睡眠パターンはアルツハイマー病のリスクに影響するか?

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/09/18

 

 睡眠障害がアルツハイマー病のリスクを高めることはないが、アルツハイマー病リスクの高い遺伝的背景のある人は、特徴的な睡眠パターンが見られる頻度がやや高いことが報告された。詳細は「Neurology」8月19日オンライン版に掲載された。

 世界的な人口の高齢化を背景に、アルツハイマー病とうつ病、それら双方の有病率が増加している。両疾患ともに加齢に伴う神経変性疾患が併存しやすいが、それらの間に因果関係が存在するかどうかは明らかでない。ゲノムワイド関連解析(GWAS)からは、アルツハイマー病とうつ病に共通する遺伝因子は発見されておらず、非遺伝的リスク因子の存在が示唆されている。

 一方、睡眠習慣はライフスタイルの重要な側面であり、アルツハイマー病やうつ病の双方において特徴的な睡眠パターンが認められることが多い。睡眠不足は脳機能に影響を及ぼし、認知機能の低下、不安、抑うつに関連すると考えられる。また、うつ病とアルツハイマー病の関連も報告されており、海馬の萎縮や酸化ストレスの関与が想定されている。しかし、睡眠パターンとうつ病、アルツハイマー病の相互の因果関係は、いまだ証明されていない。

 論文の上席著者である英インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)のAbbas Dehghan氏は、「アルツハイマー病患者はしばしば抑うつ、または不眠症などの睡眠障害を訴えることが分かっている。われわれは、さまざまな睡眠パターンおよび抑うつとアルツハイマー病の因果関係を突き止めたいと考えた」と、研究の目的を述べている。

 そこでDehghan氏らは、英国の住民ベースの前向き研究である「UKバイオバンク」(登録者数44万6,118人)のほか、精神疾患ゲノミクスコンソーシアム(1万8,759人)やアルツハイマー病ゲノミクス国際プロジェクトコンソーシアム(6万3,929人)のデータを用い、メンデルランダム化解析を実施した。

 UKバイオバンクのデータでは、自己報告または加速度計を用いて、研究登録者の睡眠パターンが判定された。例えば、朝型の人が25万2,287人、夜型の人が15万908人であり、不眠症の人が12万9,270人、不眠症でない人が23万7,627人で、短時間睡眠(7時間未満)が10万6,192人、長時間睡眠(9時間以上)が3万4,184人、対照群(7~9時間)30万5,742人、などに分類された。

 うつ病については、米国精神医学会の基準(DSM-4)に基づいて大うつ病性障害を診断し、またアルツハイマー病は、臨床所見または剖検により診断した。睡眠パターン、大うつ病性障害、アルツハイマー病と遺伝因子との関連は、いずれもGWASにより得られたデータを検討に用いた。

 メンデルランダム化解析の結果、睡眠パターンと大うつ病性障害、大うつ病性障害とアルツハイマー病の間に因果関係は認められなかった。また、睡眠パターンとアルツハイマー病の間にも因果関係は認められなかった。一方、アルツハイマー病の遺伝的なリスクと睡眠パターンの間には、わずかに有意な関連が認められた。具体的には、遺伝的にアルツハイマー病の高リスクである人は朝型である頻度が1%高く〔逆分散過重法によるオッズ比(OR)1.01(95%信頼区間1.01~1.03)〕、また不眠症のリスクが1%低かった〔同0.99(0.990~0.994)〕。

 この結果について著者らは、「認められた関連はごくわずかなものであり、因果関係は示されなかった」とまとめている。なお、今回の研究対象はほとんどが欧州系民族だったため、他の人種や民族でも同じ結果になるとは限らないとしている。

[2020年8月24日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら