4割の米国成人がCOVID-19関連で虚偽の言動をしていた

提供元:HealthDay News

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公開日:2022/11/03

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが現在より深刻だった昨年末に、米国人の40%以上が自分のCOVID-19既往歴や感染対策の実施状況について、虚偽の言動をしていたことが明らかになった。米ミドルセックス・コミュニティーカレッジのAndrea Gurmankin Levy氏らの研究の結果であり、詳細は「JAMA Network Open」に10月10日掲載された。

 Levy氏らは、COVID-19の公衆衛生対策に関する虚偽の言動や、推奨される感染予防措置を守らない行動の頻度とその理由に関するオンライン調査を、2021年12月8~23日に実施。調査パネルに登録されている全米各地の成人の中から、COVID-19の既往のある人、COVID-19の既往がなく少なくとも1回はワクチン接種を受けた人、既往がなくワクチン接種を受けていない人がそれぞれ3分の1になるように、計2,260人に回答協力を依頼した。アンケートは、自分が感染している(またはその可能性がある)時に、直接会う人にそれを伝えたか否かなどの9項目の質問と、そのような行動を取った理由、および、信仰、支持政党などを含む社会人口学的因子に関する質問で構成されていた。

 1,811人(80.1%)から回答が得られ、最終的に1,733人を解析対象とした。平均年齢は41±15歳、女性が66.0%であり、非ヒスパニック系白人が66.4%を占めていた。このうち721人(41.6%)が、9項目のうち少なくとも1項目で虚偽の言動をしたり、推奨される感染予防措置に反する行動を取ったことを報告した。

 より詳しく見ると、例えば24.3%の人が、実際に行っているよりも多くの予防措置を講じていると他者に伝えていた。また、COVID-19既往者の22.5%は、感染判明後に自主隔離義務を順守しなかったと報告した。そのほかにも、ワクチン未接種なのに接種済みと言ったり、その反対に接種済みなのに未接種と公言するなどの行動が確認された。これらの虚偽の言動の理由として最も多く挙げられたのは、「いつもと変わらない生活を送りたかった」や「個人の自由を行使したかった」などだった。

 論文の上席著者である米ユタ大学のAngela Fagerlin氏は、「われわれの調査結果は、人々は自分の健康状態を正直に人に伝えることに抵抗を覚えるという事実を示している。同時に、人々が感染予防措置を徹底しないことがパンデミックを長引かせるのではないかという懸念を抱かせるものだ」と述べている。また、「一部の人が1回か2回うそをついたとしても、『たいしたことではない』と考えるかもしれない。しかし本調査で示されたように、半数近くの人々がそのようなことを行っているのであれば、それはパンデミックを長引かせる重大な問題である」と付け加えている。

 Levy氏もまた、「人々が自分自身のCOVID-19罹患や講じている予防措置について不誠実な言動を取る場合、コミュニティーでの伝播を拡大する可能性がある。そして、コミュニティー内の一部の人、特にワクチン未接種の人にとっては、COVID-19の罹患が死を意味する場合もある」と語る。

 なお、今回の調査では、虚偽の言動をする可能性が高いのは、60歳未満であり〔例えば18~29歳は60歳以上に対してオッズ比4.87(95%信頼区間3.27~7.34)〕、科学への不信感が強い人々であることも分かった。その一方で、政治的信念、支持政党、および信仰と、虚偽の言動との関連性は認められなかった。

 Fagerlin氏によると、本調査と同種の調査は過去にも実施されているが、本調査は回答者数が格段に多く、かつ多くの質問項目が設定されていたという。ただし、「回答者がアンケートの質問に正直に回答したかどうかを評価することはできず、本調査結果が人々の虚偽の言動を過小評価している可能性も否定はできない」としている。

[2022年10月10日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら