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長生きの秘訣は、食べる量を減らすことかもしれない。その可能性を示唆する研究結果が、「Nature Aging」に2月9日掲載された。論文の上席著者である、米コロンビア大学メールマン公衆衛生大学院のDan Belsky氏は、「われわれの研究の主要なポイントは、ライフスタイルの修正によって生物学的な老化のペースを遅らすことができる可能性を示せたことだ」と述べている。
これまでに、動物実験からは、与える餌の量を減らすと長生きになることを示唆するデータが報告されている。しかし、ヒトでも同様の効果を期待できるのかどうかは分かっていない。今回発表された研究について著者らは、カロリー制限で長寿になれる可能性をヒトで示し得た初の研究だとしている。
この研究は、米国立衛生研究所(NIH)傘下の米国立老化研究所(NIA)が研究資金を提供している「摂取エネルギー量制限による長期的影響の包括的評価(Comprehensive Assessment of Long-Term Effects of Reducing Intake of Energy;CALERIE)」という研究の第2相多施設共同無作為化比較対象試験として実施された。
研究参加者は、米国の健康な成人(21~50歳の男性、21~47歳の閉経前女性)であり、BMIが22.0~27.9と普通体重からやや過体重のレベルにある220人。無作為に、カロリー制限(caloric restriction;CR)群(145人)と対照群(75人)に二分。CR群には摂取カロリーを研究参加時点から25%減らす介入が行われた。そのため、最初の約1カ月間は研究者から調理済みの食事が1日3食支給された。また最初の24週間は、食事に関するカウンセリングが継続された。一方、対照群は何の制限もなかった。
ベースラインの摂取カロリーは、CR群2,124±558kcal/日、対照群は2,045±481kcal/日だった。CR群では25%に当たる約500kcal/日を削減することを目指した。ただし、NIAのEvan Hadley氏によると、「2年間の介入期間中に達成された減少幅は目標の半分の12%ほどだった」という。しかしそれでも、その差は大きな違いを生んだとのことだ。
研究者らは、老化速度に関連するDNAメチル化という現象を評価するバイオマーカーを利用して、CR群と対照群の老化速度を比較。すると、CR群では老化速度が2~3%低下していることが明らかになった。この2~3%という差は、過去の研究と照らし合わせて推計すると、早期死亡のリスクを10~15%程度抑制し得るほどの差だという。
本研究のみではカロリー制限によって老化速度が遅くなる理由は不明だが、Belsky氏は、「細胞内の老廃物を除去するメカニズムが、カロリー制限によって誘発される可能性がある。われわれは誰でも老化速度を変える力を持っているのではないか」と述べている。なお、研究グループでは、カロリー制限による介入を今後さらに10年間継続することも計画している。
一方、本研究には関与していない研究者からは、カロリー制限を続けることのデメリットへの留意を促す声が聞かれる。例えば、米南カリフォルニア大学長寿研究所のValter Longo氏はNBCニュースの取材に対して、「摂取カロリーの長期的な制限は、確かにアンチエイジング効果を発揮する可能性があるかもしれない。しかし、筋力、新陳代謝、免疫能などの低下をもたらしたり、フレイルのリスクを高めるのではないか」とコメントしている。また、米バック加齢研究所のPankaj Kapahi氏も、「健康的な加齢には運動とバランスの取れた食事が重要であり、カロリー制限は限られた範囲内で行うべきだろう」と、NBCニュースで語っている。
[2023年2月10日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら
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