ビーガン食は他の食事療法より減量効果が大きい

提供元:HealthDay News

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公開日:2022/07/06

 

 肥満や2型糖尿病の管理がうまくいっていないのなら、ビーガン食を試してみるのも、一つの方法かもしれない。それによって管理状態が改善する可能性を示唆するデータが、欧州肥満学会(EASO2022、5月4~7日、オランダ・マーストリヒト)で報告された。ステノ糖尿病センター(デンマーク)のAnne-Ditte Termannsen氏らの研究によるもの。

 ビーガン食は植物性食品のみを摂取する最も厳格なベジタリアン食で、「完全菜食主義食」とも呼ばれる食事スタイル。果物や野菜、ナッツ、マメ科植物、種子などが中心の食事で、動物性食品は乳製品も含めていっさい口にしない。Termannsen氏らはこのビーガン食による体重やBMI、血糖値、血清脂質、血圧などへの影響を、システマティックレビューとメタ解析により検討した。

 文献データベースを用い、2022年3月までに発表された、肥満(BMI25kg/m2以上)または2型糖尿病患者を対象に、ビーガン食による12週間以上の介入を行った無作為化比較試験(RCT)の英語論文を検索。11件の研究報告が抽出され、それらの研究参加者は合計796人(平均年齢48~61歳)で、介入期間は平均19週間だった。比較対照群として、ビーガン食以外の地中海食などによる介入群を置いた研究と、食事介入をせずに通常の食事を継続した群を対照とした研究が存在した。

 メタ解析の結果、ビーガン食による介入群は対照群に比較して、体重の減少幅は4.1kg、BMIは1.38kg/m2、それぞれ有意に大きかった。比較対照を上記の2群に分けて解析すると、ビーガン食以外の地中海食などによる介入群との比較では、体重の減少幅は2.7kg、BMIの減少幅は0.87kg/m2の差だった。それに対して、食事介入をせずに通常の食事を継続した群との比較では、体重7.4kg、BMI2.78kg/m2という、より顕著な差が認められた。

 そのほか、HbA1cは0.18%、総コレステロールは11.6mg/dL、LDL(悪玉)-コレステロールは9.3mg/dLの群間差があり、それぞれビーガン食の介入による低下幅の方がやや大きかった。中性脂肪や血圧の変化幅は、対照群とほとんど差がなかった。

 この結果に基づきTermannsen氏は、「これまでに報告された研究のメタ解析から、ビーガン食を少なくとも12週間順守すると、肥満者には臨床的に意味のある体重減少がもたらされ、2型糖尿病患者の血糖値が改善する可能性のあることが明らかになった」と結論付けている。また、EASO発のリリースの中で、「ビーガン食は脂肪の含有量が少なく、食物繊維の含有量が多いために、カロリー摂取量が低下して体重が減少すると考えられる。一方、今回の研究で有意差が認められた検査値以外の心血管代謝リスク因子へのビーガン食の影響については、より多くのエビデンスが必要とされる」と述べている。

 なお、学会発表された研究は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものとみなされる。

[2022年5月6日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら