メニエール病と片頭痛には双方向の関連が見られる

提供元:HealthDay News

印刷ボタン

公開日:2023/01/09

 

 メニエール病(MD)患者では片頭痛の発症リスクが高く、片頭痛患者ではMDの発症リスクが高いことが、「JAMA Otolaryngology-Head & Neck Surgery」5月号に掲載された研究において明らかにされた。

 MDと片頭痛は同時に発生することが多く、複数の先行研究から、両疾患は関連することが示唆されているが、それらの研究における対象患者数は、関連を明らかにするには十分でないものがほとんどである。

 そこで、チャ大学(韓国)のSo Young Kim氏らは、MDと片頭痛の双方向的な関連性を検討するため、韓国国民健康保険公団の2002~2015年の検診コホートのデータを用いて、片頭痛の既往のないMD患者6,919人(MD群)と年齢・性別・所得・居住地域などをマッチさせた対照群2万7,676人、さらに、MDの既往のない片頭痛患者3万5,889人(片頭痛群)と、同様にマッチさせた対照群7万1,778人を抽出した。層別化Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、片頭痛に対するMD発症のハザード比(HR)およびMDに対する片頭痛発症のHRを求めた。また、年齢、性別、所得、居住地域別にサブグループ解析を行った。

 その結果、片頭痛は、MD群6,919人中695人(10.0%)、対照群2万7,676人中970人(3.5%)に発生し、10万人年当たりの片頭痛発生率は、MD群で214、対照群で71であった。MD群では対照群よりも片頭痛リスクが高く〔HR 2.22、95%信頼区間(CI)1.99~2.49、P<0.001〕、MD群における片頭痛のHRは、多くのサブグループで高いままであった。一方、MDは、片頭痛群3万5,889人中1,098人(3.1%)、対照群7万1,778人中781人(1.1%)に見られ、10万人年当たりのMD発生率は片頭痛群で44.8、対照群で15.9であった。片頭痛群でも、対照群に比べてMDのリスクが高かった(HR 1.95、95%CI 1.77~2.15、P<0.001)。片頭痛群におけるMDのHRも、多くのサブグループで一貫して高かった。

 著者らは、「韓国の成人の全国的な代表コホートを対象とした今回の症例対照研究において、MDと片頭痛は双方向の関連を有することが示された。MD患者では片頭痛の発症率が高く、逆に片頭痛患者でもMDの発症率が高かった。MD患者に頭痛が見られる場合は、片頭痛の診断を検討すべきであり、片頭痛治療薬はMD患者の症状コントロールに有効な可能性がある」と述べている。

[2022年7月22日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら