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従来、1型糖尿病患者は痩せていることが多いと考えられてきたが、米国ではそのような捉え方が当てはまらなくなってきたことを示すデータが報告された。米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のMichael Fang氏らの研究によるもので、「Annals of Internal Medicine」に2月14日、レターとして掲載された。
この研究は、米国国民健康インタビュー調査に回答した、12万8,000人以上の一般住民のデータを解析するという手法で行われた。著者らは、「本研究は、米国の1型糖尿病患者における過体重・肥満の有病率を調査した初の研究と考えられる」としている。
統計解析の結果、成人1型糖尿病患者の約62%が過体重または肥満であることが分かった。内訳は、34%が過体重で、28%が肥満。なお、過体重とは世界保健機関(WHO)によりBMI25.0~29.9の範囲と定義されている。ただし、日本人は体重増加による健康への影響がより大きく現れやすいため、国内の基準ではこの範囲も肥満と判定される。
米国の一般住民の過体重・肥満の有病率は64%であり、今回明らかになった1型糖尿病の成人患者で62%という有病率は、ほぼこれに匹敵する。一方、米国の2型糖尿病成人患者における過体重・肥満の有病率は86%と報告されている。
今回の調査では、過体重や肥満の1型糖尿病成人患者の中で、医療スタッフから、身体活動量を増やしたり摂取エネルギー量を減らしたりするといった、ライフスタイル改善のアドバイスを受けていたのは、半数強に過ぎないことも分かった。医療スタッフが過体重・肥満の1型糖尿病患者に対して減量の指導を積極的に行っていない理由について、研究者らは、高強度の身体活動と厳格な摂取エネルギー制限を並行して行った場合に、低血糖のリスクが上昇すると考えられるためだろうと推測している。
論文の筆頭著者であるFang氏は、「1型糖尿病患者の体重管理のための安全な食事・運動療法のエビデンスが不足しているため、医師はそれらの指導を控えている可能性がある。2型糖尿病患者の体重管理に関しては大規模な臨床研究に基づくエビデンスが確立されてきたが、それと同じように1型糖尿病患者の体重管理についても臨床研究が必要とされている」と述べている。また、論文の上席著者で同大学院教授のElizabeth Selvin氏は、「われわれの研究結果は、世界的に肥満が蔓延している中でも1型糖尿病患者は例外とする考え方に、警鐘を鳴らすものと言える」と、大学発のリリースに記している。
1型糖尿病は、成人後に発症することもあるが小児期に罹患しやすい自己免疫疾患。血糖を細胞に取り込むために必要なインスリンを産生する膵臓内の細胞を、免疫系が誤って攻撃して破壊してしまい発症する。過体重や肥満、加齢などが発症リスクに影響を及ぼす2型糖尿病とは、異なるタイプの糖尿病として位置付けられている。1型糖尿病では、インスリン注射やインスリンポンプを用いた治療が生存のために必須となる。
1型糖尿病の発症リスクに肥満は関連がないと考えられているが、発症後の治療には影響を及ぼす可能性がある。例えば、肥満のためにインスリンに対する体の感受性が低下することが多く、そのような状態では、インスリン投与量を増やす必要が生じたり、血糖変動を予測しにくくなることがある。米疾病対策センター(CDC)は、20歳以上の米国成人における1型糖尿病患者数を約160万人としている。
なお、本研究は、米国国立心臓・肺・血液研究所(NHLBI)のサポートを受けて実施された。
[2023年2月14日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら
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