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月の満ち欠けの周期に同調するかのように、人々の睡眠時間が変動していることを示すデータが報告された。電気の通っていない未開の地の先住民だけでなく、満月か新月かを問わず常に夜の明るい都会の学生でも、月の満ち欠けと睡眠時間の間に関連が見られるという。米ワシントン大学教授のHoracio de la Iglesia氏らの研究によるもので、詳細は「Science Advances」に1月27日掲載された。
De la Iglesia氏らはこの研究を、アルゼンチンの先住民であるToba/Qomコミュニティーの98人と、米ワシントン大学の学生464人に対して行った。研究の手法は、覚醒と睡眠の状態、および環境光を測定できる機器を手首に装着し、生活してもらうというもの。なお、Toba/Qomコミュニティーの98人は生活条件によって、さらに以下の3群に細分化した。電気を全く使わずに生活している群、電気を若干用いた生活をしている群、電気を十分に使える生活をしている群。
データ解析の結果、いずれの地域の研究参加者でも、満月の前の3~5日は就寝時刻が遅くなり、かつ睡眠時間が短くなる傾向が認められた。反対に新月前の数日間は、最も睡眠時間が長かった。月齢にあわせて睡眠時間は平均46~58分変動し、就寝時刻は約30分変動していた。
「電気を使わない地域の住民は、月の満ち欠けの影響を確実に受けているが、電気を使う地域の住民にも影響が見られた。特に、ワシントンに暮らす大学生の睡眠にも月の満ち欠けとの関連が見出されたことは予想外だった」と、de la Iglesia氏は語る。同氏はその驚きの理由を、「都会に暮らす人の中で、今日が満月か新月か、あるいは三日月か半月かなどと、日々の月齢を確認しながら生活している人はほとんどいない。それにもかかわらず、人々の睡眠が月齢に影響されていたからだ」と説明する。
本研究には関与していない、米レノックス・ヒル病院睡眠医学センターのSteven Feinsilver氏は、「ヒトの概日リズムの調整に光が重要であることは以前から知られている」と述べている。その上で、近年研究が進められている、青色光の影響についても言及。同氏によると、「20年ほど前まで、青色光の生体への影響はほとんど知られていなかった。現在、青色光は視覚にはあまり影響しないものの、起床すべき時刻や就寝すべき時刻を、脳に知らせる役割を果たしていると考えられている」という。
月は満月に近づくにつれて徐々に明るくなり、日没後の早い時刻に昇り始める。「われわれは光が生活のリズムにとって重要であることを知っている。恐らく、月明かりほどの明るさであっても、生活リズムの調節に重要であると考えられる」とFeinsilver氏は推察する。一方、De la Iglesia氏は、「古代人は月明かりを利用することで、日没後の遅い時間帯まで、仕事や社会活動をしていたと考えられる。その生活リズムが、現代人にも受け継がれているのではないか」と話す。
今回の研究で得られた知見についてDe la Iglesia氏は、「睡眠障害の治療に役立つ可能性がある。医師から明るい光やスクリーンタイム(スマートフォンなどの利用時間)を減らすことを指示されている場合、満月に近い時期にはその対策をより強化すべきかもしれない」と述べている。
[2021年1月27日/HealthDayNews]Copyright (c) 2021 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら
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