適量のワインが白内障予防に有効?

提供元:HealthDay News

印刷ボタン

公開日:2021/05/07

 

 白内障は多くの人に失明の脅威をもたらす。しかし、アルコール、特に赤ワインを適度に飲む人では、白内障の手術を受けるリスクが低減する可能性のあることが報告された。研究論文の筆頭著者である、英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)眼科学研究所のSharon Chua氏は、「この所見はワインを飲む人に特に顕著に認められたことから、特に赤ワインに豊富に含まれるポリフェノールの抗酸化作用が白内障予防の鍵を握っている可能性がある」と述べている。研究の詳細は、「Ophthalmology」に2月8日掲載された。

 白内障は、通常は透明な眼の水晶体が濁る疾患で、加齢に伴い発症することが多い。米ノースウェル・ヘルスの眼科医Matthew Gorski氏によると、白内障の症状には、グレア(光が伸びてまぶしく見えること)やハロー(光の周辺に輪がかかって見えること)、複視、コントラスト感度の低下、視力低下、視界の薄暗さ、奥行き知覚の低下などがあり、文字を読みにくくなったり、日中や夜間の運転が困難になったりする。

 今回の研究対象者は、英国のUKバイオバンクの参加者46万9,387人(平均年齢56歳)とEuropean Prospective Investigation into Cancer(EPIC)-Norfolkの参加者2万3,162人(平均年齢59歳)。対象者が摂取するアルコールの種類や量は、UKバイオバンクではタッチスクリーン式の質問票を使って、EPIC-Norfolkでは食物摂取頻度質問票を使って調べられた。

 白内障リスクに影響を及ぼすとされる、年齢、性別、民族性、社会経済学的状況、体重、喫煙、糖尿病などの因子を考慮しても、アルコールを摂取する人では、摂取しない人に比べて、白内障の手術を受けるリスクが有意に低く、ハザード比はEPIC-Norfolk参加者で0.90(P=0.004)、UKバイオバンク参加者で0.89(P<0.001)だった。

 アルコール総摂取量と白内障の手術との関連を多変量モデルで検討したところ、手術のリスクは、EPIC-Norfolk参加者では、1週間の摂取量が最も少ない群に比べて、3番目に多い群(43.83~88.53g)では14%、最も多い群(88.78g以上)では18%、それぞれ低かった。また、UKバイオバンク参加者では、アルコール摂取頻度が1カ月に1〜3回またはそれ以下の人に比べて、週に1〜2回の人で7%、3〜4回の人で6%、手術のリスクがそれぞれ低かった。しかし、アルコールを毎日、あるいはほぼ毎日摂取する人では、週に1〜2回摂取する人に比べて6%、週に3〜4回摂取する人に比べて5%、リスクがそれぞれ上昇していた。

 次に、アルコールの種類に着目して解析を行った。その結果、EPIC-Norfolk参加者では、アルコール摂取と白内障手術のリスク低下との関連が最も強いのはワインだった。この関連は摂取量の増加に伴い強まり、非アルコール摂取群に比べて、摂取量が2番目に多い群で19%、最も多い群で23%低下していた。また、ビールでは摂取量が2番目に多い群で13%、蒸留酒では最も多い群で14%のリスク低下が認められた。

 一方、UKバイオバンク参加者では、白内障手術のリスクは非アルコール摂取群に比べて、摂取量とは無関係に赤ワイン摂取群で14%、白ワインやシャンパン摂取群で10%以上のリスク低下が認められた。さらに、週に4パイント(約2.3L)以下のビールやメジャーカップ4カップ以下の蒸留酒の摂取でもリスクは低下していたが、それ以上の摂取では有意なリスク低下は認められなかった。

 ただし、この研究はアルコール摂取と白内障手術のリスク低下との関連を示したものに過ぎず、因果関係が明らかになったわけではない。米レノックス・ヒル病院の眼科医Mark Fromer氏は、「もしも、本当に適量のアルコール摂取が白内障リスクの低減に有効であるなら、それは長期にわたる摂取から得られる効果である可能性が高い」と述べている。

[2021年4月1日/HealthDayNews]Copyright (c) 2021 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら