スマートウォッチでCOVID-19を早期発見できる?

提供元:HealthDay News

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公開日:2022/07/21

 

 スマートウォッチにより、新型コロナウイルスに感染したかどうかが分かる日が来るかもしれない。皮膚温や心拍数、呼吸数の変化をモニタリングできるウェアラブルアクティビティトラッカー(活動量計)に人工知能(AI)を組み合わせることで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症前に感染を特定できる可能性が、新たな研究で示唆された。Dr Risch Medical Laboratory(リヒテンシュタイン)のLorenz Risch氏らが実施したこの研究の詳細は、「BMJ Open」に6月21日掲載された。

 この研究では、Avaブレスレットと呼ばれるウェアラブルデバイスで測定可能な生理学的パラメーターの変化から機械学習のアルゴリズムを構築し、新型コロナウイルス感染を予測できるか否かが検証された。Avaブレスレットは3つのセンサーで5つの生理学的パラメーター(呼吸数、心拍数、心拍変動、手首の皮膚温、および皮膚灌流圧)を測定できるほか、睡眠時間と睡眠の質もモニタリングできる。

 対象者は、リヒテンシュタインで2010年に開始され現在も継続中の観察研究の参加者から抽出した1,163人(平均年齢44.1歳、女性57%)。対象者は夜間にブレスレットを着用し、また、アルコールや薬剤の使用など生理学的パラメーターに影響する可能性のある行動や、COVID-19に関連する症状についてアプリで報告した。

 試験期間中に127人(10.9%)の対象者がCOVID-19に罹患した。このうち発症前に29日間以上デバイスを身に着けていた66人(52%)を対象に解析を行った。その結果、試験開始時に比べてウイルスの潜伏期、発症前の期間、発症期、回復期のいずれにおいても、5つの生理学的パラメーターの全てが有意に変化することが明らかになった。これらの対象者の症状は平均8.5日間続いた。

 66人のうち、70%の人のデータを構築したアルゴリズムのトレーニングに、残りの30%の人のデータを検証に用いて、発症の2日前までの感染を検出できるかを確認した。その結果、検出感度はトレーニングセットで73%、検証セットで68%であった。

 Risch氏は、「この研究結果は、ウェアラブルデバイスのデータを基に構築するAIアルゴリズムが、発症前または無症状のCOVID-19を検出するための有望なツールとなり得ることを示唆するものだ。ウェアラブルセンサー技術は、パンデミック中でも健康とウェルビーイングの追跡を可能にする、安価で使いやすい方法だ」と述べている。なお、同氏らによると、今回開発されたアルゴリズムは現在、オランダの約2万人から成る集団を対象に検証中であり、その結果は2022年の後半に報告される見込みであるという。

[2022年6月22日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら