スマートウォッチで心電図変化を高精度・迅速に取得できる

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/09/24

 

 スマートウォッチで心筋梗塞を起こした人の命を救える日が来るかもしれない。その可能性を示唆する研究結果が「JAMA Cardiology」8月31日オンライン版に掲載された。

 マグナ・グラエキア大学(イタリア)のCiro Indolfi氏らが行ったこの研究では、心電図検査機能を搭載したスマートウォッチの精度は、標準的な心電図検査とほぼ同程度であることが示された。この結果から同氏は、「臨床で使われている標準的な心電図検査を、いつでも実施できる状況にあるとは限らない。それに対してこの方法を使えば、迅速かつ簡便に心電図変化を検出でき、状況によっては予後を改善させることができる可能性がある」との見方を示している。

 心電図検査は、胸痛を訴える患者が心筋梗塞を起こしているのかどうかを見極める際などに不可欠な検査だ。心電図のデータからは、心筋梗塞かどうかの判別だけでなく、心臓のどこに異常が起きているのかを特定することもできる。

 Indolfi氏らは、2019年4月~2020年1月に心筋梗塞が疑われる症状のために医療機関(単施設)を受診した患者81人を対象に、標準的な心電図(12誘導心電図)を基準としてスマートウォッチ(Apple Watch Series 4)による心電図変化の検出精度を比較検討した。対象者の平均年齢は66±10歳で、男性が78%、ST上昇型心筋梗塞が67%だった。またこの患者群以外に、健常者19人(42±21歳、男性32%)に対しても同様の検討を行った。

 スマートウォッチは12誘導心電図とは異なり単極誘導。この点を補うためにIndolfi氏らは、対象者の腕および胸腹部の合計9カ所にスマートウォッチを当てて心電図の波形データを収集し、それをスマートフォンにアップロードした。なお、米食品医薬品局(FDA)は、心電図測定機能を搭載したスマートウォッチを、不整脈の一種である心房細動を検出する機器として承認している。

 検討の結果、スマートウォッチはST上昇を感度93%、特異度95%、ST上昇のない心電図変化を感度94%、特異度92%で検出できた。また、健常者対象の検討では90%の確率で、心筋梗塞でないことを判定できた。

 ただ、スマートウォッチには自動診断機能はなく、医師の判読が必要だ。それでもIndolfi氏は、「Apple Watchがあれば標準的な心電図と同程度の信頼性を期待できる、9誘導心電図検査を実施可能」とし、「心筋梗塞は治療開始が早ければ早いほど予後が良いため、この点は重要だ」と強調。特に緊急性がより高いST上昇型心筋梗塞では、迅速な治療の開始が予後に大きな影響を与えると解説している。

 米アーマンソンUCLA心筋症センターのGregg Fonarow氏は、今回の報告を「実行可能性の検証を目的とした研究であり、その結果、スマートウォッチを使い複数の誘導データが得られることが示された。しかもその結果は、標準的な心電図のデータとの一致率が極めて高かった」と評価。その上で、「さらなる研究が必要ではあるが、標準的な心電図検査を実施できない状況下で心筋梗塞が疑われる患者が発生した場合などに、スマートウォッチを利用することで迅速な診断と治療を開始できるかもしれない」と話している。

[2020年9月1日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら