ベジタリアン食が全て健康的とは言い切れない

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/09/25

 

 健康維持のために肉食をやめ、菜食(ベジタリアン食)に切り替える人は少なくない。しかし、食事内容を詳細に検討した結果、菜食なら全てが健康的だとは言い切れず、健康に良い菜食とあまり良くない菜食があり、特に肥満者にとってはその影響の差が大きいことが分かった。ハロコピオ大学(ギリシャ)のMatina Kouvari氏らの研究によるもので、同氏は「菜食にもさまざまな質がある」と結論づけている。詳細は、欧州心臓病学会(ESC)のバーチャルミーティング(ESC Congress 2020、8月29日~9月1日)で発表された。

 Kouvari氏らは、ギリシャで行われている疫学研究「ATTICA研究」の参加者を対象に、植物性食品の量や質の違いと心疾患との関連を検討する追跡研究を行った。ATTICA研究には、アテネ在住の心血管疾患やその他の慢性疾患のない一般成人が登録されている。その中から、肥満でありながら、血圧、血清脂質、血糖値が基準値内にある146人を無作為に抽出。調査前年の食習慣に関するアンケートを基に、ギリシャで一般的に摂取されている156種類の食品と飲料の種類と量を調査した。この調査に際しては、食品の写真リストを用いて正確性を確保した。

 約10年の追跡期間中に、参加者のほぼ半数が高血圧、脂質異常症、高血糖を発症した。これらの検査値異常の組み合わせは、心疾患ハイリスク状態として知られている。

 より健康的な植物性食品を摂取していた群は、基準値内の検査値を維持している人の割合が高かった。健康的な植物性食品とは、全粒穀物、果物、野菜、ナッツ、オリーブオイル、コーヒーなどであり、未加工食品が多く含まれていた。一方、あまり健康的と言えない植物性食品を摂取していた群は、検査値異常のある人の割合が高かった。健康的でない植物性食品とは、果汁飲料、加糖飲料、精製穀物(白パンやパスタなど)、ジャガイモなどであり、また、あらゆるタイプの菓子の摂取も検査値異常と関連していた。

 性別に検討すると、男性よりも女性において、より明確な関連が認められた。Kouvari氏は、「これまでの研究では、女性は男性よりも植物性食品を多く摂取し、動物性食品の摂取量は少ないことが報告されている。しかし、そのような食事スタイルが、必ずしも健康的な食品の選択を保証するものではなく、健康状態の改善につながるとは言い切れないことが示唆された」と述べている。

 同氏によると、従来の食事研究のほとんどは、単に菜食または肉類の摂取量が少ない食生活を「植物性食品ベースの食事スタイル」と定義しており、植物性食品は全て同質と見なされていたという。これに対して同氏は、本研究によって「ひと口に植物性食品と言っても幅があり、栄養の質の違いが浮き彫りになった」としている。

 米レノックス・ヒル病院で肥満改善指導を行っているSharon Zarabi氏は、肉類を減らすだけでは健康は保証されないという今回の報告に同意を示している。「ベジタリアンとして肉類を避けることで、高度に加工された炭水化物をより多く摂取する可能性もある。そのような場合、インスリンレベルが上昇し減量は難しくなる」と同氏は指摘。ナッツや魚介類、卵などから適度なタンパク質を摂取し、炭水化物の過剰摂取を避けるという具体的なアドバイスとともに、「どのような食事スタイルであれ、ポイントはそれが持続可能で楽しいと感じられることが重要」と述べている。

 なお、学会発表された研究は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものと見なされる。

[2020年8月27日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら