ロボットのネコが認知症患者の気分や行動を改善

提供元:HealthDay News

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公開日:2021/12/06

 

 イヌやネコを飼っている人は、うれしそうに尻尾を振るイヌや、膝の上で体を丸めて満足げに喉を鳴らすネコの姿を見ていると幸せな気持ちになるのは分かるだろう。では、ペットがロボットだったとしても同じような気持ちになるのだろうか?
 あるいは、飼い主が認知症である場合はどうだろうか?

 米フロリダ・アトランティック大学クリスティーン・E・リン看護学部准教授のLisa Wiese氏らが実施した小規模研究から、生きているペットの飼育に付随するような責任を持たなくて済むロボットのペットによって、アルツハイマー病および関連する認知症(ADRD)の患者のストレス軽減や認知症に関連する行動の改善が促される可能性が示された。研究結果は、「Mental Health Nursing」に10月13日発表された。

 米国では、高齢者の3人に1人以上がADRDで死亡している。現状では、ADRDを治癒に導く治療法はない。また、アルツハイマー病には抑うつや攻撃性、不安などの心理症状を伴うことが多いが、これらの症状に対する治療薬には副作用の危険性がある。

 Wiese氏らの研究で使われたロボットのネコは、なでるとゴロゴロと喉を鳴らすなど、動作に反応するように設計されている。研究グループは、デイケア施設のADRD患者12人を対象に、このロボットのネコが患者の気分や行動、認知機能に及ぼす影響について調べた。各対象者には、週に4回、計12回に及ぶデイケア施設訪問の際に、自分が名付けたロボットのネコと過ごす時間を持ってもらった。なお、対象者にはあらかじめ、ネコはロボットであり、生きているネコではないことが伝えられていた。

 対象者の気分や行動について3種類の評価尺度を用いて評価したところ、気分に関連する全スコアに改善が認められた。さらに、別の評価尺度を用いて認知機能についても評価を行ったところ、研究開始前と比べて半数以上の参加者で、注意力/計算能力と言語能力、記銘力が軽度から中程度、改善していた。さらに、認知機能のスコアと気分のスコアの関連について検討したところ、気分が良好であることは、認知機能のスコアの改善に関連していることが示唆されたという。

 Wiese氏は、「ロボットのネコによって対象者の気分や行動、知的鋭敏さが向上しただけでなく、対象者が自分の気持ちを伝える機会を持てるようになった」と指摘。このような気分や行動の改善は、介護者や家族のQOL向上にもつながる可能性があるとの見方を示している。

 またWiese氏は、「フワフワの毛に覆われた小さなロボットのネコやイヌによって、何かが変わるとは思えないかもしれない。しかし、ロボットのネコやイヌに接することで、認知症の人の感情が揺り起こされ、本物のペットと過ごしているときに感じるような心地良さを味わうことができるのだ」と話している。

 一方、この研究には関与していない専門家の一人で、米アルツハイマー協会でケア・アンド・サポート部門のシニアディレクターを務めるMonica Moreno氏は、「認知症患者の誰もがロボットのペットによる介入に適しているわけではない」と指摘する。そして、「愛情をかけてペットを飼った経験のある認知症患者で、介護者が、ロボットのペットが患者の不安の軽減に役立っていると判断した場合には、良い介入法になるだろう。しかし、動物にアレルギーがある人や、過去のペットとの経験が異なるものだった人にはそれが当てはまらない可能性もある」との見解を示している。

[2021年11月1日/HealthDayNews]Copyright (c) 2021 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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