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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症は、嗅覚障害を筆頭に多数報告されているが、長引く聴覚障害もその一つらしい。COVID-19から回復して退院した患者の多くが聴力の悪化を報告しているとする調査結果を、英マンチェスター大学のKevin Munro氏らが、「International Journal of Audiology」7月31日オンライン版に発表した。
この調査研究は、COVID-19の重症化により入院後、退院した患者121人を対象にしたもの。このうちの一人は、PCR検査では新型コロナウイルス陰性となったが、胸部放射線画像はCOVID-19の所見と一致していた。残りの120人はPCR検査で陽性が確認されていた。調査は退院の8週間後に電話を通して行われた。
その結果、16人(13.2%)の患者(年齢中央値64歳、男性が87.5%)が、退院後、聴力の変化や耳鳴りがあることを報告した。16人のうち、聴力の悪化を報告したのは8人で、うち4人はCOVID-19に罹患する以前から聴覚障害を抱えていた。また、3人に糖尿病があるなど、並存疾患を抱えている人の割合も高かった。退院後に聴力の変化と耳鳴りの両方が生じたとする患者はいなかったが、一人は、聴覚障害とともにめまいを訴えた。Munro氏らは、このめまいは、前庭の異常に起因する可能性があるとみている。
こうした結果を受けてMunro氏は、「麻疹(はしか)やおたふく風邪、髄膜炎などの原因ウイルスが聴覚障害を引き起こすことや、コロナウイルスが脳との間で情報のやり取りをする神経にダメージを与える可能性については、既に明らかになっている。理論的には、新型コロナウイルスが中耳や蝸牛などの聴覚系の一部を障害する可能性は考えられる」と述べている。
Munro氏によると、例えば、蝸牛は正常に機能しているが、聴覚神経による脳への音の情報伝達が障害されている状態であるauditory neuropathyと呼ばれる聴覚障害が生じる可能性があるという。この聴覚障害では、背景雑音があると聞き取りが困難になる。また、auditory neuropathyは、新型コロナウイルスとの関連が示唆されているギラン・バレー症候群とも関係があるとされている。
しかし、Munro氏らは、「COVID-19以外の要因が、既存の聴覚障害と耳鳴りに影響を与えている可能性もある。例えば、コミュニケーションを取りづらくするマスクの着用がストレスを生み出している可能性があるし、COVID-19の治療に使用される薬物が耳にダメージを与えている可能性も考えられる」と指摘。「われわれは、COVID-19への罹患により生じた聴力の変化と耳鳴りが、罹患以前にあったものと明確に違うということに確信を持っているが、この点に関しては慎重な姿勢が必要だ」と述べ、新型コロナウイルスがどのようにして聴覚に影響を及ぼすのかを正確に把握するには、さらなる研究が必要だとしている。
[2020年7月31日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら
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