地球温暖化で低ナトリウム血症による入院が増加か

提供元:HealthDay News

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公開日:2022/04/26

 

 気候変動が健康にもたらし得る脅威のリストは増加し続けているが、低ナトリウム血症もそのリストに加わることになりそうだ。地球の平均気温が2℃上昇すると、低ナトリウム血症による入院が約14%増加する可能性があるとする研究結果を、カロリンスカ研究所(スウェーデン)のBuster Mannheimer氏らが報告した。詳細は、「The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism」に2月22日掲載された。

 低ナトリウム血症は、肝不全や心臓、腎臓の疾患などにより引き起こされるのみならず、過度の発汗や水分摂取により血液中のナトリウム(塩分)濃度が低下して生じることもある。ナトリウムは、血圧を正常に保ち、神経と筋肉の機能をサポートし、細胞内外の体液のバランスを調節する上で必要である。血液中のナトリウム濃度が著しく低下すると、吐気、めまい、筋肉のけいれん、発作、さらには昏睡が生じることがある。低ナトリウム血症の症例は夏に増えるが、気候変動による温暖化が低ナトリウム血症の発症に与える影響については明らかになっていない。

 Mannheimer氏らは今回、スウェーデンの入院患者登録データ(National Patient Register)を用いて、2005年から2014年の間に低ナトリウム血症で入院した18歳以上の成人を確認。患者が入院した日の患者の居住地域の1日の平均気温に関するデータを入手し、気温ごと(1℃単位)の低ナトリウム血症による入院件数を計算した。次いで、全人口の各気温への総曝露の程度をリスク人年で算出し、入院件数をこのリスク人年で割って気温ごとの低ナトリウム血症による入院リスクを算出した。

 9年間の試験期間中に1万1,213人が低ナトリウム血症により入院していた。その大半(72%)は女性で、年齢中央値は76歳だった。低ナトリウム血症による100万人年当たりの入院件数は、1日の平均気温が−10℃から10℃までの間は0.3件で一定していたが、平均気温が15℃を超えると急増し、最高平均気温(26℃)では1.96件に上った。特にリスクが大きかったのは80歳以上の高齢女性で、26℃のときの入院件数は100万人年当たり30件に達していた。これは、涼しい日に比べて入院リスクが15倍になることを意味するという。さらに、今後、平均気温が1℃、または2℃上昇すると、低ナトリウム血症による入院リスクがそれぞれ6.3%と13.9%増加すると予想された。

 Mannheimer氏は、「われわれの研究は、気温が低ナトリウム血症の発症リスクにどのように影響するのかを正確に予測した初めてのものだ。得られた結果は、気候変動に適応するための医療計画に有用な情報となるだろう」と述べている。

 研究論文の上席著者である同研究所のJonatan Lindh氏は、「この研究では、低ナトリウム血症の二次診断、極端な異常気象、高齢化などの要素を考慮していないため、提示された推定値は極めて控え目なものだ」と述べる。そして、「適応処置を講じなければ、今後数十年間で地球の気温の上昇だけで医療システムに対する低ナトリウム血症の負担が増加することになるだろう」と警鐘を鳴らしている。

[2022年3月14日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら