「良性」の副腎腫瘍の影響は想定より大きい

提供元:HealthDay News

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公開日:2022/01/21

 

 片側または両側の副腎に良性の腫瘍があると、腫瘍からストレスホルモンとも呼ばれるコルチゾールが過剰に分泌されることがあり、それが2型糖尿病や高血圧の発症につながる可能性がある。この病態は、軽度自律性コルチゾール分泌(Mild Autonomous Cortisol Secretion;MACS)と呼ばれる。過去の研究では、副腎の良性腫瘍の3分の1程度がMACSであることが示唆されていたが、英バーミンガム大学代謝システム研究所のWiebke Arlt氏らによる研究から、MACSが疑われる症例を含めると良性腫瘍の半数程度がMACSに該当し、従来考えられていたよりも大幅に多い可能性のあることが示された。この研究の詳細は、「Annals of Internal Medicine」に1月4日掲載された。

 今回、Arlt氏らは、良性の副腎腫瘍を有する1,305人の患者を対象に、高血圧と2型糖尿病の発症リスクをMACSの有無で比較した。コルチゾールや関連ホルモンの1日の分泌量は、24時間蓄尿検査により測定した。

 その結果、全体の34.6%(451人)はMACSが疑われる状態(MACS-1)、10.7%はMACSと確定できる状態(MACS-2)であったほか、5.0%はコルチゾールの分泌過剰により身体にさまざまな症状が現れるクッシング症候群(CS)を発症していた。残りの49.7%は非機能性副腎腫瘍(NFAT)だった。この結果から研究グループは、MACSを有する成人の数は、英国だけで約130万人に上る可能性があると推計している。MACSが確認された人の中に女性が占める割合は、MACS-1で64.1%、MACS-2で73.6%、CSで86.2%といずれも高く、そのほとんどが閉経後の女性だった。

 また、MACS-2とCSを有する人ではNFATを有する人に比べて、高血圧の有病率と重症度が高く、3種類以上の降圧薬を使用している人の割合も高かった。さらに、CSを有する人ではNFATを有する人に比べて、2型糖尿病に罹患している人が多く、血糖コントロールのためにインスリンを必要とする人の割合は、MACS-2を有する人で2倍近く、CSを有する人では3倍以上に上ることも判明した。

 こうした結果を受けてArlt氏は、「副腎腫瘍が発見された人たちは、コルチゾールの分泌過剰の有無について評価を受けるべきだ。もし分泌過剰が確認された場合には、2型糖尿病と高血圧の有無を定期的にチェックし、必要に応じて治療を受けることが望ましい」と述べている。

 Arlt氏らの研究論文の付随論評を執筆した、モントリオール大学病院センター(カナダ)の内分泌科医であるAndre Lacroix氏によると、こうした良性の副腎腫瘍は他の疾患の治療の一環で実施された腹部の画像検査で偶然発見されることが多いという。

 Lacroix氏も、「1cm以上の副腎腫瘍が見つかった全ての人に、ホルモンの分泌過剰に関するスクリーニングを実施する必要がある」と述べている。また、副腎腫瘍を有する人には定期的にスクリーニングを実施するようガイドラインを改訂すべきだとの見解を示している。

 副腎腫瘍がホルモンを過剰に分泌していることが分かった場合には、薬剤でコルチゾールの分泌を抑制したり、コルチゾールの作用を遮断したりすることが可能だ。Lacroix氏によると、コルチゾールの分泌レベルが深刻な場合には、片側の副腎切除も選択肢の一つになるという。

[2022年1月5日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら