運動+200kcalのカロリー削減で血管の健康が改善か

提供元:HealthDay News

印刷ボタン

公開日:2021/09/06

 

 肥満の高齢者では、適度な運動を行いつつ、1日の摂取カロリーをわずか200kcal減らすだけで、体重が減少するだけでなく、血管の健康が大幅に改善する可能性があるとする研究結果が報告された。研究を実施した米Wake Forest School of Medicine老年学・老年医学分野のTina Brinkley氏らは、「このようなライフスタイルの変化により、加齢に伴い進行する大動脈硬化を相殺できる可能性がある」と述べている。研究の詳細は、「Circulation」に8月2日掲載された。

 大動脈は体の中で最も太い血管であり、心臓から脳や肝臓などの重要な臓器へ酸素と栄養素を運ぶ役割を担っている。大動脈は、加齢に伴い硬くなる。大動脈が硬化すると、心臓が体のすみずみに血液を送るために、より高い血圧が必要になり、心臓に負担がかかる。動脈硬化の要因には、高血圧や糖尿病のような慢性疾患、肥満などがある。

 Brinkley氏らは今回、座位時間の多い65〜79歳の肥満者160人を対象に、有酸素運動とカロリー摂取量の削減の組み合わせが大動脈硬化にどのような影響を及ぼすかを調べた。対象者は20週間にわたって、通常の食生活を送りながら有酸素運動を行う群(56人)、運動を行い、かつ1日のカロリー摂取量を200kcal(55人)または600kcal(49人)減らす群の3群にランダムに割り付けられた。有酸素運動とは、最大心拍数の65〜70%を維持した状態でトレッドミルを使った運動を1回30分間、週に4回行うという内容だった。動脈の硬化度については、脈波伝播速度(PWV)や大動脈進展性の測定のほか、心臓MRI検査による大動脈の構造や機能の評価により確認した。なお、PWV値は、血管が硬いほど高くなる。

 その結果、20週間での体重減少量は、運動のみを行った群で1.66kgであったのに対して、運動と200kcalのカロリー削減を組み合わせた群では8.0kg、運動と600kcalのカロリー削減を組み合わせた群では8.98kgであり、運動にカロリー削減を取り入れた群で有意な減少が認められた。その一方で、大動脈の硬化度については、運動と200kcalのカロリー削減を組み合わせた群でのみ変化が認められ、大動脈進展性の21%の上昇、PWVの8%の低下が確認された。その他の2群では、有意な変化は認められなかった。

 Brinkley氏は、「カロリー削減量が最も大きかった群では、それよりもカロリー削減量が少なかった群と同程度に体重と血圧が低下したにもかかわらず、大動脈の硬化度には改善が認められなかった。このことは、われわれにとっても驚きだった」と話す。その上で同氏は、「これらの結果は、運動と適度なカロリー削減を組み合わせることで、減量に加え、体組成および体脂肪分布の改善が最適化され、それにより血管の健康へのベネフィットを最大化できる可能性が高いことを示唆している」と結論付けている。

 さらにBrinkley氏は、「肥満の高齢者の心血管疾患リスクを改善するためには、減量が推奨されている。今回の結果は、減量に大幅なカロリー削減は必要ではない、あるいは推奨されない可能性を明らかにするもので、減量に関する推奨においても重要な意味を持つことだろう」と述べている。

[2021年8月2日/HealthDayNews]Copyright (c) 2021 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら