白内障が全死亡リスクと相関

提供元:HealthDay News

印刷ボタン

公開日:2021/11/11

 

 白内障と全死亡や血管死のリスクとの相関を示した論文が報告された。年齢や糖尿病などの交絡因子を調整後も有意な関連が認められるという。メルボルン大学(オーストラリア)のMingguang He氏らが、米国国民健康栄養調査のデータを解析した結果であり、詳細は「British Journal of Ophthalmology」に10月25日掲載された。

 白内障は加齢とともに増加し、高齢者ではごく一般的な眼疾患。その白内障が全死亡や血管死リスクと関連があるという今回の研究結果について、「報告された研究は因果関係を証明できるデザインで行われておらず、白内障が原因で死亡リスクが高まることを意味するものではない」と、早急な解釈に警鐘を鳴らす専門家もいる。

 本研究に関与していない、米ノースウェル・ヘルスのMatthew Gorski氏も、「糖尿病や高血圧、喫煙などのさまざまな因子が白内障と関連しており、かつ、それらは血管死のリスクとも関連している。今回報告された結果は、そのような背景で説明がつく可能性がある」と語る。ただし同氏はその一方で、「白内障が、血管死リスクを高める種々の疾患の重要なシグナルである可能性がある」とも述べている。

 He氏らの研究は、1999~2008年の米国国民健康栄養調査のデータを用い、白内障手術歴の有無で死亡リスクが異なるか否かを検討した。1万4,918人(平均年齢56.8±0.21歳、男性47.3%)のうち、ベースライン時に白内障手術の既往があったのは2,009人だった。

 中央値10.8年(四分位範囲8.25~13.7)の追跡で、3,966人が死亡していた。白内障手術の既往がある群は既往のない群と比較して、全死亡や血管死リスクのほか、がん、アルツハイマー病、呼吸器疾患、腎疾患など、評価した全ての死亡原因のリスクが有意に高かった。死亡リスクに影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、BMI、喫煙・飲酒習慣、糖尿病、高血圧、脂質異常症、慢性腎臓病、CRP、民族、自己評価に基づく健康状態、教育歴、婚姻状況、収入など)の調整後も、全死亡〔ハザード比(HR)1.13(95%信頼区間1.01~1.26)〕と血管死〔HR1.36(同1.01~1.82)〕との関連は、引き続き有意だった。

 この結果についてHe氏らは、「白内障手術の既往歴で判定した白内障の存在が、全死亡リスクや血管死リスクと有意に関連することが明らかになった。特に後者は関連がより強いようだ」と結論付けている。また考察として、酸化ストレスが両者の関連を結びつけるキーワードである可能性を述べている。酸化ストレスによって生じたDNAの損傷が白内障の発症に寄与すると同時に、動脈硬化を進展させることが、既報研究で示されているとのことだ。

 米レノックス・ヒル病院のMark Fromer氏は、この研究結果に関連して、「白内障患者の大半は高齢者であるため、白内障患者がほかの慢性疾患を持っていることは驚くに当たらない」とコメントしている。また同氏は白内障手術について、「過去数十年の間に、より若年の患者に対して積極的に白内障手術が施行されるようになってきた。手術後の視力の改善は、生活の質(QOL)の向上につながり、また視力低下による事故を防ぐ効果がある」と解説している。

[2021年10月26日/HealthDayNews]Copyright (c) 2021 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

[ あわせて読みたい ]