マインドフルネスストレス低減法は不安の軽減に役立つ

提供元:HealthDay News

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公開日:2022/12/05

 

 マインドフルネスストレス低減法(MBSR)には過度に不安を覚える人を落ち着かせる力があり、その効果は抗うつ薬の使用と同等である可能性が、新たな研究で示唆された。米ジョージタウン大学医療センターのElizabeth Hoge氏らによるこの研究結果は、「JAMA Psychiatry」に11月9日掲載された。

 この研究では、不安障害の診断を有する276人の成人(平均年齢33歳、女性75%)が、8週間、MBSRを受ける群と、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)のエスシタロプラム(商品名レクサプロ)による治療を受ける群に、1対1の割合でランダムに割り付けられた。MBSRは、毎週1回、2.5時間の講習を受け、毎日自宅で45分間の実習を行うほか、5週目と6週目の間に瞑想の講習を終日受けるという内容だった。試験参加者の不安のレベルは、CGI-S(Clinical Global Impression Severity scale)という7段階の評価スケールで評価した(1:正常、7:非常に重度の精神疾患)。

 最終的に208人が8週にわたる介入を完了した(MBSR群102人、エスシタロプラム群106人)。参加者のCGI-Sスコアの平均は、試験開始時ではMBSR群で4.44点、エスシタロプラム群で4.51点だったが、試験完了時(8週目)では前者で1.35ポイント、後者で1.43ポイント改善していた。両群の差は0.07ポイント(95%信頼区間−0.38〜0.23、P=0.65)で統計的な有意差はなかった。また、95%信頼区間の下限値が事前に設定した劣性マージン(−0.495)を下回っていなかったため、MBSRの効果はエスシタロプラムによる治療効果に劣らないことが確認された。

 現在52歳のOlga Cannistraroさんは、「MBSRの実践は確実に私の役に立った」と断言する。Cannistraroさんは、「私は周囲の環境に過剰に反応するところがあった」と話し、10年前にHoge氏らが実施した不安障害に対するMBSRの効果を検証する試験に参加したという。

 Cannistraroさんは、「MBSRにより、私は自分自身をひそかに見張るようなツールを得た。自分の中の不安反応に気付いたら、それに対処する方法を選択することができるようになったからだ。MBSRは魔法のように不安を解消するものではなく、生涯にわたって行うトレーニングのようなものだ。MBSRのおかげで私の不安障害は症状が悪化することはなく、別の方向に向かった。そのことを私はとてもありがたく思っている」と話す。

 Hoge氏は、「全ての人が、必要な全てのセッションを守備よく完了し、自宅で毎日実習するための時間と労力を費やそうと思うわけではない」と指摘する。同氏は、「そのような場合には、質疑応答の時間やグループディスカッションなどの現場で“生”で行うことに意義がある内容がきちんと確保されているのであれば、ビデオ通話によるバーチャル講習も有効な可能性がある」と話す。同氏らは現在、不安障害に対するMBSRのバーチャル講習の有効性について研究を進めているという。

[2022年11月10日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら