新型コロナ軽症患者のS-RBD IgG抗体価は感染から約1年後も維持される

提供元:HealthDay News

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公開日:2022/11/16

 

 新型コロナウイルスに感染した無症状または軽症の小児と成人の患者では、感染から約1年後の時点においても、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質受容体結合ドメイン(S-RBD)に対する免疫グロブリンG(IgG)抗体価は維持されており、特に3歳未満の児の抗体価は18歳以上の成人より有意に高いとする研究結果を、パドヴァ大学(イタリア)のCostanza Di Chiara氏らが「JAMA Network Open」に7月13日発表した。

 Chiara氏らは、2020年4月から2021年8月の間に登録された、新型コロナウイルス感染が確認された小児および18歳以上の成人患者を追跡し、S-RBD IgG抗体価を測定する単一施設の前向きコホート研究を実施した。新型コロナウイルスの家族間感染を起こした計252家庭を対象として、3歳未満、3~5歳、6~11歳、12~17歳、18歳以上の年齢層に分け、感染から1~4カ月時点、5~10カ月時点、10カ月以上経過した時点の複数回にわたり血清学的な追跡調査を行った。解析にはχ2検定、フィッシャー正確検定、対応のない両側t検定などを用いた。

 研究に参加した902人のうち697人で新型コロナウイルス感染が確認され、このうち351人は小児または年長の兄弟姉妹(平均年齢8.6歳)であり、346人は両親(平均年齢42.5歳)だった。感染が確認された697人のうち96.7%(674人)は無症状または軽症だった。解析の結果、全ての時点において、抗体価は若年ほど高い傾向が認められた。特に、3歳未満の児のS-RBD IgG抗体価は18歳以上の成人よりも有意に高く、前者のS-RBD IgG抗体価の中央値は後者の約5倍だった(304.8kBAU/L対55.6kBAU/L、P<0.001)。また、S-RBD IgG抗体価を2回以上測定した56人を対象とした縦断的解析では、抗体価は、全ての年齢層において時間の経過とともに徐々に低下したものの、感染から10カ月以上の時点まで維持された。

 以上を踏まえ、著者らは「今回の研究は、感染経験のない小児に対する新型コロナワクチン接種のスケジュールを決定したり、罹患歴のある小児患者に対するブースター接種のスケジュールを決定したりする際の重要な根拠となり得るものだ」と述べている。

[2022年7月13日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら