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長時間の座位行動が続く時は、30分ごとに3分の簡単な筋力運動を行うと、血管機能の有意な改善が期待できるというデータが報告された。オーストラリアン・カトリック大学(オーストラリア)のFrances Taylor氏らが、2型糖尿病患者を対象に行った研究結果であり、詳細は「American Journal of Physiology. Heart and Circulatory Physiology」に11月8日掲載された。
2型糖尿病患者は血管機能が低下していて、心臓病のリスクが高い状態にあることが多い。座位行動を減らし身体活動を増やすことは、血管機能の維持・改善につながり心臓病リスクを抑制する。しかし、論文の筆頭著者であるTaylor氏は、「交通機関が整備され、テクノロジーの発達により職場や家庭でも身体を動かす機会が減っており、社会そのものが長時間の座位行動を増やす環境に変わってきた」と話す。そこで同氏らは、座位行動中にごく短時間の身体活動を挟むことで、血管機能を改善できないか検討した。
検討の対象は、35~70歳の肥満2型糖尿病患者24人(男性13人、平均年齢61.5±7.8歳、BMI32.6±3.5、罹病期間10.1±7.0年、HbA1c7.6±0.8%)。対象者全員に、以下の3条件で7時間にわたって座位を維持する試験を行う、ランダム化クロスオーバー法で血管機能を検討した。
条件1では7時間中断なく座位を保ち、条件2では30分ごとに3分間の簡単な筋力運動(simple resistance activities;SRA)を行い、条件3では1時間ごとに6分間のSRAを行うというもの。血管機能は、大腿動脈の血流依存性血管拡張反応(flow-mediated dilation;FMD)と、安静時ずり速度(resting shear rate)などを、座位開始時点、開始後1時間、3.5時間、4.5時間、6.5~7時間の時点で計測し評価した。
なお、FMDとは、短時間血流を遮断した後、遮断を解除した時に生じる、内皮依存性の血管拡張反応を評価する検査。血管径がより大きく拡張するほど、血管内皮機能が良好と判定される。また、安静時ずり速度の値の高さは、血液の粘度が低いことを表す。
7時間にわたるFMDの平均値は、7時間座位を保つ条件1では3.7±0.3%であったのに対し、30分ごと3分間のSRAを行う条件2では4.1±0.3%であり、有意差が認められた(P=0.04)。ただし、1時間ごとに6分間のSRAを行う条件3は、座位を維持する条件1と有意差がなかった。安静時ずり速度に関しては、条件1の33.1±4.1/秒に対して、条件2が45.3±4.1/秒、条件3が46.2±4.1/秒であり、ともに有意差が認められた(条件2、3ともP<0.001)。
この結果からTaylor氏は、「座位行動による血管内皮機能の低下を抑制するには、座位中にそれを中断する頻度が、中断中に行う運動の時間の長さよりも重要である可能性が示唆された」と述べている。その上で、「2型糖尿病が進行すると血管機能が低下する。座位時間が長くなりがちな現在の社会生活において、良好な血管機能を維持するために、より頻繁に座位を中断する必要があると考えられる」としている。
[2020年11月26日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら
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