高血圧予防には歯磨きを

提供元:HealthDay News

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公開日:2021/05/10

 

 高血圧になりたくなければ、毎日の歯磨きを忘れてはいけないようだ。新たな研究から、重度の歯周病がある人は、高血圧の発症リスクが大幅に高くなる可能性があることが分かった。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)イーストマン歯科研究所のFrancesco D'Aiuto氏らの研究によるもので、詳細は「Hypertension」に3月29日掲載された。

 この研究の対象は、重度の(歯の50%以上に歯肉感染が認められる)歯周病のある成人250人(歯周病群)と、歯周病のない250人(対照群)。年齢中央値は35歳で、女性が52.6%だった。収縮期血圧が140mmHg以上の人の割合は、歯周病群が14%、対照群7%であり、2倍の差が見られた。また、収縮期血圧/拡張期血圧が130/80mmHg以上の場合を高血圧と定義すると、歯周病群の約50%、対照群の約42%がこれに該当した。

 血圧に影響を与え得る因子(年齢、性別、BMI、喫煙・運動習慣、人種/民族、心血管疾患家族歴)を調整後、歯周病群は対照群に比べて、収縮期血圧が3.36mmHg(95%信頼区間0.91~5.82、P=0.007)、拡張期血圧は2.16mmHg(同0.24~4.08、P=0.027)有意に高かった。

 また、上記の因子を調整後、歯肉出血や歯周ポケットの深さなどから判定した歯周病の重症度と、収縮期血圧が正相関し(β=3.46±1.25、P=0.005)、収縮期血圧140mmHg以上の割合は歯周病群が対照群の2.3倍だった(オッズ比2.3、95%信頼区間1.15~4.60、P=0.018)。さらに、歯周病群は対照群に比較して、血糖値、LDL(悪玉)コレステロール、炎症レベル(高感度CRP、白血球数)が高く、HDL(善玉)コレステロールは低いことも分かった。

 この結果についてD'Aiuto氏は、「歯周病菌が歯肉にダメージを与え、高血圧を含む全身性疾患の発症に影響する炎症反応を引き起こす可能性を示すものだ」と述べている。また、論文の筆頭著者である同研究所のEva Munoz Aguilera氏は、「高血圧は自覚症状がほとんどないため、患者の多くが心血管疾患ハイリスク状態であることに気付いていない」と、高血圧の特徴を解説。この研究デザインでは両者の因果関係に言及することはできないものの、「歯周病の予防と治療は、全身の慢性炎症を抑制し、血管内皮機能を改善するための費用対効果の高い手段である可能性がある」と語っている。

 D'Aiuto氏は、「歯科医が高血圧のスクリーニングを行い、必要に応じてプライマリケア医に紹介し、かつ、プライマリケア医は歯周病のスクリーニングを行い、必要に応じて歯科医に紹介することで、高血圧に伴う合併症が抑制され、患者の健康上のメリットにつながる」と、具体的な対策を提案。「1日2回歯を磨くなどの基本的な口腔衛生戦略が、歯周病の予防に極めて効果的であることが証明されている。われわれの研究結果は、そのような基本的口腔衛生戦略が高血圧予防においても、強力かつ容易なツールになり得ることを示している」と、同氏は結論付けている。

[2021年3月29日/HealthDayNews]Copyright (c) 2021 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら