ヘアカラーの使用はがんリスクと関連するのか

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/09/22

 

 ヘアカラーリング剤(ヘアカラー)に発がん性物質が含まれているのではないか。そんな心配をしている人々を安堵させる研究結果が、米ハーバード大学医学大学院およびブリガム・アンド・ウイメンズ病院のYin Zhang氏らにより、「BMJ」9月2日オンライン版に発表された。自宅でパーマネントヘアカラー(永久染毛剤)を使用しても、ほとんどのがんの発症やがんによる死亡のリスクの増加とは関連しないことが明らかになったという。

 米国およびヨーロッパでは、40歳以上の女性の50〜80%、男性の10人に1人が、髪の毛を染めているという。米国がん協会(ACS)によると、米食品医薬品局(FDA)は、ヘアカラーを化粧品として規制しているが、安全面の責任の大部分は製造業者任せである。米国およびヨーロッパで使用されているヘアカラーの約80%は、髪の根元が伸びて、髪色に段差ができるまで色持ちするパーマネントヘアカラーである。しかし、研究チームによると、この広範に使用されているパーマネントヘアカラーこそが、がんの発症リスクについて大きな潜在的懸念を引き起こしていると指摘する。

 では、何が問題なのか。ACSの説明によると、過去に実施された複数の研究で、パーマネントヘアカラーに含まれている、芳香族アミン、フェノール系、過酸化水素などの成分により、さまざまな問題が引き起こされる可能性が示唆されているのだという。例えば、ある研究では、ヘアカラーの使用と血液がんおよび乳がんとの関連が示されている。ただし、ACSは、これらの研究では一貫した結果が得られておらず、また、カラーに使われる成分は、製品ごとに異なっている上に、経時的に含有成分が変化する可能性もあるため、同様の条件下で研究を実施して結果を比較することは困難であるともしている。

 こうした中、ヘアカラーの個人的な使用とがんリスクとの関連について理解を深めるべく、Zhang氏らは、米国で1976年に始まり、現在も継続中の試験Nurses' Health Studyの参加者11万7,200人のデータの解析を行った。試験開始時にがんに罹患していた対象者はいなかった。対象者のパーマネントヘアカラーの使用状況は、過去のものも含め、全て報告されていた。

 36年に及ぶ追跡の結果、パーマネントヘアカラーの使用歴がある人では、使用歴がない人と比べて、ほとんどのがんの発症リスクと、がんによる死亡リスクの上昇は認められなかった。これらのがんには、膀胱、脳、大腸、腎臓、および肺のがん、血液がん、皮膚がん(扁平上皮がん、メラノーマ)、乳がん〔エストロゲン受容体(ER)陽性乳がん、プロゲステロン受容体(PgR)陽性乳がん、ホルモン受容体陽性(ER陽性/PgR陽性)乳がん〕が含まれる。一方、皮膚がんの一種である基底細胞がんの発症リスクには、わずかな上昇が認められた。

 また、パーマネントヘアカラーの累積使用量の多さは、卵巣がんと乳がんの発症リスク上昇と関連し、乳がんでは特に、ER陰性乳がん、PgR陰性乳がん、およびホルモン受容体陰性(ER陰性/PgR陰性)乳がんの発症リスクが大きく上昇する可能性が示された。さらに、髪色ごとに解析したところ、生まれつき濃い髪の色(黒髪やダークブラウン)の女性ではホジキンリンパ腫の発症リスクの上昇、生まれつき薄い髪の色(金髪やライトブラウン)の女性では基底細胞がんと乳がんの発症リスクの上昇との関連が認められた。

 研究チームは、結果について、「パーマネントヘアカラーの使用により、ほとんどのがんの発症リスクが大幅に上昇するということは考えにくい」と結論付けている。ただ、今回の研究は観察研究であり、パーマネントヘアカラーとがんの発症の因果関係を証明するものではないことも補足している。その上で、「今回の研究で得られた、パーマネントヘアカラーの使用とがん発症の関連に関するエビデンスは、決定的なものではない」とし、「さらなる調査が必要だ」と述べている。

[2020年9月3日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら