無症状の子どもを介してCOVID-19感染が拡大し得る

提供元:HealthDay News

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公開日:2021/10/29

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染した子どもは、無症状であっても他者へウイルスを伝播させ得ることを示唆する、新たな研究結果が報告された。米マサチューセッツ総合病院のLael Yonker氏らの研究によるもので、詳細は「The Journal of Infectious Diseases」に10月14日掲載された。

 COVID-19パンデミックが起きて以来、成人が発症した場合の症状や他者へ感染させるリスクについては多くの研究がなされてきた。しかし、子どもでの研究は成人に比較し大きく遅れている。パンデミック当初は、子どもは感染リスクが低いと考えられていたが、研究が進むにつれて、子どもも成人に匹敵する頻度で感染する可能性が考えられるようになってきた。

 Yonker氏らの研究の対象は、2020年4月~2021年4月に同院を受診しCOVID-19と診断された21歳以下の患者110人。年齢は中央値10歳で生後2週の乳児も含まれていた。性別は男子が56%で、人種/民族は白人が33%、ヒスパニックが38%だった。また、73%は症候性、27%は無症候性で、68%は外来治療で治癒し、入院を要したのは33%だった。入院中に酸素吸入や人工呼吸管理を要した患者は16%だった。

 RT-PCRによって定量化されたウイルス量やウイルスのゲノム配列と、患者の年齢、症状の持続期間、および重症度との関連を検討した結果、年齢はウイルス量と関連がないこと、発症から最初の5日間が最も感染力が強いと考えられること、ウイルス量と重症化リスクは相関しないことなどが明らかになった。またウイルスのタイプは変異株の傾向も含め、患者の居住するコミュニティーの代表的なものだった。

 これらの結果からYonker氏は、新型コロナウイルスの伝播リスクという点では、「乳児、子ども、10代の若者は同等と言える」とし、「子どもはCOVID-19に罹患しても他者にウイルスを伝播させる頻度は低いという考え方は否定された」と語っている。そして、「この研究の意味するところは、パンデミックを終息に導くために、子ども、若者、成人の全てにマスク着用をはじめとする公衆衛生対策が求められるということだ」と指摘している。

 また同氏は、「今回の研究ではウイルス量と重症度の間に相関関係は認められなかったものの、ウイルス量が多い場合には周囲の人への感染が拡大する懸念が残されている」とし、学校での安全を確保してパンデミック抑制へとつなげるという公衆衛生対策を確立するため、ウイルスの伝播が子どもと大人で異なるか否かを引き続き研究し、明らかにすることが不可欠であると強調している。

 さらにYonker氏は、「子どもたちはウイルスが新たな変異株を生みだす進化のためのリザーバーとなり得るし、現在既に存在する変異株の拡散者にもなり得る。デルタ株の出現で明らかになったように、変異株はCOVID-19重症化リスクを高めワクチンの有効性を低下させてしまう可能性がある」と述べている。

 米疾病対策センター(CDC)によると、子どものCOVID-19の真の罹患状況は、成人のように信頼性の高いデータがないため、「不明」だという。Yonker氏は、子どものCOVID-19に対する社会の認識を高めることや、子ども対象の検査プログラムを策定することの必要性を訴えている。「パンデミック終息のため、新型コロナウイルスが子どもたちにどのような影響を与え、どのように伝播するのかを、より詳しく知る必要がある」と同氏は語っている。

[2021年10月14日/HealthDayNews]Copyright (c) 2021 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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