重度の睡眠時無呼吸はCOVID-19罹患リスクと関連

提供元:HealthDay News

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公開日:2021/06/21

 

 重度の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)に苦しむ人々は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患するリスクが高いとする研究結果が、米カイザー・パーマネンテ南カリフォルニアのDennis Hwang氏らにより報告された。その一方で、OSAに対するPAP(陽圧呼吸)療法をきちんと遵守している人ほど、罹患リスクが低下することも明らかになったという。研究結果は、米国胸部学会(ATS 2021、5月14〜19日、オンライン開催)で発表された。

 Hwang氏らは、カイザー・パーマネンテ南カリフォルニアで2015〜2020年の間に睡眠障害に関する評価を受けた8万1,932人の患者データを収集。OSAおよびPAP療法とCOVID-19罹患リスクとの関連を検討する後ろ向き研究を実施した。対象者の平均年齢は54.0±14.9歳で、女性の割合が39.8%だった。

 PAP療法では、マスクに付属したチューブを通して、専用の装置から出る圧のかかった空気を鼻から気道に送り込むことで、気道を広げて睡眠時の無呼吸の防止を図る。対象者のPAP療法〔主にCPAP(持続的陽圧呼吸)療法〕の状況については、一晩当たりの治療器具の使用時間に基づき、2時間未満を「未治療」、2時間以上を「治療あり」とした。「治療あり」はさらに、使用時間が2〜3.9時間を「中等度の治療」、4時間以上を「十分な治療」とした。また、OSAの重症度については、無呼吸と低呼吸の合計回数である無呼吸・低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index;AHI)で評価した。

 対象者のうち、1,493人(1.8%)が新型コロナウイルスの検査で陽性の判定を受け、224人(0.3%)が入院し、61人(0.07%)が集中治療室に入室または死亡していた。解析の結果、「未治療」のOSAとOSAの重症度の高さは、COVID-19罹患率の上昇と関連していた一方、「治療あり」では罹患率が低下することが明らかになった(OSAなしで1.7%、「未治療」の軽度および中等度OSAで2%、「未治療」の重度OSAで2.4%、重症度が不明のOSAで2%、「治療あり」で1.4%、P<0.0001)。また、PAP療法の遵守度が高いほど、COVID-19罹患率が低いことも判明した(「未治療」2.1%、「中等度の治療」1.7%、「十分な治療」1.3%、OSAなし1.7%、P<0.0001)。

 多変量解析では、OSAがある人ではない人に比べて、COVID-19罹患率が上昇し、「治療あり」の人では「未治療」の人に比べて、罹患率が低下することが確認された。このほか、肥満、併存する慢性疾患の多さ、黒人とヒスパニック系、およびメディケイド加入も、COVID-19罹患率の上昇と関連していた。その一方で、年齢の上昇は、罹患率の低下と関連することも示された。

 Hwang氏らは、「OSAとCOVID-19罹患リスクの上昇との関係は、生物学的要因と行動的要因の両方に起因する可能性がある」と推察している。同氏は、「研究では、OSAの重症度が高いほど、感染リスクが上昇していた。また、OSAとCOVID-19では、男性の性別、肥満、心血管疾患の存在などのリスク因子が共通している。このことから、生物学的要因がおそらくは呼吸機能、気道の炎症、および睡眠の断片化に対して影響を及ぼしているものと考えられる」と説明している。

 一方、今回の研究対象者では、一般的にCOVID-19罹患リスクが高いと考えられている高齢者で、罹患率低下が認められた。Hwang氏は、「OSA患者には年配者が多く、年配者の方が、ソーシャルディスタンスの維持やマスクの着用を守り、感染リスクを伴う行動を避けるといった傾向が強い」とし、そのような行動的要因も、年齢が高い人でのCOVID-19罹患率の低下を説明する一因になっているとの考えを示している。

 なお、学会発表された研究は、一般に査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。

[2021年5月18日/HealthDayNews]Copyright (c) 2021 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら