.6%(22.3~27.2)〕、加工肉の過剰摂取〔20.3%(18.3~23.5)〕が関連の強い因子として特定された。一方、果物やナッツ・種子、非でんぷん質の野菜の摂取不足、およびフルーツジュースの過剰摂取は、2型糖尿病の発症リスクに直接的な影響を及ぼしていないと推定された。

 性別に見た場合、女性〔68.6%(67.0~70.3)〕よりも男性〔71.7%(70.2~73.4)〕の方が、不適切な食習慣が関係して2型糖尿病を発症したと考えられる患者の割合が高かった。年齢については負の相関が認められた。例えば、95歳以上で不適切な食習慣が関係して発症したと考えられる患者の割合は27.7%(26.1~30.6)であるのに対して、20~25歳では83.5%(81.4~85.5)にも及んだ。

 地域別に見ると、中央アジアや中部~東部の欧州、特に赤身肉や加工肉、ジャガイモが豊富な食生活を送っている人の多いポーランドとロシアで、不適切な食習慣に関連した2型糖尿病の発症が多く認められた。また、ラテンアメリカとカリブ海諸国、特にコロンビアとメキシコでも、強い関連が認められた。これは、加糖飲料や加工肉の摂取量が多いことと、全粒穀物の摂取量が少ないことが原因と考えられるという。

 一方、南アジアとサハラ以南のアフリカでは、不適切な食事による2型糖尿病新規発症が他地域より少なかった。ただし、1990年から2018年の間の増加率で見た場合、最大の増加が認められた地域はサハラ以南のアフリカだった(9.4パーセントポイント増)。なお、世界全体では同期間に2.6パーセントポイント増加していた。

 この研究は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の支援を受けて実施された。

[2023年4月18日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら