女性が性的満足度を得る鍵はオーガズム?

提供元:HealthDay News

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公開日:2022/05/04

 

 男女にかかわらず、オーガズムは得る頻度が高いほどそれを望むようになるものだが、その逆も然り。期待というものは経験を基に形成されるため、オーガズムを得ることの少ない女性は、ますますそれに対する欲望や期待が薄くなることが、新たな研究で明らかにされた。米ラトガース大学社会心理学分野のGrace Wetzel氏らが報告したこの研究結果は、「Sex Roles」に3月30日掲載された。

 セックスから得るオーガズムの頻度は、女性に比べて男性の方がはるかに高い。このよく知られた現象は、オーガズムギャップと呼ばれる。今回の研究は、この「オーガズム格差」とも呼ぶべき現象が、男女のカップルのオーガズムに対する欲望や期待などに与える影響を、調査データの二次解析により検討したもの。対象となった104組の性的に活発な男女のカップル(平均年齢43.9歳)は、オンライン調査を通じて、性的満足度やオーガズムの頻度、自分が望むオーガズムの頻度、人々が得るべきオーガズムの頻度、パートナーが得ているオーガズムの頻度の予測について回答していた。

 解析の結果、オーガズムを得る頻度は男性の方が女性よりも高いという、オーガズムギャップの現象が如実になった。また、男性はパートナーとの間のオーガズムギャップを実際よりかなり低く見積もっていることが明らかになった。さらに、男女を問わず、オーガズムの頻度はオーガズムに対する欲望や期待と正の相関を示した。

 研究グループは、「女性は概して、男性よりもオーガズムを得る頻度が低いというこの結果から、なぜ女性が性的満足度を得るにあたり、男性ほどオーガズムを重視していないのかを説明できるのではないか」との見方を示している。そして、「女性のオーガズムに対する期待が、実際にこのように下がっていくのなら、カップル間でのオーガズムの格差はなくなるどころか、広がり続ける可能性がある」と述べている。

 自身のソーシャルメディアのフォロワーに対して「オーガズムの平等」の実現を提唱しているWetzel氏は、「オーガズムギャップは、女性の喜び、エンパワーメント(能力開花)、性的満足、全般的なウェルビーイングに影響を及ぼす。重要なのは、このオーガズムギャップが、男女平等に関わる問題でもあるということだ。このままでは、セックスから得るものに対する女性の期待や満足度は、下がっていく一方なのではないか」と懸念を示す。

 Wetzel氏らは、「今回の研究で得られた結果は、カップルの間にオーガズムギャップが存在する場合、二人の関係性は向上するより、むしろ悪化する可能性が高いことを示唆している。このサイクルを打ち破るためには、女性がオーガズムを得られるようにし、オーガズムに対する期待を高められるようにすることが重要だ」と話している。

[2022年4月13日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら