健康的な食事がパーキンソン病前駆症状を抑制する可能性

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/09/16

 

 健康的な食事をしている人は、パーキンソン病の前駆症状の出現が抑制される可能性のあることが報告された。地中海食を忠実に守っていた人は、パーキンソン病の前駆症状の出現頻度が少なかったという。

 パーキンソン病の前駆症状とは、パーキンソン病による典型的な運動障害が現れる数年前から見られる、便秘やREM睡眠行動障害、嗅覚の低下、色覚の異常、日中の眠気、身体痛、抑うつなどのこと。こうした症状の一つ一つは珍しいものではないが、重複して生じている場合、「中枢神経系に何らかの問題があると考えられる」と、米パーキンソン財団のJames Beck氏は述べ、「仮に食習慣がそのリスクに影響するのであれば、それはどのような食事スタイルなのかを明らかにすることが重要だ」と指摘している。

 今回報告された研究は、米ハーバード大学T.H. Chan公衆衛生大学院のSamantha Molsberry氏らが、米国の医療従事者を対象とした2件の縦断研究のデータを解析した結果で、「Neurology」8月19日オンライン版に掲載された。対象者数は計4万7,679人で、1986年から4年ごとに食習慣に関する情報が調査され、代替地中海食(AMED)スコア、および、代替健康食指数(AHEI)スコアで評価された。また、2012年に、便秘とREM睡眠行動障害の有無、2014~2015年に嗅覚の低下、色覚の異常、日中の眠気、身体痛、抑うつの有無が調査された。

 身体活動量、喫煙、BMIなどのパーキンソン病発症に影響を及ぼす可能性のある因子で調整後に、3種類以上のパーキンソン病前駆症状がある人の割合を解析。その結果、AMEDスコア第1五分位群(スコアの下位20%)に比較し、第5五分位群(スコアの上位20%)ではオッズ比が0.67(95%信頼区間0.54~0.83)と、33%有意に少なかった。これと同様に、AHEIスコアで解析した結果からも、健康的な食事スタイルの群で、これら前駆症状のある人の割合が少ないという有意な関係が確認された。

 次に、それぞれの症状の出現頻度を性別に検討すると、女性で便秘を有していたのは、高スコア群32%、低スコア群37%、身体痛は同順に13%、15%、抑うつは14%、17%だった。一方の男性も、高スコア群、低スコア群の順に、便秘は12%、22%、身体痛16%、14%、抑うつ12%、13%であり、スコアの高い群において症状を有している人の割合が少ない傾向が見られた。

 続いて、個々の食品と症状の出現頻度との関連を検討すると、野菜やナッツ、豆類をより多く摂取すること、および適量の飲酒が、前駆症状を3種類以上有するリスクの低下と関連していた。なお、本研究において、適量の飲酒とは、女性は1日1杯以下、男性は1日2杯以下と定義されている。

 米パーキンソン財団によると、パーキンソン病は米国だけでも約100万人の生活に影響を及ぼしているという。パーキンソン病では、α-シヌクレインと呼ばれる異常なタンパクが脳内に蓄積し、運動や情動反応を制御するドパミンを産生する細胞が次第に失われていく。危険因子の一つは加齢だが、そのほかにも、農薬や重金属への職業的な曝露をはじめとする環境的要因が指摘されている。

 今回の研究で得られた知見は、直接的な因果関係を裏づけるものではない。ただしMolsberry氏は、「全身の炎症や、α-シヌクレインの腸内への蓄積など、食事とパーキンソン病の関連を疑う理由はいくつかある」と述べている。この点について前出のBeck氏は、「健康的な食事をしている人々は、農薬や重金属への曝露が少ないのだろうか。食事とパーキンソン病前駆症状との関連を理解するために、より多くの研究が必要だ」と語っている。

 加えてBeck氏は、「詳細が明らかになるまでの間、ジャンクフードを果物や野菜に置き換えた食生活をする方が良く、そのような食生活にマイナス面はない」と述べ、この点にはMolsberry氏も同意を示している。

[2020年8月20日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら